GⅢキーンランドC('17年)は前半3F34秒台からの大外捲りに期待してノボバカラに◎をーー予想

f:id:hakusanten:20170826024638j:plain

サマースプリントシリーズ第5戦「GⅢキーンランドC」は8月27日(日)、札幌競馬場の芝1200mで行われます。WAJS(ワールドオールスタージョッキーズシリーズ)に負けない白熱したスプリント戦に期待しましょう。

 

札幌記念と似たような匂いが漂うキーンランドC

キーンランドCはどこか先週の札幌記念とイメージがかぶるレース……。上位人気馬がそれぞれに弱点を抱えていて、ちょっとした展開のアヤでコロっと着順が変わってしまいそうな出走メンバー。少頭数ということもあって、オッズも割れて厳しくなりそうですね。

札幌記念はややタフな馬場でレースが行われ、逃げ・先行馬が苦しくなったところをドンピシャのタイミングで捲ったサクラアンプルールが1着、内をロスなく立ち回って勝負所で外へスムーズに出せたナリタハリケーンが2着に入り、波乱の決着になりました。この馬場が今週も続いているのかは8月26日(土)の芝のレースをしっかりとチェックしておく必要があります。

GⅡ札幌記念('17年)は蛯名騎手「らしい」捲りでサクラアンプルールが初重賞制覇ーー回顧 - ずんどば競馬

 

キーンランドCは前半3Fのペースがキーポイント 

2006年から重賞(GⅢ)に格上げされたキーンランドCはこれまで牝馬の活躍が目立つレース。函館競馬場で行われた2013年を除いたキーンランドCの過去の成績をまとめたものが以下の表になります。

 

キーンランドCの過去成績 計10鞍

勝時計 着順 人気 歳性 馬 名 通過順位
2016 1:08.5 1 2 3 ブランボヌール 5 - 5
2 1 3牡 シュウジ 1 - 1
34.1 - 34.4 3 3 4 レッツゴードンキ 7 - 8
2015 1:08.6 1 8 5 ウキヨノカゼ 16 - 7
2 9 6 トーホウアマポーラ 14 - 11
34.0 - 34.6 3 1 5牡 ティーハーフ 10 -11
2014 1:09.4 1 3 4 ローブティサージュ 7 - 6
2 1 4 レッドオーヴァル 10 - 9
34.1 - 34.9 3 5 7牡 マジンプロスパー 2 - 2
2012 1:07.6 1 3 5牡 パドトロワ 1 - 1
2 1 5牡 ダッシャーゴーゴー 3 - 3
33.5 - 34.1 3 4 4牡 テイエムオオタカ 2 - 2
2011 1:08.6 1 1 4 カレンチャン 2 - 2
2 6 7牡 ビービーガルダン 6 - 3
33.0 - 35.6 3 4 4牡 パドトロワ 2 - 1
2010 1:08.4 1 2 4 ワンカラット 3 - 2
2 6 6セ ジェイケイセラヴィ 3 - 4
33.7 - 34.7 3 8 5 ベストロケーション 7 - 7
2009 1:08.4 1 2 5牡 ビービーガルダン 3 - 2
2 13 6牡 ドラゴンウェルズ 11 - 10
33.8 - 34.6 3 1 3 グランプリエンゼル 5 - 4
2008 1:08.4 1 16 8牡 タニノマティーニ 4 - 4
2 2 4牡 ビービーガルダン 1 - 1
33.8 - 34.6 3 1 5牡 キンシャサノキセキ 8 - 9
2007 1:08.6 1 4 3 クーヴェルチュール 2 - 2
2 2 6 アグネスラズベリ 9 - 7
33.9 - 34.7 3 3 6牡 ワイルドシャウト 11 - 10
2006 1:08.4 1 4 6 チアフルスマイル 11 - 8
2 1 6 シーイズトウショウ 3 - 2
33.5 - 34.9 3 2 5 ビーナスライン 12 - 12

(*函館競馬場で行われた2013年を除く10鞍。'06年から重賞へ昇格)

10年間分の1〜3着馬30頭の内、牝馬(赤色のマーク)は半数の15頭が入線していることがわかります。斤量差の影響を受けやすいスプリント戦は牝馬の活躍が目立つ舞台です。今年のキーンランドCに出走する牝馬はブランボヌール、ナックビーナス、ソルヴェイグ、ライトフェアリーの4頭。ややタフな今の札幌の馬場を克服できるパワーをもつ牝馬には注目しなければなりません。

 

