「帯に短し襷に長し」なメンバーの京都新聞杯(2017年)予想

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ダービー最終便と言われる京都新聞杯。同日の東京競馬場で行われるダービー・トライアル「プリンシパルS」にも力のある馬が出走するため、京都新聞杯は混戦模様になりました。

12頭と少頭数ながら、不安が先立つ馬がゴロゴロといて、「帯に短し襷に長し」という表現がぴったりのレースに。

難しさに拍車をかけるのは、京都芝の馬場状態。先週から引き続き高速馬場のままだと、先行+内枠有利、差し・追い込み馬は割引というレースになるでしょうから、当日の馬場状態はチェックが必要ですね。

 

京都新聞杯のコースは?

京都新聞杯の行われる芝2200mは外回りコースを使用します。直線で切れる馬に有利なコースで、'12、'15年は1〜3着をディープインパクト産駒が独占しているように、上りが34秒台そこそこのレースで力を発揮できる馬が狙い目です。

3〜4角にかけての下り坂をスムーズに走れるかも問われる舞台で、ここでスピードに乗せられるかは直線を向いてからの伸びにつながります。

 

上位人気馬の解説

ここ5年は5番人気以内から勝ち馬が出ているので、当日1〜4人気に支持されそうな馬をピックアップして解説します。

 

プラチナムバレット

父:マンハッタンカフェ

母:スノースタイル(母父:ホワイトマズル)

新馬戦はこのレースでも上位人気に支持されそうなサトノクロニクルと対戦し、先行して押し切る勝利。その後の3戦は好走するものの勝ち切れないレースが続き、前走のはなみずき賞(3歳500万下)で2勝目をマークしてここへ参戦してきました。

先行脚質ということもあり、デビューからの5戦はすべて掲示板を確保し、大きく崩れることがないタイプです。

 

血統

母スノースタイルは重賞馬のスマートレイアー(父:ディープインパクト)を産んだ名繁殖。半姉のスマートレイアーは3〜4歳にかけてはキレ味を武器に差しや追い込みで好結果を出していましたが、加齢とともに先行脚質にシフトし、それに伴って距離の適性もマイルから中距離へと変化しています。

プラチナムバレットは牡馬のため、牝馬のスマートレイアーのようなキレ味よりもスピードの持続力に優れたタイプ。ちょうど、京都記念でサトノクラウンに食い下がった姉のようなイメージの馬だと考えれば分かりやすいかもしれません。

父がマンハッタンカフェに替わり、姉よりもより持続力がアップした配合で、ストライドが伸びる走りを見ても、京都の外回りは適性として合っている舞台です。

 

レースに向けてのポイント

外枠からのスタートなので、逃げ馬を見ながらすっと好位を取れるメンバーになったのはこの馬にとってプラスです。

土曜日の京都芝がどれほど高速化しているのかにもよりますが、極端なインベタでなければ外枠の不利は考えなくてよく、むしろ、3〜4角の下り坂でスピードに乗せられるのでチャンスは大。ストライドが伸びる馬ですから、直線でスピードに乗り切ってしまえば、今の京都だと後ろから差されるような心配はありません。

スタートから道中にかけてスムーズなレースができるかがポイントになりますね。

 

不安点

不安な点は一つだけです。ただ、これがもっとも問題ではあるのですが……。

河内厩舎はクラシックでどうなの?

ここがもっとも不安な点です。やはり厩舎力というところでは一歩劣るので、ダービーへ向かう馬としての調整ができているのかどうか……。

当日のパドックでは、馬体重や気配などのチェックは欠かさないようにしましょう。

 

サトノクロニクル

父:ハーツクライ

母:トゥーピー(母父:Intikhab)

血統やここまでの戦歴については下記の記事で詳しく書いていますので、参考にして下さい。

hakusanten.hatenablog.jp

 

レースに向けて

ハーツクライ産駒ということもあって、3〜4角の下り坂でスピードに乗り切れないおそれはあります。

未勝利戦を除いて、差し・追い込みの競馬になっていますが、本来は兄サトノラーゼンと同じように先行してしぶとく粘るレースの方が合うタイプです。

川田騎手はダービーでサトノアーサーへの騎乗が決まっていますから、クロニクルにここで重賞を勝たせるため、思い切った先行策もあり得なくは……。好枠に入ったのでインのポケットでレースを進められればこのメンバーであればあっさりも考えられます。

 

不安点

道中、後方へ下がるようならかなり厳しいレースになりそうです。ハーツクライ産駒は上りが極端に速くなるような競馬は苦手なため、あまりにレースがスローだと後ろからでは前に届きません。

レース毎に十分な間隔をとったローテーションが組まれていることからも、おそらくまだ身体に弱いところがあって使い詰めができないのでしょう。今回も休み明けの1戦になりますが、体調も含めて当日の気配には注目です。

 

インヴィクタ

父:ハービンジャー

母:ラスティングソング(母父:フジキセキ)

札幌で行われた2歳の新馬戦を素晴らしいコーナー捲りで快勝し、札幌2歳Sへ参戦しましたが7着と敗退して休養に入ります。3歳の年明け初戦の500万下の梅花賞(京都芝2400m)をしぶとい末脚で勝利。その後は皐月賞トライアルの若葉Sへ挑戦しましたが3着と惜敗したため、ダービーを目指してここへ出走してきました。 

 

血統

母ラスティングソングは、ヴィルシーナ、ヴィヴロス、シュヴァルグランを産んだ名牝ハルーワソングの半妹で、母系は活力に富んでいます。母はフジキセキ産駒ですから、Haloのクロスが生じコーナーで加速する機動力は十分な配合。

