中京記念(2018年)は速い時計の決着になればインを突ける1400mベストの馬が有利に?--リライアブルエースについて

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中京競馬場がリニューアルオープンした2012年から6年が経ち、「国内屈指のタフな芝」と言われたのが懐かしいほど、現在の中京芝コースは速い時計の出る馬場へと変わっています。

夏の中京開催の最終週に組まれている中京記念は、このレースを連覇したフラガラッハのように、「トニービン+Nureyev」的なパワフルなストライドで走る馬がズドーンと外から差してくるのがデフォルトでした。

ただ、近年はウインガニオンやスマートオリオンがインを立ち回って1着となっており、馬場によっては先行馬の台頭も十分にあるレースです。そのため、馬場コンディションをチェックすることは、中京記念を検討する上で大切な要素の一つと言えるでしょう。

 

中京芝は速い時計の出るコンディション

今開催の中京芝は開幕週のCBC賞(GⅢ・芝1200m)で1分7秒0の好タイムがマークされたように、高速馬場でのスタート。その後は雨によって「重」馬場まで悪化する日があったものの、開催6日目となった7月15日(日)にはふたたび速い時計の出るコンディションとなりました。

7月15日の12Rとして行われたフィリピンT(1000万下・芝1200m)は1分8秒1の好タイムがマークされています。1着キーナンバーは直線でインを突き抜けていることから、コースロスなく内を立ち回った馬が残る馬場。「最終週=外差し」とはなっていないことに注意しておきましょう。

 

さらにイン有利となることも?

「エアレーション作業+エクイターフ」の導入されている競馬場の芝コースは、開催が進むにつれて「高速馬場&イン有利」となることがあり、それは中京競馬場にも当てはまります。

2015年の中京記念は1着スマートオリオンと2着アルマティヴァインは馬場の真ん中よりも内から脚を伸ばしており、内側の馬場も傷みの少ない状態となっていました。今夏の中京開催はまだ速い時計が出ていること、そして、インを立ち回る馬が好走していることから、2015年と似た決着がイメージできます。

「逃げ・先行馬」でなくともインを突ける馬であれば好走できるので、昨年3着のブラックムーン+M・デムーロ騎手のような「ラチ沿いの追い込み馬」にも注意が必要です。一か八かのインにこだわれる騎手もチェックしておきましょう。

 

1分32秒台なら「1400〜1600m」ベストの馬が有利

先週と同じような馬場が続くのであれば、中京記念の勝ちタイムは1分32秒台になることが想定されます。マイル戦で時計の速い決着になると、「1600〜1800m」よりも「1400〜1600m」向きの馬が好走するのがデフォルトです。

近3年(勝ちタイムはすべて1分33秒台)の中京記念はウインガニオン、グランシルク、ピークトラム、ケントオー、スマートオリオン、アルマディヴァインなど1400mのレースに勝ち鞍のある馬が1〜3着に入線する傾向にあります。今年も軽い芝でのレースが想定されるので、このトレンドは続くでしょう。

 

1400〜1600mベストの馬は?

それでは今年の出走馬のなかで、1400〜1600mがベストのタイプを探してみましょう。まずは1400mに勝ち鞍のある馬をピックアップします。

1400mに勝ち鞍のある馬

ウインガニオン

コウエイタケル

ジョーストリクトリ

ダイメイフジ

マイネルアウラート

ムーンクレスト

リライアブルエース

ロワアブソリュー

ワントゥワン

(50音順)

マイル重賞だけあって、1400mに勝ち鞍があるのは9頭も! う〜ん、絞りにくいですね。コウエイタケルとダイメイフジは1200〜1400mのタイプなのでやや割引。残りの7頭はマイル寄りの適性をもつので、大きな不安はありません。

ワントゥワンはM・デムーロ騎手が乗るだけに怖い1頭ですが、ワンカラット←バルドウィナ牝系は揉まれ弱さがあるので、内を突っ込んでこれるのかに「?」が付きます。昨年3着のブラックムーンのように、馬群がばらけていれば内から追い込むのもOK……とは言え、そんな展開なるかは今から予想できることでもないですしね。

 

注目馬は?

上記のなかで注目したいのは、1600万下の1400m戦を快勝したリライアブルエースとロワアブソリューの2頭。前者は小倉記念と七夕賞を制したアルバートドックの全弟、後者は重賞で活躍しているデアレガーロの半兄という良血馬です。

2頭とも母系にパワフルな末脚を伝えるNureyevの血が入り、中京の長い直線は「ずんどば!」のタイプ。近年のトレンドとなっているNijinskyの血を引かないのは不満なものの、血統や配合は重賞級とあって、どちらが中京記念を勝ったとしても驚けません。

今回の記事ではより高速馬場に強いリライアブルエースを取り上げます。

 

リライアブルエース 5歳牡馬

父:ディープインパクト

母:ゴールデンドックエー(母父Unusual Heat)

厩舎:矢作芳人(栗東)

リライアブルエースは3歳の4月にデビューしたものの、未勝利戦を勝った後に1年半近くの長期休養があったことで、出世の遅れた良血馬。4歳の秋に戦列に復帰してからは少しずつ体調が整い、今春に1600万下を快勝しました。

見映えのする馬体をもち、マイラーとしてはやや細身の体型。まだ11戦とキャリアが浅く、これからグングンと成長するでしょう。

 

血統

重賞2勝の全兄アルバートドックは「キレる」というよりも粘り強く脚を伸ばすディープインパクト産駒で、これは母ゴールドドックエーがスタミナとパワーに優れたHyperionの血を多く引くからでしょう。

リライアブルエースは直線の長いコースでズドーンと差し脚を発揮して勝っているものの、しなやかなキレというよりも「スタミナとパワーでねじ伏せる」ような走り。全兄とタイプが似ていることからも、オープン級の素材であることは間違いありません。

Nureyev+ Hyperion的な活躍馬と言えば、天皇賞・秋をレコードで完勝したトーセンジョーダンがパッと思い付きます。リライアブルエースのイメージもコレに近く、「持続力戦+高速馬場」がズンドバでしょう。

 

中京記念に向けて

近年の中京記念はNureyev的なパワフルな末脚の馬が上位に入着しておらず、その点に不安があります。ただ、全兄のアルバートドックが小倉記念をインから追い込んで勝っており、馬群に突っ込んでもOKなのは強みです。

戸崎騎手はややエンジンをかけるのが遅い(仕掛けをワンテンポ待つ)タイプなだけに、HyperionとNureyevのパワーを振り絞れるのかも「?」が付きます。むしろ、このメンバーであれば、差しに回るよりも好位に付けるのがベスト。騎手が勇気をもって前付けできるのかが好走のポイントでしょう。

 

まとめ

近年の中京記念は「1400mが得意なNijinskyもち」の馬が好走する傾向にあります。Nijinskyもちについてはすでに記事に書いているので、よければそちらをご覧下さい。

Nijinskyをもたないリライアブルエースが高速馬場を味方につけて重賞初制覇を飾ることができるのか、今からレースが楽しみですね。

以上、お読みいただきありがとうございました。