K・ティータン騎手からの乗り替わりは好成績?ーーGⅡセントウルS('17年)のアドマイヤゴッドはどうなのか?

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香港で活躍するK…ティータン騎手は、2017年7月22日〜8月6日の3週間(全6日間)の日程で短期免許を取得し日本で騎乗しました。香港リーディング上位の実績をもつティータン騎手は大きな期待をかけられたものの、全成績は(5 - 0 - 4 - 31)と今ひとつ。

ところが、ティータン騎手から他の騎手へ乗り替わったときは(4 - 3 - 1 - 12)となかなかの好成績を上げています。このなかには先週の札幌2歳ステークスを2着と好走したファストアプローチ(蛯名騎手)も含まれ、「ティータン騎手からの乗り替わり」は重賞でも通用する結果となりました。

9月10日(日)、阪神競馬場のメインレースとして行われるGⅡセントウルSに、前走ティータン騎手が騎乗したアドマイヤゴッドが出走します。ティータン→北村友騎手の乗り替わりが大きなプラスとなるのか、注目の1戦です。

 

K・ティータン騎手からの乗り替わり成績

まずは、ティータン騎手の成績と乗り替わった馬の成績をふり返ってみましょう。以下はその成績をまとめた表です。

 

ティータン騎手の2017年7月22日〜8月6日の成績

日付 クラス 馬 名 着順 人気
7/22 2歳未勝利 ヒダルマ 3 3
3歳未勝利 ロージュシュクレ 8 10
3歳未勝利 ブラックヘルト 10 6
3歳未勝利 ヴェリタブル 7 2
3歳上500万下 アルマクレヨン 10 10
3歳上500万下 ストロングレヴィル 5 2
3歳上1000万下 アドマイヤゴッド 1 6
7/23 2歳新馬 ハッピーオーキッド 7 5
2歳GⅢ スズカマンサク 8 10
3歳上1000万下 シルヴァーコード 7 4
7/29 3歳未勝利 サトノヴィクトリー 4 6
3歳未勝利 アシャカリブラ 1 4
2歳新馬 マイウェイアムール 4 3
3歳未勝利 サウンドラブリー 5 2
3歳上500万下 レアドロップ 5 7
3歳上500万下 カープストリーマー 7 5
3歳上1000万下 アグリッパーバイオ 4 3
7/30 2歳未勝利 ビクトリーゲート 6 3
2歳新馬 カヴァロディーオ 4 5
3歳上500万下 ナンヨーアーミー 4 5
3歳上500万下 コスモレティクルム 5 7
3歳上1000万下 エグランティーナ 4 7
3歳上1000万下 レッドルモンド 9 10
8/5 3歳未勝利 メイショウソリッド 3 5
2歳新馬 アーヴァイン 4 1
3歳上500万下 ロードキング 4 3
3歳上500万下 トラキアンコード 6 6
3歳上OP プレストウィック 6 3
8/6 2歳未勝利 ファストアプローチ 1 2
3歳未勝利 ノヴァルーナ 3 3
3歳未勝利 タイキビージェイ 6 2
3歳未勝利 エレクトロニカ 1 1
2歳新馬 ラクロアクリスエス 8 9
3歳上500万下 ブランニューカップ 4 6
3歳上500万下 ゼロカラノキセキ 3 5
3歳上500万下 クーペオブジェミニ 7 7
3歳上500万下 エアワイバーン 4 5
3歳上1000万下 スウィフトレイド 1 2
3歳上OP アドマイヤゴッド 5 6
3歳上1000万下 オウケンブラック 7 4

ティータン騎手の全騎乗の平均着順は5.025、平均人気は4.875ですから、ほぼ人気通りに馬を走らせていることがわかります。7月22日(土)の騎乗で、同じ香港を代表するモレイラ騎手やパートン騎手と異なり「スーパー」ではないことがはっきりとしたティータン騎手。この3週間の騎乗ぶりは「可もなく不可もなし」というもの。そのため、ティータン騎手からJRAのリーディング上位騎手への乗り替わりはプラスです。それでは乗り替わりの成績を見てみましょう。

 

ティータン騎手からの乗り替わり

馬 名 馬 名 着順 人気
ヒダルマ 阿部龍 4 4
ロージュシュクレ 福永祐一 1 10
ヴェルタブル J・モレイラ 2 1
アルマクレヨン 菱田裕二 12 10
シルヴァーコード 丸山元気 6 6
サトノヴィクトリー J・モレイラ 1 2
アシャカリブラ 丸山元気 6 8
マイウェイアムール 坂井瑠星 10 6
サウンドラブリー 藤岡康太 3 2
レアドロップ 野中悠太郎 4 3
ナンヨーアーミー 藤岡祐介 6 5
コスモレティクルム 黛弘人 7 11
メイショウソリッド J・モレイラ 1 1
プレストウィック C・ルメール 1 1
ファストアプローチ 蛯名正義 2 4
ノヴァルーナ J・モレイラ 10 1
ラクロアクリスエス T・クウィリ 11 9
ブランニューカップ 内田博幸 4 5
ゼロカラノキセキ J・モレイラ 2 2
オウケンブラック K・マリヨン 9 8

