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函館2歳S('17年)の注目馬5頭をズバっと解説ーーナンヨープランタンは好走できるのか?

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現2歳世代の初重賞となる「GⅢ函館2歳S」は、まだデビューして日が浅い2歳馬たちの争いとあって、現時点での完成度(早熟性)と豊なスピード能力を問われるのが特徴です。
今回の記事では上位人気が予想される4頭をピックアップして解説します。今年初めての2歳重賞ウィナーに輝くのはどの馬なのでしょうか?

 

上位人気に支持される馬は?

フルゲートの16頭が揃った今年の函館2歳Sは新馬戦勝ちの内容が評価され、ナンヨープランタン(2歳牡馬 松永幹夫厩舎)が1番人気の支持を受けることになりそうです。新馬戦でナンヨープランタンの2着だったカシアス(2歳牡馬 清水久詞厩舎)、新馬戦を1分9秒台の好タイムで勝ち上がったアリア(2歳牝馬 沖芳夫厩舎)などがそれに続くと予想されます。それでは、まずは上位の3頭を見ていきましょう!

 

ナンヨープランタン

父:ルーラーシップ

母:テキサスルビー(母父:スペシャルウィーク)

厩舎:松永幹夫(栗東)

生産牧場:ノーザンファーム

ナンヨープランタンはスペシャルウィーク産駒の母テキサスルビーに似て、細身の馬体をしています。2歳馬らしく後躯に非力さが残るので、もう少し踏ん張れるようになると道中の行き脚もつくようになりそうです。

 

新馬戦の内容

ナンヨープランタンのデビュー戦が行われた開幕週の函館は芝コースでレコードが連発するほどの高速馬場。同日のメインレース「函館スプリントS」で勝ったジューヌエコールがマークした1分6秒8は時計のかかる洋芝とは思えないほどのものでした。

函館芝はレコードの叩き売り!ーー函館スプリントS回顧 - ずんどば競馬

ナンヨープランタンは新馬戦で1分9秒8の好タイムをマークしましたが、同日の3歳以上500万下で1分7秒台の決着だったことから、勝ち時計としては標準と言えます。

好スタートから逃げ・先行馬を先に行かせて、3〜4コーナーの中間から岩田騎手が促して先行勢の直後まで押し上げると、直線は外を回って鋭く差し切りました。スピードに乗り切ったゴール前は岩田騎手が手綱を抑える余裕を見せるほどで、新馬戦としては上々の内容。

レースの前後半600mが34.7 - 35.1のほぼイーブンラップ。上り3Fが12.0 - 11.4 - 11.7と上り坂の3〜4コーナーにかけて緩みがあることがわかります。レース映像を観ると、ちょうど3コーナーのところでナンヨープランタンの前を走る馬がずるっと下がってきたのに合わせて岩田騎手が手綱を抑えていまい、スムーズな追走ができなかったことがわかります。ただ、4コーナーの手前で仕掛けられると素軽いコーナリングをしていたように、ルーラーシップ産駒としては器用さのあるタイプ。本質的にはスプリントはやや忙しいものの、2歳のこの時期であれば1200mという距離はそれほど苦にしない馬でしょう。

 

函館2歳Sに向けて

小回り向きの器用さと素軽さをもち合わせたナンヨープランタンにとっては函館の芝コースはそれほど苦にはならないはずです。函館芝1200mはスタートしてからすぐに上り坂があるため、強烈な前傾ラップにはなりにくいコース。本質的には1200mはやや忙しいナンヨープランタンは前半3Fが34秒を切るようなペースでの追走となると、新馬戦のような伸び脚を発揮できないおそれがあります。開幕週に較べて少しずつ時計がかかるようになってきた今の函館の芝ですから、そこまで前半のペースが速くならなければ……。

父ルーラーシップ×母父スペシャルウィークと血統的にはバリバリの中距離馬ですが、現時点では1200mも十分に対応が可能です。スタートからダッシュを利かせて前目のポジションを取れるかどうかはわからない(2戦目で行き脚がつくことも考えられます)ので、最内枠は願ったり叶ったり。後は岩田騎手が馬群を捌けるかどうか……。

 

カシアス

父:キンシャサノキセキ

母:ラブディラン(母父:ディラントーマス)

厩舎:清水久詞(栗東)

生産牧場:谷岡牧場

キンシャサノキセキは自身がそれほど強いクロスをもたないため、母系の良さを引き出すタイプの種牡馬で、カシアスも母ラブディランのもつDanzigクロスらしいパワー型のピッチ走法です。

ストライドがグイグイと伸びる馬ではないので、いかにも内回り・小回り向きのパワースプリンターという走りに特徴があります。母がDanzigのクロスをもっていることからも洋芝向きで、少し時計のかかるようになってきた今の函館もプラス。

 

前走(未勝利戦)の内容。

大外枠からすんなりとハナを奪った新馬戦は、ゴール前でナンヨープランタンに交わされて2着に敗退しました。その後中1週で出走した未勝利戦は道中インのポケットで我慢をすると、直線に向いてからもち前の回転の速い脚捌きでスッと抜け出しての快勝。開幕週よりも時計ひとつほど遅くなった馬場コンディションのなかで1分9秒4と新馬戦よりも時計を詰めたのは優秀で、いかにもパワー・スプリンターらしいレースぶりでした。

 

未勝利戦のラップ

12.2 - 10.7 - 11.5 - 11.8 - 11.8 - 11.4

ほぼ緩みのない一貫したペースで、前後半の600mが34.4 - 35.0のイーブン。カシアスは直線の半ばで抜け出してからはほぼ追うところがなかったことから、もう少しタイムは詰められるはずです。

