女性向けマンガに溺れてーーオススメの女性マンガベスト10!

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通勤電車に揺られながら週刊のマンガ誌を読む「習慣」は、30歳前半に訪れた「結婚」を機にアッサリと断ち切られたのでした。そうして、駅のキオスクで毎週木曜日に購入していた『モーニング』を手にすることはなくなり、自然とマンガそのものからも離れることになったのです。

結婚してからパタリと止めた趣味嗜好はマンガの他にもあって、競馬、NFL鑑賞、コムデギャルソンの服を買うことなどもその一つでした。「それら」は2人の新生活を迎えるためにキッパリと意識的に止めたというより、結婚のまつわるアレコレに追われて自然と離れることになったものです。

不思議なもので、スルッと無意識のうちに止めた趣味嗜好は、離婚をして独身になると自然と元に戻ってきました。結婚前と離婚後で変わった趣味は、服装がコムデギャルソンからユニクロになったこと、そして、読むマンガのジャンルが幅広くなったことです。

 

女性マンガを手にしたキッカケ

私が毎号欠かさずに読んでいた頃(2000年代前半)のモーニングは『バカボンド』、『カバチタレ!』、『ブラックジャックによろしく』、『ドラゴン桜』、『島耕作シリーズ』など多くのヒット作が掲載されていました。それらの作品のなかでもっとも愛読し、単行本まで購入したのは『プラネテス』、『ギャンブルレーサー』、『ひまわりっ〜健一レジェンド〜』の3タイトル。

その3作品のなかで、もっとも読み返しているのは、東村アキコ氏の描いた傑作『ひまわりっ〜健一レジェンド〜』です。『東京タラレバ娘』や『海月姫』などTVや映画化もされたヒット作を出した東村アキコ氏のマンガは、ジャンプ→マガジン・サンデー→モーニング・イブニングで育ったマンガ・ファンとして、その画と笑いのセンスが新鮮だったことを憶えています。

離婚した後はモーニングやイブニングなどの週刊誌ではなく、単行本を買う派へと変わり、東村アキコ氏の面白さに惹かれて「女性マンガ」を手にするようになりました。ここから、めくるめく「女性マンガの世界」に溺れていくことになるのです。

 

オススメの女性マンガベスト10

ここからは大人になった今こそ読みたい「女性マンガ」のオススメをランキング形式で紹介していきます。仕事や恋愛の悩みを抱えたすべての人の心に響く作品を集めました。気になった作品があれば、ぜひ手にとって読んでみて下さい!

 

10位:『Bread&Butter』芦原妃名子

ある生徒の嘘をキッカケに「教師」の職を辞することになった主人公の柚季は、アラサーとして「婚活」をスタート。そんな折に、「文房具店ながら本格的なパンを売っている」お店にふと立ち寄り、そこで洋一という不思議な男性に出会います。

結婚するなら、「美味しいご飯を一緒に食べたいと思える人」と考えていた柚木は、洋一の焼くパンと不思議な雰囲気に惹かれて、思わずプロポーズしてしまうのです。ここから、結婚を前提とした関係がスタートする2人……。それぞれの過去が少しずつわかっていくなかで、2人の恋愛関係も変化していきます。

30歳を越えた男女が織りなす恋愛模様は、2人の人間性、そして生活そのものに寄り添っており、この作品は「どのような生き方があるのか?」を考えさせられます。

 

9位:『午前3時の無法地帯』むねようこ

イラストレーターを目指す主人公のももこは、ひょんなことからパチンコ専門のデザイン会社に就職します。その会社はデザイン系にありがちな長時間労働+過酷な環境。ももこはそこに勤める人たちに支えられながら、仕事をすることの苦しさと楽しさを味わい、やがてある男性と恋に落ちることに。

労働基準監督署の査察が入ったら、1発でアウトとなる職場環境であっても、慣れてきてしまうと自然と仕事をこなすももこの姿に、「あー、わかるわー」と共感する社会人も多いはずです。読み終わった後は「仕事って辛いけど、もう少し頑張ってみようかな」と思える作品。

