4月の東京競馬場、3歳未勝利戦でデビューしたキャンベルジュニアは、500kgを超える好馬体をしなやかに伸ばして1着でゴールを駆け抜けました。
既走馬のなかでのデビュー戦となりましたが、堀宣行調教師+吉田和美氏の所有馬+外国産馬のブランド力からか、レースでは1番人気の支持を受けることに。
「オレンジと黄色の縦縞、腕に緑の一本輪」というお馴染み吉田和美氏の勝負服を揺らして、東京の長い直線をしなやかなストライドで走るキャンベルジュニアは垢抜けた馬体ながら、どこかひ弱さを感じさせるレース振り。
吉田和美氏の所有する同世代の外国産馬メラグラーナにも、500kgを超える馬格の割にはどこかひ弱さを残している印象を受けていたので、これは南半球産に共通する「遅生まれ」によるものだろうと思ったのでした。
キャンベルジュニアは前走幕張ステークス(1600万下)の勝利でオープン入りをし、今週のダービー卿CTに登録しています。昨年もこのレースに出走し、1番人気に支持されながら8着に敗退。メラグラーナも今年のオーシャンSで初重賞制覇となったことからも、同じ遅生まれの豪州産馬として今年こそは成長した姿をファンに見せたいものです。
今回の記事ではダービー卿CTの展望として、キャンベルジュニアについて解説をします。
キャンベルジュニア
キャンベルジュニアは父Encosta de Lago×母Melito(母父Redoute's Choice)という豪州の南半球産。
血統
父はFairy King直仔のスプリンターで、豪州のリーディングサイアーに2度輝きました。香港の年度代表馬セークリッドキングダムや日本のスプリンターズSを10人気で勝利したウルトラファンタジーなどが代表産駒。
母のMelitoはデインヒル直仔のRedoute's Choiceを父にもち、競走馬としても豪州のスプリントGⅠを勝つなどの活躍を見せました。
父と母がスプリンター同士の掛け合わせですが、キャンベルジュニアは胴が長く、2000m前後に距離の適性がある馬体をしています。母父のRedoute's Choiceは産駒にフルーキーやランリョウオーなど1600〜1800mがベストの馬を輩出していることから、キャンベルジュニアもこの血の影響が出て、血統の字面よりも長目の距離に適性を見せているのでしょう。
過去のレース
新馬→3歳500万下の夏木立賞と芝2000mのレースを連勝した後、ラジオNIKKEI賞に挑戦して15着と大敗を喫します。3歳の夏から秋は休養にあて、12月の1000万下クラスで復帰すると、1600万下も2戦で突破して4歳の春にはオープン入り。
'16年のダービー卿CTは堀宣行厩舎の期待馬として高い評価をされたのか、1600万下を勝ったばかりでの参戦にもかかわらず1番人気に支持されました。レースは最内枠から川田騎手が出して行き逃げる形になりますが、ロゴタイプとマジックタイムに捲られて8着に敗れます。勝ちタイムが1:32.8と33秒台を切るレースになったために、本質的にマイラーではないキャンベルジュニアにとっては苦しいペースになってしまいました。
クラス再編成によって1600万下に格付けされましたが、休養を挟みながらクラス3戦目の幕張Sで勝利を挙げて再びオープン入り。
適性
新馬→夏木立賞と東京の芝2000mを連勝した時は「パワーのある血統にしてはしなやかなフォームで走るな」という印象を受けました。
馬の成長に合わせて休養を挟みながらレースが選択され、馬体が逞しくなるとともに父と母父のパワーが少しずつ現れてきています。そのため、しなやかに差すよりもパワーで先行して押し切る競馬に適性がシフト。そのパワーがもっとも現れたレースが、キャンベルジュニアのベストパフォーマンスと言える昨年の関門橋ステークス(小倉芝1800m 1600万下)です。
関門橋ステークス 小倉芝1800m 1600万下
好スタートから2番手で流れに乗ると、4角で先頭に立ちそのまま押し切る横綱相撲。2着のフェルメッツァを0.6秒離した見た目も強かったのですが、レースラップにも中身の濃さが表れています。
レースラップ 12.5 - 11.7 - 12.0 - 11.3 - 11.4 - 11.9 - 11.5 -11.6 - 11.6
関門橋ステークスは最初の1Fを除き、道中がすべて12.0以内の持続戦。後半3Fが11.5 - 11.6 - 11.6と失速していないレース上りをキャンベルジュニアは34.6の脚で突き抜けていますから、かなり高いスピードの持続力とパワーをもっていることがわかります。
馬体に身が入るとともに、しなやかさ→パワーへとシフトしていることから、東京コースで瞬発力比べになるよりも中山などの上りのかかるコースで平均ペースの流れになった方が力は発揮しやすいはずです。
ダービー卿CTの展望として
キャンベルジュニアにとって、ダービー卿CTで好走するポイントは3つあります。
1. 1分32秒半ばの勝ちタイムにならないこと
関門橋ステークスの内容を見ても、キャンベルジュニアは1800mベストの中距離馬です。そのため、走破タイムが1分32秒半ばのレースになると、追走に脚を使ってしまい直線で苦しくなってしまいます。平均的な流れで1分33秒を切るか切らないかくらいのタイムで決着するのがベスト。
2. シュタルケ騎手の積極的な先行
鞍上がシュタルケ騎手であれば、差しに回るようだとマイナス。キャンベルジュニアはストライドも伸びますが本質的にはパワー型なので、シュタルケ騎手とは手が合います。前走の幕張ステークスのように、逃げ馬を早めに捕らえてパワーで粘るレースがベストです。
3. 切れ味勝負にはしない
逃げ馬のマルターズアポジーが大阪杯とダービー卿CTの両睨みなのでどちらに出走するのかはキーになります。マルターズアポジーが大阪杯に回るようだとピュアな逃げ馬が不在。もしスローの切れ味勝負になってしまうと、5連勝中の「遅れてきた大物」グレーターロンドンの捲り差しが決まってしまう可能性が高く…
昨年のダービー卿CTでは逃げて失速しているので陣営もハナを切る競馬はしたくはないでしょうが、スローになるくらいならキャンベルジュニアが平均ペースで逃げた方が好走の可能性は高いと思います。
キャンベルジュニアの完成期
吉田和美氏の所有する南半球の外国産馬が私的に「好き」というのがあって、キャンベルジュニアとメラグラーナのパワー溢れるレースを観るとヨダレが垂れてしまう…
キャンベルジュニアもデビューから20kg近く馬体が増えていて、遅生まれの馬がいよいよ完成期に入りつつあるとなると、メラグラーナのようにスパッと初重賞制覇を飾って欲しい気持ちになりますね。
ただベストは1800mなので、今後は朝日CC→中山記念→大阪杯というローテーションでお願いします! 堀先生!
まとめ
ダービー卿CTはキャンベルジュニアが昨年の雪辱を果たせるのかが注目ポイント。
グレーターロンドンの存在は厄介ですが、これからGⅠ戦線を展望する上では骨っぽい相手にどれだけのパフォーマンスを見せられるかも大切ですからね。
今からレースが待ち遠しい!
以上、お読みいただきありがとうございました。