オルフェーヴル産駒の2歳重賞勝ち馬は2頭の牝馬ーーロックディスタウンとラッキーライラックの今後は?

f:id:hakusanten:20171030095206j:plain

2017年の2歳世代が初年度産駒となるオルフェーヴルは、10月29日(日)終了時点で2頭の重賞勝ち馬を出すなど、種牡馬として好スタートを切りました。

札幌2歳S(GⅢ・札幌芝1800m)1着のロックディスタウン、アルテミスS(GⅢ・東京芝1600m)1着のラッキーライラックともに、来春の「クラシック候補」として期待が高まります。

今回の記事では、オルフェーヴル産駒の特徴と重賞馬2頭の今後について見ていきましょう。

 

新種牡馬オルフェーヴル

競走馬として3歳牡馬クラシックの3冠を制し、2年続けて凱旋門賞2着となるなど「規格外」の強さを誇ったオルフェーヴル。フランスでも日本でも、そしてコースや距離を問わない素晴らしい走りは、今でも多くの競馬ファンから「最強馬」として名前の挙がる1頭です。

 

プロフィール

父:ステイゴールド

母:オリエンタルアート(母父:メジロマックイーン)

厩舎:池江泰寿(栗東)

生産:社台コーポレーション白老ファーム

オルフェーヴルは宝塚記念と有馬記念のグランプリを制したドリームジャーニーの全弟として大きな期待を集めました。兄は内回り・小回りをスパーンと捲るピッチ走法の馬。それに対して、弟オルフェーヴルは脚を速く回転させながらもしなやかにストライドを伸ばせる馬でした。

兄に較べて馬格があり、凱旋門賞の行われたロンシャンの芝も苦にすることはありませんでしたし、気難しさ(4歳時の阪神大賞典における逸走は、この馬の気難しさを物語るエピソードの1つ)さえ出さなければ、コースも馬場も不問の一流馬と言えます。

 

血統

母オリエンタルアートはドリームジャーニー=オルフェーヴル全兄弟を産み、アベレージヒッターというよりはホームランバッタータイプの名牝。父ステイゴールドも「社台」の歴史が詰まった名血・名種牡馬です。

ノーザンテースト4×3のクロスをもつため、ラストランの有馬記念を圧巻のコーナー加速力で捲ったパワーが長所の1つ。タフな馬場だった凱旋門賞を苦もなく走れたのは、この日本を代表する種牡馬のパワーを受け継いだからでしょう。

小回り向きのパワーだけではなく、直線の長いコースでもしなやかにキレるのがオルフェーヴルの最大の長所と言えます。この柔らかさは父ステイゴールドと母父メジロマックイーンに流れるパーソロンやリマンドによるもの。これらの血が発現しているところが何よりも素晴らしいのです。

 

産駒の特徴は?

オルフェーヴルがノーザンテースト3×4をもつため、産駒はこのクロスを活かすと小回り・内回り向きのピッチで走るパワー型が出ます。札幌の新馬戦をレコード勝ちしたクリノクーニングなどがこのタイプ。

新潟の外回りの新馬戦→アルテミスSを連勝したラッキーライラックはNorthern Dancerのクロスが薄く(6・5×6・6)、産駒のなかでは「柔らかい」走りをするのが特徴です。ノーザンテーストの血に触れなければ、直線の長いコースをしなやかに走る産駒も出るのでしょう。

2戦2勝の重賞勝ち馬が2頭も出ているように、オルフェーヴルはその父ステイゴールドと同じく、「1発長打!」のタイプ。平均的に「走る」仔が出るというよりも、重賞級をポコポコ出すイメージが湧きます。

 

ロックディスタウンとラッキーライラックについて

それでは、2戦2勝で重賞勝ち馬となったロックディスタウンとラッキーライラックの2頭をそれぞれ見ていきましょう。

 

ロックディスタウン 2歳牝馬

父:オルフェーヴル

母:ストレイキャット

厩舎:二ノ宮敬宇(美浦)

生産:社台コーポレーション白老ファーム

ロックディスタウンは直線の長い新潟芝1800mの新馬戦を、上り3F32.5の脚でアッサリと勝ち上がり、重賞レースへと駒を進めました。牡馬混合の札幌2歳Sはタフな馬場をものともせず、3コーナー過ぎから馬場の外目を捲ると2着ファストアプローチをパワーでねじ伏せる強い競馬。この重賞勝利は、新馬戦で見せた「素質」が確かなものであることを示す1戦となりました。

札幌2歳Sが1800mの距離で行われるようになった1997年から、牝馬による勝利は2013年のレッドリヴェール以来となる2頭目。ロックディスタウンにとっては、年末の2歳牝馬GⅠの阪神JF、そして来春のクラシックへ向けて大きく展望の拓ける勝利だったと言えます。

 

