2歳女王を決める阪神JF（GⅠ・阪神芝1600m）は来年のクラシックを占う上で大切な1戦です。ここ5年の1〜3着馬を見ても、ラッキーライラック、リリーノーブル、ソウルスターリング、リスグラシュー、レーヌミノル、レッツゴードンキ、レッドリヴェール、ハープスターなどが3歳クラシックで連対を果たしています。
阪神芝1600m外回りは脚質の有利・不利が少なく、各馬が能力を出し切りやすいコース。そのため、阪神JFはクラシック級の馬が「素質や器」だけでぶっこ抜いてしまうレースでもあります。今年の出走馬のなかにソウルスターリングやハープスター級の馬はいるのでしょうか？
クラシック級の馬は？
今年の阪神JFに出走する18頭のなかで、ソウルスターリングやハープスター級の「好素材」と呼べるのはアルテミスSを快勝した良血馬のシェーングランツくらい……。ただ、この馬は半姉ソウルスターリングよりも長手の馬体をしており、マイル適性に疑問が残ります。
シェーングランツ以外の上位人気馬、ダノンファンタジー、クロノジェネシス、ビーチサンバについては週中の記事で「クラシック級なのか？」について書いているので、よければ以下をご覧下さい。
高配当の目もある？
阪神JFはクラシック級の馬たちがバチコーンと好走してしまうので、もともと高配当の期待できないレースです。過去10年の1〜3着馬30頭の内、2桁人気の馬はわずか3頭しかいません。また、現在の外回りコースとなった2006年以降、3連単が10万円を超えたのは1回のみですから、平穏な決着の多いレースと言えるでしょう。
2桁人気馬が好走するときは？
過去10年において2桁人気で好走した3頭をチェックしておきましょう。
▼阪神JF・2桁人気の好走馬
・2015年
2着：ウインファビュラス（10人気）
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・2012年
2着：クロフネサプライズ（15人気）
3着：レッドセシリア（10人気）
水色でマークした2頭はともに非社台系ファームの生産馬です。社台FやノーザンFの生産馬はどうしても人気になりますから、高配当を狙うならウインファビュラスやクロフネサプライズのような馬を探すのがベターでしょう。
✳︎レッドセシリアはノーザンファーム生産馬
阪神JFは社台系ファームの運動会
阪神JFは来春のクラシックを展望する馬が集まることから、社台FやノーザンFなどの日本を代表する馬産グループの生産馬が強いレースです。過去10年において、ノーザンファーム生産馬が7勝、社台ファーム生産馬が2勝。この数字を見てしまうと、「社台系ファームの運動会」と揶揄されるのもわかります。
今年の社台系ファーム生産馬は？
今年の阪神JFに出走馬のなかで、社台系ファーム生産馬は11頭です。
▼ノーザンファーム
ジョディー
クロノジェネシス
ビーチサンバ
ダノンファンタジー
グレイシア
トロシュナ
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▼社台ファーム
ベルスール
プールヴィル
シェーングランツ
レッドアネモス
サヴォワールエメ
（内枠から降順）
過半数を占めていることに加え、上位人気に推される馬も社台系ファーム生産馬ばかりですから、例年通りの決着になることも……。
ただひとつはっきりしていることは、社台系ファーム生産馬はそもそも人気になりますし、これらの馬を「ああでもない、こうでもない」と考察していても高配当は得られないということ。
先にも述べたように、「高配当を狙うなら非社台系ファーム生産馬」をいかに選ぶかなので、社台系ファームの馬の「上げ下げ」をするのは非効率的と言えるでしょう。
予想
社台系ファーム生産馬をアレコレ考察していても高配当にならないので、ここは思い切って非社台系ファーム生産馬の7頭から軸を選びます。ポイントは以下の点です。
・1〜3着内に入るのは1 or 2頭？
非社台系ファーム生産馬が3着内に入るのが1頭なのか2頭なのか、ここが馬券のポイントになります。
社台系ファーム生産馬が過半数の11頭を占めること、2006年以降（コース改修後）で最高配当となった2012年でも非社台系ファーム生産馬は1頭しか馬券内に入っていないので、ここは1頭をピックするのが無難でしょうか……。
