リアルスティールは天皇賞・秋がスローペースになればピッチ走法でスっと抜け出せる!ーー展望

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第156回天皇賞・秋(GⅠ・東京芝2000m)は昨年の年度代表馬キタサンブラックを含む、GⅠ馬8頭による豪華メンバーで争われます。

天皇賞・秋へのステップレース毎日王冠(GⅡ・東京芝1800m)を完勝したリアルスティールは、昨年のドバイターフで海外GⅠを初制覇。3歳の早くからその素質を高く評価された馬で、クラシック3冠は皐月賞2着→ダービー4着→菊花賞2着とタイトルにあと一歩が足りませんでした。リアルスティールの5歳牡馬世代はドゥラメンテやキタサンブラック、サトノクラウン、アンビシャスといった素質馬が揃い、近年のなかで「もっとも強い」と言われています。

GⅡ毎日王冠はリアルスティールが上り3F32.6で完勝するレースにーーソウルスターリングは逃げて8着に敗退 - ずんどば競馬

リアルスティールは昨年の天皇賞・秋を2着と好走。この東京芝2000mはベストの距離が1800mのこの馬に合っている舞台。国内のGⅠタイトルを目指すリアルスティールは前走の毎日王冠を完勝した勢いそのままに、天皇賞・秋を好走することができるのでしょうか?

 

ここ2年の天皇賞・秋はスローペースでピッチ走法の馬が優勢

天皇賞・秋はここ2年、前半1000が後半よりも2秒近く遅い「後傾ラップ(=スローペース)」となりました。

 

近2年の天皇賞・秋

2016年:60.8 - 58.5 = 1:59.3

2015年:60.6 - 57.8 = 1:58.4

2016年の勝ち馬モーリスと15年のラブリーデイは、ピッチ走法かストライド走法かで分類すれば前者に当たります。ピッチ走法は俊敏に加速できるので、スローペースになればすっと馬群から抜け出せます。すぐに最高速度に達することができるため、ピッチ走法は直線の短い小回り・内回りです。その反面、ゴールまでグングンと加速できるわけではないので、直線の長いコースでペースが流れるとこの走りをする馬は苦しくなります。

ピッチ走法のモーリスは競争能力が図抜けていたので、国内外のコースも問わずに好走しましたが、ベストパフォーマンスを中山芝1600mのダービー卿CTで叩き出したように、本質的には小回り・内回りに向く脚質でした。ラブリーデイはレース映像を観れば、その小気味良く回転するフットワークがピッチ走法だとわかるでしょう。この2頭からも、天皇賞・秋はスローペースになるならピッチ走法が優勢のレースとなります。

 

リアルスティールはピッチ走法

小気味の良いフットワークでビュンと反応できるリアルスティールはピッチ走法の馬。前走、スローペースになった毎日王冠を上り3F32.6の鋭さで「あっ!」と言う間に抜け出したは、この馬が俊敏に加速できるからです。

毎日王冠はリアルスティール鞍上のデムーロ騎手がゴールまで残り400mの地点まで仕掛けずにじっと我慢していました。もし、早々に先頭に立ってしまうと先に仕掛けていたサトノアラジンに差されてしまったかもしれません。あれだけ楽に抜け出したのにもかかわらず、ゴール前では2着のサトノアラジンに詰め寄られています。

昨年2着に好走した天皇賞・秋もリアルスティールに向いたスローペース。俊敏な加速が最大の長所ですから、ペースが流れて上りのかかる展開になるとストライド走法の馬に差されてしまう可能性が高くなります。今年の天皇賞・秋が近2年と似たようなペースなら、リアルスティールは好勝負できるはずです。

 

リアルスティール 5歳牡馬

父:ディープインパクト

母:ラヴズオンリーミー(母父:Storm Cat)

厩舎:矢作芳人(栗東)

生産:ノーザンファーム

昨年の国際GⅠドバイターフの勝ち馬。ドゥラメンテ、キタサンブラック世代の素質馬として、今秋は国内GⅠ初制覇を目指します。昨秋の天皇賞・秋はモーリスの2着、距離が長かったジャパンカップはキタサンブラックの5着と中距離路線における大関級の1頭です。

 

