マイル重賞を1分33秒0の好時計で駆け抜けたダノンプレミアムーー中内田厩舎の快進撃は続く

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2歳のマイル重賞「GⅢサウジアラビアロイヤルC」は中内田厩舎の評判馬ダノンプレミアム(2歳牡馬)が好スタートから2番手でレースの流れに乗ると、直線の坂下で先頭に立っての押し切り勝ち。金曜日に降った雨が残る「稍重」のコンディションにもかかわらず、1分33秒0の2歳マイル戦のレコードがマークされました。

ダノンプレミアムを管理する中内田厩舎はこの勝利で、GⅢ新潟2歳Sのフロンティアに続く2歳重賞制覇。今年の12月に行われる2歳GⅠ、そして来春のクラシックに向けて、厩舎としては楽しみのふくらむ2歳馬たちの活躍ぶり。マイル重賞を制したダノンプレミアムが今後どのようなローテーションを組むのかは注目です。

 

ダノンプレミアム 2歳牡馬

父:ディープインパクト

母:インディアナギャル(母父:Intikhab)

厩舎:中内田充正(栗東)

生産:ケイアイファーム

ダノンプレミアムは2歳の早い時期からムキムキの馬体をしており、非力さや緩さが弱点のディープインパクト産駒としてはやや異質のタイプ。新馬戦→サウジアラビアロイヤルCと2戦連続でポンと好スタートを切れたのは、後脚を踏ん張ることができるからで、つまりその部分の筋肉がついている証です。

ジェンティルドンナやリアルスティールなど2歳〜3歳の早期に活躍できるディープインパクト産駒はスタートをポンと切れる馬が多く、それはレースに勝つために必要な筋肉がすでについているためで、だからこそ、3歳春のクラシックに間に合うのです。

 

サウジアラビアロイヤルCのレース内容

ダノンプレミアムはポンと好スタートを切ると、ハナを主張したハクサンフエロを先に行かせて早々に2番手の外目を確保します。前後半800mが46.1 - 46.9(0.8の前傾ラップ)を2番手からレースを進めて、直線半ばで先頭に立つと後続を寄せ付けずに余力たっぷりにゴール。「稍重」のコンディションでも「高速」状態だった馬場を差し引いても1分33秒0の2歳レコードは立派で、上り坂があって直線の長いコースであればこの馬のパワーストライドが最大限に活かせるでしょう。

とにもかくにも坂を駆け上がる時のパワーが秀逸で、ゴールまで残り200mを切ってからのストライドの伸びは目を見張るものがありましたね。

 

血統

母インディアナギャルはDanzig4×3とBuckpasser5×5、Queen of Light7×5のクロスをもつのが特徴的な繁殖牝馬です。ダノンプレミアムの全兄ロードプレミアム(4歳牡馬・池江寿厩舎)はHabitat←Sir Gaylordのしなやかさが現れているため、古馬になってジワジワと力をつけて今夏に2勝目を上げました。

DanzigとBuckpasserを通じるZienelleとデインヒル(血統構成が似ている)のクロス、そして父Borealis×母父DonatelloのQueen of Lightがディープインパクトの祖母Burghclereの血と脈略し、スタミナとパワーを増したのがダノンプレミアムだと言えるでしょう。

ディープインパクト×デインヒルというと昨年のGⅠ朝日杯FSを勝ったサトノアレスがパッと思いつきますが、パワータイプに出れば2歳の早い時期から動けますし、しなやかタイプだとロードプレミアムのように完成が遅めになるのです。ダノンプレミアムは2歳のマイル戦で1分33秒台ですから、もうね、ムキムキのタイプに出ましたね。

ダノンプレミアムの血統表 | 競走馬データ - netkeiba.com

 

GⅠへ向けて

2歳の評判馬ワグネリアンが東京スポーツ杯かホープフルSというローテーションになる可能性が高いことからも、ダノンプレミアムは朝日杯FSへ向かうことになるのでしょう。

