サマー2000シリーズの第2戦となる名物ハンデ重賞「GⅢ函館記念」が7月16日(日)、函館競馬場の芝2000mを舞台に行われます。フルゲート16頭が揃ったハンデ戦とあって混戦模様、今年はどのような結末が待っているのでしょうか?
今回の記事はGⅢ函館記念の予想をしていきます。
Bコース替わりの函館芝コース
函館競馬場の芝コースは7月15日(土)からBコースを使用。開催5週目となった今週も良好な馬場状態が保たれており、全体的に時計の速い決着が続いています。また、Bコース替わりとあって、芝は先週よりもイン有利な傾向が目立ちました。
今週の馬場状態については先日の記事に書きましたので、よろしければご参照下さい。
7月15日(土)福島・中京・函館の馬場(芝)コンディション考察 - ずんどば競馬
人気上位馬について
今年の函館記念で上位の人気に支持されるのは3頭。それでは1頭ずつ見ていきましょう。
サトノアレス 3歳牡馬
父:ディープインパクト
母:サトノアマゾネス(母父:デインヒル)
厩舎:藤沢和雄(美浦)
昨年のGⅠ朝日杯FSを制した2歳チャンピオンは春のクラシック路線で思うようなレースができず、立て直しを図っての函館参戦となりました。その前走の巴賞は圧倒的な人気に応える快勝。巴賞→函館記念はいかにも「レッドレイヴン」や「サトノギャラント」的な藤沢和雄先生らしいローテです。その2頭の函館記念での着順を考えてもサトノアレスへの不安は増すばかり……。
サトノアレスはキレ味がソコソコなディープインパクト産駒で、母父デインヒルらしい重厚なストライドで走る姿を見ても、パワーの必要な函館の小回りコースはこの馬の適性に合っています。
Bコース替わりと内枠が有利な函館記念の傾向からも、最内枠をゲットして馬群をさばくのに長けたルメール騎手を配した今回は力の入る1戦です。
ステイインシアトル 6歳牡馬
父:ステイゴールド
母:シアトルサンセット(母父:Belong to Me)
厩舎:池江寿厩舎
前走のGⅢ鳴尾記念で初重賞を制覇したステイインシアトル。6歳馬ながら全成績が(5 - 2 - 0 - 3)とまだ10戦の経験しかありません。体質が弱くなかなか続けてレースに使い込めない馬ですが、今年は例年よりも順調にきているのは何よりです。
前走の鳴尾記念は武豊騎手がマイペースにもち込んでの鮮やかな逃げ切り勝ち。小脚の利く走法で、器用さが活きる小回りや内回りコースは適性としてずんどばな馬。前々走の福島民報杯は厳しい流れを4コーナーで手前でマイネルミラノに捲られてしまっての6着敗退ですから、ノーカウントでOKです。
'13年の函館記念を武豊騎手を背に逃げ切ったトウケイヘイローがマークしたラップは、小回り函館を逃げ切るのに理想的な時計でした。
'13年函館記念
12.2 - 11.0 - 11.7 - 11.8 - 12.1 - 12.1 - 12.0 - 12.0 - 11.6 - 12.1 = 1分58秒6
これだけ一定した平均ラップでの逃げ切りは見事で、後続の馬はなかなか脚をためることのできない厳しい流れを作りました。武豊騎手がステイインシアトルでトウケイヘイローのような逃げが打てるのか? にも注目です。
マイネルミラノ 7歳牡馬
父:ステイゴールド
母:パールバーリー(母父:Polish Precedent)
厩舎:相沢郁(美浦)
昨年のGⅢ函館記念で6歳にして嬉しい初重賞制覇を飾りました。古馬になってから着実に力をつけ、5歳からは重賞戦線で活躍を見せる実力馬です。ステイゴールド産駒らしく、小回りをパワーと器用な先行力で粘り切るのは身上。瞬発力勝負は苦手なので、平均ペース以上で後続に脚を使わせる展開にもち込めれば……。
前々走の福島民放杯は57.5kgの斤量を背負い、3コーナーから先頭に立って押し切る強い競馬を見せました。1分58秒5の勝ちタイムも優秀で、能力的な衰えがないことをしっかりと示しました。前走のエプソムCはスローからのキレ味勝負になってしまい7着と敗退しましたが、適性とは合わないレースながら勝ち馬と0.4秒差に踏みとどまりました。
今回はハンデ戦で斤量58kgを背負うのがポイント。昨年のように強気な競馬ができるのかは注目です。
予想
函館記念ははっきりとした特徴の出るレースとして有名です。過去の好走馬に共通するものとしてよく言われるのは以下の3点。
1. RobertoあるいはBold Rulerの血が入る馬
2. 内枠が有利(6枠より外は好走馬が極端に少ない)
3. 前走から2ヶ月半以上間隔の空いた馬は苦戦
こんなところから◎にする馬を選ぶのも1つの方法だと思います。ただ、今回はせっかくステイインシアトル、マイネルミラノ、ヤマカツライデンとしっかりとした先行力をもった馬が揃ったレースになったので、レース展開から好走馬を探してみましょう。
レース展開
ステイインシアトルもマイネルミラノも気性的な面でハナを取り切らないとモロいタイプではなく、自身が好走できるゾーンのペースメイクのために前目をとっている馬たちですから、ヤマカツライデンが「何が何でも」の構えを見せてのハナが有力です。
ヤマカツライデンが先手を取り切って1〜2コーナーを回るときにどれほどペースダウンを図るのかが1つのポイントです。現在の函館の馬場であれば、先行するマイネルミラノは前半1000mを59秒ソコソコ、ステイインシアトルは60秒を切るくらいのペースにもち込みたいはずで、ヤマカツが向正面からガクンとペースを落とすのであればミラノの丹内騎手は3コーナー手前からハナを奪い返してしまうかもしれません。ステイインシアトルは外目であれば3番手でも我慢できるため、ミラノの仕掛けに合わせて動く形になる公算が大。
