GⅠレーシングのペルシアンナイトとジュールポレールはマイルCS(2018年)を好走できるのか?

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11月18日(日)、淀の1600mを舞台に行われるマイルCS(GⅠ)はモズアスコット、アエロリット、アルアイン、ペルシアンナイト、ジュールポレールなどのGⅠ馬が「秋のマイル王」の座をかけて争います。

上位人気が予想されるペルシアンナイトとジュールポレールは「GⅠレーシング+追分ファーム生産」馬。2010年に設立されたGⅠレーシングはペルシアンナイトが昨年のマイルCSを制し、同クラブ初となるGⅠタイトルをもたらしました。

今年に入ると、ヴィクトリアマイルを制したジュールポレール、JDDと南部杯のJpnⅠを快勝したルヴァンスレーヴ、天皇賞・秋を2着と好走したサングレーザーなどが立て続けに大舞台で活躍し、昨年からさらに勢いが加速しています。

今回の記事ではペルシアンナイトとジュールポレールのGⅠ馬2頭をピックアップ。この2頭はマイルCSを好走することができるのでしょうか?

 

マイルCSの連覇を目指すペルシアンナイト

ペルシアンナイトは連覇を目指してマイルCSに出走します。まずは昨年のマイルCSを振り返ってみましょう。

詳しくは上記の回顧記事をご覧下さい。ここでは簡単に触れることとします。

 

2017年・マイルCSのポイント

昨年のマイルCSは以下の2つのポイントがありました。

1. 1分33秒台の決着

2. 外差し馬場

それぞれ1つずつ解説します。

 

1分33秒台の決着

京都の芝は前日に降った雨の影響が残り、ややタフなコンディション。レースの勝ちタイムは1分33秒8ですから、1800mベストの馬たちが追走に脚を削がれにくい流れだったと言えます。そのため、ピュアなマイラーではないペルシアンナイトとエアスピネルのワンツーとなりました。

 

外差し馬場

マイルCS当日の京都芝レースは逃げ・先行馬に苦しく、外からの差しが決まりやすい馬場。4コーナーから直線で馬場の真ん中より外へスムーズに出せた馬が好走するレースになったと言えます。

 

ペルシアンナイトのレースぶりは?

ペルシアンナイトはいくらか出遅れ気味のスタート。大外枠だったこともあってか、ムリせずに後方からレースを進めました。道中「イン」→直線「外」とコースロスのない理想的な進路を取れたことが、ゴール前の伸びにつながったのでしょう。

パトロールビデオを観るとよくわかりますが、ミルコ騎手は直線に向くまで仕掛けておらず、今回はしっかりと我慢できたことがゴール前でのひと押しにつながったのでしょう。先に抜け出していたのが、直線の長いコースだとラストで甘くなるエアスピネルだったというのも、この馬には向いていました。

 

マイルCSに向けて

ペルシアンナイトは「1800mベストのマイラー」なので、マイルCS連覇に向けてのポイントは以下の点です。

勝ち時計と前半800mのペース

1分31秒3の好タイム決着だった今春の安田記念は前半800が45.5と速く、1800mベストのペルシアンナイトにとって追走で脚を削がれてしまうペースでした。直線でこの馬らしい弾ける脚を使えなかったのも、前半のペースによるものです。

現在の京都の芝は高速馬場ではなく、マイルCSの前後半800mが46.5 - 46.5(1分33秒0)のペースに落ち着くなら、ペルシアンナイトの差し脚が活きます。不安なのは前半800が45.5前後になったときに、昨年のような脚が使えるのかどうか……。

前走の富士Sは59kgを背負っていたとは言え、1分31秒台の決着に対応できなかったのも事実です。ただ、時計がかかるようなら、連覇の可能性は十分にあるでしょう。

 

半兄サダムパテックとの兄妹制覇のかかるジュールポレール

今春のヴィクトリアマイルを制した良血馬ジュールポレールは、兄妹制覇をかけてマイルCSに臨みます。まずは同馬が制したヴィクトリアマイルを振り返りましょう。

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2018年・ヴィクトリアマイルのポイント

今春のヴィクトリアマイルのポイントは以下の通りです。

高速馬場+後傾ラップ

今年のヴィクトリアマイルは雨の影響を受け、昨年と同じく稍重のコンディション。ただ、雨の降り出しが遅かったことと、もともとがかなりの高速馬場だったことから、速い時計での決着となりました。

前後半800mが46.8 - 45.5と1.3秒の後傾ラップだったことから、スローペースを利して速い脚を使える馬が上位を独占する結果に。昨年との違いはレース全体が11秒台で流れたことでしょう。

 

ディープインパクト産駒らしいしなやかさ

レースの上り3Fは「11.1 - 11.2 - 11.7」の鋭さですから、ディープインパクト産駒のしなやかさが活きるレースでした。2着リスグラシューはハーツクライ産駒の中距離馬ですから、この時計だと勝ち切ることは難しかったと言えます。

ジュールポレールはマイルCSを制したサダムパテックの4分の3妹で、しなやかなキレ味が最大の武器。中山などの小回りコースでも好走歴があるものの、ベストは直線の長いコースです。牝馬の分だけ兄よりも一瞬のキレに優れたタイプで、スローペースで強いのもこの加速力によるものでしょう。

 

マイルCSに向けて

マイルCSはディープインパクト産駒と好相性のレースです。

2013〜18年・マイルCSにおけるディープインパクト産駒の成績

・2013年

1着:トーセンラー

3着:ダノンシャーク

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・2014年

1着:ダノンシャーク

2着:フィエロ

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・2015年

2着:フィエロ

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・2016年

1着:ミッキーアイル

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・2017年(稍重)

3着:サングレーザー

過去5年においてディープインパクト産駒はマイルCSを3勝し、少なくとも1頭は馬券圏内に好走しています。

父ディープインパクトからしなやかさを受け継いだ産駒は、3コーナーから下り坂のある京都コースと好相性。これは下り坂をしなやかなスピードで走れるからで、ディープインパクトの母系に入るSir Ivorの血によるものでしょう。

 

ジュールポレールは京都なら稍重がベター

兄サダムパテックがマイルCSを制したときも稍重馬場だったように、この兄妹は母サマーナイトシティーの引くTom Rolfのパワーもオン(✳︎)になっているので、京都の下り坂がベストではありません。

✳︎パワー体質だと下り坂をロスなく走れない

ジュールポレールとサダムパテックはコース適性からすれば東京>京都でしょうから、時計のかかる馬場になるようだとチャンスも……。もちろん、良馬場だからダメということではありません。

 

ペルシアンナイトとジュールポレールはセットで好走する?

先にも述べたように、この2頭は京都のマイル戦なら時計のかかる決着がベターなタイプ。勝ちタイムとしては1分33秒台になるのがベストで、京都の芝が先週よりも軽くなるようだとやや不安があります。

この2頭はマイルだとセットで好走するタイプ。昨年のマイルCSと同じように、馬券圏内にGⅠレーシングの馬が2頭入線するシーンも十分にイメージできます。現在の京都の馬場はそれほど高速化していないだけに、このままのコンディションが続くか、レース前に一雨降るとチャンスがより広がるでしょう。

 

まとめ

今年のマイルCSは実力馬が揃い、馬券を離れても楽しみなレースとなりました。GⅠレーシングの期待馬2頭はここを勝つチャンスがあるだけに、どのような作戦を立てて臨むのか……。今からドキドキしますね。

以上、お読みいただきありがとうございました。