中内田厩舎は開業4年目の2017年、年明けから「絶好調」なスタートを切り、昨年の31勝を上回るペースで勝ち星を上げています。
2017年3月5日時点での成績
3/5(日)終了時点での成績はーー
12 - 3 - 5 - 17
勝率:.324
連対率:.405
3着内率:.541
他厩舎と比較すると
中内田厩舎は現在、関西調教師リーディングの3位につけています。ちなみに、リーディング1、2位の音無厩舎、角居厩舎の成績はーー
音無厩舎:13 - 8 - 6 - 46
角居厩舎:12 - 8 - 9 - 39
リーディング3位の厩舎としては驚くほど出走数が少なく、1着が12回と多いことからも「勝ち切っている」ことが分かります。
3年目の〜、名門厩舎との比較
新進気鋭のトレーナーとして、ちょくちょく話題に上がる中内田厩舎。「今年の絶好調ももともと地力があるからじゃないの?」という疑問はもっともなので、中内田厩舎の昨年(3年目)の成績と関西・関東の名門厩舎の3年目を比較してみるとーー
中内田充正厩舎
31 - 34 - 16 - 150
勝率:.134
連対率:.281
3着内率:.351
池江泰寿厩舎
36 - 23 - 16 - 118
勝率:.186
連対率:.304
3着内率:.387
堀宣行厩舎
23 - 23 - 21 - 116
勝率:.126
連対率:.251
3着内率:.366
さすがの池江泰厩舎。有馬記念やJCなどのGⅠに複数頭出走させ、GⅠを勝つだけのことはあるな、という数字。
中内田厩舎は堀厩舎と遜色ない数字で、3年目は上の2厩舎に比べると出走数が多かったことが各率に影響を与えたのかもしれません。
1着が多いなら、WIN5でしめしめできる?
話を今年の中内田厩舎に戻してーーこれだけ1着が多いとなると、WIN5の買い目に入れよう! と思ってしまいますが、12勝のなかで特別戦の勝ち数は2に留まります。
また、WIN5対象レースに出走させたのは8Rあり、勝ったのはグレイトパール1頭のみですから、「しめしめ」というほどの成績ではありません。
人気と着順は?
「中内田厩舎の大ファン」とか「中内田充正LOVE」とかでない限り、好成績だから「わーい!」とはならなくて、結局「馬券につながるか?」が多くの人にとって興味のあるところになるわけです。
まずは、2017年に出走した所属馬の人気と着順を見てみるとーー
人気:2.73
着順:4.42
*少数第3位を四捨五入
*1/22 3歳500万下に出走したオールドベイリーは競走を中止したため計算から除外しています
人気<着順ということは、人気薄での好走が少なく、人気馬でも負けているということを表しています。
どの人気のゾーンが信頼できるか?
1〜3番人気:11 - 3 - 3 - 10
4〜6番人気:1 - 0 - 2 - 2
7人気〜:0 - 0 - 0 - 3
上位人気の馬ばかりの出走というのはある意味すごいです…
1〜3の上位人気の中でも、1番人気に限定するとーー(7 - 1 - 2 - 4)となり複勝率は7割オーバー。
う〜ん、馬券的な妙味としては着外になっている「4」回をどのように拾うのかが大切ですね。
クラス別の成績
次に見るのはクラス別の成績。
中内田厩舎のスイートスポットがどこにあるのでしょうか?
3歳新馬・未勝利:(6 - 1 - 0 - 4)
3歳500万下:(0 - 0 - 0 - 3)
3歳オープン:(0 - 0 - 0 - 1)
4歳上500万下:(2 - 0 - 3 - 3)
4歳上1000万下:(2 - 1 - 1 - 3)
4歳上1600万下:(1 - 1 - 1 - 2)
4歳上オープン:(0 - 0 - 0 - 0)
障害オープン:(1 - 0 - 0 - 0)
*出走のないクラスは省略しています
万遍なく勝っている印象です。下級条件はレース数も多くなるので、3歳新馬・未勝利の勝利数が多くなるのは当然だと言えます。
この最も勝利数の多い3歳新馬・未勝利戦を人気で絞ると、1番人気になった馬は(4 - 1 - 0 - 1)と逆らわない方が無難な数字。
また、3歳500万下の(0 - 0 - 0 - 3)の3頭は1、2番人気に支持された馬で着外。昇級初戦で過剰人気になっている馬は期待値が低いので、これは馬券に使えるかもしれません。
どんな騎手に依頼しているの?
