Bコース替わりの高松宮記念は高速馬場になるのか?ーーレースのポイントについて

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春のスプリント・チャンピオンを決める高松宮記念(GⅠ・中京芝1200m)から、4週連続となるGⅠ開催が幕を開けます。

16、17年のスプリンターズSを連覇したレッドファルクス、昨年の覇者セイウンコウセイなど現在のスプリント路線を引っ張る実力馬たちが参戦。息つく暇のない6Fの争いを制するのはどの馬なのでしょうか?

 

高松宮記念のポイント

高松宮記念のポイントは2つあります。それでは1つずつ見ていきましょう。

 

1. 中京の芝が高速化するのか?

JRAは「公正・安全」にレースが行われることを目的として、馬場の改良に取り組んできています。その結果、現在は多くの競馬場において、開催の最終週であっても馬場の傷みが少ない状態をキープできるようになりました。

2012年にリニューアル・オープンした中京競馬場は、雨が降るとタフな馬場コンディションになるのがデフォルトでしたが、16年に暗渠排水材(水はけが良くなる)を設置する工事が行われたことで、内側の芝が極端に傷むこともなくなっています。

また、高松宮記念の行われる週からA→Bへとコースが替わり、傷んだ内側の芝がカバーされることから、「良」であれば時計が速い、先行馬向きの馬場になる可能性も高くなると言えるでしょう。

昨年は雨の影響を受けてややタフな馬場でのレースとなりましたが、16年は最終週に4つのレースでレコードが更新される高速馬場となったことから、今年も時計の速いコンディションになるのかは注目です。

 

週中は雨模様の天気に

中京競馬場のある愛知県は、週の前半にまとまった雨が降る予報が出ています。この雨が馬場にどのような変化を与えるのかは、レースに大きな影響を及ぼすことになるでしょう。

先にも述べたように、中京競馬場は路盤の水はけを良くする工事が完了していることから、雨の降る中でレースが行われない限り、極端に芝が傷むことはありません。むしろ、水はけが良くなったことで、芝が乾き始めると路盤が締まり、雨が降る前よりも時計が速くなることがままあります。

レースレコードとなった昨年の皐月賞は一週間前に重馬場まで悪化したものの、馬場が急速に回復したことで、近年まれに見る高速馬場となりました。雨が降ることによって、それまでよりも時計が速くなることもありますから、馬場コンディションのチェックは欠かせませんね。

 

レッドファルクスは高速馬場向き

今年の高松宮記念で1人気に推されるだろうレッドファルクスは高速馬場に向いたスプリンターです。この馬の初重賞制覇となった「CBC賞(GⅢ・中京芝1200m)」は1分7秒2の好時計で、前後半3F33.8 - 33.4の後傾ラップを中団から見事に差し切ってのもの。逃げ馬と2番手に付けた馬が2、3着に粘りこむところを鋭く差し切ったのですから、いかに高速馬場に向いたタイプなのかがわかります。

この馬は重馬場の京王杯SC(GⅡ・東京芝1400m)を快勝しているように、多少時計のかかる馬場であっても大きくパフォーマンスを落とすことはありませんが、パワーを求められるようなタフな馬場は合わないタイプです。

今年の高松宮記念が1分7秒前半のレースになるなら、高いパフォーマンスを発揮できる1頭だと言えます。

 

2. 前傾、後傾のどちらのラップになるのか?

芝のスプリントGⅠはスピードタイプの馬が揃うことから、前半3Fが速くなる傾向のあるレースです。ただし、高速馬場だと前半3F33.5だったとしても、力のある馬は後半3Fを33.5〜34.0ほどで走ってしまいますから、しなやかな走りができる1400mベストのタイプに有利となります。

ピュアなスプリンター(1200mがベスト)は33.0 - 34.0〜34.5(1分7秒0〜5)の前傾ラップを得意とし、1400mベストのスプリンターは後傾ラップが得意です。そのため、今年の高松宮記念がどちらの質のレースになるのかは予想をする上で大切なポイント言えるでしょう。

✳︎雨の影響などで馬場が重くなった場合は、前傾ラップになりやすいものの、1200mベストのスプリンターにとってはスタミナ面で不安が出てきます。

1200m戦における前傾と後傾ラップについては以下の記事に詳しく書きましたので、よければそちらを参照下さい。

 

嫌な予感しかしない高松宮記念

昨年のスプリンターズSは1400mベストのレッドファルクス、レッツゴードンキ、ワンスインナムーンが1〜3着となったように、現在のスプリント路線はピュア・スプリンターが不遇の時代です。

高松宮記念の上位人気も1400mベストの馬が占めることになりそうで、馬場が悪化しない限りはまた緩いペースになるのでしょうね。もちろん、1400mベストのしなやかスプリンターが勝つことは悪いことではないものの、そのようなレースを勝った馬が香港スプリントで好走するには難しいものがあります。

日本馬はドバイでも香港でも芝の中距離路線だと世界トップレベルであることを示しているのですから、スプリント路線も世界で戦える「新星」の登場を期待したくなります。だからこそ、前半33.0で飛ばす逃げ馬をガッチリとマークして、直線でパワフルに抜け出してくるようなスプリンターの出現を待ち望んでいるのです。

サクラバクシンオー、フラワーパーク、ロードカナロアと言った名スプリンターは前半のペースがどんなに速くても先行抜け出しのレースをしていたのですから。

 

まとめ

ロードカナロアの後を継ぐスプリンターが現れるのか、高松宮記念は新星の登場に期待したいレースです。皆さまにとっても素晴らしいレースになりますように。