血統

ディープインパクト×Storm CatはキズナやエイシンヒカリなどのGⅠ馬が出る好相性の配合。リアルスティールの祖母Monevassiaは名種牡馬Kingmamboの全妹で、そこにStorm Catを配されたのが母ラヴズオンリーミー。つまり、名血・名種牡馬が代々重ねられたのが本馬と言えます。欧州の名種牡馬Kingmanboのパワーが表現されているため、ディープインパクト産駒ながらストライドではなくピッチ走法に出ました。

この名牝母系はマイラーらしいパワーにあふれていて、それがディープインパクトの非力さをしっかりと補っています。リアルスティールの本質がもっとも現れたのは、ドゥラメンテの制した皐月賞で2着になった先行抜け出しのレース。しなやかだけれども小気味の良いこの馬のピッチ走法はジェンティルドンナやラブリーデイに似ているため、小回り・内回りに向いています。中山芝1800mのGⅠがあれば◎を打ちたい馬です。

 

天皇賞・秋に向けて

リアルスティールが天皇賞・秋を好走するためには、スローペースになることが第1の条件です。今年の出走メンバーを見ると、全体のペースを引き上げたい(=ロングスパート戦向き)馬は堀厩舎のサトノクラウンとネオリアリズム、そして、4Fからの持続戦にもち込みたいキタサンブラックの3頭。これらの馬が前半1000mをどのようなペースで通過するのかが大きなカギを握ります。

もし勝ちタイムを1分58秒0に仮定すると、前後半1000mが60.0 - 58.0と後傾ラップになるのであればリアルスティールにチャンスも出てきますが、59.0 - 59.0のイーブンだとピッチで抜け出したところをストライド走法の馬に差される可能性も十分。また、上り3Fが33秒台に入るレースがベターのため、キタサンブラックやサトノクラウンが残り1000mからの持続戦にもち込むようだとやや苦しい展開と言えるでしょう。

 

V・シュミノー騎手を確保したのはプラス

天皇賞・秋のリアルスティールの鞍上はフランスを拠点として活躍するV・シュミノー騎手。昨年も短期免許で来日しており、その騎乗ぶりを観ても日本の競馬にフィットしています。

馬のギアを瞬時に変えられ、トップスピードに乗せることが巧みなデムーロ騎手は、リアルスティールの適性とバッチリ合っているので、この乗り替わりはいくらかマイナス。ただ、代役としてシュミノー騎手を確保できたのは大きくプラスです。

 

前走からの上積みは?

前走の毎日王冠は展開がバッチリとハマったとは言え、着差以上の完勝劇でした。今春のドバイターフを取り消した後の休養明け初戦とあって状態面が不安視されたものの、それも杞憂に終わるほどの好仕上がり。

有力馬のキタサンブラックやサトノクラウンが休み明けでの出走となるため、ひと叩きした分のアドバンテージはあるでしょう。ただ、天皇賞・秋に向けて、グーンと状態がアップするのかは「?」が付きます。

 

重馬場はOKなものの……

東京競馬場は14日(土)〜22日(日)にかけ、2週続けて雨が降るなかでレースが行われました。超大型の台風21号の影響を受けた21、22日はかなりの雨量があり、芝コースは不良馬場まで悪化。天皇賞・秋の行なわれる29日(日)も雨の予報が出ており、タフなコンディションでのレースとなる可能性もあります。

リアルスティールはパワー型のピッチ走法なので重馬場そのものは苦にしないものの、GⅠであればタフな流れよりも上り3Fが速いレースが合っています。スローペースから直線でビュンと加速したいため、あまりにも馬場が悪化するようだともち味を活かしきれない可能性も……当日の馬場コンディションには注意を払いたいですね。

 

能力はGⅠ級

リアルスティールはここまで国内GⅠは2着が3回と好走してもタイトルにはあと一歩届かない成績。ドゥラメンテやキタサンブラックと較べても遜色のない能力をもっているだけに、国内GⅠを制覇できるのかはリアルスティールがハイ・パフォーマンスを叩き出せる展開とペースになるのかにかかっています。

 

まとめ

今年の天皇賞・秋はスローペースになるのかどうか、それはリアルスティールが国内GⅠを制覇するための大きな大きなキーポイントです。モーリスが引退した今、ピッチ走法でNO.1の能力をもつリアルスティールが直線の長いコースを俊敏に抜け出せるのでしょうか……。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。