2017年は12人の騎手に騎乗依頼を出しています。そのなかで勝ち星を上げているのはーー
川田将雅:3 - 0 - 0 - 2
武 豊:2 - 1 - 0 - 1
Mデムーロ:2 - 1 - 0 - 4
Cルメール:1 - 1 - 0 - 2
四位洋文:1 - 0 - 2 - 0
中井裕二:1 - 0 - 1 - 2
和田竜二:1 - 0 - 0 - 1
高田 潤:1 - 0 - 0 - 0 障害戦
リーディング上位の騎手にそれほど偏りがなく依頼しています。
中井裕二騎手の騎乗はすべて小倉と中京というローカル開催でのもの。騎手どうこうというのはそれほど気にしなくてもよさそうです。
馬主で見ると
馬主で注目なのは、H・H・シェイク・モハメド、H・H・シェイク・ファハドの2人の殿下と大迫久美子。
H・H・シェイク・モハメド(4 - 0 - 0 - 2)
H・H・シェイク・ファハド(1 - 0 - 0 - 0)
大迫久美子(2 - 1 - 2 - 1)
2人の殿下
中内田調教師は、アイルランドへの競馬留学や海外の名門厩舎への在籍など海外の競馬に精通しています。そのため、2人の殿下とも親交があるのか力のある馬が預託されています。
特に、注目したいのはファハド殿下所有のパールコードとグレイトパール。
パールコード(4歳牝馬)
母:マジックコード(母父Lost Code)
今週の中山牝馬Sにスタンバイしているパールコード。昨秋は秋華賞2着、エリザベス女王杯4着と牝馬の中ではGⅠで戦える力を示しました。先行してしぶといタイプで、主戦の川田騎手とは手の合う馬。7戦すべてで掲示板を確保しているように安定感があるのも強みで、中内田厩舎初のGⅠ制覇が期待される馬。
グレイトパール(4歳牡馬)
父:キングカメハメハ
母:フォーチュンワード(母父デヒア)
ダーレーの生産馬ではなく、新ひだか町のセレクトセールで3,150万円で落札されました。
3歳の芝2000mの新馬戦でデビュー勝ちをし、その後は芝のレースで好結果が出せずに、ダートに転向して500万下〜1600万下までを3連勝でオープンまで駆け上がりました。前走の初夢S1600万下(京都ダート1900m)では単勝1倍台に応えて中団後ろからの捲りで快勝。2着と4着に下したテイエムジンソクとナムラアラシは伊丹S1600万下で3着、1着と好結果を出しており、初夢Sのレベルは担保されています。
今年の明け4歳馬はフェブラリーSを制したゴールドドリーム、東海Sを制したグレンツェントとダート路線はハイレベル。グレイトパールもここに加わることができるのか楽しみです。
不安点
グレイトパールの不安点は2つあります。
1. 京都ダート1900mしかコースの経験がない
3連勝したのはコース、距離ともにすべて京都の1900m戦のため、他のコースで力を発揮できるのかはこの後のレースを見守らなければなりません。
2. ダートはオープンの壁がある
ダート路線は1600万下とオープンを連勝することが芝に較べると難しい傾向にあります。例えば、3/5(日)の阪神10RポラリスS(オープン)で昇級初戦ながら単勝2.1倍の1番人気に支持されたコウエイエンブレム(4歳牡馬)も古馬のスーサンジョイに差されて2着と敗れました。
中内田厩舎の力でグレイトパールがオープンまでぶっこ抜けるのかは注目です。
大迫久美子
大迫久美子氏は「ゼンノ」の冠で知られる有力な馬主の1人。
中内田厩舎のゼンノ馬は武豊騎手か四位騎手が乗ることがデフォルトなので、この組み合わせで人気を背負っているようだと崩れることがあまりありません。
まとめ
ここまで、中内田厩舎の特徴を分析しました。
今後、馬券を買う上での楽しみは3歳500万下で人気で負けた馬たちの巻き返し。
3歳500万下クラスにも楽しみな馬が所属しているので、それはまた別の記事で。
以上、お読み頂きありがとうございました。