京成杯AH(2018年)は「エアレーション=外差し」馬場になるのか?ーー注目馬をご紹介!

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2012年、レオアクティブがGⅢ京成杯AHでマークした1分30秒7は、現在も破られていない芝1600mの日本レコードです。JRAはこの後、馬場の硬度を低下させる対策として、2013年から秋の中山開催の3週間前にエアレーション作業を実施することとしました。

この開催の1ヶ月前に路盤に穴を開けて馬場の硬度を下げる作業(エアレーション作業の中でもバーチドレインと呼ばれる方法)は、2013年と2015〜17年にかけて中山競馬場で行われています(2014年は秋の中山開催の替わりに新潟競馬場でレースが行われました)。

 

開催1ヶ月前のエアレーション作業による馬場の変化

秋の阪神開催や年初の京都開催の開幕週は「インコース+逃げ・先行」が有利な馬場としてよく知られています。開幕仕立ての芝は馬場のコンディションが良いため、コースロスの少ないインコースを走った馬が有利になるのがデフォルトです。

ただ、ここ数年の中山開催は開幕週だからといって逃げ・先行馬がバンバンと残るわけではなく、外から差してくる馬も好走できる馬場。芝コースはやや時計がかかり、パワータイプが好走する柔らかい(ソフトな)馬場となっています。

 

2017年は高速馬場へ

エアレーション作業によって馬場が柔らかくなると、それほど速いタイムは出ないのがデフォルトです。ところが、2017年はエアレーション作業が行われたにもかかわらず「速い時計」の出る馬場へ変化し、開幕週のメインとして行われた京成杯AH(GⅢ・中山芝1600m)は1分31秒6の勝ちタイムがマークされました。

京成杯AHは2015、16年と1分33秒台の勝ちタイムが続いていただけに、昨年の急な「高速馬場化」には「?」が付きます。ただ、時計が速かったとしても「差し」届く馬場コンディションだということには注意しておきましょう。

 

今年の京成杯AH「も」外差しになるのか?

秋の中山開催の芝は「エアレーション作業」によってクッションが効いて柔らかく、インコースを通った逃げ・先行馬がバンバン残るような馬場ではありません。京成杯AHもここ3年はこの傾向が顕著で、ハイペースでなくとも外からの差しが決まりやすい馬場になっています。以下は過去5年(2014年は新潟開催のため除く)の京成杯AHの成績をまとめたものです。

京成杯AHの過去5年の成績

・2017年

勝ちタイム:1分31秒6(45.8 - 45.8)

1着:グランシルク(8 - 9 - 7)

2着:ガリバルディ(12 - 11 - 11)

3着:ダノンリバティ(8 - 7 - 7)

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・2016年

勝ちタイム:1分33秒0(46.4 - 46.6)

1着:ロードクエスト(12 - 10 - 6)

2着:カフェブリリアント(8 - 7 - 8)

3着:ダノンプラチナ(13 - 12 - 10)

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・2015年

勝ちタイム:1分33秒3(47.0 - 46.3)

1着:フラアンジェリコ(15 - 15 - 15)

2着:エキストラエンド(9 - 4 - 4)

3着:ヤングマンパワー(6 - 9 - 9)

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・2013年

勝ちタイム:1分33秒8(45.2 - 46.6)

1着:エクセラントカーヴ(6 - 5 - 4)

2着:ダノンシャーク(9 - 8 - 7)

3着:ゴットフリート(2 - 3 - 3)

勝ちタイムやペースに関わりなく、差し決着となっていることがわかります。また、赤色でマークしたディープインパクト産駒は毎年3着内に好走しており、その点も注目です。しなやかなディープ産駒が差し届くのが京成杯AHと言えるでしょう。

 

今年の出走馬のなかで差し馬は?

今年の出走馬のなかで、「差し馬」は以下の8頭です。

ゴールドサーベラス

ストーミーシー

トーセンデューク

トウショウドラフタ

ヒーズインラブ

ミッキーグローリー

ロードクエスト

ワントゥワン

(50音順)

上位人気に推されるヒーズインラブはエアレーション馬場を得意とするハービンジャー産駒で、今春のダービー卿CT(GⅢ・中山芝1600m)を1分32秒2で好走しています。舞台適性もバッチリですし、出走するのであればこの馬が人気の中心になるでしょう。

ミッキーグローリーは今夏に1600万下を勝ち上がり、今走が重賞初挑戦となります。鞍上予定のC・ルメール騎手で上位人気になっていますが、ディープインパクト産駒+捲り脚質とこのレースの過去の好走馬と合致するタイプです。

ワントゥワンは1400mベストのマイラー。血統的に揉まれ弱さが残り、現状は追い込む競馬しかできません。父がディープインパクト、母父ファルブラヴ+母系がフランス血統ですから、エアレーションの馬場は合います。外枠に入り、1分31秒台の決着になるようなら好走の可能性も……。

 

人気薄の注目馬は?

上記8頭のなかで、人気薄の注目馬は中山マイルを3勝しているゴールドサーベラスです。中山を捲るのに適したRobertoを引き、1分32秒の走破時計があるのも魅力。

 

ゴールドサーベラス 6歳牡馬

父:スクリーンヒーロー

母:インシステント(母父Diesis)

厩舎:清水英克(美浦)

今春にOPへ昇級し、重賞初挑戦となったダービー卿CTはヒーズインラブの0.5差6着。前々走のエプソムカップは直線の長い東京コース、前走の函館記念は2000mの距離と適性に合わないレースだったにもかかわらず、1秒差以内の負けに留めています。

 

血統

父スクリーンヒーローはNorthern Dancer4×4とHail to Reason4×4の強いクロスをもつため、異系の血をもつ繁殖牝馬と好相性です。代表産駒のモーリスは血統表の8分の1(3代母メジロクインシー)が主流血統ではなく、いかに異系の血を取り込むのかが鍵を握っています。

ゴールドサーベラスは母父Diesisが主流の血統ではなく、それがこの馬の活力の源でしょう。全体として小回り向きの配合となっており、中山のマイル戦はピッタリです。1分31秒代の決着になるようだと不安もありますが、エアレーションの実施された柔らかい馬場も合っています。

 

不安点は2つ

ゴールドサーベラスの不安は2つあります。1つは昨年と同じ1分31秒台の決着となったとき、2つ目は引っかかるのを怖れて捲るタイミング遅れることです。もちろん、これらの不安点を相殺するほどに「オッズ」が付くなら、馬券的な妙味は十分にあります。

 

ディープインパクト産駒のトーセンデュークは……

昨年の京成杯AH5着のトーセンデュークはこのレースと好相性のディープインパクト産駒。OPに上がってからのレースは物足りない内容が続いています。馬群に入っても問題ないので、できれば内枠が欲しいところです。

加齢とともに1400mベストのマイラーにシフトしています。そのため、マイル戦であれば1分32秒半ばを切る決着がベター。しなやかな差し脚の活きるエアレーション馬場も合っていますし、かなりの人気薄になるなら3着候補として馬券を買いたいですね。

 

まとめ

秋の中山開催は開幕週に「外差し」が利き、スプリンターズSの行われる最終週にイン有利というのが近年のデフォルトです。皐月賞が高速馬場で行われるのも、このエアレーションによるものと言えます。

今年の京成杯AHは「いつもの」ように外差しになるのか?

今からレースが楽しみですね。以上、お読みいただきありがとうございました。