アーモンドアイの眩しさに思わず目を背けた2018年のオークスーー回顧

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眩しくて、あまりにも眩しすぎて、目を背けたーー

アーモンドアイは「バンビ」のような軽くてしなやかなフットワークでオークスの直線を駆け抜けました。

「桜花賞よりももっと苦労するかな?」とか「ラッキーライラックと叩き合いになったらルメール騎手も慌てるかな?」などの邪な気持ちをもってレースを観ていたので、アーモンドアイが素晴らしいフットワークで抜け出したときは、馬券が外れたこと以上に気分がズーンと凹んでしまいました。

苦しんで、もがいて、もがいて掴み取った2冠というよりも、「バンビ」のような無邪気さでアッサリとクラシックを勝つアーモンドアイは、少女マンガのヒロインが恋に落ちる「イケメン+学業優秀+スポーツ万能+お金持ち」な男性みたいで、アラフォーの気分は沈み込むばかり……。

もうね、彼女の才能と若さが「あーっ!」と叫びたくなるほどに妬ましく、その才女の「国民的アイドル」的な眩しさを目の当たりにすると、思春期の恋愛のようなモヤモヤする感覚が襲ってきて、惨めな気持ちになります。そうして、私はその真っ直ぐな眩しさから目を背けてしまうのでした。

 

2着のリリーノーブルはバプティスタ(ビーバップ)牝系らしいGⅠでの好走。桜花賞の展望記事でも書いたように、この牝系は大舞台を勝ち切る「後一歩」が足らない……。名繁殖牝馬エリモピクシーの仔たちと同じく、その「後一歩」はわずかなものに見えて、隔たりは大きいのでしょう。

主戦の川田騎手は、最内枠に入ったこととハードな調教をこなしたことを恐れず、スタートからしっかりと前目のポジションを取り切り、直線でも「勝ちに行く」仕掛けでしたが……。この2着は人馬ともに素晴らしいパフォーマンスを発揮した結果と言えます。

川田騎手はダービーでダノンプレミアムに騎乗することもあり、東京芝2400mをどのように「先行して押し切るのか?」はオークスで掴めたはずです。この敗戦がダービーに活かされることを期待しましょう。

 

ラッキーライラックはリリーノーブルのすぐ後ろのポジションを取れて「しまった」たこと、「高速馬場」のため上り33秒台の決着になってしまったことで、もうひとつ噛み合いませんでしたね。アーモンドアイを意識するのは当然としても、もう少し前目のポジションから先に抜け出しておきたかった……。理想はリリーノーブルの競馬だったでしょう。

GⅠ級のオルフェーヴル産駒は皐月賞馬のエポカドーロとラッキーライラックともに、ビュンとしなやかにキレるのではなく、前目から粘り込むレースを得意としており、実質的にスローペースとなった今年のオークスでは、あの位置から差すとなると伸び負けしてしまいます。ただ、大きくは崩れなかったのは高い競争能力があってこそですから、秋の巻き返しに期待!

 

4着レッドサクヤ、5着マウレアは先行勢を見る形でレースを進め、ロスなくスムーズに立ち回っての好走。どちらも「勝ちに行った」ものではなく、福永騎手と武豊騎手らしいソツのない騎乗でした。中距離馬の体型をしているマウレアがレッドサクヤとの併せ馬で伸び負けたのは、体調面での上積みがなかったこと以上に、今年のオークスが1800mベスト型に向いたスピード優先の決着だったことも理由のひとつでしょう。

 

6着のサトノワルキューレはしなやかなキレよりもスタミナと持続的な末脚で勝負するタイプだけに、東京の芝2400mで上り33秒台になっては辛かった……。2・3番手に付けてペースをコントロールする展開にもち込まないと好走の目がなかったですね。もう少しスタートが安定してからが本格化でしょう。

母系は傍流の血統が織り込まれており、これからグングンと成長するはずで、今秋、来春が楽しみな1頭です。

 

今年のオークスは自らの矮小さと老いを実感するレースとなりました。馬券が外れるだけではなく、観戦するだけでも惨めな気持ちになるレースが1年に何度もあって、そうして私はまた歳を重ねていくわけです。

以上、お読みいただきありがとうございました。