GⅢアルテミスSは重馬場+東京コースがずんどば!なラッキーライラックに◎をーー予想

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2012年に新設された牝馬限定の重賞アルテミスS(GⅢ・東京芝1600m)は、2歳牝馬チャンピオンを決める阪神JF、そして来春のクラシックにつながる1戦。2012年2着アユサンと2014年2着レッツゴードンキはともに桜花賞を制し、2015年2着メジャーエンブレムは阪神JFとNHKマイルCに勝つなどGⅠ馬が続々と誕生している注目のレース。今年はどの牝馬がここからGⅠへと向かうのでしょうか。

 

東京競馬場の芝コース(馬場)は?

東京競馬場は台風21号の影響を受け、21日(土)と22日(日)の2日間ともに雨のなかでのレースとなりました。日曜日は153mmの雨量を計測し、「不良」まで悪化した芝は上り3Fが3秒以上遅くなるほど時計のかかるコンディション。

今週からBコースへ替わり、ラチ沿いの大きく傷んだ部分はカバーされるものの、どこまで芝が回復しているのかは注目です。

Bコース:Aコースよりも3m外に仮柵を設置

 

28日(土)も雨の予報

24日(火)に発生した台風22号は日本に向かって北上し、今週末は先週に続いて雨の予報が出ています。28日(土)の天気予報にも雨のマークが付いており、アルテミスSはその影響のなかでのレースとなりそうです。

22日は出走した各馬がラチ沿いを避け、馬場の真ん中よりも外へと進路を取るレースが目立っていました。28日も雨の降り出す時間によってはコース取りがレースの鍵をにぎる可能性があります。

 

アルテミスSの上位人気馬

アルテミスSの1〜4人気に押されるトーセンブレス、グランドピルエット、ウラヌスチャーム、ダノングレイスはともに新馬戦を快勝。1人気は中山芝1600mの新馬戦を後方から楽々と突き抜け、2着馬に0.3秒差をつけたトーセンブレス。鞍上にルメール騎手を確保したことからも、単勝オッズ2倍台の支持を集めそうです。ここでは上位人気の4頭を簡単に解説していきます。

 

トーセンブレス 2歳牝馬

父:ディープインパクト

母:ブルーミンバー(母父:ファルブラヴ)

厩舎:加藤征弘(美浦)

生産:社台ファーム

父ディープインパクト×母父ファルブラヴは桜花賞馬ハープスターや現1600万下ワントゥワンなどが出る組み合わせ。この配合は父のしなやかさを母父の欧州的なパワーが補う形となります。トーセンブレスは母ブルーミンバーがNorthern Dancer3×4・4のクロスをもつことから、2歳早期から動けるディープインパクト産駒と言えるでしょう。

手先の強い走りで、ディープインパクト産駒としては体質が硬め。稍重馬場の中山芝を捲り差したレースぶりからも、パワーのあるタイプです。全体的な完成度も高く、東京コースなら馬場は渋った方がベター。

 

アルテミスSに向けて

加藤征廐舎+ルメール騎手は好相性のコンビ。レースへの準備としては万全の態勢で臨みます。スタートをもっさりと出るので、今の馬場状態を考えると外枠はプラス。東京コースを素質でぶっこ抜けるのか……注目の1頭です。

 

グランドピルエット 2歳牝馬

父:ロードカナロア

母:ザレマ(母父:ダンスインザダーク)

廐舎:田村康仁(美浦)

生産:社台ファーム

母ザレマは京成杯AH(GⅢ・中山芝1600m)を勝ったパワーマイラー。繁殖牝馬としてはJRAに出走した4頭の内3頭が勝ち上がっています。

グランドピルエットはMr. Prospector4×5のクロスとNorthern Dancer6・6・5×5・6のクロスをもつことから、ロードカナロア産駒としては完成度が高く、父と母の競走能力をストレートに受け継ぎました。母よりも柔らかい動きをするので、東京コースでも大きな不安はないでしょう。

 

アルテミスSに向けて

父ロードカナロアから柔らかな体質を、母ザレマからパワーを受け継いだグランドピルエットにとって、東京芝1600mへのコース替わりはプラス。早い時期から高いパフォーマンスを発揮できる配合で、時計のかかる馬場も苦にしません。素質だけで重賞をぶっこ抜けるのかはわかりませんが、弱点の少ない1頭です。

 

ウラヌスチャーム 2歳牝馬

父:ルーラーシップ

母:アメジストリング(母父:フジキセキ)

厩舎:斉藤誠(美浦)

生産:ノーザンファーム

ルーラーシップは初年度産駒から菊花賞馬キセキを出し、血統表中にサンデーサイレンスの血を引かないことから、今後への期待が高まる種牡馬の1頭です。その産駒は父と同じく重厚なストライドで走るタイプが多く、ウラヌスチャームにもその特徴が伝わっています。ただ、母アメジストリングがHalo、Secretariat、Sir Ivorと北米の「柔らかさ」を伝える血を豊富にもつため、この馬は「しなやかさ」の勝ったストライド走法。

