芝・ダート替わりで高配当を狙う時は血統を見よう!ーー事例を含めて解説

「こんな馬は買えないよ!」

「こんなに荒れたら当たらないよ!」

競馬場やWINSで時折耳にする叫び声。

単勝2桁人気の馬が1着になったときに上がる溜息とどよめき。

ターフヴィジョンなどに映し出される払戻金額を呆然と見ながら、「もしあんな馬券が買えていたら……」と考えたことが皆さまにもあるはずです。

 

人気薄が好走する理由は

人気薄の馬が好走した「理由」はさまざまで、例えばーー 

理由

体調がよかった

コースや距離などの適性がぴったりだった

レースのペースがその馬に向いた

人気馬が不利を受けた

そもそも人気<能力だった

騎手の騎乗が巧みだった

レースは「生きもの」とはよく言われることで、同じメンバーで走っても枠やペースの違いで結果は変わってしまいます。

実際のレースをしっかりと観ることで、「なぜこの馬が好走したのか?」を上記のさまざまな要因から推測することができるでしょう。ただし、これから行われるレースで人気薄の好走を「当てる」ことは簡単ではありません。

 

推測から導かれる結果は100%ではない

人気があるかないかに関わらず、レースを予想する上で、私たちはそれぞれの馬の好走の可能性を「イメージ」で捉え、「これは走りそう!」とか「この馬は厳しそうだな…」と判断します。

その判断のなかにはデータや今までの経験などさまざまなものが盛り込まれるわけですが、どんなに考察を重ねても結果を100%見通すことはできません。もし、これから生じる結果を100%見通せる方法が存在するなら、オッズという概念が成立しませんよね?

 

推測を100%に近づける努力をすると

とは言え、100%の確率で結果を当てることなどできないにせよ、「推測を100%に近づける努力をする」のは大切なことです。

レース映像の分析

血統やレース傾向の分析

経験値を高める

馬券の買い方の検討

上に書いたいくつかの要素を「分析・検討」し、推測する力が10から15%、15から20%と高まるにつれ、あなたの馬券ライフも今まで以上に「ハッピー」になるでしょう。

 

レースを観ることは大切

競走馬は生涯に何度もレースに出走します。勝つか負けるかに関係なくレースが終わればその結果に従って次走はどうするかが陣営によって選択されます。

「どのように勝ったのか」とか「どうして負けたのか?」を厩舎よりも少ない情報しかもたない私たちは、そのレースを観ることで考察するしかないのです。

 

100%に近づける努力をすると

結果を100%見通すことはできないとしても、それを100%に近づけようと努力することで得られるものがあります。

レースを観る、血統を調べる、厩舎のことを知る、コースを知るなとなど、そうしたものの蓄積は経験として積み重なり、人気薄が好走する時の条件をイメージとして漠然とつかめるようになるのです。

 

人気薄が好走した「特徴的な条件」を覚えておくと

JRAだけに限っても、土日になるとレースが行われ、それが休むことなく1年間続きます。

私たちはどうしても前に起きたことを忘れてしまう(エビングハウスの忘却曲線がつとに有名ですよね)ので、人気薄が好走したレースの後で「あ! この馬は買えたかも…」などと後悔することに。

それを避けるためには、人気薄が好走する条件の中でも「特徴的なもの」=「分かりやすいもの」をひとつでも多く蓄積しておくと、レースの予想に役立ちます。

 

人気薄が好走する特徴的な条件

どうしてこの記事を書き始めたかというと、ツイッターでフォローしている方のツイートで触発されるものがありました。

 

この中で、特徴的な条件として覚えておきたいのは以下のこと。

 

ダート替わり

それまで芝、あるいはダートでした好走したことがない馬が芝→ダート、ダート→芝のレースに出走した場合、人気が薄くなるのが普通です。

 

芝⇔ダート替わりは人気薄になることが多い

芝⇔ダート替わりは人気薄になることが多いのですが、その理由は以下の3つ。

理由

1.  芝やダートで好結果が出ないから異なる条件を試す

2.  近走の着順が悪い馬が多い

3.  「試す」要素が強いので、走ってみないと適性が分からない

芝・ダートの両方で同じような能力を発揮できる「両生類」の馬はそれほど多くはなく、大抵はどちらかに適性が偏ります。そのため、厩舎サイドとしても、条件替わりによって好走するかどうかは分からないけれど「試してみる」という要素が強いのです。

 

芝⇔ダート替わりの馬をすべて狙うのはダメ!

