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ビューティーオンリーとコンテントメントの香港馬2頭を解説ーー'17年安田記念

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春のマイル・チャンピオンを決めるGⅠ安田記念は実力伯仲の好メンバーが集まりました。絶対王者モーリス、昨年のマイルCS勝馬ミッキーアイルの引退にともない今年は混戦模様。その中でも香港から遠征してきた2頭、ビューティーオンリーとコンテントメントはGⅠ勝ちの実績がある実力馬です。また、ビューティーオンリーにはZ・パートン騎手、コンテントメントには「雷神」J・モレイラ騎手と日本でもお馴染みのトップジョッキーが騎乗するとあって、その部分でも注目を浴びています。

 

香港馬の2頭は実力馬

ビューティーオンリーは昨年末のGⅠ香港マイル(シャティン芝1600m)で日本から遠征したロゴタイプ(5着)、サトノアラジン(7着)、ネオリアリズム(9着)を撃破して勝利を上げています。また、同レースに出走していたコンテントメントも4着に入線し、上記の日本馬に先着。ホームアドバンテージがあったことを差し引いても2頭とも実力馬であることは間違いありません。

 

海外遠征馬が日本で好走するには?

海外からの遠征馬が他国のレースで好走する条件として挙げられるのは以下の2点です。

 

1. 遠征による調整

競走馬が海外でレースを行う場合、病気(病原菌)などを持ち込ませないように遠征する国で検疫が行われます。JRAの国際競走(ジャパンカップや安田記念など)に出走するため、一時的に入国する競走馬は5日間のけい留が義務付けられており、これが海外遠征における調整の難しさの一因になっています。

また、競走馬は環境の変化に敏感なこともあって、他国の水に慣れずに調子を崩すこともあり得るのです。

遠征にともなう調整の難しさをクリアできるかは海外から参戦する馬が好走するためのキーポイントになります。

 

2. 日本の馬場・コースへの適性

JRAの国際競争で外国馬が好走するための条件として、遠征にともなう調整ともう一つ、「日本の馬場・コースへの適性があるかどうか?」が挙げられます。

 

馬場

芝は日本の洋芝に近いため、札幌や函館と同じようにやや時計がかかる馬場。高速馬場となっている現在の東京競馬場だと1600m戦では1分32秒を切る時計も考えられるので、あまりにも速いタイムの決着になるのは香港馬にとっては不利な条件。

 

コース 

香港の競馬は右回りのコースで行われるため、東京競馬場のような左回りに適応できるかどうかは好走する上での重要なポイントです。また、香港の競馬場はホームストレッチが平坦なので、坂のあるコースに適応できるかもキーポイントになります。

 

日本馬がなかなか凱旋門賞を勝てないように、反対に凱旋門賞馬がジャパンカップで凡走するように、馬場やコースへの適性は好走する上で欠かせない要素です。香港馬2頭がこれを克服することができるのかはしっかりと検討する必要があります。

 

香港馬2頭の日本への適性は?

ビューティーオンリーとコンテントメントの2頭は、日本の馬場やコースへの適性があるのでしょうか?

それぞれ解説していきます。

 

ビューティーオンリー 6歳騸馬

ビューティーオンリーの父ホーリーローマンエンペラーはデインヒル直仔で、'11年にイギリスとアイルランドの2歳リーディングサイアーを獲得した名種牡馬。パワー型マイラーとしてデインヒルの血を産駒にもよく伝え、香港ではビューティーオンリー以外にもデザインズオンロームなどのマイルGⅠ勝ち馬を出しています。

ビューティーオンリーは父父デインヒルらしいコテコテのパワー型マイラーかというとそうでもなく、母系にロイヤルアカデミーⅡ(ストームキャットの4分の3同血の兄)、サーアイヴァー(ディープインパクトの母系に入るしなやかさを伝える血)など日本向きのしなやかな血が入るのが特徴。

