GⅢ北九州記念('17年)は2秒以上の前傾ラップをジリジリと差すナガラオリオンに◎を

f:id:hakusanten:20170816014050j:plain

サマースプリントシリーズ第4戦「GⅢ北九州記念」が8月20日(日)、小倉競馬場を舞台に行われます。500万下から1600万下を3連勝して重賞に挑戦するダイアナヘイロー、前走1600万下を快勝したファインニードル、函館スプリントS2着から参戦するキングハートと1〜3人気馬はいずれもここを勝てば初重賞制覇となる3頭。上り馬たちはGⅠスプリンターズSへの足がかりをここでつかむことができるのでしょうか?

 

小倉はソコソコの時計が出る馬場

8月19日(土)、小倉競馬場では芝1200m戦が3歳以上500万下クラスで2鞍組まれ、いずれも1分8秒台の決着になりました。開催4週目となっても芝には傷みが少なく、内外が公平な馬場。そのため、脚質の有利・不利はペースによって変わります。まずは、北九州記念の参考として、土曜日に行われた上記2鞍のレース・ラップを見ておきましょう。

 

9R 小郡特別 3歳以上500万下 芝1200m

勝ちタイム:1分08秒3

レースラップ:11:8 - 10.5 - 11.2 - 11.6 - 11.4 - 11.8

前後半3F:33.5 - 34.8(1.3秒差の前傾)

 

12R 3歳以上500万下(平場) 芝1200m

勝ちタイム:1分08秒5

レースラップ:12.1 - 10.5 - 11.4 - 11.6 - 11.4 - 11.5

前後半3F:34.0 - 34.5(0.5秒差の前傾)

 

500万下クラスの2鞍で1分8秒台が出たことから、重賞レースであれば1分7秒台前半の決着が想定できます。北九州記念の過去10年の平均勝ちタイムは1分7秒4。明日もこれに近い時計なるでしょう。

上記の2鞍はいずれも勝ち馬が先行して押し切るレース。レースラップから4F目(青色でマーキング)が緩んでおり、これによって先行勢にもチャンスが生まれました。北九州記念は前半3Fがかなり速いラップになることがままあり、その場合は前崩れの差し決着になることがデフォルトです。今年も4F目で緩まなければ、先行勢いには苦しい流れに……。

 

小倉の芝1200mは前傾ラップがデフォルト

小倉競馬場の芝1200m戦は2コーナーの引き込み線からスタートし、4コーナーまで下り坂が続きます。そのため、自然と前半3Fのペースは速くなるのがデフォルトです。ダッシュ力に優れた馬が揃うようなオープン競走だとこの傾向がより強くなり、ハイペースからの差し決着になることも……。

 

北九州記念は2秒以上の前傾ラップがデフォルト

北九州記念は過去10年間で前半3F32秒台が7回あり、2秒以上の前傾ラップになったのが6回ですから、ほぼ上りのかかる差し決着になります。'16年だけは12頭と頭数が少なかったことから1分8秒台の勝ち時計でしたが、平均すると1分7秒台前半がデフォルトです。

北九州記念('17年)は過去10年で6回も2秒以上の前傾ラップに!?ーー展望 - ずんどば競馬

過去10年のレースラップについては上の記事にまとめてあるので、よければご覧下さい。

 

今年は前半3Fが速くなるのか?

今年は最内枠に入ったアクティブミノルが逃げ、ダイアナヘイロー、ファインニードルと上位人気が先行馬ですから、少なくとも遅いペースにはならなそうです。ダイアナヘイローは3連勝したレースで外から被されないようにしており、逃げ争いがなくても全体のペースは速くなります。

前半3Fが32秒台に入るのかは微妙なものの、内枠に逃げ・先行馬が固まったので、この並びだとなかなか息の入らない流れが考えられます。アクティブミノルはCBC賞でも緩めずに逃げているため、33秒前半から32秒後半の範囲になることを想定して、上りのかかる展開をジリジリと伸びてくる馬をピックアップ。

 

予想

今年行われた芝1400m以下の古馬重賞の中で、2秒以上のハイペースになったのは函館スプリントSと阪急杯の2レース。これらのレースで好走していた馬が北九州記念に2頭出走しています。

 

キングハート 4歳牡馬

今年の2月に1600万下を勝ち上がると、その後OP特別の2戦で2→1着と好走。3度目の重賞挑戦となった函館スプリントSはレコードタイムが出るレースでも2着に追い上げ、今年に入っての地力アップは明らかです。

その函館スプリントSのレースラップとキングハートの個別ラップは以下の通りです(参考として、北九州記念に出走しているエイシンブルズアイのものの上げておきます)。

 

'17年函館スプリントS

レースラップ:32.2 - 34.6(2.4秒の前傾ラップ)