非社台系ファーム生産馬
それでは7頭の非社台系ファーム生産馬をチェックしましょう。
メイショウショウブ
スタークォーツ
ウインゼノビア
ラブミーファイン
タニノミッション
ローゼンクリーガー
メイショウケイメイ
（内枠から降順）
2015年2着のウインファビュラス（10人気）と似たローテーションを歩むウインゼノビア、2012年2着のクロフネサプライズと似た戦績（1200〜1400mに出走）のスタークォーツとローゼンクリーガーとメイショウケイメイ、これらの4頭が軸の候補となります。
ウインゼノビアの2着付け
上記の4頭のなかではマイルのアルテミスSを先行して4着に粘ったウインゼノビアを2着にマークする馬券がもっとも無難でしょう。この馬のすぐ内に「逃げ候補」のメイショウショウブとスタークォーツの2頭がいるのは大きなプラスで、この枠の並びならスムーズに好位から競馬ができます。
ウインゼノビア 2歳牝馬
父：スクリーンヒーロー
母：ゴシップクイーン（母父フレンチデピュティ）
厩舎：青木孝文（美浦）
生産：村本牧場
騎手：松若風馬
母ゴシップクイーンはVice Regent≒ノーザンテースト3×2、Bold Ruler4×4と強いクロスをもつ繁殖牝馬で、そこにダイナフェアリーの影響を強く伝えるスクリーンヒーローが配されたのがウインゼノビアです。
ウインゼノビア自身はVice Regent≒ノーザンテーストの血を執拗にクロスしているため、パワーと器用さに優れた先行馬となりました。ズドーンとキレる脚はないので、Hyperionのスタミナとパワーでゴリゴリと粘るタイプ。
阪神1600m外回りコースはベストではないものの、前半がスローになるならもち前のパワーと俊敏な脚さばきで馬群から抜け出せます。前走のアルテミスSからも良い脚は少ししか使えないので、好走するためには乗り方がポイントとなるでしょう。
不安点は？
レースへの調整という点でGⅠ実績のない青木孝文厩舎は不安も、この人気なら目をつむってもOK。松若風馬騎手なので先行して粘り込むレースをするのでしょうが、上手くスローペースになればチャンスも……。阪神の外回りがベストとは言えない配合なので、その点もマイナスです。
1着は？
2006年以降の阪神JFを勝った社台系ファーム生産はすべて5人気以内です。そのため、上位人気に推されるダノンファンタジー、シェーングランツ、クロノジェネシス、ビーチサンバ、レッドアネモスの5頭＋グレイシアを1着にマークしておけば万全でしょう。
先にも述べたように、上位人気に推される社台系ファーム生産馬の上げ下げを検討するなら、その他のレースにリソースを割くのがベターです。
3着候補は？
ここは迷いますね……。3連単の高配当を狙うなら社台系ファームの下位人気になる馬たちを抑えるのがベストですね。候補は以下の6頭。
ジョディー
グレイシア
トロシュナ
ベルスール
プールヴィル
サヴォワールエメ
1着を絞れるならすべてに流してもOK。下げるとすれば、GⅠ実績のない大竹正博厩舎のトロシュナでしょうか。1着に4頭をマークする3連単だとこれだけで24点なので、後は資金との相談となります。
買い目
ウインゼノビア2着付けの馬単と3連単を買います。ダノンファンタジー、シェーグランツからの馬単は安くなるので、この2頭が1着になるものは3連単のみで。
馬単
1着：9. 11. 12. 16
2着：7
3連単
1着：4. 13. 11
2着：7
3着：1. 2. 3. 14. 16
ビーチサンバを3連単の1着にマークしたのは、ノーザンファーム生産馬のなかでもっとも勝つ可能性の高い1頭だから。先にも述べたようにトロシュナはイマイチ大竹正博厩舎が信用できないので消します。
合計19点。これなら少ない買い目で高配当も期待できるでしょう。
まとめ
阪神JFはもともと高配当の可能性が少ないレースです。社台系ファーム生産馬の上げ下げをしっかりとできるなら当たりやすいレースとは言え、それだと高配当は望めません。
今回は人気薄馬の非社台系生産馬が2着に好走すると決め打ちして馬券を組み立てます。ウインゼノビアが2着になることを期待して……。
皆さまにとっても素晴らしいレースとなりますように。
以上、お読みいただきありがとうございました。
