キングカメハメハ産駒のダイワキャグニーはマイラーなのか?ーーGⅢ東京新聞杯(2018年)展望

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多くのGⅠ勝ち馬を輩出している種牡馬キングカメハメハの特長は、芝・ダートだけではなく距離も不問の万能さにあると言えるでしょう。その代表産駒には1200〜1600mの芝で活躍したロードカナロア、3歳牡馬クラシック2冠のドゥラメンテ、中距離ダートのチャンピオンとして君臨したホッコータルマエなどが挙げられ、さまざまなカテゴリーの一流馬を出していることがわかります。

 

種牡馬キングカメハメハ

キングカメハメハが種牡馬として成功した理由のひとつとして、「現代日本の競馬界を変えた」と言われる大種牡馬サンデーサイレンス の血を引かないことが挙げられます。

サンデーサイレンスの血で飽和していた日本の馬産において、キングカメハメハの活躍はとても自然なことでした。

 

キングカメハメハの万能性

上にも述べたように、キングカメハメハはさまざまなカテゴリーのチャンピオンを出している大種牡馬。その理由のひとつとして考えられるのは、この種牡馬が「母系の良さを引き出す」ことに長けているからです。

例えば、母父にサンデーサイレンスもつ繁殖牝馬との間に産まれた産駒を賞金獲得順に並べると以下の通りになります。

父キングカメハメハ×母父サンデーサイレンス

1位:ローズキングダム

2位:ドゥラメンテ

3位:トゥザグローリー

4位:ベルシャザール

5位:エアスピネル

1〜5位のなかで、「これこそキングカメハメハ産駒!」とエクスクラメーションを付けたくなる馬はおらず、1位と2位の2頭は父よりも母系の特徴がはっきりと現れた競走馬です。

ローズキングダムは名牝ロゼカラーらしいしなやかなストライドで走り、ドゥラメンテは名牝エアグルーヴらしい「トニービン的な重厚なストライド」を受け継いでいます。それに対して、トゥザヴィクトリーを母にもつトゥザグローリーは「Special的なピッチ」で走る馬です。

4位にダートGⅠを制したベルシャザールが入るというのも、いかにも「万能種牡馬」らしいと言えますね。母系によって、さまざまなタイプの産駒を出せるのが、キングカメハメハの特長なのです。

 

東京新聞杯に出走するダイワキャグニーは?

東京新聞杯(GⅢ・東京芝1600m)に出走を予定しているダイワキャグニーは、父キングカメハメハ×母父サンデーサイレンスという血統の馬。そのため、この馬がどのような「適性」をもっているのかは、母系に入る血で知ることができます。

 

母トリプレックスについて

ダイワキャグニーの母トリプレックスはJRAで4勝を上げ、1000万下で好走を続けた活躍馬。その母トリプルワウは現役時代14勝の名牝で、カナダの年度代表Alywowなどを出した繁殖牝馬です。

トリプレックスはTurn-to4×5、Royal Charger5×5・6などのスピード血脈がクロスされており、これが母系に入るしなやかなSir Ivorを活性化していると言えるでしょう。

 

ダイワキャグニーの特長は?

母トリプレックスがしなやかな血が豊富な中距離馬だったこと、その仔の多くが中距離を得意としていることから、ダイワキャグニーは直線の長いコース向きの中距離馬でしょう。

ダイワキャグニーは強敵相手の毎日王冠で4着と好走したことからも、距離は1800〜2000mがベスト。キングカメハメハ産駒としてはしなやかなストライドで走るので、東京や中京などの広いコースに向いています。

 

マイルは?

2走前のキャピタルS(OP・東京芝1600m)を1分32秒6の好タイムで勝っていることから、マイル適性についても不安は少ないとされます。ただ、キャピタルSではゴール前でサトノアレスにクビ差まで詰め寄られたことを考えても、毎日王冠からパフォーマンスを落としていることは明らかです。

中距離ベストの馬がマイル戦に出走すると、追い出してから思ったほど反応できずに敗退する(道中で思ったほど脚が溜まらない)ケースがあり、ダイワキャグニーが凡走するとしたら、このパターンでしょう。

 

マイルで好走するには?

ダイワキャグニーがマイルのレースで好走するには以下のパターンが考えられます。

1. スローバランス(後傾ラップ)

2. 軽い馬場

キャピタルSは1分32秒6の好タイムが出ていますが、前後半800mのレースラップは46.9 - 45.7のスロー。キャグニー自身が33.8と速い上りを出していることからも、前半のペースが中距離馬でも脚を溜められる流れだったことがわかります。

また、後傾バランスになるためには軽い馬場がベター。タフなコンディションで上りがかかるようだと、ピュアなマイラーではない馬にとっては苦しくなると言えるでしょう。

 

展開と馬場がカギ

今年の東京新聞杯は逃げ・先行馬の少ない組み合わせだけに、後傾バランスになる可能性の高いレースです。この点はダイワキャグニーにとって大きなプラス。ただ、東京の芝はややタフなコンディションとなっており、前半800mが46秒5よりも速くなるようだと、上りのかかるレースになることも……。

逃げ・先行馬が少ないことから、キャグニーは人気が集中しそうですが、もともとが中距離馬だけにマイル戦出走への不安は少なくないと言えます。

 

まとめ

キングカメハメハ産駒は母系のしなやかなさ重厚なストライドの血がONになると東京向きのキレ味を発揮するタイプが出ます。ダイワキャグニーも母系のSir Ivorによって、しなやかなストライドで走ります。

しなやかさよりもパワーの勝ったタイプがピュアなマイラーですから、1600mがベストの馬が台頭する流れになるようだと、キャグニーにも不安が……。

今年の東京新聞杯がどのようなレースになるのか、今からレースが楽しみですね。

以上、お読みいただきありがとうございました。