アイビスサマーダッシュ(2018年)のポイントは54秒台前半で走れるかのタイムレース!ーー注目馬を含めた展望

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JRAは7月28日(土)から札幌、新潟、小倉へと開催が替わり、いよいよ夏競馬も本番を迎えます。開幕週の新潟メインを飾るのは直線1000mの重賞「アイビスサマーダッシュ(GⅢ)」。今回の記事は、JRAの芝レースのなかで最短距離の重賞を展望していきます。

 

直線1000mの重賞はタイムレース

「JRAで唯一の直線1000mの重賞」というだけあって、スピードを競うアイビスサマーダッシュはタイムレースになることが多く、過去10年の平均勝ちタイムは54.32秒。また、過去5年の勝ちタイムと1着馬の上り3Fを見てみると、ほぼ同じ時計の決着になっていることがわかります。

アイビスサマーダッシュの過去5年

2017年

1着馬:ラインミーティア7歳牡馬

勝ちタイム:54.2

上り3F:31.6

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2016年

1着馬:ベルカント5歳牝馬

勝ちタイム:54.1

上り3F:31.7

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2015年

1着馬:ベルカント4歳牝馬

勝ちタイム:54.1

上り:31.9

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2014年

1着馬:セイコーライコウ7歳牡馬

勝ちタイム:54.3

上り3F:31.9

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2013年

1着馬:ハクサンムーン4歳牡馬

勝ちタイム:54.2

上り3F:31.9

2013年の夏以降、開催前にエアレーションを2回実施するようになってから、アイビスサマーダッシュの勝ちタイムと上り3Fは毎年ほとんど変わりません。このレースはタイムが一定になりやすいのですが、ここまで差が少ないと「いかにペースを守って走れるのか」が問われることになります。

 

ダッシュ力だけでは乗り切れない

直線1000mという舞台だけあって、「ダッシュ力」を問われるのがアイビスサマーダッシュの大きな特徴。ただ、スタートからガンガン飛ばせばOKというわけではありません。上にも書いたように、勝ち馬の上り3Fから計算すると前半の2Fは22秒台前半で入るのが理想です。

過去5年・1着馬の前半2F

2017年:22.8

2016年:22.4

2015年:22.2

2014年:22.4

2013年:22.3

昨年はフィドゥーシアが前半2F21.8のペースで飛ばしたため、ラインミーティアの「差し」が決まったものの、それ以外の勝ち馬は前半22.2〜22.4のタイムで走っています。ダッシュが利き過ぎるとゴール前で止まってしまうので注意が必要です。

 

直線のアップダウンもキーポイント

新潟競馬場の直線1000mはスタートから上り坂のあるコース。「上り→下り→上り→下り」とアップダウンがあることもガンガン飛ばすだけの馬が残れない要因となっています。ゴールまで800mから600mの区間は下り坂になっていて、どうしてもスピードが出てしまうのですが、ここでしっかりとペースを守らないとラストがバタバタになることも。スタートしてひとつ目の上り下り(2F)をどのようなペースで走れるのか、ここは馬だけではなく騎手の手腕も問われるところです。

 

枠と斤量と年齢の有利不利

新潟1000mは予想をする上で欠かせないポイントが3つあります。もうすでに多くの競馬ファンにとってはよく知られていることとは言え、もう一度おさらいしておきましょう。

枠順

斤量

年齢

 

1. 外枠は有利?

新潟の直線1000mのレースを観たことがあればすぐにわかるように、ほとんどの騎手と馬は外ラチに向かって進路を取ります。外枠のスタートが有利なのは外ラチに向かうまでの距離ロスが少ないから。この傾向は多くの競馬ファンにとって広く知られているので、外枠に入った馬が上位の人気を集めるのもこのレースの特徴です。

ただし、内枠の馬もしっかりとペースを守って走ることができれば好走することが十分に可能です。そのため、内枠だからと言ってバッサリと切ることはオススメしません。とは言え、ダッシュ自慢が集まるレースですから、外枠が有利であるのは間違いのないところでしょう。

 

2. 斤量

斤量は軽い馬が有利で、重い馬は不利になります。過去10で57kg以上の斤量を背負って3着以内に入ったのは'08年なシンボリグラン(2着)のみ。新潟の直線1000mは減量騎手が騎乗している馬や牝馬、3歳馬など斤量面での恩恵を受ける馬の活躍が目立つのも、究極のスピード勝負においては重量の差がレースに大きな影響を与えるからです。このレースは「牝馬が強い」というよりも「斤量の軽い馬」が有利と言えます。

 

3. 高齢馬は割引?

