マイネルミラノはエプソムカップで逃げるのか?また、好走できるのか?

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秋のGⅠに向けて「登竜門」とも呼ばれるエプソムカップ(東京芝1800mGⅢ)が6月11日、東京競馬場で行われます。今年も有力な4歳馬4頭を含むハイレベルなメンバーが集まり、注目の1戦になりました。

エプソムカップの出走メンバーを見渡すと、「何が何でもハナ!」というピュアな逃げ馬が不在。前で競馬をしたいのはマイネルミラノとマイネルハニーの同馬主とあって、どのような展開とペースになるのかが読みにくいレースです。

今回の記事では、昨年は逃げて3着に粘ったマイネルミラノが「逃げるのか?」、「好走できるのか?」について考察します。

 

マイネルミラノ 7歳牡馬

父:ステイゴールド

母:パールバーリー(Polish Precedent)

厩舎:相沢郁(美浦)

昨年、GⅢ函館記念を制し6歳にして初重賞制覇を飾りました。古馬になってから着実に力をつけ、5歳からは重賞戦線で活躍を見せる力量馬。

前走の福島民報杯は57.5kgの斤量を背負い、3角から先頭に立って押し切る強い競馬を見せました。1分58秒5の勝ちタイムも優秀で、能力的な衰えはありません。昨年のエプソムカップはルージュバックの素晴らしい末脚に屈して3着と敗れましたが、今年はそこまで骨っぽい相手もいないため、チャンスは十分に。

 

血統

母パールバーリーはDanzig直仔のPolish Precedent×Silver Hawkですからグラスワンダー(父Silver Hawk×母父Danzig)と血統構成が似ています。

グラスワンダーがグランプリコース(中山芝2500mと阪神芝2200m)ではいつも高いパフォーマンスを発揮していたように、内回り・小回りをパワーで捲るのがこの配合の特徴です。

マイネルミラノはそこにステイゴールドですから、中山や小回りコースをコーナーで加速して捲るタイプに出たのは順当。

東京や新潟の外回りの重賞でも好走していますが、本質的には内回り・小回りがベストなタイプ。

グラスワンダーの血統表 | 競走馬データ - netkeiba.com

 

近走を振り返ると

マイネルミラノは今年、GⅡ中山記念9着→福島民報杯1着と2走しここへ参戦。エプソムカップへの参考としてこの2つのレースを振り返ります。

 

▼GⅡ中山記念(中山芝1800m)

昨年、ドゥラメンテが制した時と同じく、今年の中山記念もハイレベルな戦いになりました。1着のネオリアリズムはその後QE2世Sを、5着のヴィブロスはドバイターフを制し、3着のロゴタイプは安田記念2着。

マイネルミラノはロゴタイプがハナに立ってペースをガクンと落としたところを積極的に先頭を奪って逃げる形に。前半の800mが12.6 - 12.2 - 12.6 - 12.9とかなり緩んだペースで進み、残りの5Fは11.1 - 11.6 - 11.6 - 11.3 -11.7=57.3の持続戦。前半のスローで後続に脚を使わせる展開にできず9着と敗退しました。中山コースなので5Fの持続戦に持ち込めましたが、前半があまりにも遅くマイネルミラノにとっては上りの速いレースになってしまったのが敗因です。

好走するためにはもう少し前半でペースをコントロールし、上りの速い競馬にさせない必要があります。

競馬は「きれいに折り合うこと」を競っているわけではないのに… 中山記念(2017年)回顧 - ずんどば競馬

 

▼OP福島民報杯(福島芝2000m)

先週のGⅢ鳴尾記念に勝ったステイインシアトルが外からじわっとハナに立ったところを、引っかかって抑えが効かないシャイニングレイが外から交わして先頭を奪いハイペースに。

まいねるみらのは前後半1000m58.1 - 60.4のハイペースを3角から先頭に立って押し切る強い競馬。

小回りコースだとコーナーで器用にスピードを上げて走ることができるため、3〜4角で後続にアドバンテージを取り、最後の直線ではパワーで粘り切ることができます。血統からもやはり内回りと小回りコースはベスト。いかに後続の脚を道中で削れるかがポイントになります。

 

逃げることができるのか?

エプソムカップは1枠1番に入り、外目をスムーズに走るという競馬は難しくなりました。前のポジションを取り切るためにはスタートから出していく必要があり、丹内騎手が序盤をどのように入るのかがレース展開の大きなポイントになります。

4枠のマイネルハニーを先に行かせてから外目に出すようだと、アストラエンブレムやタイセイサミットに外を蓋される可能性があるため、この枠であれば逃げる形がベスト。

前走は57.5kgを背負っても素軽い先行力を見せていたので、今回+0.5kgの斤量で急激に出足が鈍くなることは考えられません。

逃げの形に持っていくのであれば、東京の高速馬場を考えると前半1000mは59秒台を切るペースが理想です。マイネルハニーが2番手に付けるはずですから、この馬が後続に対して壁になればミラノの離し逃げになることも十分に考えられます。

 

好走するためには?

前半の1000mは59秒台を切るペースで入り、4角では2番手以降の馬にリードを保って直線に入りたいところです。コーナーでスムーズに加速する器用さのある馬は、先週の安田記念を2着に粘ったロゴタイプのように一瞬の加速力に秀でたタイプが多く、マイネルミラノもその口です。

直線の長い東京で、上り3Fが34秒を切るようなレースにしてしまうとストライド走法の馬に差されてしまうので、持ち前のパワーで坂を急加速で駆け上がり、残り200はそのスピードの惰性で粘りこみを……。

人気上位のアストラエンブレムとタイセイサミットの4歳馬2頭は先行して力を発揮できるタイプなので、4角で差を詰められないようなペースで逃げられるかが鍵になります。そのためには、2番手に付けるマイネルハニーがレースのペースをそのポジションでコントロールできるのかも大切なポイントです。

ただ、マイネルハニーも上りの速い競馬に持ち込まれるのは不向きなので、どこまで前を行くミラノを追いかけるのかは難しいところ……。

58kg+ワンターンの東京1800mというのはマイネルミラノにとってベストの条件ではないものの、後続に脚を使わせるような流れにすることができれば勝ち切るチャンスも十分にあります。そのようなレース運びを「暴走」することなく丹内騎手が作れれば。

 

まとめ

7歳とは思えないハイパフォーマンスを見せた前走の福島民報杯のように、前半でペースを引き上げて、そこから後続にリードを保っての粘りこみができるのかどうか?

ここがマイネルミラノにとってエプソムカップで好走するための条件になります。東京の1800m戦だとなり難しいことは確か。後は前走で見せたこの馬の能力を丹内騎手が信じて乗ることができれば……。

初重賞制覇を飾った函館記念もマイネルミラノのパートナーは丹内騎手。この馬の長所も短所もよく知る騎手だからこそできる「逃げ」で、周りを「あっ!」と言わせる走りに期待しましょう。

 

今から日曜日のレースが楽しみですね。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。