GⅠ菊花賞(2017年)は重〜不良馬場の適性と下り坂をロスなく走れる◎トリコロールブルーに期待してーー予想

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超大型の台風の影響で、22日(日)は西・東日本ともに広い範囲にわたり雨が降り続く予報が出ています。そのため、3歳牡馬クラシック最後の1冠「菊花賞(GⅠ・京都芝3000)」は重〜不良馬場で行われることとなり、出走馬の道悪適性が結果に大きく反映するレースと言えるでしょう。

今年の菊花賞はダービーの1〜3着馬が不在の上、上位人気の馬が外枠からのスタート、さらに重〜不良馬場でのレースとファンを悩ませるのに十分なほどの大激戦。波乱の要素も多く、どの馬にも好走のチャンスがあるレースとなりました。重馬場を苦にせず、タフな戦いを制するのはどの馬なのでしょうか?

 

重馬場の巧さだけでは好走できない京都の芝

21日(土)の京都競馬場の芝コースは「重」でレースが行われました。芝2400mで争われた10R古都ステークス(1600万下)は、1人気に推された重馬場巧者のリッチーリッチー(Galileo直仔のTeofilo産駒)が5着に敗れるなど、「パワー型」で「欧州血統」だから好走できる馬場というわけではありません。

 

パワーのあるピッチ走法の馬が好走

古都ステークスの1〜3着に入線したトミケンスラーヴァ、コウエイワンマン、ノーブルマーズはストライドの伸びないピッチ走法の馬。本質的には直線の長い京都外回りコースは割引の走りをする馬が上位に入っています。

(✴︎2着コウエイワンマンと3着ノーブルマーズはともにトニービン直仔ジャングルポケット産駒ですから、その点も頭の片隅に入れておきましょう)

日曜日はさらに雨が降り、土曜日よりもさらにパワー型優勢の馬場へと変化するかもしれませんが、現段階ではパワー+ピッチ走法の馬を上位に取りたいですね。

 

3〜4コーナー下り坂をロスなく走れる馬

菊花賞の行われる京都芝3000m外回りコースは、3〜4コーナーの下り坂を2度走らなければなりません。重馬場の長距離戦でもっとも体力を奪われるのはこの「下り坂」での走り。また、最後の直線が平坦のため、下り坂で勢いをつけてゴールまで粘りこむのが菊花賞の勝ちパターンです。ここでスムーズにスピードを上げられないようだと、直線が苦しくなります。

いつもより脚を取られやすい重馬場は、道中の追走でも体力をロスしてしまうので、いかに無駄なエネルギーを使わない走りができるかどうかも重要です。

 

土曜日の京都は逃げ馬が(2 - 0 - 0 - 1)

21日(土)、芝2000m以上のレースは3つ行われ、逃げた馬が(2 - 0 - 0 - 1)の成績を上げました。10R古都ステークスを逃げ切ったトミケンスラーヴァは父タイキシャトル×母父デヒアという非長距離の配合。スタミナよりもスピードとパワーに勝ったタイプで、7歳にして初距離となった2400mを逃げて押し切ったのは、スムーズにレースの流れに乗れたことが大きかったのでしょう。

トミケンスラーヴァは9頭立ての最低人気の7歳馬。3〜4コーナの下り坂をスムーズに下りさえすれば、そのスピードをもって直線で粘りこむことができます。もちろん、22日(日)も雨が降り続き、さらにタフなコンディションとなって傾向も変わるかもしれませんが、逃げた馬は有利です。

 

上位人気の馬が揃って外枠へ

今年の菊花賞が混戦と言われるのは、ダービーの1〜3着馬が不出走というだけではなく、上位の人気に推されている馬がこぞって外枠に入ってしまったこともその原因の1つでしょう。皐月賞馬のアルアインは8枠、神戸新聞杯2着のキセキは7枠、セントライト記念を制したミッキースワローが6枠からのスタートとなり、「外枠が不利」とされる菊花賞ですから、これは「波乱も……」とつい考えたくもなりますよね。

 

アルアインとキセキについて

上位人気の2頭。皐月賞馬のアルアインと夏の上り馬のキセキについては、週中に重馬場適性も含めて詳しい解説記事を書いていますので、よければそちらをご覧下さい。

 

