池江泰寿厩舎はダービー(2017年)に3頭がスタンバイ!ーー主役はどの馬に?!

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2017年、牡馬クラシック1冠目の皐月賞は1:57.8のレースレコードでアルアインが1着、ペルシアンナイトが2着に入線し、「池江寿丼」という結果になりました。

池江寿厩舎はきさらぎ賞と毎日杯でともに2着に入線したサトノアーサーもダービーに直行することが決まっています。混戦と言われた牡馬クラシック戦線において、きっちりと複数頭の馬をダービーに出走させる池江調教師の手腕はさすがの一言。しかもその3頭が本番で上位の人気に支持されそうなこともあり、2017年は「池江寿厩舎のダービー」と呼ばれる1戦になるかもしれません。

今回の記事では、ダービーに向かう3頭の解説とレースでの厩舎戦略について書いていきます。

 

ダービーに出走予定の3頭

池江寿厩舎所属するダービー出走予定馬は現時点(皐月賞終了時)では3頭。

 

アルアイン

5戦4勝でGⅠ皐月賞を制覇し、池江寿厩舎の3歳世代を引っ張る存在になりました。

2歳時の10月、京都の新馬戦でR・ムーア騎手を背に勝利したものの、父ディープインパクト×母ドバイマジェスティというぴかぴかの良血馬としては地味な内容。千両賞を1番人気できっちりと勝ち、迎えた年明け初戦のGⅢシンザン記念は、極端な重馬場と直線での不利がこたえて6着に敗れました。

池江寿調教師としても、この敗戦の後どのようなローテーションを組むのかは迷ったと思います。マイル路線を歩むのか、クラシックへ向かうのか……。結果としてアルアインはNHKマイルCも皐月賞も視野に入れられるGⅢ毎日杯(阪神芝1800m)に出走します。

毎日杯は2番手追走から持続力のある末脚を発揮したアルアインが、単勝1倍台に支持されたサトノアーサーの追撃を振り切って重賞初制覇。この走りから池江寿調教師も皐月賞へGOサインを出しました。

新馬戦→千両賞→シンザン記念までのアルアインの走りはインパクトに欠けるもので、ぴかぴかの良血馬ということからも「人気先行型」なのかなという印象でした。それを覆したのは毎日杯と皐月賞での高いパフォーマンス。この馬は5月の遅生まれのため、春のクラシックには成長が間に合わないのではないかとも思いましたが、一戦ごとに力をぐんぐんとつけているのは間違いありません。

 

ダービーに向けて

直線の長い阪神外回りで行われた毎日杯を、2番手先行から重厚なストライドで伸び続けた走りを見ても、アルアインの適性は外回り>内回り、東京>中山にあると思います。

皐月賞では3〜4角にかけてファンディーナに前をカットされて下がったところを除けば、コーナーでもスピードに乗せられたので、機動力もあるのかなという走り。これは母ドバイマジェスティのスプリンターとしてのパワーがしなやかな父ディープインパクトのストライドにプラスされているからでしょう。

アルアインは本質的にはパワーのあるストライドで坂を駆け上がるのが得意で、阪神外回りや東京コースは適性として合っています。ただ、一瞬の瞬発力には欠けるので、キレ味勝負になるダービーではペースがある程度は流れてくれないと……。反対にペースが速すぎると距離適性の部分で遅れをとる心配もあり、ダービーを予想する上で難しい馬になりそうな……。

池江寿厩舎としてもダービー仕様の仕上げをしてくるはずで、それがズバリとハマるかどうかには注目したいですね。

 

ペルシアンナイト

2歳オープンのアイビーステークスでは、怪物牝馬のソウルスターリングを押し退けて1番人気に支持された馬で、早くから期待をされていたことが分かります。

年明け初戦となったシンザン記念は、道悪に泣かされて3着と敗退。雨の降る重馬場が苦手なハービンジャー産駒にとって、このレースで3着を確保したのは能力のある証拠です。続くアーリントンCは阪神外回りのマイル戦で、他馬を寄せつけない完勝。直線の伸び、そして余力たっぷりにゴールした走りは2000mも十分にこなせると思わせるものでした。

皐月賞はM・デムーロ騎手の好騎乗もありましたが、馬群を割ってインを伸びたのは気性的にも十分に成長していることを窺わせるものですし、速い時計にも対応できる斬れるハービンジャー産駒だということがはっきりとしました。

 

ダービーへ向けて

ダービーは瞬発力勝負になりやすく、ベスト距離が2000mの馬が勝ちやすい舞台でもあります。皐月賞を見ても勝負権のないところから追い込んだレイデオロとサトノアレスを除けばペルシアンナイトの上りが最速。ストライドが伸びる馬なので東京コースであれば皐月賞よりもパフォーマンスは上がるはずです。

問題は…ハービンジャー産駒は未だGⅠ未勝利…もちろん、ジンクスはいつかは破られるものですが、皐月賞でディープインパクト産駒の斬れに屈したとも言えるわけで、東京の斬れ味勝負で「ハービンジャーは大丈夫なの?」と心配にはなりますね。

 

サトノアーサー

新馬→シクラメン賞と連勝し、そのデビュー2戦目の勝利と上り32.7の脚があまりにも鮮烈だったために、年明け初戦のきさらぎ賞は単勝1倍台の圧倒的な支持を受けました。きさらぎ賞は道悪でサトノアーサーの身上であるキレと爆発力が削がれるレースになり、2着に押し上げるのが精一杯。その後、皐月賞ではなく毎日杯にローテーションを定めたのは、明らかにダービーを意識したものだと思います。

