牡馬クラシック最後の1冠・菊花賞(GⅠ・京都芝3000m)の枠順が10月18日(木)に確定し、1人気のブラストワンピースは2枠3番、皐月賞馬のエポカドーロは3枠5番、神戸新聞杯2着のエタリオウは5枠9番に入り、上位人気の3頭が揃って1桁番枠からのスタートとなりました。
新潟記念→菊花賞という異例のローテで臨むブラストワンピースが1人気に推されているように、今年の菊花賞は混戦模様。混戦のレースを制するのはどの馬なのでしょうか?
時計のかかる京都の芝
土曜日の京都芝はやや時計のかかるコンディション。ただ、9Rの壬生特別(1000万下・芝1200m)の勝ちタイムが1分9秒3、10RのトルマリンS(1600万下・芝1800m)の勝ちタイムが1分46秒4ですから、回復傾向にあると考えられます。
菊花賞の行われる週は、歴史的な不良馬場となった昨年を除くと高速馬場になるのがデフォルトです。そのため、「インコース+内枠」有利になるのですが、今年はやや時計がかかっていることもあり、極端なインベタにはならないでしょう。
時計がかかるならRoberto?
近10年の菊花賞において、2桁人気の好走馬は以下の4頭。
2017年
勝ちタイム:3分18秒9
2着:クリンチャー(10人気)
3着:ポポカテペトル(13人気)
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2010年
勝ちタイム:3分6秒1
3着:ビートブラック(13人気)
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2008年
勝ちタイム:3分5秒7
2着:フローテーション(15人気)
上記の3年は近10年の菊花賞において、ワースト3のタイムです。つまり、時計がかかれば2桁人気馬にも好走のチャンスがあると言えるでしょう。
そして、この2桁人気の4頭はすべて「母系」にRobertoをもちます。「速い時計+3コーナーから下り坂」の京都コースは、スタミナとパワーに優れたRobertoが苦手とする舞台。ただ、時計がかかりスタミナを問われるレースになると、この血をもつ馬が好走します。
今の時計のかかる馬場は、Robertoを母系にもつ馬にとって大きなプラスです。2桁人気でもOKなので、積極的に狙いたい血統と言えます。
母系にRobertoをもつのは?
それでは、今年の菊花賞に出走する18頭のなかで、母系にRobertoをもつ馬をピックアップしてみましょう。
▼母系にRobertoをもつ馬
グレイル
タイムフライヤー
ステイフーリッシュ
この3頭はともにダービー後に休養した馬たち。グレイルは1枠に入ったこととセントライト記念を好走したことから、それほど人気薄でもないものの、残りの2頭は2桁人気馬。また、これらの馬は1着がないので、買うとしても2・3着付けがベストです。
予想
菊花賞はもともと1人気と内枠の強いレース。2枠に入ったブラストワンピースはローテーションさえこなせれば勝ち切って不思議のない馬です。ブラストワンピースについては週中に詳しい解説記事を書いているので、よければ以下をご覧下さい。
とにかく、ブラストワンピースの不安は大竹正博調教師の管理馬という点のみ。ルージュバックをGⅠ未勝利のまま引退させた厩舎だけに、どうでしょうか……。
エポカドーロとエタリオウ
馬券上で扱いに困るのは上位人気エポカドーロとエタリオウの2頭。それぞれの不安点を確認しておきましょう。
エポカドーロ
ステイゴールドの産駒は3歳秋以降に成長することが多く、それはエポカドーロの父オルフェーヴルにも当てはまります。ところが、この馬はダービー以来となる神戸新聞杯をマイナス4kgの馬体重で出走。春からスケールアップした姿を見せられなかったのは、秋のクラシックを戦う上で大きな不満です。
高速馬場で行われた菊花賞はスタミナを問われることがないため、2016年3着のエアスピネル、2015年2着のリアルスティールなど1800mベストの馬でも好走することが可能です。ただ、京都の芝はややタフなコンディションとなっており、体型に伸びのない中距離馬のエポカドーロには不安が先立ちます。
エタリオウ
ダービー以来となった秋初戦の神戸新聞杯は+14kgの馬体で出走し、いかにもステイゴールド産駒らしい成長曲線を見せました。この馬の不安点は前走時にも見せた「もたれ(ささり)癖」です。左回りはスムーズに走れるものの、右回りだと内にもたれる癖のある馬で、追い出してから一直線に伸び切れるのかに「?」が付きます。
