アーリントンC(2018年)は名繁殖牝馬の仔◎レッドヴェイロンに期待して!ーー予想

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NHKマイルCへのステップ・レースとなるアーリントンC(GⅢ・阪神芝1600m)は、朝日杯FS3着のタワーオブロンドン、毎日杯3着のインディチャンプ、きさらぎ賞3着のラケットなど重賞で活躍した馬が揃い、3歳マイル路線を占う重要な1戦となりました。

 

タワーオブロンドン 3歳牡馬

主戦を務めるC・ルメール騎手が「ロードカナロアになれる」と発言したことで、一躍注目を集めることになったのがタワーオブロンドンです。京王杯2歳Sを快勝して臨んだ朝日杯FSは、ダノンプレミアムとステルヴィオに遅れをとる3着に敗退。そこから休養を挟み、3歳春シーズンはアーリントンC→NHKマイルCというマイル路線を歩みます。

タワーオブロンドンは「JRAの芝短距離路線を代表するパワー・スプリンターになれるのでは?」と期待をかけている馬で、これまでにも血統や走りなどを解説し記事を書いてきました。詳しくはそちらをご覧頂くとして、ここではアーリントンCに向けての展望を。

 

アーリントンCに向けて

タワーオブロンドンを所有するゴドルフィンは、高松宮記念を制したファインニードルがJRAのGⅠ初勝利。この勢いは本馬にとっても追い風となります。

復帰戦をニュージーランドTではなくアーリントンCに定めたのは、C・ルメール騎手の都合を優先するというよりも、管理する藤沢和雄調教師が直線の長いコースを走らせたかったからだと考えられます。少なくとも休み明けでの長距離輸送はマイナスにはなりません。

この馬が完成期に入ったときは「1200〜1400mベスト」へと距離適性もシフトしていくはずで、マイル路線を走るのは3歳春まででしょう。朝日杯FSは距離が長かったこと以上に、「ダノンプレミアムを差す」ための騎乗で最後に甘くなってしまったのが最大の敗因。

ここはベストの阪神外回りコースですから、後方でしっかりと脚をためるレースになります。バキューンと弾ける脚を使えることはわかっているので、どこまで追い込めるのかですね……。パワータイプとあって、馬場が渋るのはOK。

 

名繁殖牝馬の仔と孫が勢揃い

今年のアーリントンCは、重賞級の馬を多く輩出する名繁殖牝馬の仔と孫が顔を揃えました。

パクスアメリカーナ

インディチャンプ

レッドヴェイロン

(内枠から降順)

それでは、1頭ずつ詳しく見ていきましょう。

 

パクスアメリカーナ

父:クロフネ

母:グローバルピース(母父サンデーサイレンス)

厩舎:中内田充正(栗東)

母グローバルピースは名牝タレンティドガールに遡る牝系。パクスアメリカーナはGⅠヴィクトリアマイルを制したホエールキャプチャ(父クロフネ)の全妹で、この牝系らしく3歳春から力を発揮しています。古馬になってもグングンと成長力する母系だけに、今後が楽しみな1頭です。

グローバルピースは毎年のようにクロフネが配されており、これはあきらかに相性の良さを狙ってのことでしょう。クロフネは「フィリーサイアー」なので、平地のGⅠ勝ちはすべて牝馬となっています。

ホエールキャプチャ

カレンチャン

スリープレスナイト

アエロリット

クロフネ産駒の牡馬はダートを主戦とするテイエムジンソクのように、パワータイプになることが多く、馬場のパクスアメリカーナが前傾ラップやタフな馬場を得意とするのも納得です。芝での活躍馬が牝馬に偏っているので、パクスアメリカーナには割引材料となります。

 

インディチャンプ

父:ステイゴールド

母:ウィルパワー(母父キングカメハメハ)

厩舎:音無秀孝(栗東)

母ウィルパワーは名繁殖牝馬トキオリアリティーの仔で、GⅠ馬リアルインパクト(父ディープインパクト)やネオリアリズム(父ネオリアリズム)の半姉という良血馬。

この馬の血統については毎日杯の展望記事に詳しく書いているので、よければそちらをご覧下さい。

この牝系らしいピッチ走法で、本質的には小回り・内回りに向いています。前走の毎日杯は直線で前が詰まってスムーズさを欠いたものの、その分だけ脚がたまってビュンと加速できました。今走は1600mでペースが流れたときに、ここ2走のような反応を引き出せるのかがカギですね。