少なくとも3コーナーからはペースが上がり、コーナーで器用に加速できるパワーとスピードが試される展開になることから、インのポケットを立ち回れる馬が有利です。インのポケットに入れるのはダンツプリウスか岩田騎手のレッドソロモンのどちらか。その後ろにケイティープライドやアングライフェンがつける展開になります。
◎ダンツプリウス 4歳牡馬
父:ブライアンズタイム
母:ストロングレダ(母父:マンハッタンカフェ)
厩舎:山内研二(栗東)
父ブライアンズタイムはRoberto直仔で、スタミナとパワーを伝える種牡馬。ダンツプリウスもその父の特徴を受け継いでおり、小回り・内回りコースでは(2 - 1 - 0 - 2)の成績を上げ、その内の1勝はGⅡニュージーランドトロフィー(中山芝1600m)ですから、実力に不足はありません。
古馬になってからは掲示板を外すレースが多く見られますが、勝ち馬との着差は明らかに距離の短かった前々走の京王杯SCの1.1秒差を除けばすべて1秒差以内の負けですから、許容範囲です。
前走の巴賞はデンコウリキのスローペースの逃げに付き合ってしまい、苦手な瞬発力勝負になってしまった分の敗退。今回はマイネルミラノがきっちりとペースを作ってくれる(丹内騎手なら)ので、この馬のもち味であるパワーと器用さが発揮できるレースになる可能性が高く、インのポケットを取れる内枠に入ったのも恵まれました。
200mの距離延長は大きな問題はなく、コースロスのないインでレースを進められる分だけ我慢が利くはずです。
◯マイネルミラノ 7歳牡馬
ダンツプリウスが上位に来る展開になっているということは、マイネルミラノがきっちりとペースを作っていることが前提です。逃げ馬のなかではもっとも内枠に入ったので、1コーナーに入るまでに外目に誘導していたいところです。馬群のなかでも競馬ができる馬ですが、ヤマカツライデンのペースに合わせることなく自分のタイミングで仕掛けるためには、少なくとも向正面では外の番手につけたいところでしょう。
後はきっちりと丹内騎手がペースを上げながら、この馬の最大の長所であるコーナー加速力を発揮できれば……。エプソムCでも58kgの斤量を背負って大きくは負けなかったように、このメンバーであればこの斤量でも。
△アングライフェン 5歳牡馬
ステイゴールド産駒らしい小脚の利いたピッチ走法で、内回り・小回りはずんどばの舞台です。前走の巴賞は3コーナーから押し上げての2着で、いかにも函館記念に向けて脚を計ったかのような走り。今回はそこから1kg減の斤量で出走となり、前走のようなソロっとした乗り方ではなく、ある程度のポジションは取ってくることが想定できます。
北村友騎手は今年のサマーシリーズ、そして函館で絶好調の成績を上げていることから、この人気でも十分に期待できます。
△レッドソロモン 5歳牡馬
重賞だと少し足りない馬ではあるものの……内枠と岩田騎手でひと押しがあれば3着内には……。内回り・小回り向きの器用さとパワーを兼ね備えた馬で、函館の2000mという条件はほぼベスト。
前走はスタート後手+道中でなし崩しに脚を使う展開。今回は岩田騎手がインにこだわりを見せる騎乗をするはずで、そこに期待をしたいですね。
△スーパームーン 8歳牡馬
父ブライアンズタイムはダンツプリウスと同じ。前走の巴賞は蛯名騎手がかなり積極的に押して押して好位をキープしてから流れ込んでの5着。5枠とギリギリになってしまったものの、この枠なら四位騎手が何とか好位をキープできるはずです。
道中の位置取りを考えたときに、ダンツとレッドが内をするすると上がっていく直後のポジションが取れるのはあきらかに有利で、とにかく外に出さずにイン差しができればスルっと3着もあるメンバー。
その他の有力馬
サトノアレスはルメール騎手がそこまでポジションにはこだわらずに乗ってくることを考えると、外からの差しがBコース替わりで利くのかどうかは不安。また、本質的に前半1000mが59秒ほどの緩みのない流れは不向きです。朝日杯FSも少し緩んだ区間があったところで前へ取り付いて上り最速を出したように、このメンバーでスムーズに押し上げることができないとモロさを出す可能性があります。
ステイインシアトルも前半はそこまでペースが流れない方が良いタイプ。ミラノがきっちりとペースを作ると考えればこの馬は少し買いにくくなります。そして、この枠は先行馬としては外過ぎるので……。
買い目
◎と◯はセットで3着以内にくる想定なので、この2頭を軸にした3連複と◎◯からの馬単を。
3連複
2頭軸流し
2. 7→6. 5. 9
馬単
2. 7→2. 7. 6. 5. 9
まとめ
とにもかくにも今年の函館記念は「丹内騎手のペースメイク」にすべてがかかっています。もし、丹内騎手とマイネルミラノがインのポケットで競馬をしてヤマカツライデンやステイインシアトルに付き合ってしまうような競馬をすると……チーンの結果が待っていますし、ダンツプリウスにとっても厳しい流れに……。
Bコースに替わった今週の函館芝はほぼ外差しが決まりにくいコンディション。だからこそ、ミラノには積極的な騎乗を期待します。
皆様にとっても素晴らしいレースになりますように。
以上、お読みいただきありがとうございました。