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スローのヴィクトリアマイル('17)ーーキレ味鋭い2頭での決着

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春の古馬牝馬チャンピオン決定戦、ヴィクトリアマイルは4歳馬のアドマイヤリードが馬群を割って伸びて1着。初重賞がGⅠ制覇と一気に頂点を極める快走を見せました。勝ちタイムは1:33.9(稍重)。

 戦前の予想を通り、ソルヴェイグが内から好スタートを切り飛び出しますが、先行勢が牽制してスローペース。「キレ味」のある馬が直線で台頭する流れになりました。牝馬限定の重賞「らしい」中弛みからの上り勝負、道中の追走力が問われるようなペースにはならず、レースの上りが33.8(11.1 - 10.8 - 11.9)ですから、直線から坂を上るまでズバッと加速できる馬に向いたレースに。

 

レース内容

ソルヴェイグがじわりとハナに立ち、アスカビレンとリーサルウェポンがその直後で落ち着きます。スタートして少しして外から抑えきれない手応えでレッツゴードンキが4番手、内からスルスルとスマートレイアーがポジションを上げて3番手の内へ。

前半の800mが47.9のスローで、4角を過ぎるあたりからじわっとペースが上がり、直線は切れ味勝負になりました。

このペースだと先行勢もなかなか止まらず、ソルヴェイグ、スマートレイアーが最後までしぶとく粘り、馬群を割ったアドマイヤリードが1着、外から強襲したデンコウアンジュ2着。3着には直線で馬場の真ん中へ出したジュールポレールが入り、3連単は90万円を超える高配当に。

 

稍重馬場の影響

土曜日に重まで悪化した芝は日曜日のメインレースの段階で稍重まで回復していましたが、それまでのレースを観ても、騎手が直線で外に馬を誘導するシーンが目立つ「内側が走りにくい」馬場。

馬が走りやすいところが直線の中〜外だったという馬場で、ルメール騎手が勝利ジョッキーインタビューで口にしていたように、通ったコースよりも道悪の巧拙が影響するレースだったと思います。

ただし、この「稍重」の馬場は水分を含んで時計がかかるというよりも、湿り気を帯びてフォームのバランスが崩れるような「走りにくさ」があったのでしょう。上り3Fの中でラスト2F目が10秒台に突入しているように、決して「時計のかかる」芝ではありませんでした。水分を含んで滑りやすいコンディションでも地面をしっかりと掴んでフォームを崩さずに走ることができた馬が上位に来たというレース。

 

人気上位馬について

今年のヴィクトリアマイルは1〜5番人気に支持された馬の中で、掲示板を確保したのが4番人気で4着のスマートレイアーのみ。ここではスマートレイアー以外の人気上位馬について振り返ります。

 

ミッキークイーンは7着

五分のスタートを切り、先行勢を見る形で中団に控えると直線では外へ出してジリジリと伸びますが……。

直線に向いてからすぐにスピードを上げられなかったところが上位に来たマイラーとは異なっていました。自身の上りは33.8ですからバテているわけではなく、中距離馬のこの馬が差せるようなペースではなかったのでしょう。マイル戦のスローなら、ミッキークイーンよりもバキューンと弾ける脚を使える馬が何頭か「いた」のが敗因。

この敗戦でのダメージがなければ、次走は人気も落ちるでしょうから巻き返しに期待したいですね。

 

クイーンズリングは6着

こちらもミッキークイーンと同じように、先行勢を見る形で中団を進み、直線では内へ進路を取って一瞬先頭に立ちかけますが、最後は上位のキレ味に負けたという内容。

3歳時にはフィリーズレビュー(阪神芝1400m)を勝った馬ですが、年齢を重ねるとともに距離の適性も2000m前後にシフトしていて、マイル戦でのスローの切れ味勝負では分が悪かった……。

また、昨秋エリザベス女王杯を勝った時の体調に戻っていなかったのかもしれませんし、今後の評価が難しい馬です。

 

ルージュバックは10着

とにかく外に馬がいるとスピードが乗り切らない馬なので……。今日も外にフロンテアクイーンがぴったりと張りついていて、結局直線では馬群のなかに突っ込む競馬。もちろん、スローペースを最後方の追走になったため、直線大外に出したとしても前をまとめて交わすだけの脚は見せれなかったと思いますが……。

昨年の天皇賞・秋からずっと大外に出せないレースが続いているので、もうそろそろ割り切って「逃げる」という選択肢も視野に入れたレースプランを立てる必要があると思います。

これだけの才女が無冠のまま競走生活を終えるのは寂しいかぎりです。

 

レッツゴードンキは11着

好スタートを切ると前進気勢が強くガツンと引っかかり、4角手前まで岩田騎手が手綱を引っ張り切りでした。ここまで掛かってしまうと脚を残すどころではなく直線でズルズルと後退。

レッツゴードンキはスローペースで引っ掛かってしまうリスクが常にある馬で、今回はその悪い面が出てしまいました。ただ、これだけ引っ掛かるということは裏を返せばそれだけのエンジンがある証拠で、スムーズに折り合いさえ付けば今後も好走のチャンスはあるはずです。

 

1着:アドマイヤリード

オープンの競走としてもかなりのスローで、この馬の小脚で走るピッチ走法がぴったりとはまりました。本質的には東京や外回りコースだと長く良い脚が続かないのでスローになるか馬場が重くなるかしないと勝ち切れないタイプです。

ここでGⅠ馬になったことで、今後のローテーションがどうなるのかは楽しみですね。スローであればコースに関係なく鋭い脚を発揮できるはずですが、淀みのないペースだと勝ち味の遅さが顔を出すので、買い時が難しい馬になりそうです。

 

2着:デンコウアンジュ

2歳時にメジャーエンブレムを破ったように、スローの上り勝負が得意な馬。こちらはストライドで走るので長い直線の東京や外回りコースが合っています。やはり、今日の走りを観るとマイラーなのでしょう。

今後も直線の長いコースで、ペースが緩んでの上り勝負のレースになれば好走できる可能性は十分にあります。

 

3着:ジュールポレール

こちらはストライドでしなやかに差すタイプで上り勝負もOKですが、本当はもう少しだけペースが流れれば……。ただし、条件戦から勝ち上がって来た馬ですから、今日の好走だけを取れば、追走で脚が削がれなかったペースも合っていたと思います。

もう少し経験を積んで淀みのないペースを追走しても最後に速い脚を使えるようになったときが完成の時でしょう。

 

まとめ

レースは生き物なのだな、と改めて思い知らされたGⅠレースになりました。逃げたソルヴェイグは距離不安がある馬なので、ペースを落とせるだけ落としてのペースメイクで、4角で引き離すような逃げであればここまで極端な上り勝負にはならなかったのでしょうが……。

勝ったアドマイヤリードはルメール騎手の好騎乗が光ったレースで、ソルヴェイグとスマートレイアーの間を割った進路取りは流石の一言。4角手前からのルメール騎手の手綱捌きはロスがなく、アドマイヤリードの末脚を完璧に引き出したと思います。

馬場とペースを読み切るのが難しかった今年のヴィクトリアマイル。来年はどんな結末が待っているのでしょうか。