タワーオブロンドンと同馬主のライトオンキューは朝日杯FS(2017年)を好走できるのか?

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2歳のマイル・チャンピオンを決める「朝日杯FS(GⅠ・阪神芝1600m)」は、「大物」と称されるタワーオブロンドンとダノンプレミアムの2頭が出走を予定しており、来春のNHKマイルC(GⅠ・東京芝1600m)やクラシックを占う意味でも重要な1戦です。

タワーオブロンドンを所有するH・H・シェイク・モハメド殿下は、「ダーレー・グループ」の代表を務める世界的なオーナー・ブリーダー。ただ、JRAの「馬主登録」後、ディサイファやファインニードルなどが重賞勝ちを上げているものの、日本のGⅠは未勝利(✳︎)。

✳︎)JRAの馬主登録前には、1996年と2007年のジャパンカップをシングスピールとアドマイヤムーンで制覇しています。

今年の朝日杯FSは、タワーオブロンドンとライトオンキューの2頭が出走を予定し、殿下に「JRAのGⅠタイトル」を初めてプレゼントできるのかに注目です。ここでは、ライトオンキューの血統や朝日杯FSに向けての展望を解説します。

 

ライトオンキュー 2歳牡馬

父:Shamardal

母:グレイトタイミング(母父:Raven's Pass)

厩舎:昆貢(栗東)

生産:ダーレー・ジャパン・ファーム

騎手:四位洋文

重苦しさのないバランスが取れた好馬体のもち主で、498kgの馬格ながらやや細身に見せるのはまだ成長途上だからでしょう。走るフォームは馬体のイメージ通りにしなやかさとバネを感じさせ、いかにも芝向き。

未勝利を勝ち上がったばかりだけに、一線級相手の朝日杯FSへの参戦は苦しい印象を与えるものの、好メンバーの揃った新馬戦3着の内容から、もてるポテンシャルの高さに期待をかけたい1頭です。

 

血統

父Shamardalは英2歳GⅠデューハーストS、仏2000ギニーと仏ダービーの2冠を制した活躍馬で、産駒には香港の名マイラー・Able Friendや父と同じ仏2冠馬のLope De Vegaなどを出しています。

Shamardalは父が1600〜2000mのGⅠを6勝したGiant's Causewayながら、母系にMachiavellianやRivermanなどのしなやかなキレを伝える血をもつため、バキューンと弾ける脚を産駒に伝えるのが最大の特徴です。

✳︎)Shamardalらしさをもっとも受け継いだのは香港馬のAble Friendで、直線平坦なシャティンのマイル戦をしなやかに差し切っていた姿はこの父の影響が出ていると言えるでしょう。

母グレイトタイミングはRaven's Pass×Kris. S×Blushing Groomと母系に入って良さが出る種牡馬が代々重ねられ、自身は5代アウトブリードの配合。母系に入って底力を伝えるElusive Quality(Raven's Passの父)、しなやかさを伝えるBlushing Groomなど、良質な種牡馬が血統表に入っているのが好印象です。

ライトオンキュー自身はMr. Prospector4×5とBlushing Groom5×4、Roberto5×4の薄いクロスをもち、日本の芝を俊敏に走るタイプに出ています。Roberto的なゴリゴリのパワーをあまり感じさせないので、現状では直線の長いコースがベターです。

 

Raven's Passは母系に入って良さが?

Raven's PassはGone West系でも底力を伝えるElusive Qualityを父にもち、母Ascutneyが主流の血脈(Northern DancerやMr. Prospector)を引かないため、活力にあふれた好配合の種牡馬。日本ではタワーオブロンドンの父としても知られています。

Elusive QualityがGone West系らしい軽いスピードだけではなく、大レースを勝ち切る底力をもつのは、その母Touch of Greatnessの優れた繁殖能力によるものでしょう。この名牝はサトノクラウンの母父Rossiniなどを産んでおり、母系に入って力を発揮します。

Raven's PassもElusive Qualityの底力を十分に受け継いでおり、おそらく父よりも母父に入ってより良さが出る可能性があります。その意味でも、ライトオンキューの走りは楽しみですね。

 

過去2走の内容

ライトオンキューは新馬戦(京都芝1400m)3着→未勝利戦(京都芝1600m)1着の2戦。新馬戦はサウンドキアラやエアアルマスといった素質馬を相手に3着と好走。このレースはスタート直後の1Fをのぞくとすべて11秒台の締まった流れとなりました。レースの上り3Fが11.9 - 11.5 - 11.5と失速していないことからも、全体の時計以上に優秀な内容です。

未勝利戦は重馬場でタフなレース。直線では2度ほど進路を切り替えるロスがあったものの、最後までしっかりと脚を使い、上り1位をマークしての1着。この馬の上り35.4は上り2位の馬と0.5差をつけてのものだけに、着差以上の完勝だったことがわかります。

 

朝日杯FSに向けて

ダノンプレミアム、タワーオブロンドン、ステルヴィオの3頭はこの世代トップレベルのハイ・パフォーマンスを出しており、未勝利戦を勝ち上がったばかりのライトオンキューがすぐに通用するのかはわかりません。

ただ、血統的な背景とここ2戦のレース内容から、好走してもおかしくないだけの魅力を秘めた馬であることは確かです。内回りから直線の長いコースに替わるのはプラス。Robertoのクロスがあることから、ゴール前の急坂は苦にしないでしょう。

 

ポジティブな面に目を向けると

未勝利戦を勝ち上がったばかり、高速の阪神芝への対応、一線級との対戦は初めてなどライトオンキューにとってネガティブな面は多くあります。この馬はかなりの人気薄になるため、不安点は無視してポジティブな面に目を向けてみましょう。

1. 急坂の阪神コースはプラス

2. 直線の長い外回りコースもOK

3. 新馬戦で締まった流れを経験済

1〜3については今回のレースに向けてポジティブな面です。「だから、好走する!」かどうかはわからないものの、「3着くらいにちょろっと入着しても……」という期待はもてます。

 

まとめ

ライトオンキューはH・H・シェイク・モハメド殿下の所有馬だけに、お洒落で上品な配合をした馬。朝日杯FSを好走できるのかも、今後にGⅠレースを勝てるのかもわからないものの、こういう配合の馬が種牡馬になったら……と思えるのがライトオンキューです。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。