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GⅢ中京記念('17年)は「外差し」も「波乱」もない決着にーー回顧

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7月23日(日)に中京競馬場で行われたサマーマイルシリーズの開幕戦「GⅢ中京記念(芝1600m)」は、2番手からレースを進めたウインガニオン(5歳牡馬 西園正都厩舎)が直線で内ラチ沿いをスイスイと走り抜けて重賞初制覇を飾りました。2着には中団から馬場の真ん中を伸びたグランシルク(5歳牡馬 戸田博文厩舎)が内を突いたブラックムーン(5歳牡馬 西浦勝一厩舎)をアタマ差退けて入線。勝ちタイムは1分33秒2。

 

7月23日(日)の芝はインも伸びるコンディション

中京競馬場の芝コースは4コーナーからホームストレッチ(直線)にかけて内側が荒れていたことから、直線では多くの馬が馬場の真ん中へ進路を取るシーンが見かけられました。

22日(土)の10R長久手特別を勝ったワントゥワンは鞍上のM・デムーロ騎手がポッカリと空いた内をすくって差し切ったように、今週は直線で内を通った馬がソコソコに伸びていた馬場コンディション。

 

23日(日)は内ラチが伸びる馬場

中京記念の前に行われた9R渥美特別(3歳以上500万下芝2200m)は最内枠から逃げたラウレアブルームが内ラチ一杯を通って1着に入線し、直線でインを差してきたタガノシャルドネが2着に入りました。馬場の中よりも外を通った馬は伸びあぐね、インに進路を取った馬同士の決着。

中京記念も1着のウインガニオンと3着に入線したブラックムーンは内ラチ沿いを通った馬ですから、この日の馬場バイアスを読んでコース取りをした津村騎手とデムーロ騎手の判断は見事です。

 

中京競馬場の芝コースは外差しが有利?

2012年、中京コースがリニューアル・オープンをしたばかりの頃は路盤が柔らかく芝が重い(タフ)コンディションだったので、外差し有利の傾向が存在しました。リニューアルから年数が経つにつれてコースを支える路盤が締まり、ここ1、2年は露骨な外からの差し・追い込みが有利な馬場ではなくなっています。特に今年は春・夏の開催はレコードタイムが次々に更新されるほどに軽い馬場になっており、時計がかかってタフな芝→外差しが利くという図式は成り立っていません。

今開催の中京競馬場の芝は、速い時計の出る軽い馬場にもかかわらず外差しが決まるという不思議なコンディションだったため、レースでは「直線に向いて外へ進路を取る」という騎手心理が働くのも自然なことです。ここ2週間ほどは内ラチ沿いを避けて通る馬が多かったこともあって、最終週にインが復活したのでしょう。23日(日)はコースロスなく直線でインを突いた馬が好走しやすいコンディションだっと言えます。

 

1着:ウインガニオン 5歳牡馬

OP特別を2連勝した勢いそのままに初の重賞制覇となったウインガニオン。これまでは逃げないと力を発揮できない馬で、中京記念はトウショウピストにハナを叩かれる苦しい展開になったものの、鞍上の津村騎手が慌てずに内ラチ沿いの2番手でレースの流れに乗せると直線早々に後続を突き放しての押し切り勝ち。

ウインガニオンは6〜8月の成績は(7 - 0 - 0 - 1)、左回りの芝は(7 - 0 - 0 - 3)。気温が上昇する時期と左回りコースはこの馬にバッチリ合っているのでしょう。また、全成績が(7 - 0 - 1 - 13)と逃げ馬らしく勝つか負けるかがはっきりしている馬。今走はトウショウピストが内ラチを避けての離し逃げの展開にもち込んだことで、この馬としては揉まれずに2番手の追走になったことが好走の大きな要因になったと言えます。

 

▼中京記念のラップ

12.4 - 11.1 - 11.2 - 11.6 - 12.1 - 11.3 - 11.3 - 12.2(=1分33秒2)

前後半の800mのラップは46.3 - 46.9のイーブンペース。トウショウピストが離して逃げたことを考えると、2番手のウインガニオンの位置でも前半800mの通過は47秒フラットくらいのペースになっていて、この馬には理想的な流れになりました。

3〜4コーナーのところで逃げるトウショウピストに構わずにペースを引き上げた(青色でマーキングした12.1のところでウインガニオンは前との差をかなり詰めています)津村騎手の積極的な競馬は素晴らしく、11.3 - 11.3 - 12.2と4コーナーの出口から直線の坂できっちりと脚を使い切っての出し抜けはこの馬の力をフルに発揮させるもの。

