アーリントンC(2020年)はエピファネイア産駒のノルカソルカに◎を!ーー予想

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NHKマイルCへのステップ・レースとなるアーリントンC(GⅢ・阪神芝1600m)は、朝日杯FS2着のタイセイビジョン、同3着のグランレイ、同5着プリンスリターンなど2歳GⅠで好走した馬が揃い、3歳マイル路線を占う重要な1戦となりました。

今年のアーリントンCは「朝日杯FSの上位馬 vs 新勢力」の図式。NHKマイルCに向けて、フレッシュな馬が登場するのでしょうか?

今回の記事では、朝日杯FS不出走組のなかから手頃な人気の馬を1頭ピックし、血統を含めて解説していきます。

 

新勢力をチェック!

アーリントンCに出走する12頭の内、朝日杯不出走は以下の7頭。

ギルデッドミラー

チュウワノキセキ

デュードヴァン

ノルカソルカ

ボンオムトゥック

リインフォース

ロードベイリーフ

(50音順)

このなかから好走する馬は現れるのでしょうか? 

上記7頭のなかからピックするのは、文字にしたノルカソルカ。この馬を選んだ理由は以下の2点です。

新種牡馬エピファネイア産駒

手頃な人気の逃げ馬

先週の桜花賞をエピファネイア産駒のデアリングタクトが制したのは記憶に新しいところ。今回はエピファネイア産駒の特徴もサクッと解説していきます。

アーリントンCの舞台となる阪神の外回り1600mはディープインパクト産駒の好走率が高いことからもわかるように、バキューンとしなやかにキレる差し脚をもつ馬に有利なコース。

ただ、キレる脚をもつタイプは直線の長いこのコースだとどうしても人気になってしまいます。それなら、昨年の同レースを12人気で逃げ切ったイベリスのような馬をピックするのがベターでしょう。

 

ノルカソルカ 3歳牡馬

父:エピファネイア

母:ワイドロータス(母父ダンスインザダーク)

厩舎:藤岡健一(栗東)

生産:下河辺牧場

昨秋の新馬戦を2着と好走したものの、未勝利を脱出するのに4戦を要してしまいました。近3走はすべてC・ルメール騎手を鞍上に据えていることからも、陣営のこの馬に対する期待の高さが窺えます(非ノーザンファーム生産馬にC・ルメール騎手が継続騎乗するのは珍しい)。

前走の勝ちタイム1分34秒3(中京芝1600m)は、同日の古馬2勝クラスでマークされた1分33秒9とコンマ4秒差とあって、なかなかに高水準なタイムでした。前後半800mが47.3 - 47.0とやや後傾ラップなのは不満ですが、余力のある勝ちっぷりは評価できるものです。

 

血統

父エピファネイアは現3歳馬が初年度産駒となる新種牡馬。今年の桜花賞をデアリングタクトが制し、初年度からGⅠ馬を送り出す活躍を見せています。まずは、エピファネイア産駒の特徴をサクッと確認しておきましょう。

エピファネイア産駒の特徴

芝>ダート

父譲りのしなやかなフットワーク

揉まれ弱い(少頭数・外枠がベター)

2歳から活躍できるスピード

このなかでもっとも特徴的なのは、「揉まれ弱さ」でしょう。エピファネイア産駒の多くは外から他馬に被されるとやや怯むようなところがあり、好走のパターンは逃げるか4コーナーから直線にかけて大外に出すかの2択。これはデアリングタクトのデビューからの3戦を見ても明らかです。

種牡馬エピファネイアの好配合

母父キングカメハメハ

母系にSadler's Wells≒Nureyevを引く

母系にサンデーサイレンスを引く

次に、エピファネイア産駒における好配合のポイントを上にまとめてみました。

✳︎「母父キングカメハメハ」を1番手としたのは、この大種牡馬がNureyevの血を引くからです。そのため、母父がキングカメハメハの時点で、「母系にSadler's Wells≒Nureyevを引く」を満たします

「母父キングカメハメハ」は桜花賞馬デアリングタクトやチューリップ賞4着のイズジョーノキセキなどが当てはまり、今後「ニックス」と呼ばれる組み合わせとなるでしょう。

この配合のポイントはエピファネイアのもつSadler's WellsとキングカメハメハのもつNureyevがニアリークロスとなることです。これが名繁殖牝馬シーザリオの伝えるしなやかさをギュッと締める(パワーを付与する)役割を果たします。

デアリングタクトが重馬場を苦にせずにズドーンと弾ける脚を使えたのも、Sadler's Wells≒Nureyevのクロスが大きなパワーを与えているからです。

デアリングタクトは「サンデーサイレンス3×4 or 4×3以上のクロス」をもつ初めてのGⅠ馬となりました。これは今後、「大種牡馬サンデーサイレンスのクロス」の時代が到来することを予見させるものです。

エピファネイア産駒の特徴がかなり長くなってしまいましたが、ここからはノルカソルカの母系と本馬の配合について改めて解説します。

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3代母オールフォーロンドンは桜花賞2着のロンドンブリッジを産んだ繁殖牝馬。この牝系からはオークス馬ダイワエルシエーロ、中京記念を制したグレーターロンドン、曽孫に菊花賞馬キセキなどの活躍馬が多く出ています。

ノルカソルカは父エピファネイア×母父ダンスインザダークなので、サンデーサイレンス4×3のクロス。母系にSadler's WellsやNureyevをもたないものの、Northern Dancer系の大種牡馬ニジンスキーとDanzigを引くことで、シーザリオのしなやかさにしっかりとしたパワーを与えています。

