プリメラアスールは51kgの軽量を利してマーメイドSを逃げ粘れるのか?

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牝馬限定のハンデ重賞マーメイドSは6月8日(木)に出走馬が確定し、12頭が熱い戦いを繰り広げます。

注目は、軽量51kgの逃げ馬プリメラアスール。昨秋のGⅠエリザベス女王杯を無欲の逃げで5着に好走してからは他馬のマークが厳しくなり、9着→12着→12着→7着と大きな着順が続いています。近走の成績からマークが緩くなりマイペースが叶えば、逃げ粘りがあっても驚けません。

今回の記事では、プリメラアスールが逃げることができるのか?また、好走するためには?を考察します。

 

プリメラアスール

父:スペシャルウィーク

母:リメインフォレスト(母父:アジュディケーティング)

厩舎:鈴木孝志(栗東)

 

これまでの走りについて

通算成績:25戦3勝(3 - 2 - 2 - 18)

昨年の春からメキメキと力をつけ、能勢特別(阪神芝2000m 1000万下)を11番人気(単勝62.7倍)で逃げ切り勝ちを上げると、昇級初戦のムーンライトH(阪神芝2000m 1600万下)を2着と好走してGⅠエリザベス女王杯に参戦します。

GⅠ初挑戦となったエリザベス女王杯(京都芝2200m)でも果敢に逃げて5着。牝馬同士のレースで気分良く走れるなら重賞も……という内容でしたが、GⅢ愛知杯→GⅢ中山牝馬Sとその後の重賞戦線では大きな着順を並べてしまうことに。

マーメイドSはこの馬が(1 - 1 - 1 - 0)と好成績を上げている阪神内回り芝2000m。コース替わりで逃げ粘れるのかに注目です。

 

血統

半兄のルチャドルアスール(父:ケイムホーム)も逃げを武器にオープンで活躍しており、プリメラアスールが父スペシャルウィークながら内回り・小回りで先行できるのは、母父アジュディケーティング(Danzig直仔)のパワーが源。

半兄を見ても直線平坦なコースの方が向くはずなのに、この馬が急坂の阪神で好走しているのは上りがかからないとキレ負けしてしまうタイプだからでしょう。母系がDanzigの血を色濃く伝えているため、一本調子に出たのは順当。

逃げるとしても脚を溜めて味が出るタイプではなく、ある程度ペースを上げて後続の脚を削ぐレースがベストです。

 

マーメイドSで逃げられるのか?

マーメイドS出走馬のなかで、プリメラアスールを除いて「逃げ」の手を打てるのはトーセンビクトリーとハツガツオの2頭。

 

▼トーセンビクトリー 5歳 斤量56kg

トーセンビクトリーはスタートからスッと好位置を取れるので、逃げ・先行からレースを組み立てることが多い馬です。ピッチ走法のため、スタートから加速できるのがこの馬の強味。

初重賞制覇となった中山牝馬Sは、プリメラアスールをハナに行かせてインのポケットを取る競馬をしました。スタートして2角までにインへ潜り込むことができないような位置取りになるようであれば、武豊騎手が逃げの手に出ることもあり得ます。

今回は56kgの斤量を背負うため、スタートからダッシュが効くかどうかは微妙なところで、スローに持ち込みたいタイプということからもプリメラアスールをすんなりと行かせる公算が大きいとは思います。

 

▼ハツガツオ 6歳 斤量49kg

2〜4歳時にかけては逃げまたは2、3番手の先行でないと力を発揮できなかった馬でしたが、昨年からは差しても競馬ができるようになりました。ここ5戦は中団あたりに控える競馬が続いているので、この馬が逃げ馬だという認識はそろそろ薄れて来ている頃でしょうか。

今走は、斤量が49kg+田中健騎手が騎乗ということで、「逃げ」のムードが一気に高まっています。いつも参考にさせて頂いているブログ「週刊・逃げ馬ランキング」の記事「逃げる騎手、逃げない騎手の検証」の中で興味深いデータが……

 

データを見ると田中健騎手が飛びぬけて高い数値なことが分かります。減量騎手も加えた一般戦のデータでも14.5%と新人荻野極の15%に次ぐ2位だったので、完全に逃げ騎手と考えてよさそうです。おそらく調教師の間でも逃げ騎手という認識が確立しているため、乗り代わりで逃げ馬に乗るケースも多く発生しています。逃げるから頼み、頼まれるから逃げるという循環から、26.6%の数値になっていると考えられます。特別戦に田中健騎手が出て来た時は、まず逃げるかどうかをチェックするのがよさそうです

逃げる騎手、逃げない騎手の検証 - 週刊・逃げ馬ランキング

 

こ、これは……田中健騎手を乗せて来たということは「逃げ」の手もあるのか、と考えてしまいます。49kgという軽量で乗れる騎手が田中健騎手くらいしかいなかったという可能性もあるので、難しいところですが……。

裸同然の49kgという斤量から田中騎手がスタート前から逃げる気持ちでレースに臨んでいたるとしたら、ハナも十分にあり得ます。

 

プリメラアスールが逃げるには

プリメラアスール鞍上の酒井学騎手も強気にハナを主張するタイプ。じわりとハナに立つよりは能勢特別やムーンライトHのように押して押して主張すれば、このメンバーならすんなりと先手がとれるはずです。できれば……トーセンビクトリーやハツガツオより外枠に入れば逃げやすくはなります。

 

好走するためには?

プリメラアスールは今走のマーメイドSで上位人気が予想されるマキシマムドパリにムーンライトHとエリザベス女王杯では先着をしています。特に、マーメイドSと同じ阪神芝2000mで行われたムーンライトHは前後半の1000mが59.6 - 60.3の前傾ラップに持ち込み、後続の馬が押し上げるのに脚を使ってしまう展開を利しての2着。

出走馬を見渡すと、トーセングローリーやクイーンズミラーグロなど上位人気に支持されている馬がピッチ走法のため、前後半イーブンのペースで後ろに脚を使わせて逃げ粘るレースに期待したいところです。

現在の阪神芝は高速馬場のため、前傾ラップでなければ上りのかかる展開にもちこめません。プリメラアスールの好走のレンジは上りの3Fが35秒よりもかかった時ですから、少なくとも1000m通過を60秒切るくらいのペースで入りたいですね。

イーブンペースの持続戦になった時に強さを発揮するのはアースライズくらいなので、昨秋のムーンライトHの頃のデキに戻っていれば好走も十分に。

高速馬場の阪神芝コースーーマーメイドSは高速決着に? - ずんどば競馬

 

まとめ

酒井騎手が押して押してハナを主張すれば、後続はムリに突つくことはありませんから、プリメラアスールのペースに持ち込むことができます。気がかりなのは先週の高速馬場が継続している場合。ただ、その場合でもイーブンよりも速いペースの逃げであれば自然と35秒台の上りになるので、酒井騎手がいかに強気に乗れるのかにプリメラアスールの好走がかかっています。

少頭数ながらハンデ戦で面白いメンバーが揃ったマーメイドS。プリメラアスールが逃げられるのか? また、どのようなペースになるのかも予想をする上で重要なファクターになるレースですね。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。