馬 名 個別ラップ 走破タイム 着順
キングハート 33.0 - 34.2 1:07.2 2
エイシンブルズアイ 33.3 - 34.1 1:07.4 6

今年の函館競馬場の開幕週は「超」のつく高速馬場。シュウジがガンガン飛ばしたために前半3Fが32.2と猛烈なペースになっていますが、2着になったキングハート自身は1.2秒差の前傾ラップを中団から差してきた形です。しっかりと脚を使っているのか好印象で、前が速くなってもしっかりと自分のペースを守って走れれば今回もチャンスはあるでしょう。

 

不安点

キングハートの不安点は2つ。1つは関東馬ながら、京都→函館→小倉と長距離輸送が続き、体調面が整っているのかどうか……。もう1つは外枠に入ったことで前に壁を作ってしっかりとペースを守った走りができるかどうか……。中谷騎手が重賞でこの馬の力を発揮させる騎乗ができるのかに注目ですね。

 

ナガラオリオン 8歳牡馬

阪急杯は初芝+重賞と厳しい条件ながら3着と好走したように、ダート短距離戦のような減速ラップに適性のある馬です。ダートのOP特別で再三好走歴があり、ペースが流れれて上りのかかる展開になればジリジリとした脚が使えます。阪急杯は2秒以上の前傾ラップに加え、全体として時計のかかる馬場だったのもこの馬に味方しました。

 

'17年阪急杯のレースラップ

レースラップ:12.1 - 10.7 - 11.0 - 11.7 - 11.7 - 12.0 - 12.2

スタートして4F目からゴールまでジリジリと減速していくラップで、いかにもダート短距離戦と似ています。ナガラオリオンは最後方からレースを進めると直線馬場の外目をグイグイと伸びて3着。1、2着馬とは通ったコースの差もあったはずで、こうした減速ラップになれば力を発揮できることを示した1戦になりました。

 

不安点

もともとはダート馬ですから、時計勝負だとやや苦しくなります。1分7秒台前半の時計に対応できるかが鍵になりますね。また、内枠からのスタートでスムーズに直線で外へ出せるのかも不安点です。

 

◎ナガラオリオン

1着まで突き抜けられるのかは「?」がつくものの、前半3Fが32秒台に入っての減速ラップになるようであれば、この馬のジリジリと伸びる脚に期待できます。もちろん、時計勝負やテン乗りなど不安な点も多々あるのは承知で、前日時点で17番人気ですから期待値としては十分に。この馬に◎を打つのですから、当然ハイペースの差し決着想定です。

 

◯エイシンブルズアイ 6歳牡馬

函館スプリントS組からはキングハートよりも前傾ラップ向きのこちらを上位にとります。前走はスタートで出負けして押っつけながら後方を追走。スピードに乗りたい4コーナーで狭いところに入ってしまったのも、最後の伸び脚に影響したかなという6着でした。その前走の展望記事でも書いたように、この馬は母父Siphonがもう一花咲かせるだけの成長力を伝えているはずで、そこに期待します。

函館スプリントSーーエイシンブルズアイは輝きを取り戻せるのか? - ずんどば競馬

函館芝はレコードの叩き売り!ーー函館スプリントS回顧 - ずんどば競馬

 

▲ナリタスターワン 5歳牡馬

1.6秒の前傾ラップだったCBC賞で6着と見せ場を作りました。中山ダート1200mでも勝ち鞍があるように減速ラップにも対応できる馬。今夏は中京・小倉と好調な幸騎手が乗ることから、この人気であれば積極的に狙いたくなりますね。

 

その他の△候補として

△ミッキーラブソングは阪急杯組で、あの減速ラップを先行して直線では先頭に立つほどの走り。6着と敗れましたがあの経験がここに活きるはずです。橋口慎厩舎+和田騎手という字面も怖いので押さえます。

△ツィンクルソードは外枠+小牧騎手の人気薄。短距離のダートでも好走歴があるように減速ラップは合うはずです。

△キングハートはこれだけ好走を続けていると、このあたりでポカがありそうなので……この印に。

△プレイズエターナルは上りがかかれば差し込める力があるだけに。北村友騎手+外枠というのはプラス。

 

買い目

ここは買い方が難しく……。まずはナガラオリオンを1軸目にした3連複フォーメーションと3着に人気馬が突っ込んでくることがイヤなので、◎と▲からの馬連を。

 

3連複フォーメーション

1軸目:6

2軸目:5. 12

3軸目:5. 12. 15. 14. 13. 17

 

馬連

6. 12 - 6. 5. 12. 15. 14. 13. 17

 

まとめ

ズブズブの差し決着を狙おうとしたレースにかぎって、前半のペースが緩くなっての前残りになるのが競馬ではあるものの……2秒以上の前傾ラップになることが多い北九州記念ですから、ここは積極的に上りの脚の遅い馬を狙いたいですね。ナガラオリオンはかなりの人気薄なので、馬連は総流しをしたいところですが……そのあたりはパドックの気配を見てから決めます。

皆様にとっても素晴らしいレースになりますように。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。