パワーストライドで走るので、阪神芝1600mの朝日杯FSはOKの舞台。中山競馬場で行なわれる皐月賞はコース的にこの馬に不向きなので、来春はNHKマイルCに向かうのかどうかが注目です。中内田厩舎として初めてのGⅠ制覇がこの馬によって達成されるのでしょうか。

 

中内田厩舎は2歳戦が絶好調

10月8日(日)終了時点で、2歳戦の成績が(6 - 1 - 1 - 4)の好成績。日曜日の東京5Rの新馬戦でジェシーが2着に入線し、これで6着以下になったのは1度のみですから、12分の11の確率で掲示板内を確保するという恐ろしい成績になっています。

twitterにもツイートしたように、中内田厩舎+川田騎手はゴールデンコンビなので、この組み合わせで2歳馬が出走してきたら高確率で馬券内に入るので……どうしても人気になってしまうので、買い時が難しいのですがね……。

中内田厩舎の2歳馬が上げた6勝の内、重賞勝利がフロンティアの新潟2歳SとダノンプレミアムのサウジアラビアロイヤルCですから、勝ち星だけではなく中身が濃いのも特徴。この厩舎の現2歳馬はフォックスクリークなどまだまだ素質馬がいるので、引き続き注目しましょう。

新進気鋭の中内田調教師が管理する期待馬ダノンプレミアムはサウジアラビアRCを好走できるのか? - ずんどば競馬

 

2着ステルヴィオと3着カーボナードについて

サウジアラビアロイヤルCのレースを観て、気になったのは2着のステルヴィオと3着のカーボナード。後者はレース後に血統表を見返してみて、「うわ〜ん」と泣きたくなるような好配合でした。

 

ステルヴィオ 2歳牡馬

新種牡馬ロードカナロア産駒の期待馬ステルヴィオは後方からレースを進めると、直線で目を引く伸びを見せて2着を確保しました。いかにも東京芝1600〜1800mが合うストライド走法。距離がさらに延びて良さがでるのかは「?」がつくものの、気性的にかかる馬ではなく、3歳春までの時点なら2000mは十分にこなせるでしょう。この馬はロードカナロア産駒らしい「柔らかさ」が表現されており、祖母アズサユミ→母ラルケットというコンスタントに活躍馬を出す牝系らしい素質馬です。ただ、この牝系が重賞を勝てるだけの活力があるのかはわからず、ステルヴィオの今後の成長には期待をしています。

 

カーボナード 2歳牡馬

好スタートから先行勢を見る形でレースを進め、直線で馬場の真ん中から伸びての3着。スムーズなレース運びで力を出し切ったにもかかわらず、ダノンプレミアムには突き放され、ステルヴィオには後方から差されたので「見た目」はあまりよくないものの、ストライドの伸びる走りからも能力があることは間違いありません。

カーボナードの母系は名牝Courtly Deeにさかのぼり、とにかく活躍馬がゴロゴロと出る一大牝系の出身です。祖母のYousefiaは大種牡馬Green Desertの全妹で、母ディアマンティナは重賞2勝馬のダークシャドウを出した好繁殖牝馬マチカネハツシマダの半妹に当たります。

Courtly DeeにSir Ivor→Danzig→Seeking the Goldと名血・名種牡馬がかけられ、その締めにディープインパクトですから、もうグウの音も出ないほどの良血馬です。この馬が2歳の早期から動けるディープインパクト産駒なのは、ダノンプレミアムと同じくSeeking the GoldとDanzigのパワーによるもの。ただ、こちらはSir Ivorのクロスがあることから体質は柔らかめでしなやかなストライドで差すタイプです。Courtly Deeの牝系は総じて完成が遅めなので、これからグイグイと成長していくでしょう。ローズSを勝ったラビットランと言い、今年はCourtly Dee牝系の当たり年と言えそうですね。

カーボナードの血統表 | 競走馬データ - netkeiba.com

 

まとめ

ダノンプレミアムと中内田厩舎の快進撃はまだまだ続きそうな2017年の秋。厩舎初のGⅠ制覇をこの馬が成し遂げるのか、今から朝日杯FSが楽しみになります。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。