 

8位:『きょうは会社休みます』藤村真里

「彼氏いない歴=処女歴=年齢」というアラサーの花笑は、33歳の誕生日に大学生の「田之倉くん」と「初めての夜」を迎えます。そこからは花笑と田之倉くんの怒涛のラブストーリーが……。

アラサー女性と20歳ソコソコの男性との恋愛→結婚までのシンプルな話ながら、アレやコレやのエピソードを交えて描いた『きょうは会社休みます』はとても読みやすいのが特徴。仕事で疲れていてもスラスラと読めるので、社会人にオススメのマンガです。

 

7位:『青空エール』河原和音

甲子園でトランペットを吹く夢を叶えるために、吹奏楽の名門・白翔高等学校に入学した小野つばさ。高校生になるまで楽器を弾いた経験のないつばさは、名門校の吹奏楽部で多くの苦労をするものの、それを支えるのは同級生で野球部に入部した山田大介でした。

つばさと大介が入学初日に約束した「ともに甲子園に行くこと」を叶えるため、2人は努力に努力を重ねます。そして、高校3年生になって2人が手にしたものは……。

つばさと大介の恋愛模様だけではなく、仲間とひたむきに努力することがこれでもかと描かれる作品です。もう、高校生だった頃が遠い昔になった今となっては、「青春」が眩しすぎてついつい涙がこぼれてしまいます。つばさと大介、その他の登場人物は高校の3年間を通して身長が伸び、顔つきや髪形が変化するのがリアル。読者はこの作品を通して、自分とは異なる「高校生活」を生き直すことができるでしょう。

 

6位:『ちはやふる』末次由紀

「競技カルタ」の世界を描いた青春ど真ん中の『ちはやふる』は、社会人になって15年以上が経過した今こそ素直に感動できる作品。10代の若者が「青春」のすべてをかけてひとつのことに取り組む姿は、何よりも尊いものだと感じられます。

「熱血スポーツ漫画」としても「恋愛マンガ」としても読むことができ、30歳を越えた社会人にオススメの一冊です。このマンガを通して、もう2度と取り戻すことのできない「鮮やかな10代」の頃をふたたび味わうことができるでしょう。

映画化された『ちはやふる』の主題歌を歌うのはアイドルユニットのPerfume。この曲がまた素晴らしいので、そちらもぜひチェックして下さい。

 

5位:『砂時計』芦原妃名子

主人公の杏は両親の離婚を機に、東京から母の実家である島根に移り住みます。そして、母はそこで自ら命を落とすことに……。この母の死は杏に大きな影響を与え、恋愛においても影を落とします。

母同士が友達だった杏と大悟、名家「月島家」の兄妹の藤と椎香の4人の織りなす物語が作品の中心。12歳〜26歳までの4人の想いと成長を軸に、せつなく痛切な恋愛が描かれています。

単行本の1巻を読み始めると、グイグイと物語の世界に引き込まれて、あっという間にラストまでページをめくってしまいます。時間のあるときに一気に読んでしまいたい作品です。

 

4位:『海月姫』東村アキコ

TV・映画化されたことでも話題になった東村アキコ氏の代表作。男性漫画誌のモーニングに掲載されていた『ひまわりっ〜健一レジェンド〜』よりも、「オタク」にフューチャーした作品となっており、性別を問わずに楽しめるマンガです。

クラゲ・オタクの月海はイラストレーターを目指して上京し、昭和レトロの趣が漂う「天水館」に入館します。このアパートは男子禁制、オシャレ人間は敵、没頭できる趣味をもつ女子が暮らしており、月海にとってはかけがえのない場所です。