▼アルアインの解説記事

GⅠ菊花賞(2017年)に出走するアルアインは長距離と重馬場を克服できるのか?ーーレース展望 - ずんどば競馬

 

▼キセキの解説記事

ルーラーシップ産駒のダンビュライトとキセキは重馬場の菊花賞を好走できるのか? - ずんどば競馬

アルアインは父が、キセキは母父がディープインパクト。2頭ともにパワーあふれるストライド走法ですが、瞬発力(キレる脚)に優れるのはキセキで、重馬場に適性があるのはアルアインでしょう。この2頭はともにルメール騎手とデムーロ騎手を鞍上に迎え、外枠からどのようなレースメイクをするのかにも注目です。

 

6枠のミッキースワローは?

セントライト記念を抜群の瞬発力で制したミッキースワローはディープインパクト直仔のトーセンホマレボシ産駒。母父ジャングルポケットは土曜日の古都Sで2、3着と好走したコウエイワンマンとノーブルマーズの父ですから、この重い馬場は合いそうに見えますが……。母系に入るトニービンとフォルティノを通じるGrey Sovereignのクロスがこの馬の独特なキレを支えているため、重馬場は苦にしないものの大きなプラスとは言えません。また、京都の下り坂をロスなく走れる血が薄いため、3〜4コーナーをスムーズに下れるのかが好走のポイントになるでしょう。

 

予想

重馬場への適性(パワーピッチを含む)があり、3〜4コーナーの下り坂をロスなく走れる馬をピックアップしたい今年の菊花賞。それに加えて、やはりクラシックはノーザンファーム(+社台系ファーム)生産馬にも注意を払いたいところです。

GⅠ菊花賞はノーザンファーム生産馬が好成績? 京都競馬場は今週も重馬場に?ーーレース展望 - ずんどば競馬

 

重馬場OK+パワーピッチ走法の馬

クリンチャー

トリコロールブルー(ノーザンファーム生産馬)

ベストアプローチ

 

下り坂をロスなく走れる

ウインガナドル

スティッフェリオ(社台ファーム生産馬)

トリコロールブルー(ノーザンファーム生産馬)

クリノヤマトノオー

プラチナヴォイス

(*内枠から順に並べてあります)

両方にピックアップされたのがノーザンファーム生産馬のトリコロールブルー。父ステイゴールド×母父Pivotalという配合で、母ペンカナプリンセスはワールドインパクトやダノンジェラート(どちらも父ディープインパクト)などを産んだ好繁殖牝馬。トリコロールブルーは父がステイゴールドに替わり、小回り向きのピッチ走法に出ました。ただ、母系に入るCaroやSir Ivorのしなやかな血が入ることで、ステイゴールド産駒としては柔らかく動けるタイプでもあります。このしなやかさが下り坂をロスなく走るのに適しているため、泥んこ馬場をこなせるのならチャンスも。

ペンカナプリンセスの血統表 | 競走馬データ - netkeiba.com

上記でピックした馬たちはすべて真ん中から内の枠に入ったので、◎はこのなかから選びます。

 

レース展開

重〜不良馬場ということもあって、もしかしたら「あっ!」と驚く馬がハナに立つ可能性もありますが、この枠の並びであればウインガナドル、クリンチャー、アダムバローズの逃げ争い。クリンチャーは二の脚のダッシュがつかないタイプで、馬群に揉まれるとダメ……藤岡佑騎手がどこまで出して行けるかが鍵になります。どの馬が逃げるのかについては週中に詳しく解説記事を書いたので、よければそちらもご覧下さい。

GⅠ菊花賞が重馬場になると逃げ・先行馬とスタミナの豊かなステイヤーが有利に? - ずんどば競馬

 

◎トリコロールブルー 3歳牡馬

父:ステイゴールド

母:ペンカナプリンセス(母父:Pivotal)

厩舎:友道康夫(栗東)

生産:ノーザンファーム

春はスプリングS5着→青葉賞7着と敗退しGⅠには出走が叶いませんでした。2人気に支持された青葉賞は長距離輸送による大幅な馬体減によって、レース前からテンションが高かったことが最大の敗因。もともと重賞級の力を見せていた馬で、前走+32kgの馬体重で完勝した古馬混合1000万下のレースぶりを見ても、確かな能力があることは間違いありません。スローペースにもロングスパート戦にも対応できるのが強味で、レース上りが36.5とタフな馬場だった2000mの前走を完勝したのは、重馬場に高い適性をもっているからでしょう。タフな馬場でジリジリと最後まで脚を伸ばした走りからも、長距離戦に不安はなく、落ち着いたテンションで臨めれば……。