 

レッドヴェイロン

父:キングカメハメハ

母:エリモピクシー(母父ダンシングブレーヴ)

厩舎:石坂正(栗東)

スーパー名繁殖「エリモピクシー」は、先週の阪神牝馬Sを2着と好走したレッドアヴァンセの他にも、クラレント、レッドアリオンなど多くの重賞馬を出しています。どんな種牡馬を配してもOP〜重賞級の馬が出ていることから、この母の遺伝力はあまりにも優秀です。

クラレントやレッドアリオンなどこの母の産駒は揉まれ弱いタイプが多く、好走するパターンは逃げか外枠からスムーズに先行したときがほとんど。レッドヴェイロンは外枠に入ったので、スムーズに先行できればチャンスもあるでしょう。エリモピクシーの仔ですから、重賞で格負けすることはありません。

 

予想

1200〜1400mを中心に走っていたラブカンプーがハナを取りきり、その外からエアアルマスとレッドヴェイロンが外から続きます。逃げ馬がどこまでペースを緩められるのかはわからないものの、少なくともスローからの瞬発力勝負にはならないメンバー。

現在の阪神芝は高速馬場になっており、雨の影響さえ出なければ前半800mが47秒を切るペースになるでしょう。想定するペースだとマイル適性の高い馬に有利な前傾ラップになる可能性が高く、中距離馬にはやや不利に。

 

◎レッドヴェイロン3歳牝馬

エリモピクシーの仔が外枠(7、8枠)に入ったのですから、阪神牝馬Sのレッドアヴァンセと同じように◎を打ちます。展開的にもヴェイロンの外から被せてくる馬が見当たらないので、スムーズに外目の2、3番手が取れれば。

不安点はリーディング・ジョッキーとしては「スタートが安定しない(遅い)」M・デムーロ騎手が乗ること。馬群の中に入ってしまうと能力全開とはいかないので、とにかくスタートがカギになります。

父キングカメハメハの影響が出ているのか、レッドヴェイロンは兄弟のなかでもっともパワータイプに出ており、急坂の阪神はベストのコース。高速馬場の瞬発力勝負だと苦しくなるので、ラブカンプーが引っ張る流れを強気に追いかけて欲しいですね。

 

△候補として

◎のレッドヴェイロンは騎手人気になってしまうので、ここは3連単の1着固定とします。そのため、2、3着候補は△の印に。

タワーオブロンドン

インディチャンプ

ピースユニヴァース

タワーオブロンドンは頭まで突き抜ける可能性もありますが、休み明けと次走を見据えたマイル戦と考えれば差し損ねる可能性も十分です。

インディチャンプはピッチ走法なので、外回りの阪神であればスローから平均がベスト。ピュアなマイラーではないので、1600mの前傾ラップになると2、3着まで。

ピースユニヴァースは道中でためて直線でバキューンのレースしかできないですし、武豊騎手もここは無理せずに末脚を伸ばす騎乗をするはずです。能力的には3着に入線する力はあります。

パクスアメリカーナはパワータイプなので、前傾ラップがベター。あまり高速馬場だともち味のしぶとさを発揮できないですし、このメンバーでスタートが後手だと馬券圏内の可能性も薄くなるので、この人気ならバッサリと切る方向で……。

 

買い目

ここは人気の組み合わせが多いため、3連単で買います。

 

3連単

1着:11

2着:6. 2

3着:6. 2. 5

これだと4点なので、オッズが80倍を超えないものについては買いません。と言っても、リアルタイムでレースを観られないため、朝の段階のオッズで判断する予定です。

 

まとめ

今年のアーリントンCは3歳マイル路線の好メンバーが揃いました。今後を占う意味でも、名繁殖牝馬の仔レッドヴェイロンと素質馬タワーオブロンドンの走りには注目しています。

皆様にとっても素晴らしいレースになりますように。

以上、お読みいただきありがとうございました。