芝マイルの新馬戦は、スローで追走に脚を使わずに済んだため、中距離馬のウラヌスチャームにとって差しやすい展開になりました。本質的には1600mのレースは忙しく、2000m前後に向く中距離馬です。

 

アルテミスSに向けて

ルーラーシップ産駒の中距離馬なので、馬場は渋った方がベター。マイル戦で追走に脚を使う展開だと苦しくなるため、スローが希望。重馬場で時計がかかるレースになれば力を発揮できるのでしょうが、マイル戦でペースが流れるようだと不安が先行します。

 

ダノングレース 2歳牝馬

父:ディープインパクト

母:チェリーコレクト(母父:Oratorio)

厩舎:国枝栄(美浦)

生産:ノーザンファーム

母父Oratorioはデインヒル直仔で、エクリプスS(英GⅠ・芝2000m)と愛チャンピオンS(愛GⅠ・芝2000m)などを制しました。ディープインパクト×デインヒル系と言えば、マイルCSとNHKマイルCのGⅠ2勝馬ミッキーアイル(母父ロックオブジブラルタルがデインヒル直仔)がパッと思い浮かびます。ディープインパクトは母父にパワー系マイラーをもつ配合から多くの活躍馬を出していて、ダノングレースもこのタイプ。

「良」発表でもややタフな芝だった札幌の新馬戦は、コテコテの欧州血統が母系に入るダノングレースにとってプラスの馬場でした。直線、馬群を割って伸びる大人びたレースぶりで完勝したことからも、完成度も高いのでしょう。

 

アルテミスSに向けて

ダノングレースはミッキーアイルやフィエロに近いイメージの馬で、パワータイプのディープインパクト産駒です。しなやかにストライドが伸びる走りではないため、東京芝1600mだと時計のかかる馬場+スローペースがベター。

馬場が渋るのはOKですし、出走馬のなかでは弱点の少ない1頭です。蛯名騎手というのだけが不安点。

 

予想

土曜日はどの時点で雨が降り出すのかはわかりませんが、少なくともパンパンの「良」馬場で時計の速い決着にはならないと考え、パワータイプの馬をピックアップします。

 

◎ラッキーライラック 2歳牝馬

父:オルフェーヴル

母:ライラックスアンドレース(母父:Flower Alley)

廐舎:松永幹夫(栗東)

生産:ノーザンファーム

母ライラックアンドレースはミッキーアイルやアエロリットなどのGⅠ馬が出ている名牝ステラマドリッドに遡る牝系。その父Flower Alleyはトーセンラー=スピルバーグ(父ディープインパクト)全兄弟の半兄です。代々名牝系の種牡馬が重ねられており、母系は活力十分です。

新種牡馬オルフェーヴルはNorthern Dancerのクロスがうるさい繁殖牝馬との間に産まれた仔が2歳の早くから活躍を見せていますが、ラッキーライラックは母系の奥にNorthern Dancerが入るのが好印象。

 

新馬戦について

スローになった新馬戦は上り3F33.1でビュンと反応し、重厚なストライドで完勝。オルフェーヴル産駒としては脚が長く、見栄えのする好馬体のもち主です。イメージとしては今夏の札幌2歳Sを制したロックディスタウンに近く、このしなやかさは母系に入るMr. Prospector譲りでしょう。

 

アルテミスSに向けて

重厚なストライドで走るので、重馬場+東京コースはずんどばです。フットワークの大きさからも、スムーズに進路を確保できる外枠に入ったのはプラスで、ロックディスタウンに続くオルフェーヴル産駒の重賞制覇を期待します。

ノーザンファーム生産馬とあって、2ヶ月の休養明けはマイナスにはなりませんし、長距離輸送をこなせればチャンスは十分です。母系はパワーにあふれているので、馬場が渋ってもOK。

 

Point

ラッキーライラックは重厚なストライド走法なので、直線の長いコース+重馬場がずんどば!

 

その他の△候補として

重馬場を考えれば、△ダノングレース△グランドピルエットは有力。前者は蛯名騎手でなければ◯印をつけたくなるのですが、騎手の部分で評価を下げました。

人気のないところではコスモス賞で素質馬ステルヴィオの2着に入った△ミスマンマミーア、父ヴィクトワールピサ×母父ウォーエンブレムという字面以上に重厚なストライドで走る△スカーレットカラー、札幌2歳S4着でルーラーシップ産駒の△シスターフラッグを押さえます。

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ロードカナロア産駒のトロワゼトワルはしなやかな体質で、東京芝1600mはベストの舞台ですが、馬場が悪化したときにパワー不足の恐れがあるので無印に。

 

買い目

ダノングレースが2、3着に好走しそうなので、まずは◎の単勝を。後はオッズを見て◎から△への馬単を買います。

 

単勝

13

 

馬単

13 → 5. 11. 3. 9. 12

 

まとめ

雨が心配されるアルテミスSは、翌日に行われる天皇賞・秋の馬場コンディションを知る上でも大切なレースです。先週に続いて重馬場になるのかどうか……。また、芝は直線のどのコースが伸びるのかもしっかりとチェックしておきましょう。

皆さまにとっても素晴らしいレースになりますように。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。