 その週の出走表を見ると、芝⇔ダートの馬が多くいることに気付くはずです。今の時期であれば3歳未勝利戦などは1Rのなかに複数頭いることも珍しくありません。

もちろん、それらの馬をすべて狙うのは非効率です。その中から好走する要素をさらに絞らないといけません。

 

芝⇔ダート替わり+特徴的な条件

特徴的な条件として「パッ」と思いつくのは血統です。

血統と言っても、競走馬の父や母父だけを見るのではなく、大切なのは「母」。

兄妹に芝・ダートどちらかで活躍していた馬を産んでいる繁殖牝馬の場合、それを仔が受け継いでいることはままあります。

例えば、芝⇔ダート替わりで高配当が出たレースを以下に2つ上げてみましょう。

 

【芝からダート】2016年ファイナルS(阪神ダート1400m オープン)

昨年末に行われたファイナルSは単勝10番人気のタガノエスプレッソが1着になりました。

2歳時に「GⅡデイリー杯2歳S」を制覇した後はクラシック路線を歩み、古馬になってからも芝の重賞やオープン特別に出走していましたがなかなか好結果がでませんでした。

兄タガノトネールのダート適性から陣営もエスプレッソをダートに出走させたのだと思います。

 

タガノエスプレッソ

父:ブラックタイド

母:タガノレヴェントン(母父キングカメハメハ)

厩舎:五十嵐忠(栗東)

生産:新冠タガノファーム

母タガノレヴェントンはダート重賞で活躍したタガノトネール(父ケイムホーム)を産んだ名繁殖です。

タガノトネールは中央と地方のダート重賞を勝ち、'16年のフェブラリーSでも6着と活躍をしました。

エスプレッソの下にタガノヴェローナ(父クロフネ)がいますが、こちらもダートの未勝利戦を勝ち上がり、レヴェントンの仔は出走した3頭がすべて勝ち上がる優秀さ。父よりも母の産んだ仔がどのような適性があるのかをチェックする必要があります。

また、ファイナルSでのタガノエスプレッソの好走は血統的な下地があったことはもちろんですが、それに加えて2つの好条件があったことも事実です。

 

1.  阪神ダート1400mは芝スタート

阪神ダート1400mはスタート地点が芝のため、タガノエスプレッソは走り慣れた芝の部分をスムーズに走ることができました。ここで行き脚がついたために極端に馬群に揉まれることも砂を被ることもなかったのです。

(芝からダート替わりをときにもっとも気を付けることは、前を走る馬が飛ばす砂を極端にかぶることがないように走らせることです。砂を被って走る気持ちを喪失すると好結果を出すことはできません)

 

2.  ペースが速くなったことで縦長の馬群に

ペースが速くなったことで、馬群が縦長になり揉まれることもなくスムーズに追走できました。

 

上記の中で、好走を推測できるのは血統と阪神ダート1400mの芝スタート。

兄妹がダートで活躍している+芝スタートという条件が揃えば、ダート替わりで人気がなくても積極的に狙いたいところですね。

 

ダートから芝 2017/2/5 東京 4歳上1000万下

もう1つのレースはダートから芝で高配当になったレースです。

このレースで勝ったのは、地方から転厩して初めて芝レースに参戦したロードセレリティ(10番人気での勝利)。

 

ロードセレリティ

父:キングカメハメハ

母:ティアドロップス(母父サンデーサイレンス)

厩舎:高柳瑞樹

生産:前川正美

母のティアドロップスはマイネルラクリマ(父チーフベアハート)、シルクアーネスト(父グラスワンダー)など芝のオープンで活躍した仔を輩出しています。

ロードセレリティは中央でデビューしましたがいずれもダート戦を使われて勝ち上がれずに地方へ行き、大井競馬場のレースで3連勝してから中央へ再転厩しました。

父がキングカメハメハで芝向きのフットワークで走る馬なのですが、地方からの転厩馬であったことからも人気薄での出走。

実際に現地でレースを観ていた時に、返し馬で素軽い走りをするな〜と思ったものの、馬体重が前走から10kg減っていたこと、所属する高柳厩舎は芝<ダートの成績であることから1着で買い切れなかったことが悔やまれます…

 

まとめ

芝⇔ダート替わりで高配当になった2レースを挙げてみましたが、まずは血統、とくに母親からどのような活躍馬が出ているのかを知ることが大切です。もし、あまりにも人気がないのであれば…

この他にも、「これは!」という特徴的な条件をひとつひとつ蓄積していけば、馬券の収支も上向くのではないでしょうか。

 

以上、お読み頂いてありがとうございました。