もちろん、ブラックムーン以外は馬場の中よりも外へ進路を取ったことでコースロスがあったとは言え、このレース内容は完勝と言えるものです。今走は騎手の積極的な仕掛けにウインガニオンが見事に応えての勝利。3連勝はこの馬の充実ぶりを表すのに十分な内容で、サマーマイルシリーズへの展望が大きく拓ける1戦となりました。

 

2着:グランシルク

福永騎手らしい好スタートを決めると、いつもより前のポジションで流れに乗り、直線では馬場の真ん中をグイグイと伸びて内を突いたブラックムーンをアタマ差捕らえての2着。

父ステイゴールド×母父Dynaformer(Roberto直仔)のパワー型マイラーですから、グランシルクはやはり小回り・内回りをパワーで捲るのがベストで、イーブンペースの中京芝1600mだとどうしても最後で甘くなってしまいます。もう少しスローになればそれほどストライドが伸びないこの馬にとっては差しやすいのですが……札幌芝1500mの重賞があればスコーンと勝ってしまいそうなのに……。

ペースやコースを問わずにソコソコに好走できるのはこの馬の能力の高さを示していて、マイル戦であれば3連複の軸としては最適な馬です。

 

3着:ブラックムーン

M・デムーロ騎手は土曜日の10R長久手特別のワントゥワン、日曜日の7Rアロマドゥルセ、9R渥美特別のブラックカードと芝のレースではすべてインを突いての差し。前日の予想ではブラックムーンが大外枠から内ラチぴったりを回るのはさすがに……と思いましたが……。日曜日のデムーロ騎手のインにこだわったレース振りを観ていれば、この競馬をするのも予見はできました。

 

M・デムーロ騎手は馬場バイアスを考えて騎乗するタイプ

M・デムーロ騎手は馬場バイアスを考えて騎乗するタイプです。そのため、その週やその日のどのコースが伸びるのかはミルコのレースでのポジショニングを観ているとわかりやすく、参考になります。中京競馬場で言えば、GⅠ高松宮記念の週もミルコだけがインコースを盛んに突いていましたね……。

 

ブラックムーンはもう少しスローになれば……

ブラックムーンとしてはもう少し前半のペースが緩み、馬群が詰まったなかでのレースになればもうひと押しが利いたかもしれません。前半800mが47秒を切るようなペースだとどうしてもブラックムーンは後方で置かれ気味になるので、スタートしてすぐに内ラチ沿いに進路を取ったデムーロ騎手は最初からこのレースをする予定だったのでしょう。大外を回しての追い込みであれば、このペースと馬場では3着はなかったと思うので、これはミルコ騎手の好騎乗でした。

 

◎マイネルアウラート:16着

前半800mが47秒フラットくらいの入りで、4コーナーからウインガニオンがペースを引き上げたのもマイネルアウラートが好走するにはベストの展開になりました。4コーナー手前から馬場の真ん中へ進路を取って追い出されると、いつものしぶとい脚を発揮できずにずるずると後方へ下がってしまう競馬……。

休み明けで仕上がりが一息だったのか、暑い時期が合わないのか、とにかくこの馬がこれだけの大敗をするようなペースと相手関係ではありませんでしたから、能力や適性以外の部分での「何か」があったのでしょう。

 

◯スーサンジョイ:7着

和田騎手は見た目にボコボコとした芝をちょうど避けるコース取りで、直線一旦はウインガニオンに並びかける勢いを見せたのには痺れました。ストライドで走る馬なので直線の長い中京コースで伸び伸びと走れたのはスーサンジョイにとってはプラス。ただ、今回は力負けという内容でしたから、次走はダートなのか芝なのかローテーションが悩ましくなりましたね……。馬券代としては十分な7着なので、これは納得です。

GⅢ中京記念('17年)はマイネルアウラートの先行抜け出しに期待してーー予想 - ずんどば競馬

 

まとめ

GⅢ中京記念は難解なメンバーが揃った1戦となりましたが、終わってみれば1〜5着に入線した馬は順番は違っても1〜5番人気の支持を受けていました。「外差し」も「波乱」もなかった中京記念は夏のマイルのローカル重賞ということもあって、今後も傾向が少しずつ変わってくるレースになるのでしょう。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。