ティータン騎手からの乗り替わりの成績は(4 - 3 - 1 - 12)。1着には赤色、2着には青色でマークしました。4勝の内2勝がモレイラ騎手、残りは福永騎手とルメール騎手でのもの。連対したのもモレイラ騎手と蛯名騎手ですから、リーディング上位の騎手への乗り替わりであれば大きなプラス。勝率、連対率、3着内率ともに大きく数字が上がっているのもポイントです。

 

GⅢセントウルSに出走するアドマイヤゴッドは?

セントウルSに出走するアドマイヤゴッドに騎乗する北村友一騎手は現在(9月3日終了時点)、全国リーディング13位と好成績を上げています。

今年は重賞を2勝。2勝はともにサマースプリントシリーズの函館スプリントS(ジューヌエコール)とCBC賞(シャイニングレイ)のもの。そのため、サマージョッキーシリーズの騎手部門で1位(29ポイント)。サマースプリントシリーズの最終戦となるセントウルSで好成績を上げれば、シリーズチャンピオンの可能性もあります。下の表は今年の北村友一騎手の成績です。比較するためにルメール騎手とデムーロ騎手の成績も併せて載せておきます。

 

北村友一騎手の成績

  (1着 - 2着 - 3着 - 着外) 勝率 連対率 3着内率
北村友一 (47 - 53 - 49 - 313) 0.102 0.216 0.323
C・ルメール (113 - 88 - 75 - 263) 0..210 0.373 0.512
M・デムーロ (112 - 71 - 59 - 219) 0.243 0.397 0.525

2人の外国人騎手と比較するとさすがに成績の差は歴然としていますが、全体の数字としては十分に上位騎手として胸を張れるものです。3着内率が3割を超えていて、この騎手の騎乗技術の高さを示しています。ティータン騎手からの乗り替わりは明らかにプラスでしょう。

 

アドマイヤゴッド 5歳牡馬

父:ハーツクライ

母:クレヴァリー(母父:Danzig)

厩舎:須貝尚介(栗東)

生産:ノーザンファーム

アドマイヤゴッドは洋芝、中京、阪神、中山とパワーの求められるコースで勝ち星を上げていることからも、母クレヴァリーのもつDanzigのパワーが強く出たスプリンター。

逃げ・先行決着になった前走のUHB賞(OP)は後方から頭の馬群をさばきながら脚を伸ばしての5着。セントウルSは重賞レースへの初出走となり、ここは今後への展望を拓くためにも大切な1戦となります。

 

セントウルSに向けての不安点

セントウルSに向けて、アドマイヤゴッドの不安点は2つ。

 

1. 時計の速い決着に対応できるか?

2. 逃げ・先行有利な馬場で後方からのレースは……

 

アドマイヤゴッドの芝1200mのもち時計は中京でマークした1分7秒9。0.5秒ほど時計を詰められればセントウルSでも好走できる計算で、できるかぎりインをロスなく立ち回れば、詰められないものではありません。

スタートをモサっと出るタイプなので、後方で脚をためるような展開だと秋の阪神開幕週で行われるセントウルSでは苦しくなります。セントウルSの馬場傾向については下の記事をご覧下さい。

阪神開幕週のGⅡセントウルSはインベタ馬場ーーフィドゥーシアが先行から押し切れるのか? - ずんどば競馬

 

好走のポイントは?

まずは内枠をゲットできるかどうかは大切なポイント。多少、スタートで遅れてもすぐにリカバリーできる枠であれば……。今年のセントウルSはピュアな逃げ馬が不在のため、スタート次第では「逃げ」の手も考えておきたいところです。

アドマイヤゴッドは父ハーツクライ×母父Danzigですから急坂のある阪神はOK。このパワーを活かすためにもできるだけ前々で流れに乗ってレースを進めたいですね。北村友一騎手はイン差しは巧みなので、逃げられないのであればインのポケットをしっかりと確保できればチャンスも。

 

まとめ

ティータン騎手から北村友一騎手への乗り替わりで、今走の期待値がグンと上昇したアドマイヤゴッド。初重賞挑戦、時計の速い阪神と乗り越えなければならないのは楽とは言えませんが、好走への期待をかけたい1頭です。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。