✳︎デアリングタクトも母系にDanzigを引く

オールフォーロンドンの母系はマイラー的な資質を伝えるように、胴がそれほど長くはない同馬もピュアマイラーと言えるでしょう。

 

アーリントンCに向けて

最内枠に入ったことからも、ここは「逃げ」の手に出ることは間違いありません。スタートからのダッシュ力があまりないので、ポンとゲートを出られるかは大きなポイント。とにかく、好走するにはスタートを決められるかどうか……にかかっています。

母系に入るDanzigのパワーが表に出たフットワークから、エピファネイア産駒としては道悪もOKなタイプ。馬場コンディションの悪化によって、他馬が道中で仕掛けを待つようなら「幸チャンス!」が発動します。

この母系の活躍馬を見ても、ほとんどが直線の長いコースを得意としており、阪神の外回りは苦にしません。今回は「逃げイチ」だけに、ムダに人気が上がらなければチャンスでしょう。

 

予想

ノルカソルカについてはザックリと解説したので、ここからはアーリントンCを予想していきます。まずは、上位人気となる朝日杯FS出走馬について見ておきましょう。

 

朝日杯FSの上位馬について

昨年の朝日杯FSは1着のサリオスが1分33秒0の好タイムをマークしました。前後半800mが45.4 - 47.6と2.2秒の前傾ラップだったこと、サリオスを除く先行勢がすべて掲示板外になっていることを考えても、差し・追い込み有利なレースだったと言えます。

アーリントンCに出走する朝日杯FS出走組は以下の5頭。また、馬名の右の着順は朝日杯FSのものです。

トリプルエース:11着

ジュンライトボルト:6着

タイセイビジョン:2着

プリンスリターン:5着

グランレイ:3着

(内枠から降順)

青色でマークした3頭は、今年に入ってレースに出走しています。5着プリンスリターンはシンザン記念2着、ジュンライトボルトは1勝クラスのFウォーク賞を勝ち上がりとなかなかの好成績のように見えますが、3着グランレイがきさらぎ賞8着→平場の1勝クラス2着とイマイチ……。

サリオス以下の好走馬については「アーリントンCを高確率で好走できる!」と語気を強められるほどの根拠が不足しています。

 

上位人気馬をサクッと解説

それでは上位の人気に推されているタイセイビジョン、プリンスリターン、グランレイの3頭をサクッと解説しておきましょう。

 

タイセイビジョン

体型からは1400mベストのマイラー(1600mもOKのタイプ)。母がNorthern Dancer5×5・4の強いクロスをもち、本馬自身はNight Shift=ノーザンテースト3×4と、2歳の早くから動けるのはこれらのパワー体質によるものでしょう。

阪神コースであれば内回り1400m>外回りの1600mという適性からも、年が明けて他馬が成長してくるなかで、朝日杯FSのような好走を見せられるのかは……。血統と走法から道悪はOK。

 

プリンスリターン

父ストロングリターンらしい胴長のマイラー。これはおそらくNijinsky4×5の影響もあるのでしょう。Nijinskyのクロスがあるので、前走のシンザン記念2着はさもありなんな結果でした(✳︎)。阪神外回りに変わるのはそれほどプラスではないでしょう。

✳︎Nijinskyの血をもつ馬はは京都・外回りの下り坂をスムーズに走れることが多いため

原田和馬騎手が前走のように思い切った競馬をできるのかが最大のキーポイント。人気なら敬遠したいけれども。

 

グランレイ

母ミラクルベリーはファルブラヴの影響を受け継いだスプリンター。グランレイはNureyev×Fairy King5×3のクロスがあることから、ルーラーシップ産駒ながらもマイラーとしての資質を感じさせる1頭です。

ルーラーシップのNureyevを刺激した配合なので、ズドーンとしたストライドが最大の魅力。そのことからも阪神の外マイルの条件はベストでしょう。

血統的にも馬体的にも完成は遅めのタイプで、ここ2戦は「いかにも」な敗戦でした。良くなってくるのは夏が明けてからと思われるので、ここは素質でどこまで走れるかというところ。

 

買いたい馬は?

オッズを見ると、上位人気馬を積極的に買いたくはないので、ソコソコの人気馬をチェック!

すると、これは……と買いたくなる馬が1頭いました。

ジュンライトボルト

祖母が名牝エアグルーヴで、4分の3兄のグルーヴィットは中京記念の勝馬。阪神1600mもベストですし、血統と走法から馬場が渋ってもOK。藤井勘騎手だからかそれほど人気になっていないのは食指が動きます。

グランレイと似たパワフルなストライドで走るので、ノルカソルカが平均ペース以上で逃げるなら(上り3F33秒台のレースにしなければ)、好走のチャンスも十分です。

 

買い目

ノルカソルカ

ジュンライトボルト

この2頭を中心として馬券を組み立てるので、まずは1 - 5の馬連を。あとは雨とパドックを見て決めますが、この2頭からの3連複で。

 

馬連
1 - 5

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3連複の2頭軸流し

1. 5 →全通り

合計11点

✳︎オッズによっては3連単に変更する場合も。

11点でもオッズ的に十分の払い戻しが期待できますね。

 

まとめ

上位人気の馬が好走したら「仕方ない」とサッパリ諦められる11点を購入します。さて、みなさんのアーリントンCはどうなりましたか?

今からレースが楽しみですね。