先にも述べたように前進するパワーに優れたピッチ走法のスプリンターなので、新馬戦よりも緩みの少なかった未勝利戦のペースが合っています。ラストの2Fが11.8 - 11.4と加速しているのは一瞬のギアチェンジとコーナーでスピードを落とさずに回れる器用さによるもので、いかにもピッチ走法らしい数字だと言えます。

 

函館2歳Sに向けて

新馬戦でナンヨープランタンに負けたことで、浜中騎手はカシアスの長所を知ることができたのではないかと思います。

 

長所

コーナーでスピードを落とさずに走れる

一瞬でトップスピードに乗れる

全体のペースが上がっても脚を使える

トップスピードに乗ってからはストライドがグイグイと伸びるタイプではないので、いかにバテずにゴールまで走り抜けられるかが鍵になります。未勝利戦の内容を観ると、全体のペースが上がっても脚は使えるので、34秒前半くらいのペースで流れに乗れるとチャンスも出てきそうですね。

 

アリア

父:ダイワメジャー

母:ラプターセイハート(母父:トワイニング)

厩舎:沖芳夫(栗東)

生産牧場:社台コーポレーション白老ファーム

ダイワメジャー産駒らしく前躯にしっかりと筋肉がついていて、牝馬としては丸みのある好馬体を誇っています。新馬戦の内容を観てもスパッとキレるというよりはパワーでグイグイと前進していくタイプで、時計のかかりだした現在の函館の芝コースは合うはずです。

スプリンターというよりはマイラーの体型ですが、2歳のこの時期であれば1200mという距離がマイナスになることはありません。

 

新馬戦の内容

好スタートから丸山騎手が少し促して外目の3番手で流れに乗ります。3〜4コーナーで鞍上の手が動き出して追っ付けながら直線へ。逃げるダンツクレイオーとの差をジリジリと詰め、ゴール前でクビだけ捕らえての勝利。前後半の600mが34.6 - 35.1のイーブンペースで、スピードに乗ってからはバテずに我慢しての差し切り勝ちですから、キレ味に欠けるダイワメジャー産駒らしい勝ち方だったと言えます。

重心が沈んで推進力のフォームは好印象で、パワータイプのダイワメジャー産駒としては身体全体を使ってしなやかな走りをする馬。距離はマイルあたりがベストと言えるでしょう。

 

函館2歳Sに向けて

新馬戦の走りを観ていると、母系に入るVaguely Nobleの影響か外からかぶされると走る気力を削がれるタイプのように見え、逃げ馬のダンツクレイオーよりも内枠に入ってしまったのは不安材料。スタートはソコソコ出る馬なので、丸山騎手がどこまでポジションを上げるのかに注目です。

フルゲート16頭でのレースですから3〜4コーナーでペースがガクンとペースが落ちることは考えにくく、少なくともアリアの走った新馬戦のような流れであれば、この馬のバテない強味は発揮できます。まだフワフワとした走りで、新馬戦もギアがグっと上がる感じはありませんでしたが、2戦目でその変わり身があるのかに期待したい1頭です。

 

その他の人気上位馬について

上記の3頭に続く人気はどの馬になるのかは難しいところですね……。新種牡馬ロードカナロア産駒のスズカマンサクについては先日に記事にしたので、よければそちらをご参照下さい。

函館2歳Sに出走するロードカナロ産駒のスズカマンサクは重賞で好走できるのか? - ずんどば競馬

どれほどの人気になるのかはわからないものの、ここではもう1頭気になる馬をピックアップしておきます。

 

デルマキセキ 2歳牝馬

父:スキャットダディ

母:Tashawak(母父:Night Shift)

厩舎:友道康夫(栗東)

生産:アメリカ

父スキャットダディは日本でも馴染みのあるヨハネスブルグ直仔で、アメリカで繁養されていながらヨーロッパの芝でも好走馬を出しています。産駒は血統の字面以上にしなやかな走りを見せるのが特徴です。母父のナイトシフトは日本で大成功を上げたノーザンテーストと血統構成が類似している良血馬。ノーザンテーストはパワーとピッチ走法を伝える種牡馬ですから、小回り+函館の洋芝は適性としてずんどばな舞台です。

Night Shiftの血統表 | 競走馬データ - netkeiba.com

ノーザンテーストの血統表 | 競走馬データ - netkeiba.com

 

新馬戦の内容

好スタートから騎手が促して2、3番手の外目をスムーズな追走。脚が短く前躯をかき込んで走るのはいかにもNight Shit=ノーザンテーストらしさが出ています。デルマキセキは回転の速いピッチ走法でコーナーにおける加速もスムーズ、もち前のパワーで直線をジリジリと粘り込んで勝ち上がりました。勝ちタイムの1分10秒4は平凡なものですが、いかにもこの舞台が合った走りと気性的な問題がないことは好印象。

 

函館2歳Sに向けて

友道厩舎が2歳のこの時期に重賞に挑戦させるということは、それだけデルマキセキの完成度は高いのでしょう。調教師としてもこの時期に稼げるだけ稼いでおきたい1頭なのでは……という早熟な配合。

デルマキセキの血統表 | 競走馬データ - netkeiba.com

気性的に馬群に揉まれたときの不安は残りますが、ピッチで抜け出す馬なので今回の内枠は大きくプラスです。函館芝1200mの舞台はずんどばですから、重賞でソコソコに好走しても驚けません。

 

まとめ

今年の函館2歳Sは早熟性と豊かなスピードでガンガンと押すタイプがそれほど見当たらないのが面白く、ペースが速くなるのか遅くなるのかに注目が集まります。また、新種牡馬のロードカナロアを父にもつスズカマンサクの重賞での走りも楽しみですね。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。