2019年の最初のGⅠ・フェブラリーS(東京ダート1600m)はダートのマイル・チャンピオンを争う1戦。今年は昨年の覇者ゴールドドリーム、東京大賞典を制した4歳馬オメガパフュームのGⅠ馬に加え、ハイパフォーマンスで6連勝を飾ったインティ、藤田菜七子騎手のGⅠ初騎乗となるコパノキッキングなど話題性の高い馬が出走します。
昨年のチャンピオンズCを制したルヴァンスレーヴの出走こそないものの、ダート路線を引っ張る好メンバーが揃い、見応えのあるレースが繰り広げられることは間違いありません。2019年初のGⅠを制するのは、どの馬なのでしょうか?
フェブラリーSのポイント
現在(2019年の2月時点)、JRAで行われるダートGⅠはフェブラリーS(東京ダート1600m)とチャンピオンズC(中京ダート1800m)の2レースのみ。1200m以下と2000m以上のダートGⅠがないため、スプリンターや中距離馬であってもマイルのフェブラリーSに出走することがままあります。
例えば、スプリント能力の高い逃げ・先行馬が数多く出走していれば、「前半のペースが速い→上り3Fがかかる決着」となりますし、中距離馬が多く集まることで、前半のペースが遅くなることも……。フェブラリーSはメンバーによってガラリとレースの質が変わるので、そのポイントを押さえておくことが大切です。
前半800mのペースがポイント
芝・ダートを問わず、マイル(1600m)戦は道中のペースによってスプリンターと中距離馬のどちらも走ることが可能な距離です。前後半800mのタイムによって、好走するのがどちらになるのか分かれます。
・前傾ラップ(ハイ)→スプリンター
・後傾ラップ(スロー)→中距離馬
一般的に言えば、全体のペース(=時計)が速ければスピードのあるマイラーが、遅ければ追走で脚を溜められる中距離馬が有利です。また、昨年のように勝ちタイムが1分35秒5よりもかかるならマイラー〜中距離馬、2016年のように1分34秒台なら1400〜1600mベストの馬が好走します。
過去のフェブラリーSをチェックすると
それでは、過去5年のフェブラリーSの勝ちタイムと前後半800mをチェックしてみましょう。
▼2014〜2018年のフェブラリーS
・2014年
勝ちタイム:1分36秒0
前後半800m:48.0 - 48.0
1着:コパノリッキー
2着:ホッコータルマエ
3着:ペルシャザール
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・2015年
勝ちタイム:1分36秒3
前後半800m:46.9 - 49.4
1着:コパノリッキー
2着:インカンテーション
3着:ベストウォーリア
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・2016年
勝ちタイム:1分34秒0
前後半800m:46.1 - 47.9
1着:モーニン
2着:ノンコノユメ
3着:アスカノロマン
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・2017年
勝ちタイム:1分35秒1
前後半800m:46.2 - 48.9
1着:ゴールドドリーム
2着:ベストウォーリア
3着:カフジテイク
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・2018年
勝ちタイム:1分36秒0
前後半800m:45.8 - 50.2
1着:ノンコノユメ
2着:ゴールドドリーム
3着:インカンテーション
1400〜1600mに適性のあるモーニン、ベストウォーリア、ノンコノユメ、カフジテイクが好走しているときは「勝ちタイムが1分35秒5以内」か「前半800mが46.5以内」のときだとわかります。また、1600〜2000mに適性のあるコパノリッキー、ホッコータルマエが1分36秒台の決着だと好走しているのも大きな特徴と言えるでしょう。
Mr. Prospectorとゴールドアリュール
東京のダートは直線が長いため、「しなやかなストライド」で走る馬が好走するコースです。そして、東京のダートコースに向く「パワー+ストライド走法」を子孫に伝える血は以下の3つが上げられます。
1. Mr. Prospector
2. ゴールドアリュール(Nureyev)
3. A.P. Indy(Seattle Slew)
過去5年間のフェブラリーSにおける1〜3着馬は、上記3つの血のいずれかをもっていました。
Mr. Prospector
Mr. Prospectorはしなやかなスピードを強く伝え、モーニン、ベストウォーリア、カフジテイクなど「東京ダート1400mベスト」の馬を多く出します。また、この血をクロスすることで、しなやかなストライドで走る馬が出るのも特徴のひとつでしょう。
時計の速い決着がベターのため、パサパサよりも湿ったダートだとより力を発揮します。今年のフェブラリーSの上位人気馬では、インティとコパノキッキングがこの系統です。
ゴールドアリュール
Nureyevのパワフルなストライドを伝えるゴールドアリュール産駒は、エスポワールシチー、コパノリッキー、ゴールドドリームがフェブラリーSを制しているように、東京ダート1600mがズンドバ!
