「雷神」、「マジック・マン」と形容されるJ・モレイラ騎手がGⅠ安田記念でコンテントメントに騎乗するために来日の予定、と5月19日にJRAから発表されました。
J・モレイラがまた日本に!
J・モレイラ騎手は昨年のオースタージョッキーシリーズ(短期免許を取得し、札幌競馬場で8月13日〜28日まで騎乗)以来の来日。
今年のドバイシーマクラシックのヴィブロス、QE2世Cのネオリアリズムの「神騎乗」と賞賛される手綱捌きから、すでに日本の競馬ファンの間にもその名前が知れ渡っています。
モレイラ騎手が来日するとなれば、安田記念以外のレースでも騎乗する可能性が高く、「雷神」の手綱捌きに期待したくなりますね。
昨年の短期免許時の成績は?
J・モレイラ騎手が昨年、短期免許で来日した時の成績は下記の通りです。
8月13日〜28日まで
(17 - 12 - 7 - 17)
勝率:0.321
連対率:0.547
3着内率:0.679
出走数:53
(率の計算は小数点第4位を四捨五入)
昨年の札幌は来日前から、「J・モレイラはZ・パートン以上の騎手」と話題になっていたこともあって、騎手で人気になっていた馬もチラホラと……。それにしても、連対率の5割オーバーはさすがの一言で、騎乗馬の質が高かったのだとしても立派な数字です。
J・モレイラ騎手のベスト・ライド
昨年の札幌戦のなかで、J・モレイラ騎手のベスト・ライドは個人的にはキーンランドカップ2着のシュウジ。とにかく折り合いが難しく、どの騎手が乗ってもなだめるのに苦労する馬がキーンランドカップではすんなりとハナに立つと気持ち良さそうに走っていました。
レース映像を見ていても、モレイラ騎手は馬へのあたりが柔らかそうなピタッと身体を張り付かせるような騎乗フォーム。キーンランドカップのペースも34.1 - 34.5の前傾ラップに持ち込んでいるように、外国人騎手らしく馬の力を出し切る騎乗にも長けています。
ヴィブロスとネオリアリズムの騎乗
ドバイターフのヴィブロスもQE2世Sの騎乗も見事というほかはないもので、その2レースを振り返ります。
ドバイターフ(GⅠ メイダン競馬場芝1800m)
1着:ヴィブロス
スタートしてすぐにインコースは進路を取ると、モレイラ騎手が促しながらの追走。日本でのレースよりも手応えが悪く、コーナー加速力に優れたヴィブロスが3〜4角で前と離された時は大敗もあるかな、という走り。各馬が外に持ち出したことで、前方の進路がクリアになるとインをスルスルと伸び、最後は大外に持ち出しての差し切り勝ち。
ヴィルシーナの全妹という血統から、末脚の鋭さで勝負をする馬ではなく、器用な立ち回りと粘りのある先行で勝負をするのかと思いきや、まさかの瞬発力を発揮しての勝利となりました。
ドゥラメンテの皐月賞のように、スピードを緩めることなく外へと進路を取る手綱捌きは見事という他なく、ヴィブロスが勝利した嬉しさよりもただただ驚きました。
QE2世S(GⅠ シャティン競馬場芝2000m)
1着:ネオリアリズム
スタートでやや出負けすると、ネオリアリズムはすぐに首を上げて抑えようとする鞍上に抵抗します。1角に入るまでに何とか他馬の後ろにつけてなだめようとしますが、レースはスロー。向こう正面でもゆったりとした流れは変わらず、「これなら」とモレイラ騎手は外からひと捲りで3角手前で先頭に立ちます。そこからは内ラチをぴったりと回りながらペースを上げて最後の直線へ。後ろから迫るパキスタンスターやブレイジングスピードを抑えて1着でゴールを通過しました。
シャティンは平坦+インベタですから、スローな展開をネオリアリズムが外から差し切るのは至難の技で、捲るにしても3角手前でハナに立つ競馬をするとはさすが「雷神」。ハナに立ってからは少しずつペースアップしていくところも見事で、その素晴らしい騎乗には思わずため息が……。
この2戦を観ても、モレイラ騎手は世界中のどこで乗っても力を発揮できる一流のジョッキーで、これはR・ムーア騎手にも通じるものです。
馬を制御する技術はもちろんのこと、馬場やペースを読むこと、レース中も瞬時に判断して動けること、そうした騎手として大切な力が備わっているからこそ、どこの競馬場でも素晴らしい騎乗を見せることができるのでしょう。
安田記念出走のコンテントメントについて
J・モレイラ騎手が騎乗するコンテントメントは昨年に続いて2年連続で安田記念に出走。昨年は輸送によって馬体重を減らしてしまったことが敗因とされていますが、高速馬場で追走に苦労していた部分もあったと思います。
モレイラ騎手がコンテントメントに騎乗した時は(5 - 0 - 3 - 0)の成績からも、体調が戻ってそれほど高速決着にならないのであればチャンスはあるかもしれませんね。
コンテントメント | 競走馬データ - netkeiba.com
6月4日(日)の騎乗予定馬
安田記念の行われる日曜日、モレイラ騎手は10鞍に騎乗の予定。さすがにこれだけ依頼が来るのはすごいな……。
J・モレイラ騎手の騎乗予定馬:10鞍(東京競馬場)
1R 3歳未勝利(牝馬限定) ダート1600m
ノヴァルーナ:堀宣行厩舎
2R 3歳未勝利 ダート1300m
リンガスネオ:中舘英二厩舎
3R 3歳未勝利 芝1400m
ヴェリタブル:堀宣行厩舎
4R 3歳未勝利 芝2400m
サトノヴィクトリー:堀宣行厩舎
5R 2歳新馬 芝1600m
サトノオンリーワン:堀宣行厩舎
6R 3歳未勝利 ダート1400m
データヴァリュー:久保田貴厩舎
7R 3歳以上500万下 芝2000m
サトノティターン:堀宣行厩舎
9R ホンコンJCT(3歳以上500万下) 芝1400m
サーベラージュ:堀宣行厩舎
10R 由比ケ浜特別(3歳以上1000万下) 芝1400m
レッドアフレイム:久保田貴厩舎
11R GⅠ安田記念 芝1600m
コンテントメント:サイズ厩舎(香港)
「堀厩舎+冠名サトノ」コンビの大攻勢ですね。堀厩舎はシュタルケ騎手が単騎免許で来日していたときも出走馬のほぼすべてにシュタルケ騎手を乗せていましたから、これだけモレイラ騎手に偏るのも「いつものこと」と言えばいつものこと。
これだけ騎乗馬が集まれば、安田記念の前に馬場を把握(内外のどこが伸びるのかなど)できると思います。
それにしても、Z・パートン騎手は安田記念の1鞍だけというのは寂しすぎる……
まとめ
世界の一流ジョッキーの騎乗が日本で観られるのは本当に素晴らしいことで、モレイラ・マジックを堪能したい安田記念の日曜日になりそうです。
皆様にとっても素晴らしい日曜日になりますように。
以上、お読みいただきありがとうございました。