天水館の近くに住む大物政治家の次男・蔵之介はひょんなことから月海と知り合い、天水館に出入りすることに。男子禁制のアパートに蔵之介が入れたのは、趣味の「女装」によるもの。オシャレ人間である蔵之介は当初、天水館の住人(自称は「尼〜ず」)に拒絶されますが、次第に受け入れられるようになっていきます。そんななか、天水館の買収・立ち退きの話がもち上がり、月海、蔵之介、その兄の修、尼〜ずの面々が「反対」に立ち上がるのですが……。

月海の「クラゲをモチーフにした服」のデザインと恋愛模様、尼〜ずの披露する「オタク」の知識と笑いが混じり合った本作は東村アキコ・ワールド全開。年齢や性別を問わずに楽しむことができ、「泣いて笑える」名作と言えるでしょう。

 

3位:『ひまわりっ〜健一レジェンド〜』東村アキコ

モーニングに連載された作品。「女性向けマンガなのかは微妙なところですが、作風は『海月姫』に似ているので、ムリやりランクインさせました。

主人公の林アキコは美術大学を卒業後、父親の勤めているコールセンターに入社します。宮崎県が舞台ということ、アキコが会社勤めのかたわらマンガ家を目指すことなど、作者の半生が投影されたストーリーです。

ぶっ飛ぶほどにマイペースな父・健一と、会社勤めながらも懸命にマンガ家の道を目指すアキコ、その周りに集まるユニークな人々との掛け合いが中心のギャグ・マンガ。アキコの恋愛模様もストーリーのなかで欠かせない要素ではあるものの、メインは「マンガ」と「笑い」です。

私が女性向けマンガにはまるきっかけとなった作品で、とにかくオススメの一冊。

 

2位:『東京タラレバ娘』東村アキコ

独身のまま33歳を迎えた脚本家の倫子と、その同級生の香と小雪は、「恋や仕事」のグチをグダグダと語る「女子会(飲み会)」が大好物。

女子会での3人はあのときこうしてい「タラ」、ああしてい「レバ」と結婚や幸せについて語り合います。ワーワーと騒いでいるアラサー女子3人に向かって、「このタラレバ女が!」と言い放ったのが、モデル「KEY」として注目を集め始めている金髪の美青年でした。

大人だからこそ味わうさまざまな「仕事や恋愛」に振り回されながら、倫子は「幸せ」について考えていきます。年齢や性別を問わずに、日本に生きるすべての人に読んで欲しいオススメの一冊です。

 

1位:『かくかくしかじか』東村アキコ

作者・東村アキコ氏の半生を綴った名作。美術大学を受験するため、絵画教室に通うことになったアキコはそこで一生の恩師となる「先生」と出会う。スパルタな先生は、アキコに技術的な指導をするというよりも、とにかく「描け!」と言い続けます。

モラトリアムな大学時代から、マンガを描き始めた会社員時代、マンガ家として生活するようになるまで、先生にまつわる記憶と「描け!」という言葉に励まされるアキコ。やがて、先生が肺ガンを患っていることがわかり……。

東村アキコ氏の半生と「先生」との記憶を通して描かれるストーリーは、大人になった今だからこそ胸を打ちます。若かりしアキコの言動は、「あ〜、わかる……」と思うものばかりで、社会人になった自分を見つめ直したい人にもオススメの作品です。

 

偏ったランキング

ベスト10のなかに東村アキコ氏の作品が4作品もランクインしており、好みが偏っていることは否めません……。私はもともとモーニング民ということもあって、女性向けマンガへの入口となった東村アキコ氏には特別な想い入れがあるのです。

とは言え、『海月姫』、『東京タラレバ娘』、『かくかくしかじか』は掛け値なしにオススメの作品ですから、気になったらぜひ手にとって読んでみて下さい。

 

まとめ

女性向けマンガは仕事や恋愛で疲れてしまった「大人」にこそ読んで欲しいものばかり。フレッシュな気持ちで明日を迎えるためのサプリメントとして、お気に入りのマンガが見つかることを祈っています。

以上、お読みいただきありがとうございました。