3歳牝馬のソウルスターリングはジェンティルドンナのようにジャパンカップ(2017年)を勝てるのか?

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「1着賞金3億円」の国際GⅠジャパンカップは11月26日(日)、「チャンピオン・ディスタンス&コース」と言われる東京芝2400mを舞台に行われます。

今年は年内での引退が発表されている現役最強馬キタサンブラックが主役を務め、そこに宝塚記念を制したサトノクラウン、3歳馬のレイデオロが挑戦。日本の中長距離チャンピオンを決めるのに、ふさわしいメンバーとなりました。

 

3歳ダービー&オークス馬が出走

今年のジャパンカップは2014年のワンアンドオンリーとハープスター以来となる、「その年のダービー&オークス馬」レイデオロとソウルスターリングが揃って出走。

この2頭はともに、東京競馬場の芝GⅠにおいて数々のタイトルを獲得してきた藤沢和雄調教師の管理馬とあって、ジャパンカップでも上位の人気が想定されます。

3歳世代を代表する2頭が古馬を相手にどのような走りをするのか、今からレースが楽しみですね。レイデオロについてはすでにジャパンカップへの展望記事を書いていますので、今回はソウルスターリングを解説します。

 

3歳牝馬とジャパンカップ

3歳牝馬のジャパンカップ出走は近年のトレンドとなっており、2012年のジェンティルドンナから今年のソウルスターリングまで6年連続です。日本調教馬に限れば、過去10年で7頭の3歳牝馬がジャパンカップへ出走しています。

3歳牝馬とジャパンカップ

2016年:ビッシュ16着

2015年:ミッキークイーン 8着

2014年:ハープスター 5着

2013年:デニムアンドルビー 2

2012年:ジェンティルドンナ 1

2009年:レッドディザイア 3着

2007年:ウオッカ 4着

2012年のジェンティルドンナ(上り32.8)、13年のデニムアンドルビー(上り33.2)と連対馬を出した2年は牝馬らしい「キレ」を活かせるレースでした。09年レッドディザイア(上り34.7)は上りのかかる苦しい流れでしたから、3着まで。

✳︎)09年の1着馬ウォッカは牝馬ながら男性的なストライドで走るのが特徴でした。

ソウルスターリングが2着以内に好走するためには、今年のオークスのように「スロー+4Fのスパート戦」になるのが理想です。

 

ソウルスターリング 3歳牝馬

父:Frankel

母:スタセリタ(母父:Monsun)

厩舎:藤沢和雄(美浦)

生産:ノーザンファーム

阪神JF(GⅠ・阪神芝1600m)を無敗で制した「天才少女」は、桜花賞3着で初めて戦歴に土がついたものの、その後のオークスをきっちりと勝ち、3歳女王に輝きました。夏を休養にあてて迎えた秋は古馬+牡馬と走る天皇賞・秋を最大目標としたものの、「不良馬場」の影響もあり6着と敗退。そのダメージが少なかったことから、ジャパンカップへと駒を進めます。

 

血統

父Frankelは競走馬として14戦14勝(内GⅠ10勝)、国際レーティング史上最高の「140」をマークした名マイラー。母スタセリタも仏オークスやヴェルメイユ賞などGⅠ6勝の名牝で、ソウルスターリングは名競走馬の父母がかけられた配合です。

Frankelは父Galileo×母父デインヒルというコテコテの「欧州配合」で、Northern Dancer3×4のクロスをもちます。そのため、ドイツ血統で固められたスタセリタとは好相性。ソウルスターリングは欧州で走っていても違和感のない良血馬と言えます。

この馬が日本の芝向きに対応できるのは、父Frankelの母系に入るBlushing Groomと母スタセリタのMonsunやShirly Heightsのしなやかな血によるものでしょう。また、母の主戦でもあったルメール騎手が「スタセリタに似ている」とコメントしているように、ソウルスターリングは2000mがベストの中距離馬です。

 

毎日王冠と天皇賞・秋の敗因

古馬との初対戦となった毎日王冠は最内枠からスローで逃げての8着、巻き返しを期した天皇賞・秋は歴史的な不良馬場を前に6着と敗退しました。2走とも掲示板内に上がれなかったものの、悲観する内容ではありません。

毎日王冠は押し出されるようにハナに立ってしまいリラックスして走れなかったこと、上り32秒台の瞬発力勝負になってしまったことが敗因です。天皇賞・秋は「あの不良馬場」によって心身のタフさが問われ、3歳牝馬には苦しいレースでした。

 

ジャパンカップに向けて

ソウルスターリングは父Frankelほど筋骨隆々の馬体ではないため、細身だったスタセリタの影響が強く出ています。ベストの距離が2000mとすると、芝2400mのジャパンカップは条件が好転するとは言えません。

また、主戦を務めていたルメール騎手がレイデオロに乗るため、C・デムーロ騎手への乗り替わりもプラスとは……。母スタセリタの背中も知っていた騎手でしたしね。

 

展開は?

今年のジャパンカップはロングスパート戦にもち込みたいサトノクラウンが展開の鍵を握っています。キタサンブラックがもっとも得意とする「4Fからのスパート戦」にさせないように、M・デムーロ騎手がどのようなレースプランで臨むのかがポイントでしょう。

ソウルスターリングにとってはオークスと同じような「スロー+好位のイン+4Fからのスパート」戦が理想です。残り5F以上の持続戦にどれだけ対応できるのかは未知と言えます。ただ、ベストの距離は2000mなので、本質的なスタミナを問われるような流れになると苦しくなってしまうかもしれませんね。

✳︎)ドイツ調教馬のギニョールが「逃げ」宣言をしているものの、どのようなペースを作るのはわからないので、ここもスタートが決まればキタサンブラック+武豊騎手のペースメイクが濃厚です。

 

3着内の可能性は十分に

キタサンブラックが好走するようレースであれば、スロー+4Fのスパート戦になっているので、ソウルスターリングにも十分にチャンスはあります(高速馬場でなくともOK)。

問題はサトノクラウンが勝ち切るような、スタミナも問われる持続戦になったときに対応できるのかどうか……。ロングスパート戦はまだ未経験なので、こればかりは走ってみないとわかりません。

 

繁殖牝馬としての価値を高めるために

ソウルスターリングは競走馬としてだけではなく、繁殖牝馬としても高い価値をもっています。すでにディープインパクトを付ければGⅠ級の仔が出る可能性の高い配合。好メンバーの揃った今年のジャパンカップでの走りは、繁殖牝馬としての価値を高めるのには絶好と言っていいでしょう。

 

まとめ

3歳牝馬としてジャパンカップへ出走するソウルスターリングは、古馬+牡馬相手の芝2400mを構想できるのか、今からレースが楽しみですね。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。