8月6日(日)、小倉競馬場ではサマー2000シリーズ第3戦「GⅢ小倉記念」が行われます。1600万下のマレーシアC(中京芝2000m)をコースレコードで勝ってここへ参戦するストロングタイタン、同じく1600万下むらさき賞(東京芝1800m)を目の覚めるような末脚で勝ち上がった関東馬のサンマルティンという上り馬が人気の上位を形成する今年の小倉記念。今年は出馬登録が13頭と少ないながらも、1番人気が11連敗中のハンデ重賞だけあってかなりの混戦模様です。
ストロングタイタンは池江泰寿厩舎の管理馬
1600万下のマレーシアCをコースレコードで勝利したストロングタイタンは関西の名門・池江泰寿厩舎の管理馬。前走は5ヶ月の休み明けにもかかわらず馬体重を12kg減らしていて、「降級戦の1番人気だけど、大丈夫なのコレ?」という心配を蹴散らす快勝を見せました。
ストロングタイタンは体質の弱さがあり、なかなか間隔を詰めてレースに使えないものの、そこはいかにも池江寿厩舎らしくじっくりと馬の成長に合わせたローテーションが組まれ、ここまでの全成績は(5 - 1 - 0 - 4)。今年に入って出走した重賞の2戦は中山金杯(9着)→小倉大賞典(5着)とGⅢでは好走できていませんが、小倉記念はそこまで骨っぽいメンバーの登録がないため、初重賞制覇の期待がかかります。
今年の夏競馬は池江寿先生にとって悔しい敗戦が続き……
7月30日の時点で調教師リーディングのトップに立つ池江寿先生は、GⅢラジオNIKKEI賞で1番人気に支持されたサトノクロニクルが6着、GⅢ函館記念で2番人気に支持されたステイインシアトルが15着と重賞で悔しい敗戦が続いています。
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小倉記念で上位の人気に支持されるストロングタイタンがこの厩舎の流れを「スパッ!」と断ち切ることができるのかには注目ですね。
池江寿厩舎は夏のローカル開催に強いのか?
春のクラシックに出走した3歳馬や古馬GⅠ戦線を戦った実力馬たちは秋に備えて夏場を休養にあてるのが一般的。3歳の素質馬やバリバリのオープン馬が揃う池江寿厩舎は夏のローカル開催の重賞をバンバンと勝つようなイメージが湧かず、ラジオNIKKEI賞でトップハンデを背負ったサトノクロニクルが6着に敗れたのを観て、「ローカル開催で池江先生は勝てるのか?」を調べたのが下記の記事です。
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池江寿厩舎の昨夏のローカル開催の成績は?
池江寿調教師が管理する競走馬の昨夏のローカル開催での成績を調べてみました。対象期間は函館・札幌・福島・新潟・中京・小倉が開催された2016年7月2日(土)〜9月4日(日)まで。
結論を先に言えば、この期間の成績は勝率0.177、連対率0.399、3着内率0.433と上々。また、小倉は(6 - 6 - 3 - 13)とほぼ2頭に1頭は2着以内に好走するほどの好成績をおさめているのが最大の特徴です。3着内率にいたっては5割オーバーですから3連単複系の馬券を購入する人にとっては無視をすることのできない厩舎となっていますね。
ちなみに、今年の池江寿厩舎の小倉の成績は?
今年は7月29日(土)から小倉競馬場が開幕し、2日間の日程が終了しています。ここまでの池江寿厩舎の小倉での成績は以下の通りです。
▼2017年 小倉競馬場(7月30日までの2日間)
成績(2 - 0 - 1 - 4)
日付 | 馬 名 | 着順 | 人気 | 前走レース | コース |
7/29 | ミラアイトーン | 1 | 1 | 1000万下(特別) | 芝1200m |
7/29 | エアカミュゼ | 15 | 11 | 1600万下(特別) | ダ1700m |
7/30 | キングディグニティ | 1 | 5 | 3歳未勝利 | ダ1000m |
7/30 | スマートシグルズ | 8 | 1 | 3歳未勝利 | 芝2000m |
7/30 | サトノケンシロウ | 3 | 1 | 1000万下(特別) | 芝1800m |
7/30 | アッシュゴールド | 7 | 9 | 1000万下(特別) | 芝1800m |
開幕週はソコソコの滑り出し。平均人気が5.1ですから、すべてが人気馬というわけではないのが池江寿厩舎の優れた点。3歳未勝利のスマートシグルズはこの小倉開催の内に未勝利を突破しておきたいところでしょう。
小倉は6週間のロングラン開催ですから、今年は順調に勝ち星を積み重ねられれば昨年の6勝を上回る成績が期待で来ますね。
ストロングタイタンはどうなのか?