不安は久しぶりの関西遠征となるリーディングジョッキー・戸崎騎手の手綱さばき。内枠でロスなく立ち回り、3〜4コーナーの下り坂からしっかりと動ける体勢をつくれるのかどうかが好走のポイント。ステイゴールドとしてはソコソコしなやかな体質なので、下り坂でスピードに乗せてしまえば、直線は何とか踏ん張れるはずです。「5人気以内になるのかな」と想定していた馬なので、この人気なら……◎を。

 

◎以下は混戦なだけに

◎以下は混戦で、ペースや展開によってどの馬が馬券内に突入してもおかしくない状況。馬場も不良まで悪化する可能性が高く、今年の菊花賞は「カオス」という文字がふさわしいGⅠレースとなりました。

クリンチャーは逃げるにしても先行するにしてもとにかく揉まれないポジションをとれるかどうか……。外枠からスムーズに先行できた皐月賞、内枠で前へ進もうとしなかったダービーからも、乗り難しいのは事実です。ただ、ここまで馬場が悪化すれば、父ディープスカイ×母父ブライアンズタイムのパワーとスタミナが活きるはずで、これだけ人気がないのなら。

スティッフェリオはステイゴールド産駒としてはしなやかなフォームで走るステイヤーで、3〜4コーナーの下り坂をロスなく下れるのはこの馬が1番かもしれません。ただ、未勝利勝ち以降は馬体重を減らし続けていること、そして、音無先生が「前走のセントライト記念はポジションが前過ぎた」という「いつもの」発言をしていることから、好位のインにおさまるレースプランだと松若騎手が馬群をさばけるのかが不安でこの印に……。能力的には好走しても驚けない馬なのですが……。

クリノヤマトノオーはここまでの3歳限定のOP白百合S2着(1着はサトノクロニクル)と前走1000万下特別のレースからも、京都コース巧者。前脚がスッとスッと伸びるフォームなので下り坂もロスなく走れるのが長所です。父ジャングルポケットはこの馬場にも合っているはずで、中1週+幸騎手が初騎乗+2000m以上の距離が初の3重苦を乗り越えられれば……。

ベストアプローチは父がGalileo直仔のニューアプローチ×母父Efisioとパワーとスタミナに優れた欧州血統。いかにもこの馬場が合うタイプに見えますが、罠っぽいのでこの印に。3〜4コーナーをロスなくスピードを殺さずに走れるかどうかがポイントで岩田騎手のさばき次第でしょう。

ウインガナドルは細身のステイゴールド産駒でいかにもステイヤーという体型。逃げてしまえば好走の可能性もありますが、重馬場が合うかどうかは未知なのでこの人気だと買いにくく……一応相手としてはケアします。

 

上位人気馬は?

1〜3人気の3頭は外枠と重馬場をどのようにこなすのか……。

関東馬のミッキスワローは前走からさらなる上積みがあるのかは疑問で、キレ味で勝負するタイプ。パンパンの良馬場であれば好走の可能性もある1頭でしたが……。

夏の上り馬キセキは急遽の菊花賞参戦と「芝コース」での最終追い切りが不安要素。この馬をディープインパクトらしいキレ味が武器の馬ですから、重馬場はマイナスでしょう。

3頭のなかでもっとも不安が少ないのはアルアイン。距離に関しては走ってみないとわかりませんし、池江寿厩舎+ルメール騎手+ノーザンファーム生産馬ですから好走の可能性は十分にあります。重馬場はOKなので、後はこの外枠を克服できるかどうか。

 

買い目

上位人気の馬が2、3着に入ることも考えられるので、◎トリコロールブルーの単勝をメインに。それと◎から△への馬連を。

 

単勝

5

 

馬連

5 → 4. 3. 9. 10. 2

 

まとめ

重〜不良馬場で行われることがほぼ間違いのない今年の菊花賞。その前の芝レースの傾向もしっかりとチェックしておきたいですね。3歳クラシック最後の1冠を制するのはどの馬なのでしょうか。

皆さまにとっても素晴らしいレースになりますように。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。