桜花賞が終わり、3歳牝馬クラシックはいよいよオークスへ。
東京競馬場の春開催、開幕週にはオークストライアルのフローラSが組まれています。フローラSの行われる東京の芝2000mは3歳牝馬にとってはハードなコースですが、例年、力のある馬たちが集まり多頭数になることの多いレース。
オークスのトライアルレースはこの他にスイートピーが組まれているものの、そこから参戦してくる馬は本番では通用していません。そのため、オークスを目指す有力馬は桜花賞とフローラSに集中します。ということは、フローラSが終わった時点で、この世代の3歳牝馬のレベルがほぼはっきりする、と言えるのです。
牡馬・牝馬のレベル差を知るうえでもフローラSは重要?
桜花賞と皐月賞、牝馬・牡馬それぞれのクラシック1冠目が終わり、昨年からさまざまなメディアで取りざたされた現3歳世代の「牝馬はハイレベル、それに較べて牡馬は……」というムードは徐々に消えつつあります。それは、桜花賞で圧倒的な人気を集めたソウルスターリングが3着に敗れたこと、そして、皐月賞がコースレコードの決着になったことが原因なのでしょう。
牡牝混合のレースを戦ってきた牝馬がフローラSでどのようなパフォーマンスを見せるかによって、こうした性別によるレベル差もある程度はっきりするはずです。オークスへの展望だけではなく、この世代全体のレベルを知るためにもフローラSは重要なレースとして位置づけられると思います。
今回の記事では、この世代のレベルを知るために最適な馬をピックアップしてご紹介。フローラSを予想する上での参考の一助になれば幸いです。
フローラSはハイレベルなレースになりやすい
前述したように、フローラSは有力馬(素質馬)が集まるために、ハイレベルなレースになります。このレースで高いパフォーマンスを発揮した馬は、オークスでも上位を争うことができるため、レースレベルも自然と高くなるのが例年の傾向です。それでは、どのような素質馬がフローラSを目標にするのでしょうか?
1. マイルの距離で行われる桜花賞よりも、2400mのオークスに向く中距離馬
2. ローテーションとして桜花賞出走が間に合わなかった素質馬
上記の2つの理由から桜花賞ではなくオークスを目標にする馬たちがこぞってフローラSへ出走します。スイートピーS組はどうしてもオークスではノーチャンスなので、素質を見込まれている馬ほどフローラSを選択するのです。
オークスでも勝ち負けになるような馬が出走することになれば、レース全体のレベルも自然と上がります。中距離を得意とする牝馬の場合、オークスを目指すためには忘れな草賞(阪神2000m)、そしてフローラSなど2000mのオープン競争に出走することに。また、フローラSは重賞競争なので、2着までに入れば本賞金が加算されることも素質馬が集まる理由の1つかもしれませんね。
2017年、フローラSの人気上位馬は?
フローラSで上位人気が想定される馬は2頭。1頭ずつ簡単に解説します。
フローレスマジック
エリザベス女王杯勝馬ラキシスの全妹。母マジックストームはラキシス以外にもサトノアラジンなどの重賞勝ち馬を出している名繁殖で、 フローレスマジックも早くから期待をされていました。
2歳時のアルテミスステークスでリスグラシューの2着、年明け初戦となったクイーンCはアドマイヤミヤビの3着と、強敵相手に重賞で連続好走していることからも能力は確かなものがあります。
ラキシスもサトノアラジンも古馬になってから重賞を制覇している(ラキシスは3歳秋のエリザベス女王杯2着があるものの)ように、成長力に富んだ配合で、フローレスマジックも馬の成長に合わせたムリをしないローテーションには好感。ラキシスは角居厩舎、サトノアラジンは池江寿厩舎と姉と兄は関西の名門厩舎の所属でしたが、フローレスマジックは関東のホープ木村哲厩舎の所属のため、クラシックを走る上ではその点が気がかりです。
胴が長くしなやかなストライドで走るので、東京コースの2000mは適性としてはベスト。問題は馬体重と仕上がり具合で、レース間隔をあけての出走にも関わらず体重を減らしてくるようだと不安が増します。
この馬は3歳牝馬の一線級相手と好戦しているので、フローラスSでは他の馬と比較するモノサシになりますね。
ホウオウパフューム
田辺騎手が新馬戦から手綱を取り、未勝利→寒竹賞と芝2000mのレースを連勝してフローラステークスに駒を進めてきました。
前走の寒竹賞では牡馬に混じっても1番人気に支持され、小回り中山を後方から追い込んでの勝利。確かな末脚を見せました。
父ハーツクライ×母父Kingmamboで、前走の走りを見ても小気味好いピッチ走法。ストライドが伸びるというよりも一瞬の加速を武器にするタイプです。未勝利→寒竹賞ともにポテンシャルの違いで差し切ったという内容ですが、適性としては中山>東京だと思います。
直線の長い東京ではスローペースが希望で、締まった流れになるとピッチ走法で追い込むのは厳しくなります。オークストライアルの重賞レースを素質だけで勝ちきれるのかは「?」が……。
フローラSの注目馬は?
フローレスマジック、ホウオウパフュームの人気2頭以外で注目の馬が出走するのでご紹介。
ムーンザムーン
新緑賞とフローラSのダブル登録なので、ここはぜひ自己条件ではなく格上でも重賞に挑戦して欲しい馬です。
フローラSは牡馬混合戦で好走している、または2000m以上のレースで好走しているような馬が出走すると、人気が薄くても馬券圏内に走ることがままあります。
ムーンザムーンは3走前の若竹賞で、スプリングS勝ちウインブライトの0.3秒差3着と好走し、牡馬混合戦でも結果を出しています。それに加え、ここ2走はゆりかもめ賞(芝2400m)、水仙賞(2200m)と2000m以上のレースで4着とそこそこに走っていることからも、穴になる要素は十分。
問題はフローラスSに向かってくれるのか、また、人気が薄くなってくれるのか、というところです。
フローレスマジックがモノサシに
3歳牝馬が世代としてハイレベルかどうかは、牝馬限定の重賞を連続で好走してきたフローレスマジックがフローラSでどのような走りを見せるかで分かります。
牡馬混合戦を好走してきた馬を寄せ付けずに完勝するようなことがあれば、明らかに牝馬戦線のレースレベルは高いということになるので。
もちろん、フローレスマジックがレースで力を発揮できる体調が整っているかにもよりますが……。
まとめ
フローラSはハイレベルなレースになりやすいですが、過去の結果を見ると分かるように人気薄の馬が3着以内に入ることもままあります。
注目は牡馬混合+2000m以上のレースで好走してきている馬で、この条件に合致していれば人気が薄くても積極的に狙ってみたいですね。
フローラSでもハイレベルな牝馬が登場するのか?
今からレースが楽しみです。
以上、お読みいただきありがとうございました。