血統

母ストレイキャットは3連勝でクイーンC(GⅢ・東京芝1600m)を制したキャットコイン(父ステイゴールド)、今夏に1600万下のレースを勝ってオープン入りを果たしたワンブレスアウェイ(父ステイゴールド)などの活躍馬を出している好繁殖牝馬。

ロックディスタウンは父がオルフェーヴルに替わり、上記2頭の姉とは4分の3妹にあたります。新種牡馬の父はノーザンテースト4×3のクロスをもつため、ステイゴールドよりもパワー型の産駒を出す確率は高いと言えるでしょう。

Storm Cat産駒のストレイキャット自身はノーザンテーストの血をもたないものの、Northern Dancerと同配合のIcecapade(Nearctic×Native Dancer)を引くため、この2頭の3×4のクロスをもちます。また、ノーザンテーストと似通った血のStorm Birdをもつことから、ロックディスタウンはより姉たちよりもパワー型に振れています。

この馬はキャットコインよりもワンブレスアウェイに体型も走りも似ていて、牝馬としては馬格に恵まれているのも好印象。ルメール騎手が札幌2歳Sのレース後に「小回りは忙しい」とコメントしていましたが、配合から小回り向きです。

 

今後に向けて

母ストレイキャットの仔は2歳〜3歳春にかけて、そのスピードとパワーで重賞でも好走する仕上がり早のタイプが出ます。ロックディスタウンは小回り向きのパワーを強調した配合をしていますが、柔らかみのあるフォームで走るのが特徴です。

これから父母のパワーが発現してきたときに、この柔らかさをキープできるのであれば、東京などの直線の長いコースでもビュンと弾ける脚が使えるでしょう。3歳の春まではスピードとパワーで押し切れる血統なので、少なくとも桜花賞までは楽しみが続きます。

 

ラッキーライラック 2歳牝馬

父:オルフェーヴル

母:ライラックスアンドレース(母父:Flower Alley)

厩舎:松永幹夫(栗東)

生産:ノーザンファーム

スローになった新潟芝1600mの新馬戦は上り3F33.1でビュンと反応し、重厚なストライドで快勝。オルフェーヴル産駒としては脚が脚が長く、見栄えのする好馬体をもっています。

1戦1勝で臨んだアルテミスSは、スタートして外目4、5番手で流れに乗ると、直線に向いても鞍上の手応えは楽なまま。残り300mのあたりから仕掛けられると、重厚かつしなやかなストライドで逃げたサヤカチャンを捕らえました。ゴールまでストライドが乱れることはなく、いかにも素質馬らしい走りでした。

ラッキーライラックは新馬戦→アルテミスSと重厚なストライドで差し切り勝ちを上げたことからも、瞬発力で勝負するよりは持続力のタイプ。もっと積極的に乗っても末脚は衰えないはずで、好位からのレースがベターでしょう。

 

血統

母ライラックスアンドレースは、ミッキーアイルやアエロリットなどのGⅠが出ている名牝ステラマドリッドに遡る牝系。その父Flower Alleyはトーセンラー=スピルバーグ(父)全兄妹の半兄にあたります。名牝プリンセスオリビアの仔Flower Alleyをはじめ、ライラックスアンドレースは代々名牝系の種牡馬が重ねられており、母系の活力は十分です。

ラッキーライラック自身はNorthern Dancerの6・5×6・6のクロスをもち、この名種牡馬の血が薄いのが最大の特徴。オルフェーヴル産駒としてはしなやかさのある走りは、母系に入るフォーティナイナーを通じるMr. Prospectorの血と、北米血統のSeattle Slewによるものでしょう。

 

今後に向けて

Northern Dancerの強いクロスをもたない母から、2歳の重賞を勝つオルフェーヴル産駒が出たのは素晴らしいの一言です。とにかく、この重厚で美しいフォームからも、ラッキーライラックが素質馬であることは疑いようがありません。

ストライド走法ですから、直線の長いコースに向いており、体型や走りからは中距離馬。マイル戦であれば、前半のペースがゆったりとする流れがベター。

阪神JF→桜花賞→オークスと3歳春のクラシックまでは、GⅠが直線の長いコースで行われますから、ラッキーライラックにとって「どんと来い!」の舞台が続きます。

できれば、できれば石橋脩騎手を続投させて欲しいのですが……次走以降の騎手が誰なのかが気になって……。

 

まとめ

オルフェーヴル産駒の2歳重賞勝ち馬は2頭ともに牝馬。初年度から素質あふれる仔を出し、来春のクラシックが楽しみになりました。

この後、名牝シンハリーズの仔シンハラージャなど楽しみな牡馬がデビューを控えています。この2頭に続く大物が現れるのか、新種牡馬オルフェーヴルの産駒から目が離せません。

シンハリーズはオークス馬シンハライトの母

 

以上、お読みいただきありがとうございました。