'17年夏の小倉開催における芝1200mの傾向についてまとめましたーー逃げ・先行馬を狙って!

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8月20日(日)、サマースプリントシリーズの第4戦「GⅢ北九州記念」が小倉競馬場で行われ、好スタートから道中2番手を追走したダイアナヘイローが直線で抜け出して初重賞制覇を飾りました。

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例年、北九州記念は1.0秒以上の前傾ラップ(つまりはハイペース)になりやすく、今年も前後半3Fのレースラップが「32.8 - 34.7」と先行勢には苦しい流れに……はならず、4コーナーから直線にかけて2〜4番手につけていた馬が1〜3着の上位を独占する結果になりました。

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2秒以上の前傾ラップに突入したレースではほぼ「差し馬ズブズブ」が利くのですが、今年は少しだけ前半が緩かったのと馬場コンディションが良かったことで、中団より後方に構えた差し・追い込み馬にはノーチャンスのレースに……。今開催の小倉芝1200mはほぼ「外差し」が決まっていないですしね……。

小倉開催も4週が過ぎ、ここまでの小倉芝1200mは先行勢に有利なレースが多く見られます。この開催も残り2週、しっかりと傾向をつかんで今後のレースに活かしましょう。というわけで、今回の記事では「'17年夏の小倉開催における芝1200m」について考察します。

 

'17年 夏の小倉開催における芝1200m

7月29日(土)に開幕した夏の小倉開催はここまで(8月20日終了時点)、2歳戦と3歳未勝利戦を除いた芝1200mのレースが計11鞍行われました。500万下クラスが6鞍、1000万下クラスが3鞍、1600万下とGⅢ(OP)がそれぞれ1鞍ずつ組まれ、それらをまとめたのが以下の表です。

 

小倉芝1200m 7月29日〜8月20日 計11鞍

日付 R 勝時計 ラップ クラス 特別・平場
7/29 7 1:08.1 33.6 - 34.5 500万下 平場
7/29 10 1:07.7 33.9 - 33.8 1000万下 特別
7/30 8 1:08.1 33.4 - 34.7 500万下 平場
7/30 11 1:07.7 33.5 - 34.2 1600万下 特別
8/5 11 1:07.3 33.2 - 34.1 1000万下 特別
8/6 12 1:08.2 33.5 - 34.7 500万下 特別
8/12 12 1:08.4 33.7 - 34.7 500万下 平場
8/19 9 1:08.3 33.5 - 34.8 500万下 特別
8/19 12 1:08.5 34.0 - 34.5 500万下 平場
8/20 9 1:07.5 32.9 - 34.6 1000万下 特別
8/20 11 1:07.5 32.8 - 34.7 GⅢ 特別

勝ちタイムの平均:1分07秒94

前半3Fの平均:33.46 後半3Fの平均:34.48

*赤色は1.0秒以上の前傾ラップ

小倉競馬場は開幕してから4週目を迎えてもタイムに大きな影響はなく、全体を通して時計の速い馬場コンディションが続いています。特徴的なのはクラスが上がればそれだけ時計も速くなることです。以下は上の表をクラス毎にソートしたもの。

 

500万下クラス

クラス 勝時計 ラップ
500万下 1:08.1 33.6 - 34.5
1:08.1 33.4 - 34.7
1:08.2 33.5 - 34.7
1:08.4 33.7 - 34.7
1:08.3 33.5 - 34.8
1:08.5 34.0 - 34.5
平均 1:08.27 33.6 - 34.7

500万下のレースはここまで6鞍行われ、勝ちタイムはすべて1分8秒台。前後半3Fのラップを平均すると1.1秒の前傾ですからほぼハイペースになることがここからもわかります。

 

1000万下クラス

1000万下 1:07.7 33.9 - 33.8
1:07.3 33.2 - 34.1
1:07.5 32.9 - 34.6
平均 1:07.5 33.3 - 34.2

1000万下クラスは計3鞍が行われ、ここまですべて1分7秒台の勝ちタイム。500万下クラスからは0.7秒ほど時計が速くなっています。500万下クラスとこれだけタイム差があると、速いもち時計のない昇級初戦馬にとっては苦しいレースになるでしょう。

 

小倉芝1200mの傾向として

小倉芝1200mは2コーナーの引き込み線からスタートし、4コーナーまで下り坂が続きます。そのため、自然とペースが速くなるのがデフォルト。ダッシュ力に優れた馬が揃うようなオープン競走だとこの傾向がより強く、ハイペースからの差し決着になることもままあります。

ところが、今開催の芝1200m戦では前後半3Fの差が1.0秒以上のハイペースでも差し決着にはならず、先行馬が粘り込んでいるケースが目立ち、前々で立ち回った馬に有利な状況。以下の表は上記の11鞍について、馬券圏内に好走した1〜3着馬の道中の通過順位と上り3Fをまとめたものです。

 