一般的に高齢になるにつれて衰えるのはスピード能力と言われます。究極のスピード勝負となるアイビスサマーダッシュですから、加齢によるスピード能力の衰えはチェックをしておきましょう。加齢とともに近走のダッシュ力が鈍くなっているような馬には注意が必要です。

2018年ラインミーティア、14年セイコーライコウが7歳にして1着となっているように、高齢馬がまったく走れないというわけではありません。上り3Fを30秒台で走るのはムリがありますから、少なくとも前半2Fを22秒台で走るダッシュ力は必要となります。高齢馬はその点をチェックしてみるのがベターです。

 

今年の上位人気馬について

アイビスサマーダッシュのおおまかな特徴をつかんだところで、今年の人気上位馬について見ていきましょう。1〜5人気に推されているのは以下の5頭です。

ダイメイプリンセス

ラブカンプー

レジーナフォルテ

レッドラウダ

カラクレナイ

 

ダイメイプリンセス 5歳牝馬

新潟1000mは2戦2勝。2走前のOP韋駄天Sは勝ちタイムが54.9ですから、もう少しだけタイムを詰められればアイビスサマーダッシュで好勝負になります。

韋駄天Sの行われた5月開催は野芝がびっしりと生え揃う夏開催よりもタイムが遅くなる傾向があるため、時計の短縮も可能でしょう。ただ、その時よりも1kg斤量が重くなるため、その点がキーポイント。

前走のCBC賞で重賞を経験し、得意の距離とコースで重賞初制覇となるのかに注目です。

 

ラブカンプー 3歳牝馬

M・デムーロ騎手は新潟の外回りコース、そして直線1000mを大の得意としています。これは馬を瞬時に加速させる技術に長けているから。ラブカンプーはミルコ騎手が乗るというだけで大きなプラスです。

この馬は500万下のかささぎ賞(小倉芝1200m)とGⅡフィリーズレビュー(阪神芝1400m)で、前半2F22.6のダッシュ力を見せていることから、スピード負けの不安ありません。

不安があるとすれば馬体重。もともとアイビスサマーダッシュは馬格の大きな馬が活躍するレースですから、420kg台のこの馬はそこがネックになります。ただ、3歳牝馬は斤量的に恵まれているため、その点をクリアできれば好走も……。

 

レジーナフォルテ 4歳牝馬

昨年のアイビスサマーダッシュ3着馬。そのときの走破タイムは54.4(斤量51.0kg)ですから、今年も好走する可能性があります。不安は昨年よりも3kg増える斤量。

2015と16年に連覇したベルカントの斤量は54.0kg→55.0kgと1kgの増加で、走破タイムは54.1と変わりませんでした。レジーナフォルテは3kg増となるだけに、昨年よりもタイムを落とさずに走れるのかがポイントです。

 

レッドラウダ 5歳牡馬

この馬の直線1000mにおけるベストタイムは、16年邁進特別でマークした54.2秒(✳︎)。そのときの斤量が55.0kgですから、56.0kgを背負う今回はどれだけタイムを落とさずに走れるかが鍵になります。

戦績としても昨年よりも格段にパワーアップしている印象はないので、後はメンバーと勝ちタイム次第と言えるでしょう。直線1000mは得意なコースですから、もう一押しが利くなら馬券圏内もあるかもしれませんね。

✳︎記事を読んでくれた人から間違いを指摘していただき、正しく訂正致しました

 

カラクレナイ 4歳牝馬

昨年のフィリーズレビューを制し、桜花賞4着の素質馬。このところは苦しいレースが続いているものの、スピードそのものはある馬ですから変わり身を期待したいですね。

不安は前半のダッシュ力。マイルでも後方からレースを進める馬で、前半2Fを22秒台で走ることができるのか……。また、できたとしても後半3Fで脚を残せるのかが……。

直線1000mを得意としている馬は坂路を50秒ソコソコのタイムで走るのですが、カラクレナイは速くても53秒台なので、このコースへの適性に不安が残ります。

 

注目馬は?

上位人気の馬はラブカンプーを除いて54秒台前半で走破できるのかに不安があるので、他馬にも付け入るチャンスはありそうですね。個人的に注目しているのは以下の3頭。

アクティブミノル

ペイシャフェリシタ

ラインスピリット

アクティブミノルとラインスピリットは昨年のこのレースで4着、6着。走破タイムも54秒台をマークしていますから、紛れがあるなら馬券圏内の可能性も……。ラインスピリットは昨年よりも斤量が増えるのと長距離輸送が苦手な馬だけに、そこをクリアできれば。

ペイシャフェリシタは前走のCBC賞を15着と大敗したものの、ハイペースのなか「出遅れ+外から押し上げて先行」という不利のダブルパンチでしたから、これはノーカウントでOK。2走前の春雷S(1着)では前半3F32.8をマークしており、直線1000mにも大きな不安はありません。

 

まとめ

アイビスサマーダッシュは前半2F22秒前半→後半3F31秒後半で走れる馬を探すレース。今年はどの馬が好走するのか、週末のレースが楽しみです。

以上、お読みいただきありがとうございました。