ビューティーオンリーの血統表 | 競走馬データ - netkeiba.com

ホームストレッチが平坦のシャティン競馬場で、キレる脚を使えるのはこの母系のしなやかさの影響を受けているからでしょう。そのため、速い時計の決着にも十分に対応は可能です。とは言え、しなやかなストライドで走る馬ですから、急加速を求められるような上り3Fの瞬発力勝負は苦手。ペースがそこそこ流れてくれれば、この馬にとっては差しやすい展開になります。

 

Z・パートン

ビューティーオンリーの主戦Z・パートンは香港のリーディング・ジョッキーにも輝いた実力者。パートン騎手は「雷神」J・モレイラ騎手の影に隠れていますが、その騎乗技術は折り紙付きです。日本競馬の経験も豊富で、GⅠ高松宮記念をエアロヴェロシティで制すなど大舞台で結果を出しているのも魅力。

 

コンテントメント 7歳騸馬

前走のGⅠチャンピオンマイルではビューティーオンリーを退けて勝利を上げるなど、7歳になっても大きな衰えは見られません。昨年の安田記念は、先行したものの直線ではズルズルと後退して12着と敗れました。スローペースの瞬発力勝負が合わなかっただけではなく、馬体重を大きく減らしての出走だったことも大きく響いたと思います。

父ユソネットはミスタープロスペクター直仔でチリのリーディングサイアー。母父のコマンズ(その父デインヒル)は日本でも供用されている種牡馬で、芝・ダートを問わずに走る短距離型の産駒を多く出しています。

コンテントメントの血統表 | 競走馬データ - netkeiba.com

体型や走りからはビューティーオンリーよりもパワーの勝ったタイプ。香港のレースでも遅いタイムになると好走する馬なので、東京の高速馬場は「?」が付きます。ただ、昨年の遠征の経験は大きなアドバンテージですから、J・モレイラ騎手を鞍上に迎えてどのような競馬をするのか注目です。

 

J・モレイラ

「雷神」や「マジック・マン」と呼ばれる香港を代表する騎手。今年はドバイターフをヴィブロス、QE2世SをネオリアリズムとJRA所属馬で制するなど日本でもその「神がかった」手綱さばきは知れ渡っています。

昨年は単騎免許を取得し札幌競馬場で騎乗(8月13日〜28日)しており、日本の競馬にも慣れています。モレイラ騎手に関しては下の記事に詳しく書いたのでご参照下さい。

J・モレイラが日本にやって来る!ーー安田記念 - ずんどば競馬

 

2頭を比較すると?

ビューティオンリーとコンテントメントを比較すると、日本の馬場・コースへの適性であれば前者、遠征の経験+騎手であれば後者といったところでしょう。また、高速馬場への適性という意味でもビューティーに軍配が上がります。

ビューティオンリーのキレる脚はマイルCSを制したダノンシャークに似ていて、おそらく東京<京都という適性。また、ストライドで走る馬なので、ロゴタイプの勝った昨年のようなスローからの瞬発力勝負になると分が悪く……。

コンテントメントは揉まれずに先行してパワーを振り絞ることができれば……。高速決着には不安があるので、馬場が渋って時計がかかるようだとチャンスも出てきます。

 

今年の安田記念は逃げ馬が不在なだけに

今年の安田記念は確たる逃げ馬が不在で、昨年に引き続きロゴタイプがハナを奪う可能性もあるメンバー構成です。時計の速い馬場で、スローからの上り勝負になるようだと香港馬の2頭には厳しい展開になります。

コンテントメントはスタートが安定している馬なので、スローになるようなら先手をとって後続に脚を使わせる展開に持ち込めれば面白い競馬ができそうです。

 

まとめ

日本の芝向きな血統構成をしているビューティオンリー、「雷神」J・モレイラが騎乗するコンテントメントと魅力たっぷりの2頭が香港から遠征して来た安田記念。今年はどのようなレースになるのか、週末が楽しみですね。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。