さて、話を小倉記念に出走するストロングタイタンに戻しましょう。ローカル開催だからといってストロングタイタンを割り引く必要はありません。むしろ、池江厩舎が昨夏の小倉で上げた6勝の内、2勝がこの馬での勝利ですから舞台としては「ズンドバ!」です。
鳴尾記念に勝ったステイインシアトルが函館記念に出走したのもストロングタイタンとの使い分けの側面が少なからずあったはずで、小倉記念は池江先生としても力の入る1戦になりますね。
ストロングタイタン 4歳牡馬
父:Regal Ransom
母:タイタンクイーン(母父:Tiznow)
母タイタンクイーンはストロングタイタン、ミラアイトーン(現3歳 父Lonhro)とJRAで3勝以上の仔を出している好繁殖牝馬。父Regal Ransomはフォーティナイナー直仔でUAEダービーを勝ったもののGⅠは未勝利。
ストロングタイタンは欧州のパワー型マイラー・Danzigの影響が出た筋骨量の豊富な馬体をしています。スタートをポンと出られるのも後肢の筋肉によってしっかりと踏ん張れるからで、走りもパワフルです。ただ、ストライドがぐっと伸びてしなやかかつ無駄のない脚さばきをするのもこの馬の特徴で、これは母系に入るBuckpasser(その父Tom Fool)の影響でしょう。
ストロングタイタンが小倉で(3 - 0 - 0 - 1)と小回りを器用に捲れるのは、このBuckpasserの父Tom Foolの俊敏さが現れたものです。ストライドで走るのにもかかわらずコーナーでスピードが落ちないのがこの馬の長所と言えます。このようなしなやかさと器用さをもつ反面、すっと急加速できないのがこの馬の弱点でスローからの上り勝負よりは多少ペースが流れた方がレースのしやすいタイプです。京都と中京の芝2000で1分58秒台の速い決着に対応しているのも、スローよりもハイペースを好む馬だからと言えます。
小倉記念に向けて
休養前の小倉大賞典(GⅢ 芝1800m)はマルターズアポジーのハイペース逃げを中団のインで追走し、ポジションを押し上げたかった3〜4コーナーで前を走るマイネルハニーが後ろへ下がってきたために仕掛けが遅れる不利。直線では最内をついて伸びたものの、そこからビュンとキレる脚はないので5着に入るのが精一杯でした。
小倉競馬場のコースはパワーとスピードで捲るこの馬には合っているコースで、時計の速い今の馬場もピッタリです。不安点は2つあって、1つははっきりとした逃げ馬がいないためスローの上り勝負になる可能性があること、もう1つは休養明けにもかかわらず12kg減った馬体で好走した前走の反動が出ていなかどうか……。
メンバーや斤量面、そしてコースの適性からは十分に好走できる条件が揃った1戦となるため、ここで重賞初制覇となるのかは注目です。
まとめ
現在(8月2日)、池江先生の厩舎に在厩している管理馬(JRAのHPで確認できます)のなかで、小倉での活躍を期待したいのはラキシス、サトノアラジンというGⅠ馬の全弟サトノケンシロウ(4歳牡馬)、重賞勝ち馬のベルーフ(5歳牡馬)、そしてミラアイトーン、ストロングタイタンの兄弟でしょう。
池江寿厩舎が昨年以上の勝ち星を上げるためにも、2〜3歳馬だけではなく上記の馬たちの活躍も大切になってきます。小倉記念に出走するストロングタイタンとベルーフの2頭が厩舎に勢いをつける好走を見せることができるのか、今から日曜日のレースが楽しみになりますね。
以上、お読みいただきありがとうございました。