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サトノクラウンが歩むシャンティイ2400mへの道ーー宝塚記念('17年)回顧

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春のグランプリ宝塚記念はサトノクラウンが抜群の手応えから直線を力強く抜け出して快勝し、香港ヴァーズ以来のGⅠ2勝目を上げました。国内GⅠは初制覇。

圧倒的な人気に支持されたキタサンブラックは直線で伸びを欠き9着と敗退。2着には馬場の内側を伸びたゴールドアクター、3着には外からしぶとく脚を使ったミッキークイーンが入り波乱の結果になりました。

 

サトノクラウンが内回りを克服

伸びのあるストライドで走るサトノクラウンは小回りや内回りコースを苦手にしています。その反面、大きなフォームでのびのびと走れる外回りのコースでは高いパフォーマンスを発揮。京都記念の連覇や香港ヴァーズの勝利はサトノクラウンの適性を端的に表しているのです。

宝塚記念は阪神内回りの2200mコースで行われるGⅠで、本質的にはサトノクラウンにとっては不向きな舞台。3〜4角にかけてのコーナーでスピードを上げられない弱点をどのように克服するのかが焦点でした。

 

M・デムーロ騎手の好騎乗

阪神内回り2200mの直線部分は向正面とホームストレッチ。スタートしてからゆったりとしたペースで1コーナーに入ったサトノクラウンは、向正面でペースを上げてキタサンブラックにプレッシャーを掛けました。ここでスピードに乗せたのはミルコの好騎乗で、3角過ぎからの持続戦に持ち込まなかったのはサトノクラウンとしては願ってもない展開に。残りの1200mが11.7 - 11.6 - 11.8 - 11.7 - 11.8 - 12.2ですから、これだけロングスパート戦になれば香港ヴァーズのしぶとい伸び脚が発揮できます。

パトロールビデオを観ると、4コーナーはスピードを落とさないように真っ直ぐ(遠心力で外に膨れるのも構わずに)走って直線を向いていて、これもサトノクラウンのストライドを活かす素晴らしい騎乗でした。

 

心身ともに整えば高いパフォーマンスを発揮

前走の大阪杯では体重を大きく減らしての出走だったサトノクラウンは、今走+10kgと馬体重を戻しての参戦。大外枠でのびのびと走れたこと、雨で芝が緩んだことで少し時計のかかる馬場になったことなど、サトノクラウンにとって余計なストレスがかからないレースであったことは確かですが、何よりも高いパフォーマンスを発揮できる心身のバランスが取れていたことが好走の要因でしょう。

堀宣行調教師の調整力は本当に素晴らしく、間隔が空いた中でもしっかりと馬が力を発揮できるのは厩舎力のなせる技です。

 

シャンティイ2400mに向けた走り

今年の凱旋門賞が行われるシャンティイ競馬場の2400mは、サトノクラウンにとっては願ってもない舞台。M・デムーロ騎手が宝塚記念の勝利ジョッキーインタビューで「馬場がサトノクラウンに合っていた」とコメントしていましたが、それ以上に直線の長いコースはパワーのあるストライドで走るこの馬にぴったりですから、凱旋門賞に登録してくれれば……。

凱旋門賞でサトノダイヤモンドとクラウンが叩き合うシーンを想像すると胸が熱くなりますね。

春のグランプリ宝塚記念('17年)は凱旋門賞を勝てる馬に◎を!ーー予想 - ずんどば競馬

 

9着:キタサンブラック

シュヴァルグランの福永騎手が押し出されるようにハナを切り、シャケトラがじわりと2番手に上がると、キタサンブラックと武豊騎手はそれを先に行かせて3番手の外目追走を選択。

1〜2コーナーにかけてキタサンブラックが口を割るシーンが観られたものの、武豊騎手がなだめて向正面に入ります。福永騎手がスローにレースをコントロールするところで、外からサトノクラウンがじわりと仕掛けたため、キタサンブラックもそれに合わせてペースを引き上げにかかります。

先にも述べたように残り1200mからのロングスパート戦になり、4Fからぐっとペースを引き上げてというレースに持ち込めなかったのはキタサンブラックにとっては誤算でした。いつものレース・メイクができなかったなかで、GⅠ3連戦の精神的・身体的なダメージが現れてしまったのかな、という敗戦。もちろん、この敗戦はさまざまな要因が重なった結果ですが、直線で後退していく姿にはただただ驚くしかありませんでした。