他馬の走行を妨害しないためには、3〜4コーナーから大外へぶん回すか、内ラチ沿いをぴったりと回るしか方法がありません。この枠だと内ラチを取れる可能性があるものの、その競馬で1着まで突き抜けられるのかは……。また、1勝馬だと上位に来たとしてもサウンズオブアースのように2着までなので、このオッズほどの信頼感はないと言えるでしょう。
◎ユーキャンスマイル 3歳牡馬
父:キングカメハメハ
母:ムードインディゴ(母父ダンスインザダーク)
厩舎:友道康夫(栗東)
生産:ノーザンファーム
春はクラシック路線に乗れなかったものの、出世レースと言われる阿賀野川特別(1000万下・新潟芝2200m)を快勝しました。友道厩舎+ノーザンファーム生産は組み合わせとしてパーフェクトですし、京都の長距離レースにおける武豊騎手というのもプラスでしょう。
胴長の馬体はいかにも母系に入るNijinsky譲りで、好位のインからスタミナを振り絞るレースができるのなら好勝負。1着まで突き抜けるのかは「?」なものの、このメンバーなら「もしかしたら」があるだけに◎を。
◯グレイル 3歳牡馬
父:ハーツクライ
母:プラチナチャリス(母父ロックオブジブラルタル)
厩舎:野中賢二(栗東)
生産:ノーザンファーム
今年の菊花賞は例年のような高速馬場とは異なるので、Robertoもちを評価して◯の印に。こちらはハーツクライ産駒とあって、京都のGⅠでは2着まで。
中山などの小回りコースでパフォーマンスが上がっているように、上りの速い競馬を苦手とするパワータイプ。菊花賞の追い切りVTRからも前脚をかき込んで走るタイプですから時計がかかる芝は大きくプラスです。
皐月賞、セントライト記念とこの世代の一線級とそう差のないレースを続けており、競争能力に不満はありません。厩舎的にもクラシックなら2・3着でしょう。
3着候補は?
◎と◯の2頭に加え、3着候補としてはRobertoもちのタイムフライヤーとステイフーリッシュをピック。この2頭はともに秋初戦となった神戸新聞杯でもそれほど馬体重が増えていなかったことから、成長力に疑問符が付きます。というわけで、好走しても3着までと考えるのがベターでしょう。
それと、もう1頭だけ。追い切りVTRからも高い素質がはっきりとわかるフィエールマンも3着にマークします。ディープインパクトに似た走りで、京都の外回りコースもプラス。後方から追い込む競馬しかできないため、入線しても3着まで。
1着は上位人気の馬がデフォルト
菊花賞を勝つのはほとんど人気馬。2010年のビッグウィーク(7人気・単勝2,320円)、2009年のスリーロールス(8人気・単勝1,920円)などがあるものの、この2頭は「内枠+夏の上がり馬」でした。となると、人気薄の1着は枠の並びからもユーキャンスマイルだけ選んでおけばOK。
3連単の馬券は1〜5人気のなかで、「どの馬を1着に固定して買うのか?」という点だけに絞られます。買うのは以下の2頭です。
ブラストワンピース
メイショウテッコン
ブラストワンピースは「1人気+2枠+ノーザンファーム生産馬」が揃っており、これに逆らうほどの不安点がありません。関東馬にもかかわらず、新馬戦から池添騎手が手綱を取っているのは大きなプラスです。とにかく、大竹厩舎がクラシックを勝てるのか、その1点だけ。
メイショウテッコンはキタサンブラック的な位置付けでピック。馬個体の能力はさておき、器用に立ち回れるので、ブラストワンピースが崩れるならこの馬かな、と。管理する高橋義忠厩舎は、ファインニードルで春秋スプリントGⅠを制しており、調整に不安はありません。
買い目
馬単はユーキャンスマイル1着→グレイル2着のみ。3連単はブラストワンピース→グレイル→フィエールマンはオッズを見て買うかどうかを判断します。
馬単
1着:7
2着:2.
3連単
1着:3. 6
2着:7. 2
3着:7. 2. 12. 13. 16
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1着:7
2着:3. 6
3着:2. 3. 6. 12
ユーキャンスマイル1着のときはさすがにタイムフライヤーとステイフーリッシュの3着付けは買わない方向で。
合計23点。もっとも安いオッズは7→2の460倍ですから、この点数でもOKです。
まとめ
今年の菊花賞はややタフな馬場コンディションとあって、Robertoもちの人気薄が好走するかもしれません。枠の並びとしてはユーキャンスマイルが絶好ですから、武豊騎手の手綱捌きに期待します。
皆さまにとっても素晴らしいレースになりますように。
以上、お読みいただきありがとうございました。