サマースプリントシリーズの最終戦、そしてGⅠスプリンターズSの前哨戦となるセントウルS(GⅢ・阪神芝1200m)は、ビッグアーサーやロードカナロア、ストレイトガールなどのGⅠ馬が人気の中心となる例年通り、今年はかなり高松宮記念を制したファインニードルが人気の中心となります。スプリンターズSに向けて好発進を決るのはどの馬なのでしょうか?
秋の阪神開催は「インコース+逃げ・先行有利」
秋の阪神開幕週は速い時計の出る馬場になり、インコース+逃げ・先行有利というのがここ数年のデフォルト。セントウルSも過去の成績を見ると、前々からレースを進める馬が好走しているケースがままあり、差し・追い込み馬は苦しい展開を強いられます。以下は過去5年のセントウルSの成績をまとめたものです。
▼セントウルSの過去5年
・2017年
勝ちタイム:1分7秒5(33.8 - 33.7)
1着:ファインニードル(3 - 3)
2着:ラインミーティア(6 - 7)
3着:ダンスディレクター(9 - 9)
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・2016年
勝ちタイム:1分7秒6(33.1 - 34.5)
1着:ビッグアーサー(1 - 1)
2着:ネロ(5 - 5)
3着:ラヴァーズポイント(3 - 3)
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・2015年
勝ちタイム:1分7秒8(34.0 - 33.8)
1着:アクティブミノル(1 - 1)
2着:ウリウリ(13 - 11)
3着:バーバラ(4 - 5)
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・2014年
勝ちタイム:1分7秒4(32.9 - 34.5)
1着:リトルゲルダ(6 - 4)
2着:ハクサンムーン(3 - 3)
3着:エピセアローム(8 - 8)
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・2013年
勝ちタイム:1分7秒5(33.8 - 33.7)
1着:ハクサンムーン(1 - 1)
2着:ロードカナロア(3 - 3)
3着:ドリームバレンチノ(5 - 5)
過去5年の勝ちタイムはすべて1分7秒台となっています。前傾・後傾のどちらのバランスになったとしても勝ちタイムは大きく変わりませんから、前半3Fの通過タイムがレースの質を決めると言えるでしょう。
逃げ馬が3勝しているのはいかにも開幕週らしい結果。ビッグアーサーのようなピュアスプリンターであれば、前半3Fは33秒前半が望ましく、ダンスディレクターやウリウリのような1400mベストのスプリンターにとっては前半3F34.0前後がベストとなります。
雨の影響は?
西日本は台風21号により、火・水曜日とまとまった雨が予想されています。また、宝塚市は競馬が開催される土・日に雨の予報が出ており、パンパンの良馬場は望めない状況です。
雨の影響を受けるようだと、セントウルSは1分7秒台の勝ち時計にはならず、例年とは異なるレースになるでしょう。そのため、土曜日の天気と馬場コンディションについてはしっかりとチェックしておきましょう。
重馬場になったら?
開幕週だとしても、土日に雨が降り続くようなことがあれば、芝は「重」まで悪化する可能性があります。よりパワーが求められるタフなレースになるため、「あっ!」と驚く人気薄の馬が好走するかもしれません。
重馬場に適性のある馬は?
セントウルSに出馬登録のある16頭のなかで、重馬場に適性がある馬をピックアップしてみましょう。
▼重馬場適性のある馬
アサクサゲンキ
アドマイヤゴッド
コウエイタケル
ネロ
ファインニードル
フミノムーン
ブラヴィッシモ
(50音順)
アサクサゲンキとコウエイタケルは「重馬場+洋芝」に実績がありませんが、血統的と走りからタフな馬場は向くはずで、ピックしています。
重馬場に実績のあるネロ
もっともタフな馬場への実績があるのは、重馬場となった昨秋の京阪杯(GⅢ・京都芝1200m)を逃げ切ったネロでしょう。この馬はダートの重賞でも好走するほどのパワー型で、芝だと時計のかかるレースがベストのタイプです。1分9秒前後の勝ちタイムになるようなら、チャンスも出てきます。
不安な点は折り合いを重視する福永祐一騎手に乗り替わって、後続の脚を削ぐような「逃げ」の手に出るのかどうか……。母系に気難しいWild Riskを引くので、揉まれずにスムーズなレースができないとモロさも……。
ファインニードルは重馬場もOK?
ファインニードルは上りのかかるタフな馬場だった今春の高松宮記念を差し切り、条件戦時代にも重馬場で好走しているパワータイプ。この馬が高速馬場にも対応するのは、母父父Darshaanが「しなやかさ」を強く伝えるからでしょう。
また、ファインニードルの最大の長所は、母系に揉まれ弱いVaguely Nobleを引くにもかかわらず、好位のインで脚を溜められることです。雨で重馬場になったとしても、開幕週であれば「イン」が荒れていることはなく、コースロスなく立ち回れるのは大きな強みと言えます。
人気薄の注目馬は?
アドマイヤゴッドは昨年のセントウルSを素晴らしい内容で5着と好走しました。1つ歳を重ねた分だけ、昨年以上のパフォーマンスを発揮できるのかが好走へのキーポイントです。内枠を引き、前が詰まったとしてもインにこだわるレースをするなら、チャンスも出てきます。
フミノムーンはファインニードルと同じアドマイヤムーン産駒で、道悪が大得意な配合。近走は後方から追い込んで届かずのレースを続けており、「開幕週の馬場+多頭数」だとまた同じような内容になるでしょう。ただ、馬群がバラける重馬場になれば話は別で、好走する可能性はより高まります。
コウエイタケルの全兄セイカプリコーンはダートのOPまで出世した活躍馬。ステイゴールド×フレンチデピュティは今年の天皇賞・春を制したレインボーラインと同じで、重馬場を得意とする配合です。コウエイタケル自身は道悪に実績はないものの、血統としてはこなせるだけの下地があります。
重馬場になると……
重馬場になった昨年の京阪杯が最たる例ですが、道悪だと騎手は体力のロスを避けるために「前への意識が低く」なり、前残りのレースになることも……。
今年のセントウルSはラブカンプー、ダイアナヘイロー、レジーナフォルテと前半3Fの速い馬が揃いました。ただ、ラブカンプーやダイアナヘイローはスピードとパワーでゴリゴリと押し切るスプリンターというより、「しなやかさ」のあるタイプです。そのため、道悪になったときにスッと先行できるのかは「?」が付きます。
ネロ鞍上の福永騎手が積極的に逃げるのであれば、思わぬ前残りなることも……。重賞レースだと「まず」逃げることのない福永騎手ですから、どのようなプランを立ててレースに臨むのかに注目です。
まとめ
セントウルSは良馬場であれば1分7秒台の決着になるのがデフォルト。また、「イン+前々」有利になるので、内枠からいかにロスなく走れるかがポイントです。
それに対して、道悪になるようだと前々有利になることも、ズブズブの差し決着になることも考えられます。どちらに転ぶのかは今の段階ではわからないので、レースの予想が楽しみですね。
以上、お読みいただきありがとうございました。