そこにハービンジャーが掛けられたのがインヴィクタで、近親の活躍馬たちと同じように内回りや小回りで力を発揮する機動力型に出るのかと思いきや……。ハービンジャー×フジキセキはトーセンバジルに代表されるしなやかでキレる配合のため、同馬は機動力なのかストライドなのかどっちつかずの脚質になっています。

 

レースに向けて

外回りの京都芝2200mはキレるハービンジャー産駒のインヴィクタには適性として合っていますし、母系の機動力からも京都の下り坂はOK。

前走の若葉Sは直線で伸びたものの、急坂で脚色が鈍っていましたから、直線が平坦な京都に舞台が替わるのもプラスだと思います。

 

不安点

前が薄いメンバー構成で、スローの上り勝負になった時に後方からの競馬で差し切れるのかは「?」がつきます。今までのレース振りだと大外を回って、というレースなので外差しが決まる馬場なのかどうかは当日にチェックする必要があります。

 

サトノリュウガ

父:ハービンジャー

母:サトノユリア(母父:ディープインパクト)

 デビューからの3戦目の未勝利戦で勝ち上がると、続く500万下の福寿草特別(京都芝2000m)をイン捲りで完勝しました。その後は間隔をとってここへ参戦。

福寿草特別は有力馬が外を回るところをインのポケットから早目に抜け出して、内ラチぴったりを伸びての完勝。重厚なストライドで走る馬なので、京都内回りのコーナーをあれほどスムーズに加速したのは素晴らしいの一言です。

 

血統

曽祖母のエアグルーヴは名血名競走馬で、繁殖牝馬としても優秀。日本競馬の名牝系としてドゥラメンテを出すなど現在も活力があります。

母サトノユリアはエアグルーヴにフレンチデピュティ、ディープインパクトとかけられた好配合。そこにハービンジャーですから、ストライドで走る馬が出るのは順当と言えます。

先にも述べましたが、この馬もキレるハービンジャー産駒。重厚なストライドにも関わらず前走の福寿草特別を上り33.0の鋭さで差し切っているように、高速馬場もOKなタイプです。

 

レースに向けて

血統やこれまでのレース振りからは京都の外回りは適性として合っています。馬群を苦にしないので、自在な位置取りができるのも強みと言えそうです。

福寿草特別ではプラチナムバレットに完勝しているように、このメンバーに入っても力は見劣りしません。ダービーに向けてどのようなレース運びをするのかに注目したい1頭。

 

不安点

福寿草特別を勝った後、弥生賞を目標に調整されていましたが脚部不安で回避してここへ。

正直、どのくらいの体調で出走するのかは未知数です。

 

予想

人気上位の馬が帯に短し襷に長しなので、混沌とした京都新聞杯。これまでのレース振りや適性面を考えるとサトノリュウガがもっとも買いやすいのですが、やはり脚部不安明けでの出走というのはどうしても◎にするのに不安が残ります。

 

展開

内からダノンディスタンス、大外からウインベラシアスの2頭のハナ争い。ダノンは控えても競馬ができるので、ウインの松山騎手が注文をつけて先手を主張すれば、すんなりと隊列は決まりそうです。

サトノクロニクル、インヴィクタの好枠組が好位を取れるのかは微妙なところで、外からプラチナムバレット、内からサトノリュウガが先行勢を形成し、他馬は出たなりでの競馬に。

松山騎手としても京都の外回りコースを意識して、息の入る逃げを打つでしょうから高速馬場だったとしてもスローの流れに。

 

◎プラチナムバレット

河内厩舎ということを除けばもっとも弱点の少ない馬で、素質的に抜けているとは言えないものの京都の外回りコースを考えると適性としては合っています。

半姉のスマートレイアーも高速馬場はOKですから、同馬も苦にすることは考えにくく、負けるとしたら体調が整っていなかったか、スローの切れ味勝負にもち込まれた場合くらいでしょう。

当日の馬体重やパドックでの気配におかしなところがなければ……◎に。

 

◯サトノリュウガ

こちらも、京都新聞杯にぎりぎり間に合わせてきたという感じで、体調面での不安はあります。

先にも述べましたが、適性面や血統からはこの舞台はぴったりですし、これまでのレース振りを観てもこのメンバーであれば◯以下の印に落とせません。

 

▲ダノンディスタンス

前走のすみれSの5着は一過性の心房細動とのことで、この馬も体調面がきっちりと整っているのかは未知数ですが……。

ルーラーシップ産駒らしく長めの距離で良さが出ている馬で、血統の字面以上に内回り・小回りの機動力に優れたタイプです。本質的には外回りコースのキレ味勝負は不得手ですが、和田騎手の先行策であれば、脚を余さないペースメイクをしてくれるはずで、そこに期待をします。先週の馬場が継続しているなら、先行抜け出しのこの馬のチャンスは十分に。

 

サトノクロニクルとインヴィクタは差し損ねるおそれが十分にあるため買い目に入れにくく……。むしろ、この2頭の人気を考えるならバッサリと切ってしまった方がベター。

 

◎◯▲だけだと配当も厳しくなるので、人気が薄めの馬を1頭チョイスします。

 

△メルヴィンカズマ

未勝利戦を勝ちあぐねましたが、アドミラブルなど強敵相手のレースで好走していることからも一定の能力はあります。

二の脚が遅く、道中はどうしても後方からの競馬になってしまうことがネック。ただ、どこかで内に入れてスムーズに追走できればチャンスも。

 

買い目

配当が厳しいので、3連単を。

 

3連単

1着:11. 5. 2

2着:11. 5. 2

3着:11. 5. 2. 9

  

皆様にとっても素晴らしいレースになりますように。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。