ただし、 Nureyevのパワーを活かしきるにはパサパサのダートがベターで、勝ちタイムが1分35秒5よりも遅くなるならチャンスも十分です。2016年のように、馬場が渋って34秒台の決着だと苦しくなります。
今年のフェブラリーSに出走するゴールドアリュールもちはゴールドドリームとサンライズノヴァ、オメガパフュームの3頭です。
A.P. Indy(Seattle Slew)
A.P. Indy(Seattle Slew)は長目の馬体としなやかなストライドを伝える種牡馬で、東京のダートコースをもっとも得意としています。こちらもMr. Prospectorと同じく、湿った馬場がベター。今年の上位人気馬ではサンライズソアがSeattle Slewを引きます。
予想
さて、上記のポイントを踏まえた上で、フェブラリーSを予想します。まずは勝ちタイムと前後半800mを想定しましょう。
勝ちタイムと前後半800mは?
土日の東京競馬場は降雨(雪)の予報がありません。そのため、ダートコースは乾いた状態になると考えられます。
勝ちタイム:1分36秒0
前後半800m:47.0 - 49.0
インティ、サクセスエナジー、サンライズソア、ノボバカラなどの逃げ・先行馬がいたとしても、昨年のフェブラリーSのように前半800mが45秒台に入るとは……。そのため、前半800mは46.5〜47.0の間で、2秒ほどの前傾ラップになる想定で。
これだと、Mr. ProspectorよりもNureyevが上位のレースとなり、1・2着馬はゴールドドリーム、サンライズノヴァ、オメガパフュームの3択です。
インティとコパノキッキングは?
インティは揉まれ弱いアフリートを母系に引くこと、初めての芝スタートでダッシュができるのかが不透明なことから、ここは難しいレースとなりました。また、東海Sからさらに上積みがあるのかは「?」が付きますし、パサパサのダートもマイナスです。
コパノキッキングは1400mベストのタイプだけに、東京ダート1600mなら渋った馬場がベター。藤田菜七子騎手で人気になるようなら、思い切って切り捨てたい1頭です。
インティやコパノキッキングが能力の差でアッサリと好走してしまうこともあるとは言え、不安な要素があまりにも大きいことから、この2頭は馬券の買い目から外します。
1着候補は?
1着候補はゴールドドリーム、サンライズノヴァ、オメガパフュームの3頭。ただし、ゴールドアリュールは揉まれ弱いVaguely Nobleの血を引くので、内枠に入ったゴールドドリームはマイナス(✳︎)です。
また、オメガパフュームは左回りだと思ったほど捲れないので、その点をどれだけ解消できているのかがポイントと言えます。サンライズノヴァは前走の根岸Sの凡走が不可解なものの、スパッと変わっても驚けない実力馬だけに、この馬の1着も外せませんね。
✳︎2017年のフェブラリーSにおいて、ゴールドドリームは内枠からのスタートでしたが、鞍上のM・デムーロ騎手が早くから外目に進路を取っていたため、バキューンと弾ける脚を使えました
2着候補は?
2着候補も1着候補と同じ3頭をピック。ノンコノユメは体調面が不安で、昨年と同じくらいのデキにあるのかどうか……。サンライズソアは悪くはないものの、関東遠征の河内厩舎がイマイチ信用できないので……。ノンコとソアは資金に余裕があったら入れてもOKというレベルですね。
3着候補は?
1・2着が人気なので、ひねるなら3着にマークする馬でしょう。東京向きのストライドで走り、1600m以上の距離に適性のある馬は1頭しか残っていませんね。
・クインズサターン
最内枠は気になりますが、後方からレースを進める馬だと考えれば、それほどの不利とは言えません。四位騎手が一か八かで乗ってくれるはずですから、人気馬の間隙をついてコソッと3着に好走するイメージで。
買い目
クインズサターン3着付の3連単を。2着にノンコノユメとサンライズソアをマークするかはオッズ次第。現時点では買い目に入れておきます。
3連単
1着:3. 7. 14
2着:3. 7. 14. 10. 13
3着:1
合計12点。3→14→1が最低の配当ながら200倍以上付くので、強弱をつけて買えばOKかな、と。クインズサターンが2着に入ったら泣くしかありませんね。
まとめ
2019年、初めてのGⅠレースとなるフェブラリーSはどの馬が勝つのでしょうか?
馬券を離れても見応えのあるレースですね。
以上、お読みいただきありがとうございました。