牝馬の好走が目立つ宝塚記念(2018年)はヴィブロスとスマートレイアーの2頭に注目!ーー展望

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春のグランプリ・宝塚記念(GⅠ・阪神芝2200m)は牝馬の好走が目立つレースです。過去5年のすべてで、少なくとも1頭以上の牝馬が3着内に入線していることから、ヴィブロスとスマートレイアーの2頭に期待が集まります。

 

好走する牝馬の共通点は?

2013〜17年において、3着内に好走した牝馬は以下の通りです。それらの馬に共通するものは何でしょうか?

過去5年・宝塚記念を好走した牝馬

2017年

3着:ミッキークイーン(5歳)

4人気

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2016年

1着:マリアライト(5歳)

8人気

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2015年

2着:デニムアンドルビー(5歳)

10人気

3着:ショウナンパンドラ(4歳)

11人気

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2014年

3着:ヴィルシーナ(5歳)

8人気

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2013年

3着:ジェンティルドンナ(4歳)

1人気

2桁人気の好走があるように、近走の成績だけで判断するのは危険です。この6頭に共通する点を探してみましょう。

共通点

ディープインパクト産駒

4〜5歳馬

3歳時にGⅠ連対

宝塚記念はタフな芝コンディションで行われることの多いレースですが、好走した6頭すべてが高速馬場を得意とするディープインパクト産駒です。スローペースになった2015年はキレ味のある2頭の牝馬が好走し、それ以外の4頭は持続力勝負を踏ん張りきってのものでした。

✳︎ミッキークイーンとマリアライトはともに仕掛けてからトップスピードに乗るまでに時間のかかるタイプで、持続力勝負に向いています

6頭ともに4・5歳時に好走しているのは、多くの牝馬が6歳の春に引退して繁殖に上がるためでしょう。ストレイトガールは引退を1年延ばし、7歳でGⅠヴィクトリアマイルを制していますし、競争能力の衰えさえなければ高齢馬にもチャンスがあるはずです。

好走したすべての馬が宝塚記念の前にGⅠの連対歴があるように、グランプリは実績も求められるレース。ジャパンカップを2着と好走したデニムアンドルビーのように、少なくとも牡馬混合の重賞で勝ち負けできるレベルにないと……。

 

ヴィブロスとスマートレイアー

今年の宝塚記念に出走する牝馬の2頭、ヴィブロスとスマートレイアーはともにディープインパクト産駒。前者は上記の共通点をすべてクリアしますが、後者は「年齢」の部分だけが引っかかります。もちろん、過去5年で6歳以上の牝馬の出走はありませんから、競争能力さえ衰えてなければOKです。

 

ヴィブロス 5歳牝馬

父:ディープインパクト

母:ハルーワスウィート(母父Machiavellian)

厩舎:友道康夫(栗東)

生産:ノーザンファーム

3歳時に秋華賞を制したヴィブロスは、昨春に牡馬相手のドバイターフ(GⅠ)へ出走すると、モレイラ騎手のアクションに応えて後方から差し切り勝ちを上げました。

連覇をかけて臨んだ今春のドバイターフは日本調教馬として最先着となる2着と好走。昨年と比べて大きな力の衰えはなく、海外遠征帰りで体調が戻っていれば牡馬相手のGⅠでもチャンスがあります。

 

血統

母ハルーワスウィートはヴィルシーナ=ヴィブロスの全姉妹、昨年のジャパンカップを制したシュヴァルグラン(父ハーツクライ)とGⅠ級の仔をポンポンと産む「名繁殖牝馬」。母は名牝Glorious Song(種牡馬Rahyとシングスピールの母)に遡る牝系の出身で、代々にわたって名血が重ねられています。

ヴィブロスはディープインパクトを配したことで母のもつHalo3×4のクロスを継続し、俊敏な加速と器用なコーナリングを武器とする馬へと成長しました。パワーに優れた全姉ヴィルシーナよりもしなやかさがあり、直線の長いコースがベター。

 

宝塚記念に向けて

タフな馬場は昨年のドバイターフで経験しており、芝に水が浮くほどの「重〜不良」にならなければ能力を割り引かなくてもOKです。ドバイからの海外遠征帰りとあって、仕上がり具合がキーポイント。ただ、ノーザンファーム生産馬ですからしっかりと外厩で調整されているはずで、大きな不安はありません。

内回りコース向きの器用さと、3コーナーの下り坂をスムーズに走れるしなやかさをもつので、牡馬相手の持続力戦でも力を発揮できます。10番枠+スタートの上手い福永騎手が騎乗ですから、好きなポジションを取れるのはプラス。

 

スマートレイアー 8歳牝馬

父:ディープインパクト

母:スノースタイル(母父ホワイトマズル)

厩舎:大久保龍志(栗東)

生産:岡田スタッド

一昨年のGⅢ東京新聞杯(東京芝1600m)で逃げ切り勝ちを上げ、それまでの差し・追い込みからモデルチェンジを果たしたスマートレイアー。

昨年は京都記念でサトノクラウンの2着、京都大賞典でシュヴァルグランを退けて1着となるなど、牡馬相手の中距離重賞を好走しました。

今春は大阪杯→天皇賞・春とGⅠを連戦しましたが、どちらも掲示板を外すことに……。この2戦は展開や距離が向かなかったもので、力の衰えではありません。牡馬の強敵相手でもヒケをとらない競争能力があるだけに、この舞台で展開が噛み合えば好走する可能性も十分です。

 

血統

スマートレイアーの母父ホワイトマズルは牡馬と牝馬で異なるタイプの産駒を出す種牡馬です。牡駒はアサクサキングスやイングランディーレなど長距離GⅠを勝つスタミナ型に、牝駒はビハインドザマスクなどの短距離を得意とするスピード型に出ます。

現在のスマートレイアーが「男性的」な末脚で牡馬相手の重賞を好走しているのは、このホワイトマズルのスタミナが加齢とともに前面に出てきているからでしょう。

このスタミナの源はホワイトマズルの母父Ela-Mana-Mouとディープインパクトの母母Burghclereとの相似の血統構成によるものです。この2頭に共通するDonatelloやHyperionやCourt MartialやPetitionのパワーとスタミナの血のクロスが、スマートレイアーに伝わっていたスタミナを加齢とともに発現させたのだと考えられます。

 

宝塚記念に向けて

スマートレイアーは京都芝外回りコースを得意としており、3コーナーから下り坂のある阪神内回りコースの適性も十分にもっています。稍重馬場で持続力戦となった昨年の京都記念をサトノクラウンの2着と好走し、タフなレースになってもOK!

今春は宝塚記念が3戦目となり、GⅠ連戦の疲れがなければ……。前半をゆったりと入り、後半1000mの持続力戦になれば、この馬のパワーとスタミナを振り絞るレースができます。後は3コーナーからスムーズに前へと押し上げられるかでしょう。

 

まとめ

今年の宝塚記念に出走する牝馬の2頭はディープインパクト産駒で、実績も申し分ありません。スマートレイアーは好走例のない8歳馬ですが、牝馬はここまで高齢まで現役を続けることが少なく、年齢は心配しなくても大丈夫でしょう。

ヴィブロスは牡馬相手のGⅠだと2200時の距離に不安があります。例年のようなスタミナを振り絞る持続戦になったときに、耐えられるのかどうか……。ここまで上位の人気になるとやや買いにくいですね。

以上、お読みいただきありがとうございました。