近年は秋のGⅠ戦線への「登竜門」という位置だけになりつつあるGⅢエプソムカップ(東京芝1800m)。
過去10年、4歳馬が(7 - 5 - 2 - 10)と好成績を上げているのも素質のある馬がここを重要なステップの1つとして出走してくるからだと言えます。
ここ2年、4歳馬としてエプソムカップカップを制したルージュバック('16年)とエイシンヒカリ('15年)は2頭ともにGⅠ(牡馬混合)で好走できるレベルの馬。ここで活躍する4歳馬には今後のGⅠを好走する可能性のある馬をピックアップしたいですね。
4歳馬の中での注目馬
エプソムカップに出走する4歳馬は以下の4頭。
アストラエンブレム
タイセイサミット
デンコウアンジュ
マイネルハニー
この4頭については週中の記事で解説しました。
今回はこの中で、秋のGⅠを展望できる馬がいるかどうかですが……戦績と血統から期待したいのは1番人気の支持を受けるアストラエンブレムでしょう。
エプソムCは4歳馬が好相性? アストラエンブレム+3頭の4歳馬を解説 - ずんどば競馬
アストラエンブレム
父:ダイワメジャー
母:ブラックエンブレム(母父:ウォーエンブレム)
母ブラックエンブレムは秋華賞馬で、繁殖牝馬としても札幌2歳S勝ちのブライトエンブレム(父ネオユニヴァース)を出すなど活躍を見せています。
父がダイワメジャーに変わって、アストラエンブレムは兄よりもしなやかなストライドで走るので、直線の長いコースが合うタイプ。
新潟競馬場で行われた1000万下の古町特別(芝1600m外回り)は2番手から上り32秒台の脚で抜け出して快勝。この脚を見ても長い直線をストライドで抜け出す競馬が合っています。このレースからM・デムーロ騎手が継続騎乗しており、この馬への期待の高さが伺えます。
これまでの重賞は掲示板に載るもののなかなか連対を果たせませんが、ここは秋へ向けての試金石。コース・距離ともにずんどばな舞台ですから、賞金を加算するだけではなく、GⅠへの展望できる内容が欲しい1戦いになります。
予想
今年のエプソムカップはどうしても逃げたい馬が不在とは言え、スローの上り勝負にしたくない馬が揃って展開を読むのは難解なレース。
レース展開
マイネルミラノ、マイネルハニー、クラリティスカイ、メドウラークと上り3Fの切れ味勝負にしたくない先行馬が揃い、どの馬がハナに立つのかは難しいところです。また、アストラエンブレム陣営も「早めに抜け出す」競馬を示唆していますから、ペースがそこそこ流れる可能性は大。
1枠1番に入ったマイネルミラノが被されるのことを嫌がるのであれば、昨年同様にこの馬がハナヘ。マイネルハニー、クラリティスカイ、スタートが決まればアストラエンブレムがそれに続く形で先行策を取ります。
マイネルミラノはスローからの上り勝負は不向きなものの、どこかで息は入れたいはずです。前半1000mを59秒くらいのペースで入り、少し緩めてからの4角からの再加速が理想でしょう。このペースであれば、マイネルハニー、クラリティスカイ、アストラエンブレムは持ち味を発揮できる流れになり、直線は白熱した叩き合いに。
タイセイサミットはペースが流れてもOKなタイプですが、牝馬のデンコウアンジュはスローペースが理想の差し馬なので割引になります。
◎アストラエンブレム
6戦連続騎乗となるデムーロ騎手もこの馬の特徴は掴んでいるはずで、タイセイサミットを差し損ねた前走の経験が重賞の舞台で活かされると考えます。
ストライド走法なので、馬群の中よりも外目をスムーズに追走して直線で末脚を伸ばすレースが合っています。土曜日のM・デムーロ騎手は東京で騎乗し、芝のレースでは先行抜け出しのレースを見せていたように、エプソムカップでのイメージはできているはず。
中2週は初めてのローテーションになりますが、関東馬ですから長距離輸送もなく体調管理に関しては小島茂調教師がしっかりとケアしているでしょう。
今回のメンバーを見れば、スローペースの上り勝負になる可能性は低く、先行抜け出しで後ろからの追い上げを封じる戦いになることを期待します。
以下は2、3着候補として
アストラエンブレムは詰めの甘い馬ではあるものの、逆転できる馬……となるとイメージするのが難しいので、以下は2、3着の候補としてピックアップします。
△ナスノセイカン
エプソムカップで大外枠に入ったハーツクライ産駒といえば、そう、'13年に2着となったジャスタウェイ。後方から最内をグイグイと伸びて前で粘るクラレントを後一歩で交わせるかというところまで追い詰めました。
土曜日の競馬を見ても、多くの馬は直線で馬場の真ん中へ出すため最内がガラッと空きます。もし、大外枠に入ったナスノセイカンが最後方まで下げて競馬をするのであれば、パワーのあるこの馬にとって一か八かのイン差しのレースを期待したいところです。
△マイネルミラノ
週中の記事でマイネルミラノについては詳しく触れたので、下記を参照して頂ければ幸いです。
この馬は前走の福島民報杯を見ても加齢による衰えはなく、むしろ地力がアップしている印象さえ受けます。平均ペースの流れで後続に脚を使わせる流れで、直線は急加速で抜け出す……先週の安田記念で2着に粘ったロゴタイプのような競馬ができれば理想的です。
マイネルミラノはエプソムカップで逃げるのか?また、好走できるのか? - ずんどば競馬
△クラリティスカイ
田辺騎手がインのポケットにすっと誘導し、ペースを見極めからの先行抜け出しができるメンバーで、前走のメイSは4歳馬の2頭に屈したものの、今回はアストラエンブレムらタイセイサミットとは同斤量。それに加えてペースもそこそこ引き上げてのレースになるはずでこの馬の持ち味が発揮されるはずです。
△メドウラーク
この馬も上りがかかれば粘り強い脚を使える馬で、得意の東京コース。ここまで人気がないのであれば狙いたいところですね。
△マイネルハニー
柴田大騎手がこの馬の脚を最大限引き出すような積極的な騎乗ができれば。3歳時に古馬混合重賞を勝ったように能力は確かなものがあります。もう少し人気が落ちた方が気負わずに走れそうですが……。
ペースや展開はこの馬に向くはずで、アストラエンブレムとともに後続の差し脚を封じたいところでしょう。
△クラリティシチー
川田騎手がわざわざ登場しているのが不気味で……ペースはそこそこ流れて上りがかかった方が良いタイプです。
他の人気馬について
ヒストリカルはピッチ走法なので、小回りであればペースが流れてもOKですが、直線の長い東京ではスローペースが希望。
デンコウアンジュもスローペースの差し馬ですから、想定した展開だと苦しくなると思います。
タイセイサミットは前走から大きなプラスになる点がないこと、そして、土曜日の戸崎騎手は芝レースで不調だったことを合わせると買いづらいですね……。
まとめ
4歳馬で1番人気に支持されそうなアストラエンブレムが秋のGⅠ戦線を展望できるようなレースを見せるのか?それとも、波乱はあるのか?
白熱した戦いに期待しましょう!
皆様にとっても素晴らしいレースになりますように。
以上、お読みいただきありがとうございました。