1.0秒以上の前傾ラップにはならない札幌芝1200m

先週行われたサマースプリントシリーズ第4戦「北九州記念(GⅢ 小倉芝1200m)」と異なり、キーンランドCは1.0秒以上の前傾ラップになることの少ないレース。上の表を見ても、過去10年間分で1.0秒以上の前傾ラップになったのは3回ですから、ほぼ平均ペースになるのがこのレースのデフォルトです。それでは、出現数の少ないハイペースとなった3つのレースについて振り返ってみましょう。

 

1.0秒以上の前傾になった3レース

2011年 出走頭数16頭

1:08.6 1 1 4牝 カレンチャン 2 - 2
2 6 7牡 ビービーガルダン 6 - 3
33.0 - 35.6 3 4 4牡 パドトロワ 2 - 1

レースラップ:11.8 - 10.3 - 10.9 - 11.5 - 11.8 - 12.3

2.6秒の前傾ラップに加えて、後半3Fが11.5 - 11.8 - 12.3と失速する先行馬には苦しいペースだったにもかかわらず、1〜3着馬は4コーナーから直線にかけて1〜3番手につけていた馬たち。ちなみに、カレンチャンとパドトロワは血統表のなかにサンデーサイレンスはナシ。2着のビービーガルダンは母父がフジキセキなので、血統表の8分の1にサンデーサイレンスが入ります。このような前傾ラップになった場合は、サンデーサイレンスの「しなやかさ」よりもスプリンターとしての「パワー」が優位になるのです。

 

2010年 出走頭数16頭

1:08.4 1 2 4牝 ワンカラット 3 - 2
2 6 6セ ジェイケイセラヴィ 3 - 4
33.7 - 34.7 3 8 5牝 ベストロケーション 7 - 7

レースラップ:12.0 - 10.6 - 11.1 - 11.4 - 11.6 - 11.7

1.0秒の前傾ラップで、この年も上り3Fが11.4 - 11.6 - 11.7とジリジリとスピードが落ちています。ただ、すべて11秒台でまとめており、前傾ラップながら先行馬には有利な流れでした。4コーナーから直線にかけて前々にいた馬同士のワンツー。

 

2006年 出走頭数15頭

1:08.4 1 4 6牝 チアフルスマイル 11 - 8
2 1 6牝 シーイズトウショウ 3 - 2
33.5 - 34.9 3 2 5牝 ビーナスライン 12 - 12

レースラップ:12.1 - 10.4 - 11.0 - 11.5 - 11.6 - 11.8

2010年と似たようなレースラップ。上り3Fが11.5 - 11.6 - 11.8とジリジリとスピードが落ちていますが、すべて11秒台。これを外からスパッと切れたチアフルスマイルは見事で、ビーナスラインはインを伸びてきたもの。シーイズトウショウは勝ちパターンにもち込んだものの……。1.4秒の前傾ラップとは言え、キレのある牝馬が上位を独占したように洋芝としては軽い馬場コンディションでのレース。

 

近年は前半3Fが34秒台

近3年、キーンランドCの前半3Fはすべて34秒台、そして勝ちタイムは1分8秒5〜1分9秒0の間におさまります。前半が遅いだけに上り3Fも33秒台〜34秒中盤あたりと速くなっており、キレる脚が優勢の傾向。

 

近3年 キーンランドカップの成績
勝時計 着順 馬 名 通過順位 上り
1:08.5 1 ブランボヌール 5 - 5 34.0
2 シュウジ 1 - 1 34.5
34.1 - 34.4 3 レッツゴードンキ 7 - 8 33.9
1:08.6 1 ウキヨノカゼ 16 - 7 33.5
2 トーホウアマポーラ 14 - 11 33.8
34.0 - 34.6 3 ティーハーフ 10 -11 34.1
1:09.4 1 ローブティサージュ 7 - 6 34.4
2 レッドオーヴァル 10 - 9 34.2
34.1 - 34.9 3 マジンプロスパー 2 - 2 34.8

34秒台のレースであれば、33〜34秒台前半のキレがないとなかなか好走できないことがここからもわかります。札幌競馬場の残り600m(残り3F)は4コーナーにあたるため、俊敏にカーブを曲がれる器用さも求められ、ここでスピードを落とさないことが肝心。また、直線でキレイに馬群を割ったローブティサージュ以外の差し追い込みは、「外」からコーナーでスピードを上げてきた馬。前半のペースが遅い場合、馬群が詰まったところを外から捲れる馬には注目です。

 

