宝塚記念(2018年)は梅雨の影響でタフな重馬場となるのか?ーー重馬場適性のある馬をピックアップ!

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春のグランプリ・宝塚記念(GⅠ・阪神芝2200m)は梅雨時に行われるとあって、タフな芝コンディションとなることの多いレースです。現在の阪神芝はOP特別の米子S(芝1600m)で1分31秒9のタイムが出ているように、かなりの高速馬場。今年は例年よりも軽い馬場になるのでしょうか?

 

雨が降り続く予報

梅雨時とあって、今週は西日本・東日本ともにグズついた天気となりそうです。近畿地方の一週間の予報ではカラッと晴れる日がなく、馬場への影響が心配されます。この天気によって、現在の高速馬場はどのように変化するのでしょうか?

 

JRAの芝は重馬場になりにくい

JRAは公正な競馬を行うことを目的とし、きめ細かな馬場の管理をしています。そのため、芝は多少の雨だと「重馬場」になることが少なく、降雨の後に晴れ間が出ればすぐに「良」へ回復するほどです。

芝コースの排水設備の拡充、傷みに強いエクイターフの導入などにより、開催の最終週になっても時計のかかるタフな馬場になることが少なくなりました。ただ、宝塚記念の時だけは雨の影響が大きく、パンパンの良馬場になることは稀です。

とは言え、現在の芝はレコードタイムが出てもおかしくないほどの高速馬場。宝塚記念の前の週とは思えないほどの好タイムが出ており、雨が降ったとしても大きな影響はないかもしれません。少なくとも競馬の行われる土曜日から日曜日にかけて、ザーザー降りにならなければ重馬場まで悪化することはないでしょう。

 

タフ(重)な馬場向きの馬は?

今年の宝塚記念は重馬場まで悪化するのかが「?」なものの、やや時計のかかるタフなコンディションになることも……。今回の記事では高速馬場よりもタフなコンディションに向いた馬をピックアップします。

 

重馬場実績のある馬

まずは重〜不良馬場で実績のある馬を探してみましょう。

キセキ

サトノクラウン

スマートレイアー

ヴィブロス

(50音順)

重賞において、ハッキリと時計のかかる馬場でも好走しているのは上の4頭です。未曾有の不良馬場となった昨秋の2つのGⅠ、昨年の菊花賞と天皇賞・秋で好走したキセキとサトノクラウンはタフなコンディションを得意としています。

スマートレイアーは稍重馬場だった昨年の京都記念を2着と好走し、加齢とともにキレ味よりもタフな馬場向きの末脚にモデルチェンジしつつあります。ヴィブロスはタフなコンディションだった昨年のドバイターフを制していることから、重馬場を苦にしません。

 

血統的に重馬場OKの馬

次に、重馬場実績はなくとも血統的に重馬場がOKの馬をピックアップしてみましょう。候補は以下の3頭です。

ゼーヴィント

ダンビュライト

パフォーマプロミス

ゼーヴィントはディープインパクト産駒ながら母系に入るRoberto×Danzigのパワーが発言しているタイプ。小回り・内回りの時計のかかるレースを得意としていますし、重馬場をこなせる血統構成です。

ダンビュライトは稍重の宝塚記念を制した重の鬼・マリアライトを出したキャサリーンパー牝系の出身。母系のパワー+父が重馬場の得意なルーラーシップとあって、タフなコンディションはずんどばです。不良馬場だった昨年の菊花賞は5着でしたが、これは馬場よりも距離が長かったものです。

パフォーマプロミスは母系にRoberto、In Realityとパワーに優れた血を引き、父ステイゴールドもタフな馬場がOKの種牡馬。父母ともにパンパンの良馬場よりもタフな馬場に向いています。

 

時計のかかるレースが得意な馬は?

重馬場を得意とする馬には細かくわけると2つのパターンがあり、それは以下の通りです。

1. 水分を含んだ馬場が得意

2. 時計のかかる馬場が得意

それぞれを合わせて「重巧者」と呼ばれますが、どのような違いがあるのでしょうか?

 

水分を含んだ馬場が得意

水を含んだ馬場は滑りやすいため、蹄の形によってはグリップが効かなくなります。蹄が地面をしっかりとつかめない馬は、重馬場への適性がありません。

歴史的な不良馬場だった昨年の天皇賞・秋を3着と好走したレインボーラインは、水分を含んだ馬場を得意とする「重」巧者。芝に水が浮いている状態であっても、バランスを崩すことなくしっかりとしたフォームで走っていました。

 

時計のかかる馬場が得意

水分を含んでいない状態であっても、芝が傷むと時計のかかるコンディションになることがあります。重馬場でレースが行われた後などは芝がはがれてクッションが利かなくなり、時計がかかる状態になるのです。このタフなコンディションを得意とする馬も「重巧者」と呼ばれます。

昨年の宝塚記念はレース中盤からゴール板にかかて、11秒台後半のラップが続くロングスパート戦となり、持続戦を得意とするサトノクラウンが制しました。この馬は重巧者というよりも、速いラップを問われない時計のかかるレースを得意としています。

 

時計のかかる馬場が得意な馬

それでは先に上げた重馬場適性のある馬から、上りのかかる馬場だとパフォーマンスが上がる馬をピックアップしてみましょう。

サトノクラウン

スマートレイアー

ゼーヴィント

ダンビュライト

この4頭はいずれもロングスパート戦を得意とします。8歳牝馬のスマートレイアーは加齢とともに母系に入るホワイトマズルのスタミナが発現してきており、今なら上りのかかるレースがベター。牡馬相手に完勝した昨秋の京都大賞典は残り800mのラップが11.7 - 11.5 - 11.4 - 11.5と速いラップを問われなかったことが最大の勝因です。

これらの4頭はゴールまで残り1000mから11.4〜11.9のラップが続くレースだと力を発揮するため、パンパンの良馬場よりもタフなコンディションがベター。少なくとも、3Fの瞬発力勝負は合わない馬たちです。

 

阪神の内回りコースに向くのは?

宝塚記念の行われる阪神の内回りコースは直線が短く、残り800mから下り坂→ゴール前に急坂というロケーションとあって、4Fのスパート戦になることがままあります。ゴールドシップが連覇しているように、ビュンとキレる脚をもつよりもジリジリと脚を使って伸びるタイプに向くのが宝塚記念と言えるでしょう。

また、内回りコースはコーナーを俊敏に回れる器用さも問われるため、ストライドよりもピッチ走法が優勢。昨年はしなやかストライドのサトノクラウンとミッキークイーンが1・3着と好走しましたが、これはロングスパート戦となったことで器用さよりも持続的な末脚が問われるレースだったからです。

阪神内回りコース向きなのは、スマートレイアー、ゼーヴィント、ダンビュライトの3頭。サトノクラウンはしなやかさの勝ったタイプなので、昨年ほどのロングスパート戦にならないと苦しいでしょう……。

 

まとめ

現在の阪神芝はかなりの高速馬場。時計の速さはレコードタイムがマークされた開幕週から変わっていません。この馬場が雨でどれほど変化するのかは難しく、土曜日の芝レースのチェックは不可欠です。

今年は重馬場まで悪化するのか、それとも思ったほど雨が降らずに高速馬場でのレースとなるのか……どちらに転ぶかわからないだけに、今からレースが楽しみですね。

以上、お読みいただきありがとうございました。