GⅢ小倉記念('17年)は母譲りのピッチ走法・サンマルティンに◎をーー予想

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8月6日(日)、小倉競馬場ではサマー2000シリーズの第3戦「GⅢ小倉記念」が行われます。1600万下マレーシアC(中京芝2000m)をコースレコードで勝ち上がったストロングタイタン、同じく1600万下むらさき賞(東京芝1800m)を目の覚めるような末脚で差し切ったサンマルティンと条件戦を勝ち上がったばかりの馬が人気の上位を形成する今年の小倉記念。今年は出走馬が13頭と少ないながらも一長一短のメンバー構成、それに加えて1番人気が11連敗中のハンデ重賞とあってかなりの混戦模様です。

 

ストロングタイタンとサンマルティン

ストロングタイタンとサンマルティンの2頭は前走条件戦を勝ち上がっての重賞挑戦。それにもかかわらず人気の上位に支持されているのは、ともに東西を代表する調教師の管理馬ということ、そして、骨っぽいメンバーが小倉記念に出走していないことが大きな要因です。

 

ストロングタイタン 4歳牡馬

父:Regal Ransom

母:タイタンクイーン(母父:Tiznow)

母タイタンクイーンはストロングタイタン、ミラアイトーン(現3歳 父Lonhro)とJRAで3勝以上している仔を送り出した好繁殖牝馬。父Regal Ransomはフォーティナイナー直仔でUAEダービーを勝ったもののGⅠは未勝利で種牡馬入りしました。

ストロングタイタンは欧州のパワー型マイラーDanzig(4×4のクロス)の影響が出た筋骨量の豊かな馬体をしており、走り出すと実にパワフル。スタートをポンと出られるのも後肢についた筋肉によってしっかりと踏ん張れるからで、パワーに優れた先行馬です。ストライドがグっと伸びてしなやかかつ無駄のない脚さばきをするのもこの馬の特徴で、これは母系に入るBuckpasserクロスの影響でしょう。

ストロングタイタンが小倉で(3 - 0 - 0 - 1)と小倉で器用に捲れるのは、このBuckpaserの父Tom Foolの俊敏さが現れたものだと考えられ、パワー・ストライドで走るのにもかかわらずコーナーでスピードが落ちないのはこの馬の最大の長所と言えます。しなやかさと器用さをもつ反面、シュっと急加速できないのがこの馬の弱点で、スローからの上り勝負よりは後半ロングスパート戦の方がレースがしやすいタイプです。しっかりと前へ出して行ける川田騎手とのコンビはバッチリと合っていて、スローからの捲り勝負になれば重賞初制覇のチャンスも十分にあります。

 

池江寿調教師の今年の小倉での成績

ストロングタイタンを管理する池江寿調教師は夏の小倉は相性の良い開催です。昨年のこの小倉開催は(6 - 6 - 3 - 13)と好成績を上げていることから、今年も……と期待をしたくなります。(昨年の池江寿厩舎の夏のローカル開催における成績については下記の記事にまとめてありますので、よければご参照下さい)

池江寿厩舎は夏のローカル開催に強いのか?ーー函館記念('17年)に出走するステイインシアトルの展望として - ずんどば競馬

'17年8月5日(土)終了時点での池江寿厩舎の小倉成績は以下の通りです。

日付 馬 名 着順 人気 前走レース コース
7/29 ミラアイトーン 1 1 1000万下(特別) 芝1200m
7/29 エアカミュゼ 15 11 1600万下(特別) ダ1700m
7/30 キングディグニティ 1 5 3歳未勝利 ダ1000m
7/30 スマートシグルズ 8 1 3歳未勝利 芝2000m
7/30 サトノケンシロウ 1000万下(特別) 芝1800m
7/30 アッシュゴールド 7 9 1000万下(特別) 芝1800m
8/5 スヴァルナ 8 1 2歳未勝利 芝1800m
8/5 アラハバード 16 7 3歳未勝利 ダ1700m
8/5 ジェルファルレイ 6 6 3歳未勝利 芝1800m
8/5 ユイフィーユ 2 1 500万下(特別) 芝2000m

今年はここまで(2 - 1 - 1 - 6)と昨年に比べればいくらか物足りない成績。6日の日曜日はストロングタイタンを含めて小倉で4頭が出走するので、巻き返したいところでしょう。

 

サンマルティン 5歳騸馬

父:ハービンジャー

母:ディアデラノビア(母父:サンデーサイレンス)

厩舎:国枝栄(美浦)

母ディアデラノビアはGⅡフローラSをはじめ重賞を3勝し、GⅠでも3着が3回ある名競走馬。その母ポトリザリスはアルゼンチンの年度代表馬に輝いた名牝で、Northern DancerやMr. Prospectorなど現代の主流の血脈をもたない傍流血統です。ディアデアラノビアしかりその仔たちも全体的に成長曲線が緩やかなのは、このポトリザリスの異系の血が大きく影響しているからでしょう。

