凱旋門賞(2017年)はR・ムーア騎手とL・デットーリ騎手のどちらが勝つのか? それともワンツー?ーー展望

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日本国内で初めて「海外競馬」の馬券が発売された2016年の凱旋門賞は、R・ムーア騎手の豪快なアクションに応えた牝馬のファウンドが直線で鋭く抜け出して後続を突き離すと、先行していたL・デットーリ騎手のオーダーオブセントジョージが内ラチ沿いを伸びかかっていたので、「うぉー!ムーアとデットーリのオブライエン馬券だー!」と叫んだのもつかの間、ヘファナン騎手の乗るハイランドリールが外からグイグイと伸びて2着に上がり、「うわ〜ん、オブライエンの1-2-3はいいけど、ヘファナンが2着とは……」と大きく肩を落としたのでした。

レース成績・回顧:2016年凱旋門賞 海外競馬発売 JRA

 

R・ムーア騎手とL・デットーリ

R・ムーア騎手とL・デットーリ騎手の2人は日本でもお馴染みの世界的な名騎手。2人とも凱旋門賞で実績を残しており、ムーア騎手は昨年のファウンドを含む2勝、デットーリ騎手は2015年のゴールデンホーン他4勝を上げています。

今年はデットーリ騎手が1強と言われる3歳牝馬イネイブル(Enable)に騎乗。ムーア騎手はオブライエン厩舎のどの馬に乗るのかは流動的で、現時点では3歳牡馬のカプリ(Capri)か牝馬のウインター(Winter)が有力です。昨年の1 - 3着の騎手とあって、今年もその手綱さばきに注目が集まります。

 

イネイブル(Enable) 3歳牝馬

父:Nathaniel

母:Concentric(母父:Sadler's Wells)

厩舎:J・ゴスデン(イギリス)

2010年のスノーフェアリー以来となる英愛オークスを制覇し、前々走のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSを古馬相手に圧勝。主要なブックメーカーでは前売りオッズ1番人気に押されています。

 

血統

父Nathanielは欧州の種牡馬界をリードするGalileo直仔。競走馬としてはキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSとエクリプスSのGⅠを勝った中距離馬。Enableが産駒として初めてGⅠを制しました。

母Concentricの全姉Dance Routineは2014、15年の凱旋門賞で2着になったフリントシャー(父Dansili)を出しているように、活力のある牝系。母はSadler's Wells×Shirley Heights×イルドブルボンといかにも欧州のクラシック・ディスタンスに適した配合です。

エネイブルの血統表 | 競走馬データ - netkeiba.com

イネイブルはSadler's Wells3×2という強いクロスをもち、日本調教馬として初めて凱旋門賞を2着と好走したエルコンドルパサーのNureyev×Sadler's Wells3×2のインブリードを思い出しますね。エルコンドルパサーも体質が弱かったように、これだけ濃いクロスをもちながら競走馬としての能力をしっかりと発揮できるのは素晴らしいの一言です。

エルコンドルパサーの血統表 | 競走馬データ - netkeiba.com

重たい馬場のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSを楽勝したのは、スタミナとパワーに優れたSadler's Wellsのインブリードによるものですが、母系にフランスのShirley Heightsが入ることからシャンティイ競馬場も合う血統。

 

凱旋門賞に向けて

今年の4月からほぼ休みなくレースに使われ、凱旋門賞に向けて余力が残っているかどうかはここで好走できるかどうかの大きなポイント。もともと、「キングジョージに出走しない場合はヨークシャーオークス→凱旋門賞」というプランが組まれていたこともあり、ピーキングがキングジョージだった可能性は十分にあります。

また、キングジョージ→ヨークシャーオークス→凱旋門賞というローテーションは、3歳牝馬として38年ぶりにキングジョージを制したタグルーダ(ゴスデン厩舎)と同じ。タグルーダは2014年の凱旋門賞で1番人気の支持を受けたものの3着。3歳牝馬としては厳しいローテーションだけにこれを克服できるのか……。

そして、イネイブルがこれだけ飛び抜けた人気だと、多頭数出しが想定されるオブライエン調教師の管理馬が包囲網をしいてくることも考えられます。これまで極端に馬群に揉まれたことのない馬だけに、多頭数でスムーズな競馬ができるのかも好走へのポイントとなるでしょう。

 

R・ムーア騎手が乗るのは?

R・ムーア騎手がオブライエン調教師のどの管理馬に乗るのかは注目です。良馬場で力を発揮するハイランドリールは馬場が重くなれば回避する可能性もあり、まだ騎乗馬は未定。

凱旋門賞に出走予定のオブライエン調教師の管理馬はどれもこれも「Galileo産駒」ですから、昨年のようにハイペースでスタミナを削り合うレースにしたいところでしょう。そうなると、重厚な切れ味で勝負するフランス馬には苦しい展開になり、イネイブルを含めてイギリス調教馬の1-2-3もあり得ます。

GⅠ凱旋門賞(2017年)は今年もGalileo産駒+A・オブライエン厩舎の管理馬が好走するのか?ーーレース展望 - ずんどば競馬

また、昨年の凱旋門賞はインコースが有利な馬場で、勝利したファウンドはR・ムーア騎手が得意とするインから鋭く抜け出す騎乗がバッチリとハマりました。もし、昨年のような馬場であれば……また、ファウンドの再現があるかもしれません。R・ムーア騎手はインコースが有利な馬場だとわかれば、露骨にそこを狙ってくるタイプなので……。

 

ムーアとデットーリのワンツーも?

ムーア騎手の乗るGalileo産駒とデットーリ騎手のイネイブルはいずれもスタミナとパワーに優れるイギリス調教馬。オブライエン厩舎が昨年のようなペースを作るのであれば、イネイブルにもチャンスが出てきます。

ムーアとデットーリのワンツーも十分にあり得るメンバー。凱旋門賞でこの2人の素晴らしい騎乗を観られると想像するだけで、もう胸がドキドキしますね。

 

まとめ

日本でもお馴染みの世界的ジョッキーの2人が凱旋門賞の直線で叩き合う……そんなシーンがすぐに思い浮かぶほどに、ムーア騎手とデットーリ騎手は大舞台がよく似合います。

3歳牝馬のイネイブルがデットーリ騎手に導かれて凱旋門賞を制するのか、それともGalileo産駒に乗るムーア騎手があの豪快なアクションに導かれた1着でゴールするのか、今から馬券を検討するのが楽しみな1戦。まずは、R・ムーア騎手がどの馬に騎乗するのかが決まるまで、ソワソワしながら待ちましょう!

 

以上、お読みいただきありがとうございました。