GⅡ京王杯2歳Sはタワーオブロンドンを負かせる良血馬アサクサゲンキに◎を!ーーレース予想

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11月4日(土)、2歳限定の重賞「京王杯2歳S(GⅡ・東京芝1400m)は、年末のGⅠ朝日杯FSへとつながるステップレース。今年は、ききょうSをノーステッキで快勝した「大物」タワーオブロンドンが出走し、圧倒的な人気を集めています。

年末の2歳GⅠへ向けて、大きな展望を拓く馬の登場となるのでしょうか?

 

タワーオブロンドン 2歳牡馬

父:Raven's Pass

母:スノーパイン(母父:Dalakhani)

厩舎:藤沢和雄(美浦)

ききょうSの素晴らしいレースぶりだけではなく、レース後にルメール騎手が「ロードカナロアのようになって欲しい」とコメントしたこともあって、一躍「大物」と呼ばれるようになったタワーオブロンドン。

京王杯2歳Sは、2戦2勝のタイセイプライドや小倉2歳Sを制したアサクサゲンキ、函館2歳Sを勝ったカシアスなどの素質馬が出走し、この馬にとって試金石となる1戦です。

タワーオブロンドンについては、週中に詳しい解説記事を書いているので、よければそちらをご覧下さい。

 

その他の有力馬4頭について

ここでは、タワーオブロンドンを除いた上位人気馬について1頭ずつ見ておきましょう。

 

タイセイプライド 2歳牡馬

父:ヨハネスブルグ

母:キャニオンリリー(母父:エルハーブ)

厩舎:西村真幸(栗東)

新馬戦(中京芝1400m)→OPダリア賞(新潟1400m)と連勝し、京王杯2歳Sは前走から間隔を空けての出走。3戦続けて1400mのレースを使うローテーションは好感がもてます。

 

血統

タイセイプライドの全姉フクノドリームは2歳交流重賞エーデルワイス賞を勝ち、GⅢアイビスサマーダッシュ2着の活躍馬。母キャニオンリリーの半兄キャニオンロマンは大井のSⅠ羽田盃を勝っているように、近親にはダートで活躍する馬が出ています。

500kgを超える馬体はヨハネスブルグ産駒らしいパワーが表れているものの、走り出すと素軽いのはMr. Prospectorのクロス譲りのしなやかさが出ているからでしょう。将来的にはダート路線で活躍するのかもしれませんが、2歳のこの時期であれば、芝のレースも豊かなスピードで対応可能です。

 

京王杯2歳Sに向けて

新馬戦、ダリア賞と抜け出してからは楽な手応えでゴールしており、大きなダメージを残さずに2連勝。その前走から間隔を空けて臨む今走は、フレッシュな状態での出走となります。

直線の長いコースは新馬戦で経験していますし、確たる逃げ馬のいない今走は展開面でも恵まれそうです。

西村真幸厩舎がここで初重賞制覇となるのか、注目が集まります。

 

アサクサゲンキ 2歳牡馬

父:Stormy Atlantic

母:Amelia(母父:DixielandBand)

厩舎:音無秀孝(栗東)

母Ameliaは代々名種牡馬がかけられた「世界的良血馬」。JRAに出走した2頭の産駒がいずれも芝の重賞を勝っているように、日本でもその優秀な繁殖能力を発揮しています。

アサクサゲンキは父がStormy Atlanticに替わり、Tapit産駒の半姉ラビットラン(GⅡ・ローズS1着)よりもガッチリとした馬体とパワフルな走りが魅力の1頭です。

この馬については、小倉2歳Sの回顧記事に詳しい解説を書いているので、よければそちらもご覧下さい。

 

京王杯2歳Sに向けて

パワフル+しなやかさを感じさせる走りから、東京芝1400mへのコース替わりに大きな不安はありません。前進気勢が旺盛なため、スローペースで前に壁を作れなかった時に「折り合えるのか?」は不安があるものの、1400mの距離そのものはOK。

関東への長距離輸送、初めての左回り、スローペースからの瞬発力勝負など克服しなければならない課題も多く、京王杯2歳Sは今後に向けて試金石となる1戦と言えます。

 

エントシャイデン 2歳牡馬

父:ディープインパクト

母:ルシュクル(母父:サクラバクシンオー)

厩舎:矢作芳人(栗東)

新潟1600mの新馬戦を後方から上り33.6の脚で一気の差し切り勝ち。しなやかなストライドで走るマイラーで、直線の長いコースも合っています。

 

血統

芝のスプリント重賞を2勝したブランボヌールの全弟。エントシャイデンは牡馬なので、姉よりもやや胴の長い体型をしています。この血統は、2歳の早い時期から素軽いスピード能力を見せるのが特徴です。

母の半弟ダコール(父ディープインパクト)は新潟大賞典1着など息長く芝の中距離路線で活躍した馬で、母系は活力があります。

エントシャイデンはダコールと4分の3同血で、叔父よりも短めの距離に適性がありそうです。将来的には1400〜1800mでの活躍が見込めます。

 