北島三郎オーナーが「秋は国内専念」を表明したので、凱旋門賞の挑戦は白紙に。休養を挟んだ次走でどのようなレースをするのか、注目が集まります。

 

2着:ゴールドアクター

横山典騎手のインにこだわった騎乗で2着を確保したゴールドアクターにとっても、ロングスパート戦になったのは好都合でした。速い上りを問われない流れで、後方から距離ロスなく進めてのイン差しは見事。2200や2500mの距離でスローからのロングスパート戦になれば、器用さとパワーのあるこの馬向きのレースに。

有馬記念を勝った時から地力がさらにアップしているとは言いにくいものの、大きな衰えがないことは確かで、テンの3Fをゆっくりと入れればしっかりと脚を残すレースができます。

横山典騎手とゴールドアクターが紡ぐ2分10数秒のドラマーー宝塚記念展望 - ずんどば競馬

 

3着:ミッキークイーン

ストライド走法の馬が阪神内回り2200mで好走するには2つのパターンしかなく、今回はロングスパート戦からの後半勝負という展開。ただ、牝馬のミッキークイーンにとっては牡馬相手でこの流れだと好走しても勝ち切るまでは難しい……という結果になりました。

もう一つの好走パターンとしてはスローの上り3F勝負になった時(馬群が詰まっていることが条件)で、それであればもしかして1着も……という走りだったと思います。

ミッキークイーンも馬体に似合わずパワフルなストライドで走りますが、阪神が得意というよりは長距離輸送がない関西圏のレースの方が力を発揮しやすいことは事実です。

それにしても、ヴィクトリアマイル7着からの巻き返しはさすがの池江寿厩舎。マイルのGⅠでは期待を裏切ってしまったとはいえ、やはり中距離では力があるところを見せますね。

池江寿調教師が宝塚記念に送り込むミッキークイーン - ずんどば競馬

 

4着:シャケトラ

阪神内回り2200mはパワーピッチのこの馬にとってはベストの舞台でしたが、ロングスパート戦になると、ピッチ走法の分だけ最後に脚が甘くなってしまいます。折り合いに不安のないルメール騎手ですから、シュヴァルグランに合わさてフワリと先行したのは見事で、これならキタサンブラックに対して3コーナー過ぎからピッチで出し抜けを喰らわせられるかも……とワクワクしていたのも束の間、向正面でのサトノクラウンの仕掛けでレースのペースが上がってしまったのはアンラッキー。

ただ、内回り・小回りコースの適性がずんどばなことはこれで分かりましたから、当然、有馬記念は◎を打ちたいほどに有力。シャケトラが秋にどのようなローテーションを組むのかは注目ですね。ジャパンカップ敗退→有馬記念での巻き返しというのに期待をかけたくなる1頭。

シャケトラの捲りはキタサンブラックを打ち負かせるのか?ーー宝塚記念に向けて - ずんどば競馬

 

8着:シュヴァルグラン

天皇賞・春がピークのデキだったのでしょう。京都の下り坂でキタサンブラックに真っ向から勝負に行ったあの捲りはそれが素晴らしいパフォーマンスだったからこそ、身体への負担も大きかったのだと思います。

福永騎手が押し出されるようにハナに立ち、他馬の仕掛けに引くことなくロングスパート戦にしたのは、シュヴァルグランのスタミナを活かすためにも最善手でしたし、この流れで8着と掲示板を外したのは致し方なしです。

この馬のフワリとした捲りを活かす、ベストパフォーマンスを発揮できる秋の舞台はどこなのか……これはしっかりと考えたいところです。

 

まとめ

'17年凱旋門賞の行われるシャンティイ2400mを勝てる馬に期待した宝塚記念は、◎サトノクラウンが1着。凱旋門賞の一次登録にこの馬の名前がなかったのは寂しい限りで、とにかくヨーロッパの2400mという舞台で走る姿が観たいものです。

もし、サトノダイヤモンドとクラウンの2頭が凱旋門賞に出走するのであれば、これはいよいよ「機は熟した」かと今から胸がワクワクドキドキします。

 

サトノクラウン、素晴らしいレースをありがとう!

 

以上、お読みいただきありがとうございました。