サンマルティンはGⅢ京都2歳Sを勝ったドレッドノータスの全兄ですが、こちらの方がよりハービンジャーのキレ味が伝わっています。気性の難しさはこの母系譲りで、折り合いの名手・ルメール騎手が乗っても、当たりの柔らかい戸崎騎手が乗っても抑え切れない前進気勢でガツンガツンと引っ掛かる馬。この名手2人をしても折り合えなかった馬と言ってすぐに思い出されるのは札幌記念や中山記念を勝ったネオリアリズムで、「だからこそ」サンマルティンの脚も重賞級と考えられます。

母ディアデラノビア譲りのピッチ走法ながら、他の兄姉に比べればストライドも伸びるタイプで、折り合いさえつけばバキューンとすごい脚を使えます。ピッチ走法ですから本質的には小回りへの適性が高く、3コーナーからペースが速くなる小倉コースもベスト。関西圏に遠征したときにあまり成績の奮わない戸崎騎手がわざわざ小倉まで乗りに行くのですから、この馬への期待の高さが表れていますね。

 

予想

今年の小倉記念は上記の2頭に、M・デムーロ騎手が乗るタツゴウゲキを加えての三つ巴というのが人気を集めています。しっかりとした逃げ馬が不在のレースとあって展開を読むのが難しく、流れによってはコロコロと勝ち馬も変わってしまいそうで悩ましいですね……。

 

レース展開

スタートが決まれば中からフェイマスエンド、大外枠からバンドワゴンが前へと出して行っての先行争い。前走七夕賞でマルターズアポジーに抵抗したフェイマスエンドの姿を騎手も観ているはずで、「これをハナへ行かせて……」という形になります。バンドワゴンとストロングタイタンは好位の外目を取れる枠の並びですし、タツゴウゲキとヴォージュもイン好位を狙って積極的に前へ出して行くことが考えられ、先行勢は流動的な並び。好位のポジション取りでもつれがなければ前半1000mは60秒を切るくらいで、今の小倉の馬場からするとややスローの流れに。小倉競馬場のコース・レイアウトは2コーナーから緩やかな下り坂があるため、自然とペースが速くなります。小倉記念は重賞競走だけあって3コーナーからさらにペースが上がり、コーナーでスピードを落とさずに走れる器用さのあるタイプをピックアップしたいところです。

 

◎サンマルティン

小倉コースへの適性は上記に書いた通り。とにかく折り合えれば鋭い脚を使えるので、中団のインにもぐり前に壁を作って運べれば何とか我慢できるのではないか……という願望を込めて。小倉遠征の戸崎騎手というのは確かに不安要素ではあるものの、ストロングタイタンに比べて1kg軽い斤量は有利です。全成績が(5 - 0 - 0 - 6)とピンかパーかのレースをする馬で狙うのなら頭から。WIN5としては選びやすい馬ですね。

 

◯フェイマスエンド 6歳牡馬

七夕賞でも◯の印を打った馬。すんなりと逃げられれば今走は誰も追いかけてこないはずで、松山騎手が3コーナー過ぎから緩めずに積極的に乗れれば……。もてるポテンシャルは高い馬なので、前走大敗の精神的・身体的なダメージがなければここでも。今年の小倉記念はときどきJRAのオープン競走で観られる「アレ」が起こる可能性があります。そう、「スローペースなのに2番手以下が大きく離されている」というあの現象。前走はいかにも「仕込み」的な玉砕逃げでしたから、今走こそ期待したいですね。

七夕賞のときにフェイマスエンドについては解説をしていますので、よければそちらの記事も参照していただければ幸いです。

七夕賞('17年)は◎フェルメッツァと2桁人気馬の好走に期待してーー予想 - ずんどば競馬

 

その他の馬について

サンマルティンはスローからのロングスパート戦をピッチでバキューンと差して来る馬ですから、前につけた馬の残り目が十分にあります。とすると、その他に有力なのはストロングタイタン、タツゴウゲキ、ヴォージュなどなど……。う〜ん、オッズとしては厳しくなりそうですね。人気のバンドワゴンはストライドで走る馬なので、小回りの小倉は割引。

 

買い目

◎と◯の馬連と◎◯それぞれの単勝を。フェイマスエンドは雨が降るとよくないので、台風の影響で道悪になるようであれば、サンマルティンの単勝のみで。

 

馬連

7 - 8

 

単勝

8. 7

 

まとめ

小倉は台風の影響をギリギリ受けないようなのでフェイマスエンドのスロー+離し逃げに期待をかけたくなりますが……。道悪があまり良くない馬なので、それであればサンマルティンの単勝のみになりますね。その辺りは日曜日の天気を見て馬券を買う予定です。皆様にとっても素晴らしいレースになりますように。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。