中京芝1400mで行われる3歳限定の重賞「GⅢファルコンS」は、NHKマイルCを目指すマイラーとスプリンターがここぞとばかりに集まるレースです。
今年は重賞レースを好走した馬が参戦しておらず、「大混戦」ムードが漂っています。NHKマイルCに向けて、どの馬が勝ち名乗りを上げるのでしょうか?
ファルコンSはマイラー〜スプリンターが集まる
3歳馬の春のレース体系は牡馬であれば皐月賞とダービー、牝馬であれば桜花賞とオークスを頂点とする路線の他に、マイラーが目指すNHKマイルCが組まれています。
ただ、現在のJRAには3歳限定のスプリントGⅠがないため、1200〜1400mに適性をもつスプリンターであってもNHKマイルCを目標としなければなりません。
そのため、ファルコンSはマイラーだけではなくスプリンターもこぞって出走することとなり、どうしても前傾ラップになりがちです。過去5年の前後半3Fを並べると以下のようになります。
▼ファルコンSの前後半3F
2018年:34.9 - 35.5
2017年:34.0 - 35.3
2016年:33.3 - 39.7(不良)
2015年:34.4 - 36.9(稍重)
2014年:33.0 - 36.3
2018年はモズスーパーフレアが楽に先手を取ると、その他の先行馬が競りかけることなく控えたために0.6秒の前傾ラップとなりましたが、基本的には1秒以上のハイペースになるのがデフォルトです。
ただ、波乱となった2015年のように、2秒以上の前傾ラップ(ハイペース)になっても、先行馬がワンツーを決めることもあり、ペースが速くなるからといって差し追い込み馬だけを狙えばOKとは言えません。
近年の中京芝は高速馬場
2012年にリニューアル・オープンした中京コースは上りの時計がかかり、重厚なストライドの馬がズドーンと差し切るレースが多く現れました。
母父トニービン譲りの重厚かつパワフルなストライドで走るフラガラッハが中京記念を連覇したように、キレよりもタフな差し比べに強い馬が好走しやすいコースになったと言えるでしょう。
リニューアルされてからはタフな馬場になっていた中京の芝コースでしたが、2016年の高松宮記念では1分6秒7(日本レコードに0.2秒差)の好タイムが出たように、近年は少しずつ高速化しています。
ファルコンSはそれほど速い時計の決着になることは少ないものの、大外からズドーンと差し届くような決着は少なくなっており、先行馬にもチャンスがあるレースです。
しなやかなストライドが優勢に?
先にも述べたように、上りがかかった頃の中京芝はトニービンやNureyevの血を引き、「重厚(パワフル)なストライド」で走る馬の好走が目立ちました。ただ、速い時計の出る近年は重厚さよりもしなやかさが優勢となっています。
ファルコンSにおいても、上り3Fが35秒台だった2017と18年はしなやかなストライドで走るコウソクストレートとミスターメロディが1着となっているように、「パワフルなストライドの馬を買っておけばOK!」というレースではありません。
✳︎2017年2着のボンセルヴィーソ、2018年3着のフロンティアはともに母系にトニービンを引くダイワメジャー産駒です。上り3Fが35秒台であれば、まだまだトニービンのパワフルな末脚が活きることもあります。
今年も前傾ラップとなるのか?
今年は芝1200〜1400m中心のローテーションを組まれた馬が多く出走するものの、ビュンビュンと逃げるタイプが「0」という状況。メンバー的に昨年よりも前半3Fが遅くなる可能性もあります。
よもやの後傾ラップになるなら、しなやかなストライドよりもピッチでビュンと加速できるタイプに有利となるため、ペースによってさまざまな買い目を考えなければならないでしょう。
予想
注目したいのは前々でレースを進められ、しなやかに差すというよりもビュンと反応できるタイプです。今年のファルコンSは1.0秒以上の前傾ラップになることが考えにくく、そうなると、しなやかに差す馬よりも好位から俊敏に抜け出す馬を狙いたくなります。まずは逃げ・先行馬をチェックしてみましょう。
▼逃げ・先行馬
スタークォーツ
イッツクール
上位人気のローゼンクリーガーやヴァッシュモンなども前々の競馬をする可能性もありますが、安定して好位に取り付けるのは上記の2頭。スタークォーツとイッツクールともに逃げなくともレースを組み立てられるので、どちらがハナを切るのかは難しい……。
もし、人気薄のスタークォーツが離し逃げの形にもち込むなら、他馬は前を追いかけないでしょう。福永騎手の乗るローゼンクリーガーが2・3番手の好位から前を追いかけない展開だと、思わぬ波乱も期待できます。今年のファルコンSは飛び抜けた素質馬が不在のため、展開の紛れもケアしないといけませんね。
高配当のパターンは?
ファルコンSが高配当になるとしたら、考えられるパターンは以下のものです。
・人気薄の前残り
それでは、このパターンを細かく見ておきましょう。
人気薄の前残り
この場合はさらに2つのパターンが考えられます。
・スローなのに馬群が縦長
・スローで馬群が密集
「スローなのに馬群が縦長」の展開はJRAのレースで見かける謎の現象。こうなると後ろを離して先行している馬に有利な流れ。高配当になりやすい展開と言えますが、なかなか狙って取れないのがツライところです。
「馬群が密集」しているときに高配当となるのは、人気薄のピッチ走法の馬がスパッと抜け出してしまうときです。そもそも直線の長い中京コースは「ストライド>ピッチ」の舞台。そのため、スローを見越して人気薄のピッチ走法の馬を狙うのもポイントです。
前残りで高配当を!
今年のファルコンSは例年よりもペースが緩む公算が高く、狙いたいのは「スローなのに馬群が縦長」の展開。「逃げ or 番手」の馬が1着になるパターンを想定して馬券を買います。
先にも述べたように、逃げ・番手の候補はスタークォーツとイッツクールの2頭。どちらが逃げるのかはわからないので、どちらも1着にマークします。
2・3着候補は?
ビックリするほどの高配当を狙うなら、2着の候補も人気薄から狙いたいところです。馬群が縦長になっていることを考えると、しなやかなストライド走法の馬がベター。
ショウナンタイガ
シングルアップ
グルーヴィット
グルーヴィットはダートを勝ち上がった馬ですが、ノーザンファーム生産ということもあってかソコソコの人気に推されています。昨年のこのレースを制したミスターメローディと似たような戦績ですから、押さえは必要です。
ショウナンタイガとシングルアップの2頭はいかにもスルッと2・3着に滑り込みそうなストライド走法の馬。この人気なら楽しみがありますね。
上位人気のローゼンクリーガーとヴァッシュモン、ドゴールは「一応」の押さえ。この3頭を2着に買うのは上位の人気に推されているからという理由のみです。
買い目
スタークォーツは2桁人気の馬なので、これは馬単の1着付けのみを買います。イッツクールは3連単の1着付けで。スターとイッツが両立するのかは難しいところ……。一応、イッツ→スターの馬単だけは購入する予定です。
馬単
3 → 14. 2. 7. 13. 4. 10. 11
14 → 3
3連単
1着:14
2着:2. 7. 13
3着:2. 7. 13. 4. 10. 11
合計23点。上位人気の馬は3着に固定で。点数が20点を超えたため、イッツクール→グルーヴィット→上位人気の組み合わせはオッズ次第で買うかどうかを考えますね。
まとめ
今年のファルコンSは大荒れでもおかしくないメンバーが揃ったので、ここは思い切って人気薄の馬に期待します。
皆さまにとっても素晴らしいレースになりますように。