京王杯2歳Sに向けて

新馬戦はスタートで大きく後手を踏んだことから、前走から200m距離が短縮される今走で、レースの流れに乗れるかどうかは不安があります。ほぼスローペースになるメンバー構成ですから、後ろからだと差し遅れる心配も……。

しなやかに差すマイラーなので、東京コースはドンと来いの舞台。スローよりもある程度ペースが流れた方がベターで、瞬時のギアチェンジができるのかは「?」が付きます。

 

カシアス 2歳牡馬

父:キンシャサノキセキ

母:ラブディラン(母父:Dylan Thomas)

厩舎:清水久詞(栗東)

デビューから3戦2勝の素質馬。前走の函館2歳Sは好位の外から大人びた差し切り勝ちを上げ、豊かなスピードでビュンビュン飛ばすようなスプリンターではありません。

将来的には1400mがベストのスプリンターに成長するでしょうし、ドスローにならなければ道中も我慢できるタイプですから、東京1400mも苦にはしないでしょう。

この馬の血統やこれまでのレースぶりについては、函館2歳Sの回顧記事に詳しく書いたので、よければそちらをご覧下さい。

 

京王杯2歳Sに向けて

カシアス自身がどうこうというよりも、最大の不安は鞍上。浜中騎手は上級条件のレースだと絶不調。ファンタジーSも1人気のアマルフィコーストで3着と勝ち負けに加われていません。

騎手だけ見ればとても買いにくいのですが……。馬自身はコース替わりに不安点はないものの、休み明け+初の長距離輸送を克服できるかがキーポイントになります。能力的にはここで好走できる下地は十分です。

 

予想

純粋な逃げ馬が見当たらず、まず間違いなくスローからの瞬発力勝負になるでしょう。最内枠に入ったタワーオブロンドンはインで包まれて動くに動けない展開に巻き込まれる可能性があります。

ルメール騎手は馬群をさばく騎乗を好みますが、強引に間を割って出てくるようなことはしないので、インで脚を余すシーンも……。今年の京王杯2歳Sの最大のポイントはココです。

 

◎アサクサゲンキ

小回りの小倉ではコーナリングが拙く、前走でもスピードの上がった4コーナーで外に大きく膨れたように、この馬はストライドで走ります。姉ラビットランのしなやかな走りを見ても、この姉弟は長い直線向きのストライド走法。

東京コースであれば前走よりもパフォーマンスは上がるはずです。スタートが安定していることから、ここは楽にハナを切れる組み合わせ。武豊騎手ならスローからの瞬発力勝負ではなく、アサクサゲンキのストライドを活かす逃げになるでしょう。

パワーピッチのタワーオブロンドンは、直線の長いコースであればスローがベストなので、武豊騎手がドスローに落とさなければチャンスは十分です。世界的な良血の母をもつアサクサゲンキに◎を。

 

2番手以下は難解……

タワーオブロンドンはパワーピッチなので、直線の長い東京コースであれば、スローペースがベスト。また、インに包まれて力を発揮できないおそれもあるので……。

タイセイプライドはスタートをポンと切れないので、M・デムーロ騎手がどこまでポジションをリカバリーできるのかがポイント。東京の長い直線をビュン差せるわけではないため、アサクサゲンキと一緒にある程度のペースを作りたいでしょう。

エントシャイデンはブランボヌールよりも体型の長いマイラーで、東京の1400mはほぼベストの舞台。蛯名騎手とスタートが不安定なのが……。後方から追い込んで4着というシーンが目に浮かびます。

カシアスは浜中騎手が重賞で連対できるのかが不安。馬自身は東京1400mはほぼベストの舞台なのですが……。

 

△候補として

上位人気馬をバッサリと切るので、△は人気薄からピックアップします。

△トーセンアンバーは長手の馬体を見ても東京コース向きのストライド走法。内枠に入ったのはマイナスとは言え、これ以上オッズが下がらなければ。

△ニシノウララは新馬戦で素質馬のアーモンドアイを完封したことから、前々でスムーズにスピードアップできればここでも。前走はマイル戦で追ってからの伸びはなかったため、距離短縮はプラスですし、前目で流れに乗れれば。

△ピースユニヴァースはこの頭数の外枠はプラス。前走の未勝利戦は3着以下を離しており、このメンバーに入ってもギリギリ力は足りる……と考えます。

 

買い目

3着には人気の馬が入る可能性があるため、◎から△への馬単を。

 

馬単

8 → 2. 4. 10

 

まとめ

藤沢和雄厩舎+C・ルメール騎手のゴールデンコンビで重賞に挑むタワーオブロンドンが、ここを素質だけでぶっこ抜けるのかどうかは注目です。そして、その素質馬にストップをかけるのは良血馬アサクサゲンキ、というストーリーを妄想します。

皆さまにとっても素晴らしいレースになりますように。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。