菊花賞(2018年)は下り坂をロスなく走れる馬が好走する?ーー高速馬場になればイン有利に?

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3歳牡馬クラシックのラストを飾る菊花賞(GⅠ・京都芝3000m)は、3歳牡馬クラシックのなかで最長のレース。そのため、スピードよりも「スタミナ」を競うレースだと考えられがちですが、近年は高速馬場で行われることもあって、インを器用に立ち回った中距離馬が好走するシーンもままあるレースです。

歴史的な不良馬場だった昨年を除くと、2016年3着のエアスピネル、2015年2着のリアルスティール、2011年3着のトーセンラーなど1800mベストのマイラー〜中距離馬がたびたび好走していることがわかります。

✳︎不良馬場だった昨年の菊花賞は上り3Fが「40.0」と極端にかかるレースとなり、スタートしてから体力をロスした馬が順番に脱落していくサバイバル戦。そのため、パワーのあるRobertoやDanzigなどの血をもつ馬が1〜3着を独占しました。

京都で行われる2つの長距離GⅠ(菊花賞と天皇賞・春)は近年、スタミナを振り絞るレースになることが稀となり、中距離馬のスピードと立ち回りの器用さが問われます。そのため、馬場コンディションと枠順(正確には枠による各馬の並び)が大きな要素となるのです。

 

菊花賞のポイント

それでは、菊花賞を好走するためのポイントをおさらいしておきましょう。ポイントとなるのは以下の3つ。

1. 馬場コンディション(高速馬場)

2. インを器用に立ち回れるか

3. 淀の下り坂をロスなる走れるか

以上の3つを細かく考えていきます。

 

1. 馬場コンディション

近年の京都芝は高速馬場になることがデフォルトです。昨秋は大雨の影響を受けてタフなコンディションとなりましたが、馬場が乾いていれば速い時計の決着になります。

また、菊花賞と天皇賞・春の行われる週は「高速+インベタ」馬場になることが多いのも特徴。インを器用に立ち回れるかがポイントとなる馬場コンディションと言えるでしょう。

現在の京都芝はやや時計のかかるコンディションとなっているものの、ここ1週間は晴れの予報が出ており、先週よりもイン伸びの可能性があります。「外を回したらノーチャンス!」の馬場かどうかは土曜日にしっかりと確認しておきましょう。

 

2. インを器用に立ち回れるか

トーホウジャッカルの制した2014年は道中でラチから3頭以上外を通った馬がノーチャンスの馬場でした。また、キタサンブラックの2015年もあきらかにイン有利なコンディションだったと言えます。

先述したように、馬場コンディションによっては競走能力やスタミナよりもイン立ち回れる器用さが問われるレースとなり、そうなると、スピードタイプの中距離馬が好走することもあるのです。

小回り向きのエアスピネルやリアルスティールが好走しているのは、馬場コンディションによるところが大きいと言えるでしょう。これは5Fのロングスパート戦であっても変わりません。ゴールドシップの制した2012年のように、終始ペースが緩まなければ、スタミナを問われることもありますが……。

 

3. 淀の下り坂をロスなく走れるか

京都の外回りコースは3コーナー過ぎから下り坂となり、ここをロスなく走れるのかが大きなポイント。直線が平坦なので、3コーナー過ぎから下り坂を利してスピードに乗ると、ゴールまで惰性で粘りこむことができるのです。

菊花賞は下り坂を得意とする馬が上位に走れるレースで、近年ではオルフェーヴルやゴールドシップ、レインボーラインなどのステイゴールド産駒、Princely Giftをもつキタサンブラック、Haloクロスをもつサトノダイヤモンドなどがこれに当てはまります。

反対に、豊かなスタミナを伝えるRobertoやトニービンなどは下りよりも上り坂を得意としており、下り坂からペースアップするレースが苦手です。これらの血をもつ馬は馬場が渋るか、2012年のような持続戦にならないと苦しいでしょう。

 

下り坂の得意な馬は?

近年の菊花賞は馬場と枠順に左右されることが多く、スタミナのあるなしはあまり問われません。つまり、土曜日になるまではどの馬が好走するのかを見極めるのは難しいレースです。

とは言え、下り坂が得意かどうかは走るフォームと血統からいくらかは推測できるので、今回の記事はそれらの馬をピックアップしてご紹介します。

 

下り坂の得意な馬

淀の下り坂と言えば、そう、ステイゴールド産駒は外せません。もちろん、直仔のオルフェーヴルとドリームジャーニー産駒にも同じことが言えます。今年の菊花賞に出走予定馬のなかでステイゴールドの血を引くのは以下の7頭。

アフリカンゴールド

エタリオウ

エポカドーロ

ゴールドフラッグ

シャルドネゴールド

ステイフーリッシュ

ドンアルゴス

アフリカンゴールド、エタリオウ、エポカドーロ、シャルドネゴールドは母系にしなやかさなスピード血脈が入るので、より下り坂を得意とする配合です。とくに、母系の奥にRound Tableを引くシャルドネゴールドはいかにも淀の下りに向くタイプと言えます。

ドンアルゴスは一昔前(スリーロールスの頃まで)の菊花賞であれば「ドンピシャ」の配合。母ドナフュージョンがシンボリクリスエス×ダンスインザダーク×リアルシャダイですから、Robertoクロスのスタミナを仔に伝えます。ただ、時計の速い馬場だとトーンダウンですね。

 

エタリオウとエポカドーロ

M・デムーロ騎手の乗るエタリオウは右回りだと直線で「もたれ」てしまい真っ直ぐに走れないのがマイナス。前走の神戸新聞杯は直線でもたれてスムーズさを欠いたので、その点が改善されるかどうかがポイント。内ラチを走りたい馬なので、内枠が欲しいですね。

皐月賞馬のエポカドーロは好配合のステイゴールド産駒。母父フォーティナイナーがマイラーのため、母系のスピードで先行して父のスタミナで粘るタイプとなりました。馬体からもベストは1800〜2000mだけに、高速馬場でスタミナを問われない質のレースになるのがベターです。

 

注目馬は?

注目馬は母系にRound Tableとスタミナ&底力を伝えるVaguely Nobleをもつシャルドネゴールド。池江寿厩舎の管理馬ですし、1600万下を2着しての参戦ですから能力的にも期待がもてます。Vaguely Nobleは揉まれ弱さを伝えるので、イン好位で我慢する競馬ができるのかがポイント。馬群がばらけるような展開が理想です。

もう1頭は半兄にドバイワールドカップを制したアフリカンストーリーをもつアフリカンゴールド。母ブリクセンがGone West×デインヒルという配合なので、アフリカンゴールドは母のスピードで先行し、父のスタミナで粘るタイプとなりました。3000mはベストではないものの、近年の菊花賞であれば大きなマイナスにはなりません。

 

ステイゴールド以外だと

ステイゴールド以外で下り坂が得意な血はPrincely Gift、Caerleon、Tom Fool、Sir Ivor、Secretariat、Round Tableあたりでしょうか。これらの血を引く馬はチェックしておくのがベター。

出走馬のなかだと、メイショウテッコンは母系にRound Tableを引き、前脚がスムーズに伸びる走りから、下り坂に適性のある1頭だと言えます。

 

まとめ

今年の菊花賞はスタミナを問われる質になるのか、ここが大きなポイントと言えるでしょう。また、枠順や展開によってもレースの質が変わるので、予想をするのも楽しくなりますね。

以上、お読みいただきありがとうございました。