きさらぎ賞、毎日杯と後方の位置取りにこだわったレース振りはいかにもダービーを狙っている感じがたっぷり。また、毎日杯の2着で獲得賞金を上積みできたことから、ダービー直行のローテーションを組めるのもプラスです。レース間隔を空けることによって、外厩での調整が可能になるので。

 

ダービーに向けて

池江寿厩舎にとっては、このディープインパクト産駒が2017年のクラシックを狙う上で中心的な存在だったはずで、きさらぎ賞での2着は想定外だったものの、とにもかくにもダービーに出走するための賞金を確保できたのは大きいです。

胴の長い馬体は中距離馬のシルエットで、走らせるとしなやかなのは父ディープインパクトらしさがあり、これはダービーでもと思わせます。

月刊誌『サラブレ』で連載されている「JRA調教師 池江泰寿の競馬はやっぱり面白い、だから難しい」というコラムが好きで、毎月楽しみにしているのですが、その中で池江調教師はサトノアーサーがダービーに向かうにあたって以下のように述べています。

(中略)サトノアーサーは動きすぎるところがあるので攻め切れなかった分、最後届かなかった(毎日杯2着について)のかもしれない。ただ、ここからダービーに向けてしっかりと仕上げていきたいと思います

サラブレ5月号

う〜ん、皐月賞でワンツーを決めた調教師の言葉だけに重みがありますね。

 

ダービーでの厩舎戦略

ダービーへの出走が確定している(アクシデントがなければ)池江寿厩舎の所属馬は皐月賞終了時点で上記の3頭です。ダービートライアルはこれから行われるので、最終的に池江寿厩舎が上記以外の馬をどれほど出走させることができるのかは分かりません。

ただ、先に引用したサラブレではセンセイから恐ろしい発言も飛び出しています。

まだダービートライアルもありますし、何とかダービー本番には5頭くらい送り出したいと思っていますよ

サラブレ5月号

池、池江センセイはなんてどん欲なのだろうか…いや〜ん、素敵すぎる……。

とりあえず、池江センセイの目論みは脇にどかして、今は上記3頭がどのようにダービーを戦うのかを考えます。

 

ダービーでの展開

ダービーのゲートが開き、池江寿厩舎の3頭はアルアイン、ペルシアンナイト、サトノアーサーの順番で道中の位置を取ると思います。

アルアインはペースが緩んでからの瞬発力勝負では分が悪いため、ある程度は前を引っ張るはずです。ペルシアンナイトはアルアインを見る形で中団辺りを追走し、サトノアーサーは自分のリズムを守って後方から。

アルアインは坂下からスピードを乗せて、坂を上がり切った残りの200mは惰性で末脚を鈍らせないようにする走り。そこをペルシアンナイトとサトノアーサーが追う展開になりそうです。

サトノアーサーは今まで馬群を割るような競馬をしたことがないので、おそらく大外から追い込む競馬。ペルシアンナイトは斬れるハービンジャー産駒らしく瞬発力で馬群を割る競馬に。

 

想定では

アルアインはスムーズな先行であればかなり粘れるはずで、そこをペルシアンナイト、サトノアーサーが猛追。

ペルシアンナイトがアルアインを交わそうとしたところを、ハービンジャー産駒のGⅠ初勝利を阻むディープインパクト産駒の斬れが勝り、サトノアーサーが……。

この流れはいかにもありそうです。ただ、サトノアーサも毎日杯のような雑な追い込みをするようだと直線の長い東京コースであっても届かないので、川田騎手がどのような位置取りをするのかにも注目ですね。

 

ポイントは?

池江寿厩舎のダービー制覇へのポイントは2点あります。

 

1. アルアインは先行してどこまで粘れるのか?

先にも述べましたが、アルアインはストライドが伸びる馬なので、本質的には東京>中山のタイプです。持続力のある脚をもっているので、スムーズに加速をすればかなりしぶとく脚を使うはずです。逃げ・先行馬をアルアインが前で潰すとして、差せる馬がいるのかどうか?

また、アルアインが距離延長を意識し過ぎてペースをガクンと落とすような競馬になったときに、瞬発力型にあっさりと交わされてしまうのではないか?

どちらのシチュエーションを頭に入れておかなければなりませんね。

 

2. 外目を追走して追い込むミルコ

昨年の天皇賞・秋のリアルスティールとジャパンカップのサウンズオブアースはいずれもM・デムーロ騎手が騎乗して2着。枠順にもよりますが、東京コースのGⅠだとそこまでインにこだわらずに外目をスムーズに追走するのがM・デムーロ騎手の特徴です。芝とダートの違いはありますが、'17年フェブラリーSでもゴールドドリームでは外目を追走しての差し切り勝ちでした。

で、ですね、ミルコが外目を追走するする場合、なかなか馬群のスペースを開けてくれません。さらに外を伸びてくる馬には影響はないのですが、内にいると詰まる可能性が……。

そんな想定をしていると、もしペルシアンナイトがアルアインを交わしたとしたら、それを差せるのは大外のサトノアーサーのみという状況になりかねない……。

 

どのような展開になるにしても池江寿厩舎の3頭が有力であることは間違いないので、まずはしっかりとどのような展開になるのかをダービーまでに妄想しておきたいところです。

 

まとめ

どん欲な池江センセイですから、この3頭以外にもダービー出走を果たす馬が出て来るかもしれませんが、まずは出走が確定している馬からダービー制覇への展開を考えてみました。

もっとも可能性が高そうなのは、アルアインの押しきりか、ペルシアンナイトを差すディープインパクト産駒のサトノアーサーか。

 

今から競馬の祭典ダービーが楽しみですね。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。

 

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