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池江泰寿厩舎はフランス遠征で国内の成績を落とすのか?ーーアルアインのGⅡセントライト記念

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9月10日、凱旋門賞の前哨戦フォワ賞(GⅡ 芝2400m シャンティイ競馬場)に出走したサトノダイヤモンドは直線でいつもの伸びを欠き4着(6頭立て)と敗退。同馬を管理する池江泰寿調教師(栗東)にとっても苦しい敗戦となりました。凱旋門賞に向けてここから立て直しが図れるのか、日本の期待を一身に背負うサトノダイヤモンドの本番での走りに注目です。

日本では9月9日(土)に秋華賞トライアルのGⅢ紫苑Sが行われ、いよいよ秋のGⅠ戦線へ向かう馬たちの戦いが始まります。9月18日(月)、GⅠ菊花賞のトライアルレース「GⅡセントライト記念」が中山芝2200mを舞台に行われ、池江寿厩舎の皐月賞馬アルアインが出走。アルアインがセントライト記念を好走し、フランスに滞在するサトノダイヤモンドを勇気付けることができるのでしょうか?

 

長期の海外遠征は厩舎のリソースを割かれる

フォワ賞のレース後、そして、その翌日にも池江寿調教師からサトノダイヤモンドについてのコメントが出されました。凱旋門賞という大一番に向けて、しっかりと馬の状態をチェックするために調教師自身もフランスに渡らなければならず、その分だけ厩舎のリソースが「海外遠征」へ割かれます。

池江寿厩舎のリソースが海外に振り分けられるほど、国内でのレースにも影響を与えかねません。サトノダイヤモンドの遠征する8月20日〜10月2日の期間、日本では秋のGⅠ路線の前哨戦が真っ盛り。池江寿厩舎がこの期間に今の成績を落とさずに乗り切れるのでしょうか?

現在、池江寿厩舎は2位の角居勝彦厩舎に8勝差をつけて全国厩舎リーディングのトップを走っています。これからは素質のある2歳馬もデビューをし、GⅠレースへ向かう3歳馬や古馬にとっても大切な時期。まずはセントライト記念のアルアインがどのような走りを見せれるのかに注目です。

 

マカヒキを遠征させた友道康夫厩舎

昨年は友道康夫厩舎の管理するマカヒキがフランスに遠征し、ニエル賞1着→凱旋門賞14着という成績を残しました。マカヒキは2016年の8月19日に成田を出発し凱旋門賞を出走後、10月7日に帰国。この期間に友道厩舎の成績が落ちたのかどうかが以下の表です。

 

友道康夫厩舎 2016年8月20日〜10月2日までの成績

日付 馬 名 着順 人気
8/20 ヴォルシェーブ 1 1
8/21 ココファンタジア 1 2
アドマイヤキズナ 1 1
ワールドインパクト 2 6
アドマイヤキンカク 4 10
ユアスイスイ 5 2
8/27 アドマイヤジャズ 6 9
アドマイヤカーリン 12 13
9/3 インヴィクタ 7 3
9/4 アドマイヤフィズ 13 8
ハイドロファイル 8 3
ムスカテール 7 16
ラブフルーツ 6 3
エミーズレシピ 2 5
9/10 ヴィブロス 2 3
9/17 タピゾー 4 5
9/18 ザヴォルドルフ 5 1
アドマイヤキズナ 2 2
ヴェルステルキング 3 2
9/24 アドマイヤミヤビ 1 1
ジュンテオドーラ 12 2
9/25 クレオメ 10 12
アドマイヤイバマ 12 11
10/1 タピゾー 8 4
ルタンデュボヌール 4 5
10/2 アドマイヤスター 5 12
エトランドル 5 3

期間の全成績:(4 - 4 - 1 - 18)

勝率:0148 連対率:0.296 3着内率:0.333

2016年の成績:(38 - 24 - 19 - 153)

勝率:0162 連対率:0.265 3着内率:0.346

上記を見比べてもらえればすぐにわかりますが、友道厩舎はマカヒキが遠征した期間も成績は落としていません。このなかには秋華賞馬ヴィブロスの紫苑S2着も含まれ、重賞でも管理馬を好走させているのは素晴らしいの一言です。

友道調教師はマカヒキが初めての凱旋門賞挑戦。厩舎のリソースをかなり割いた上で、この成績を残したのは「厩舎力」の高さを示しています。

 

池江寿厩舎は全国リーディングを守れるのか?

厩舎のリソースがどうしても海外遠征に割かれてしまうこの時期に、池江寿調教師はリーディングの座を守ることができるのでしょうか?