小倉芝1200m 計11鞍の通過順位と上り3F 

レース 勝時計 着順 人気 馬 名 通過順位 上り
7/29 1:08.1 1 5 サウンドテーブル 2 - 2 34.4
7R 2 8 ジェスロ 6 - 6 34.1
18頭 3 1 ミルトドリーム 3 - 3 34.3
7/29 1:07.7 1 1 ミラアイトーン 3 - 3 33.6
10R 2 7 シンダーズ 8 - 9 33.4
12頭 3 6 オフクヒメ 8 - 6 33.9
7/30 1:08.1 1 1 アイファープリティ 8 - 7 34.2
8R 2 4 メイショウラバンド 8 - 8 34.3
18頭 3 11 シエルブラン 3 - 3 34.6
7/30 1:07.7 1 2 ダイアナヘイロー 3 - 3 34.1
11R 2 11 ニシノラッシュ 2 - 2 34.2
16頭 3 5 コウエイタケル 4 - 3 34.1
8/5 1:07.3 1 10 スノーエンジェル 1 - 1 34.1
11R 2 2 ポップオーヴァー 7 - 7 33.8
11頭 3 4 ブラッククローバー 2 - 2 34.3
8/6 1:08.2 1 3 ペスカネラ 2 - 1 34.6
12R 2 5 タイセイブレーク 14 - 14 34.0
17頭 3 9 ダノンメモリー 8 - 2 34.5
8/12 1:08.4 1 2 ワンアフター 5 - 3 34.2
12R 2 3 ウォーターラボ 2 - 2 34.5
18頭 3 13 ブライティアレディ 16 - 14 33.5
8/19 1:08.3 1 7 ダイメイプリンセス 2 - 2 34.8
9R 2 1 タイセイブレーク 13 - 11 34.2
15頭 3 3 イサチルホープ 6 - 4 34.7
8/19 1:08.5 1 3 ベルディーヴァ 4 - 4 34.2
12R 2 6 ウインソワレ 1 - 1 34.5
17頭 3 1 メイショウラバンド 10 - 9 34.0
8/20 1:07.5 1 4 スマートグレイス 2 - 2 34.3
9R 2 2 グレイトチャーマー 6 - 4 33.9
12頭 3 6 タガノカムイ 5 - 4 34.5
8/20 1:07.5 1 3 ダイアナヘイロー 2 - 2 34.6
11R 2 14 ナリタスターワン 7 - 4 34.4
18頭 3 15 ラインスピリット 4 - 3 34.7

(*4コーナーで出走頭数÷2よりも後ろにいた馬に赤色のマーク。上り3F33秒台に青色のマーク

差し・追い込み馬(赤色のマーク)は馬券圏内に入った全33頭の内7頭ですから、占有率は0.212。その7頭の内2着に入ったのは4頭、3着に3頭と「差しに構える」と1着まで突き抜けてくることはありません。

後傾ラップになった7月29日の10Rは「差し馬」+「上り3F33秒台」の馬が1〜3着を独占したものの、それを除くと3頭しか上位にきていないように「後半でいかに大きくバテずに我慢をするか」という脚が重要になっていることがわかります。

これらの傾向から、前半33秒台でしっかりと先行し、大きくバテずにゴールまで我慢できるタイプが小倉芝1200mの軸馬としては最適です。ここまでは前半3Fが32秒台前半→ズブズブの差し決着はなく、むしろ前半3Fが遅く→後傾ラップからの差し決着はあるので、ペースが遅くなりそうなときほど差し馬に注意が必要。また、1000万下クラスよりも上だと前が止まらないため、なかなか差し馬が2、3着まで追い込めないのも特徴のひとつとして頭の片隅に入れておきましょう。

 

夏の小倉開催は残り2週 外差しはあるのか?

夏の小倉は6週間(12日間)にわたるロングラン開催。これまでは開催が進むにつれて内ラチ沿いの馬場が荒れ、少しずつ外差しの傾向になることがありました。

JRAは公平・安全(人馬ともに事故が起きないように)な馬場コンディションでレースが行われることを目的とし、現在、いくつかの競馬場で「傷みにくい野芝」のエクイターフを導入。小倉競馬場でも'11年の夏から本格的にエクイターフを導入していることが、小島友美さんの名著『馬場のすべて教えます』にも述べられています。 

「小倉競馬場では2011年の夏開催からエクイターフを本格導入しています。(中略)レースで馬が走る箇所はほぼエクイターフとなっています。」

参照:馬場のすべて教えます 小島友美著

このため、開催の最終週だからと言って外差しになるわけではなく、内ラチ沿いも伸びる馬場コンディション。レースのペースによっては外から差してくる馬も届くというのが近年の馬場傾向です。

 

エアレーション作業による馬場の傾向

小倉競馬場は開催前に「エアレーション作業」を実施しています。JRAは1年間を通して芝を良好な状態に保つためさまざまな馬場の管理を行っており、そのひとつが「馬場を柔らかくする」エアレーション作業です。エアレーションは馬場に穴を開けて路盤をほぐして柔らかくする作業を指します。これによって路盤に空気が入り「通気性」と「排水性」が向上し、芝がより育ち傷みにくくなるのが特徴です。

このエアレーション作業によって柔らかくなった馬場は、開催が進むにつれて踏み固められ、少しずつ「硬く」なっていきます。春の中山競馬場の最終週に行われたGⅠ皐月賞が「超高速馬場」になったことは記憶に新しく、これも「排水性」の向上と「エアレーション後」に馬場が踏み固められた効果によるものです。小倉競馬場も、今後よほどの雨が降らなければ最終週に向けてどんどん前残りが発生する可能性があり、逃げ・先行馬には注意をしておきたいところですね。

 

まとめ

「エクイターフ」や「エアレーション作業」という言葉がさまざまな競馬メディアでも取り上げられるようになり、「最終週=外差し」という単純な図式からオッズが動くことも近年は少なくなっています。ただ、開催が進むにつれて「差し馬」が売れることもまだまだあるので、そこで逃げ・先行馬を狙えれば思わぬ高配当が……ということもあるかもしれませんね。

小倉芝1200mのレースで、前半3Fが33秒ソコソコになるようなメンバーの組み合わせを見つけたら、しっかりと先行馬を探しましょう!

 

以上、お読みいただきありがとうございました。