予想

前半3Fが34秒台に入るのか、そして1.0秒以上の前傾ラップになるのかがキーポイントとなるキーンランドカップ。今年は逃げて好走したことのある先行馬がズラリと揃い、どのようなペースになるのかが難しいメンバー。まずはレース展開を考えてみましょう。

 

レース展開

今年はシュウジが「非逃げ宣言」をしており、どの馬がハナに立つのかは微妙なところ。内枠のイッテツはインのポケットレースができる先行馬、同じく内枠のネロは揉まれたくはないもののそれほど積極的に前へ出していかない「中野省吾」騎手が鞍上。外枠のソルヴェイグはペース次第でどのポジションも取れるので、好スタートを切って楽にハナを取れるようであれば……というタイプ。今の札幌の芝はややタフで逃げ馬には苦しいコンディションが予想され、積極的にペースを引き上げる馬はいません。かかるのを恐れてシュウジがハナに立たないかぎり、今年も前半3Fは34秒台を想定。

内と外の枠に先行馬がキレイに分かれたので、今年は中団のポジションを取りやすい枠の並びになりました。前半が34秒台のペースで馬群がつまる(距離が短い)ようだと、3〜4コーナーにかけて捲る馬はコースロスを承知で積極的に動く必要があります。腹をくくって捲れる騎手をピックアップしたいですね。

 

◎ノボバカラ 5歳牡馬

現在、小回りコースで平均からやや緩いペースを捲らせたら現役屈指とも言える田辺騎手が乗ることから、大幅に期待値がアップ。いくらか揉まれ弱いところがあることと近2走で大きく出遅れていることから、ここも最後方からの競馬になる公算が大。インからポジションを上げて馬群をさばくよりも大外をひと捲りの方が可能性があるので、前走並の上りの脚が使えれば。

その前走は1分6秒台の決着になった「超」高速馬場と大きな出遅れがあった7着で、芝を「試走」するレースとしては十分に及第点の内容。少なくとも1分8秒台の決着になるはずですから、今度は追走も楽になるでしょう。

もともと短距離のダートをガシガシと先行していた馬で今のパワー必要な札幌の馬場は合います。前後半3Fのラップが34.0 - 34.5(1:08.5)くらいの時計になれば、ここでも差し込める力はあるはずで、下手に先行しなければチャンスも。怖いのは田辺騎手が抜群の好スタートを切ってしまったときで、逃がされてしまうのが不安点。

 

◯フミノムーン 5歳牡馬

前走のバーデンバーデンCのように時計がかかり、前半3Fが34秒台の流れになればもち前のパワーでコーナーをグイグイと捲れます。5枠に入ったのはこの馬としてはレースがしやすく、勝浦騎手がヘンにインのポケットに入るような競馬をしなければ……。小回り適性と時計のかかるレースでの差し馬としてはノボバカラよりも適性は高いものの、騎手の差で◯の印に。勝浦騎手が大外をバキューンと捲れるのか……が不安なので。

ただ、このフミノムーンが外から捲る展開で、内の各馬が直線で伸びあぐねればさらに外からノボバカラが……というシーンも十分に描けます。そう、札幌記念でサウラアンプルールが大外を捲った後でナリタハリケーンが差してきたように。

 

その他に△をつける馬は……

「ノボバカラーフミノムーン」のワンツーが決まったときに、3着にどの馬が入るのかは難しいですね。出走頭数が13頭ですから3連複2頭軸総流しでも点数は11点。う〜ん、悩みます。ただ、この2頭が直線で抜け出したときは逃げ・先行馬には苦しい流れになっているはずなので、スムーズに差してこれる馬を△候補として。

△ブランボヌール

復帰してから気を吐いた騎乗を連発している三浦騎手。3年前にローブティサージュで制した縁のあるレースで、あのときのように馬群をさばければ。

△ヒルノデイバロー

阪急杯の2着が物語っているように、上りのかかるレースになればソコソコには走れます。今回は四位騎手が後方ポツンからの大外捲りを決められれば。2年前のウキヨノカゼのイメージで。

△ナックビーナス

好位をロスなく走っているのは横山典騎手のこの馬だと思うので、3着候補としてケア。

 

買い目

◎と◯の単勝、そして◎◯の馬連を。押さえで◎◯2頭軸の3連複で△の3頭へ流します。

 

単勝

5. 7

 

馬連

5 - 7

 

3連複2頭軸

5. 7 - 1. 4. 6

 

まとめ

キーンランドCが先週の札幌記念に似たような結果になることを期待して。皆様にとっても素晴らしいレースになりますように。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。