 

池江寿厩舎は3回目の凱旋門賞

池江寿調教師は2012、13年にオルフェーヴルで凱旋門賞に挑戦し、今年のサトノダイヤモンドが3回目。これまでの経験をもとに、今年は全体のプランニングをしっかりと立てた上での遠征ですから、池江寿厩舎の国内の成績がこの時期に急に落ちるとは考えられません。

 

皐月賞馬アルアインにかかる期待は大きく

池江寿厩舎の看板馬は凱旋門賞に挑戦するサトノダイヤモンド。この馬を除くと、現役のGⅠ馬はミッキークイーン、サトノアラジン、アルアインの3頭です。このなかで、宝塚記念3着など今年も牡馬相手に好走を見せたミッキークイーンは左前脚の靭帯を痛めて秋のローテーションは白紙。実力のある牝馬の復帰がいつになるのか未定というのは厩舎にとっても大きな損失です。

残りの2頭の内、3歳馬で今後厩舎の看板馬になる可能性のあるアルアインにかかる期待は大きいものがあります。秋のGⅠへ好スタートを切るためにもセントライト記念は「結果」の求められる1戦。ここでアルアインがしっかりと好走を果たせば厩舎に勢いがつきますし、凱旋門勝利でに向かうサトノダイヤモンドにも好影響を与えるかもしれませんね。

 

セントライト記念に出走するアルアイン

池江寿厩舎は今春の皐月賞でアルアインとペルシアンナイトがワンツーを決め、さらにダービーは3頭出しと3歳牡馬の好調さが目立ちました。

皐月賞馬のアルアインは無事に夏を越し、クラシック3冠目の菊花賞に向け、秋はGⅡセントライト記念から始動します。この秋は松山騎手からC・ルメール騎手へと主戦を替えて臨むだけに、内容だけではなく結果も求められる1戦。

 

アルアイン 3歳牡馬

父:ディープインパクト

母:ドバイマジェスティ(Essence of Dubai)

厩舎:池江泰寿(栗東)

生産:ノーザンファーム

2歳時の10月、京都の新馬戦でR・ムーア騎手を背に勝利したものの、父ディープインパクト×母ドバイマジェスティというぴかぴかの良血馬としては地味な内容。そこからレースを重ねるごとにグングンと成長し、GⅠ皐月賞を制覇するまでになりました。

皐月賞馬として臨んだダービーはスローペースで仕掛けが遅れながら5着と掲示板を捕らえ、力のあるところを見せました。びゅんとキレる脚はなく、末脚の持続力で勝負する馬ですから、もう少し積極的に仕掛けていれば……と悔やまれる内容。ただ、2400mの距離も問題なく、秋に向けて選択肢の広がる敗戦だったと言えます。

5月という遅生まれのアルアインが春のクラシックを制覇したのは驚きで、強いクロスをもたない父と母から豊かな成長力を受け継いだのでしょう。

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血統

母のドバイマジェスティはBCフィリー&メアスプリント(GⅠ ダート1400m)勝ち馬。その父Essence of Dubaiはアメリカの名種牡馬Pulpit直仔のダート血統です。母系は代々パワー型の種牡馬がかけられ、強いクロスをもたないのが特徴。母に受け継がれた血がしなやかなディープインパクトに足りないパワーを補っているのでしょう。父と母それぞれが高い競走能力をもっていた馬で、その能力が上手く掛け合わさったのがアルアインだと言えます。
アルアインは重厚感のあるフォームからも「スパッ」と斬れる脚ではなく、持続力に優れた脚を武器にするタイプ。時計のかかる馬場はそれほど苦にしませんが、Pulpitの父A. P. Indyはストライド走法を伝える種牡馬のため、この馬も本質的には直線の長いコースに向きます。父中距離馬×母スプリンターなので、先行して粘り込む脚質になりました。

父も母も強いクロスをもたず、アルアイン自身もアウトブリードの配合のため、馬体の完成は遅めになり、まだまだグングンと成長するでしょう。

 

セントライト記念に向けて

成長力のある配合から、一夏を越したアルアインがどのような馬体でセントライト記念のパドックに現れるのは注目で、今から胸がドキドキしますね。中山芝2200m外回りはベストとは言えないものの、先行力を活かしたいアルアインにとってはベターな舞台。皐月賞でも4コーナーでいくらか置かれ気味になったので、コーナーをスムーズに回れるのかは今走のポイントでしょう。

強敵はラジオNIKKEI賞を勝ったセダブリランテスと皐月賞4着のクリンチャーの2頭。とくに前者は父ディープブリランテ×母父ブライアンズタイムと中山をパワーで捲れる馬ですから、コーナーの加速力でやや劣るアルアインがどのように対応するのか……。

秋の中山開催は京成杯AHが1分31秒6とかなり時計の出る馬場になっており、皐月賞をレースレコードで制したアルアインにとっては追い風。この高速馬場を味方につけて先行押し切りを狙います。菊花賞に向けてC・ルメール騎手ともしっかりとコンタクトを取っておきたいところですね。

 

まとめ

サトノダイヤモンドがフォワ賞で4着と敗れたため、「ヨーロッパの重い馬場は……」とか「ディープインパクト産駒は凱旋門賞では……」と池江寿調教師の耳にもいろいろな雑音が入っていることでしょう。もし、海外遠征によって厩舎のリソースが割かれ過ぎ、国内のレースに影響が出るようだと「海外遠征に行かなければ……」という声も囁かれるでしょうから、アルアインのセントライト記念での好走はフランスに滞在するサトノダイヤモンドへ力強いエールとなるはずです。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。